この記事を読んでいる人の中には「プロジェクトマネージャーに任命されたけど、何をすればいいの?」と疑問に思っている人も多いでしょう。
新規プロジェクトを立ち上げる際に、企業によっては、プロジェクトマネージャーを配置して業務を進めていく場合も多々あります。
そこで今回は、プロジェクトマネジメントについて解説し、どうしてプロジェクトマネジメントが必要なのか説明します。
プロジェクトマネジメントを成功させる秘訣や、スキルアップの方法まで網羅しているので、プロジェクトマネージャーに任命されたらまずは一読してみましょう。
目次
プロジェクトマネジメントについて知ろう
「プロジェクトマネージャーって本当に必要なの?そもそもプロジェクトマネジメントって何?」と思っている人もいるでしょう。まずは、プロジェクトマネジメントとは何か、その意味を解説します。また、どうしてプロジェクトマネジメントが組織にとって必要なのかについても説明します。
プロジェクトマネジメントとは何か
プロジェクトマネジメントとは、納期が決められているプロジェクトをどのように遂行すれば成功するのか、詳しく計画を立ててコントロールしていくことです。
具体的には、「いつまでにどの程度のクオリティで完成させなくてはいけないか」を明確にして、そこから逆算してプロジェクト成功までのプロセスを構築していきます。
プロジェクトマネジメントはどうして必要なの?
プロジェクトマネージャーが必要な理由は、プロジェクト体制をしっかりと構築し確実に運用すれば、メンバーが効率的に業務を遂行できるからです。
プロジェクトマネジメントはプロジェクトを企画する段階から既に始まっています。目標を達成するために必要なコストや人材の確保、WBS(Work Breakdown Structure)の作成、メンバーの進捗管理やタスク管理を確実に行う必要があります。
プロジェクトマネジメントのコツ
ここでは、押さえておきたいプロジェクトマネジメントのコツを紹介します。小さなプロジェクトだけでなく、大きなプロジェクトにも通用する手法です。
プロジェクトマネジメント成功の3つのポイント
プロジェクトマネジメントのポイントは「プロジェクトのやるべきことを明確にすること」「プロジェクトのスケジュールを考えること」「プロジェクトのブレない目標を持つこと(成果物は何か見失わないこと)」の3点です。
これから、この3つのポイントについて「今から自分一人で1時間以内にデータをまとめる」という小さなプロジェクトに見立てた簡単な状況を例に解説していきます。
ポイント1.プロジェクトのやるべきことを明確にすること
プロジェクトを始めるにあたって、目的達成のためにしなくてはならないことは何か、一つ一つやるべきことを明確にします。
例えば1時間でデータをまとめる場合、「データを集める」「データをまとめる」などがやるべきことです。やるべきことを明確にしていくと「何のデータを集めれば良いか具体的に分からない」「データの量はどれくらい必要か分からない」「最終的にどのような形でデータをまとめるか決まっていない」という課題が洗い出されます。やるべきことを明確にすると、その障害となる課題も明確になるのです。
課題が明確になっていないと、どこから何を解決していけば良いか分からずに、無駄に時間ばかりが過ぎてしまいます。課題を明確にするためには、やるべきことを実際に達成しようとした時に何が起きるか、可能な限り想像してみることが大事です。見えてきた課題をリストアップすることで、プロジェクトを進行していく途中のつまずきを出来るだけ未然に防げます。
ポイント2.プロジェクトのスケジュールを考えること
やるべきことと課題が明確になったらスケジュールを考えます。やるべきことを実行するために必要なこと、またその障害となる課題を解決するために必要なことをタスクとして洗い出し、所要時間や作業の流れを考えて優先順位をつけます。
ここでは1時間以内で終わるように、スケジュールを立てます。この時間配分や優先順位を間違ってしまうと、最終的に納期に間に合わなくなってしまいます。
例えば、データ入力には少なくとも40分かかるのに、データ入力の前段階であるデータ収集だけで30分以上かけていては絶対に間に合いません。納期に間に合わないという事態を防ぐためにも、スケジュール管理は大切なポイントです。
ポイント3.プロジェクトのブレない目標を持つこと(成果物は何か見失わないこと)
タスクを一つ一つ実行していくと、必要なデータが必要な分だけ集まり、資料ができ上がります。このような過程を経て出来上がったもの(資料)が成果物です。
プロジェクトマネジメントでは常に「最終的な目標(成果物)は何か」を考えながら行動することが大切です。万が一目標がブレてしまうと、最初に求めていた成果物とは違うものになってしまうこともあります。
例えば、先ほどの例だと「資料を作る」という目標を見失い、「データを集める」だけで1時間が過ぎてしまう状況です。目標がブレると、仕事の成果は上がりません。
プロジェクトマネジメントの手法を具体的に見てみよう
ここでは、実際にプロジェクトマネージャーが取るべき、理想的なプロジェクトマネジメントの手法を見ていきましょう。
分かりやすいように「1年で新しいゲームアプリを開発する」というプロジェクトを例にとって説明します。
新規ゲームアプリのプロジェクトマネージャーに選抜されたあなたはチームメンバーと一緒に「1年で新しいゲームアプリを開発する」というミッション(プロジェクト)を遂行しなくてはなりません。
どんなゲームが需要があるのか、予算はいくらくらいか、デザインはどうするのかを考えながら1年後の納期に間に合わせなくてはならないので大変です。(スケジュールしか決まっていないプロジェクトがあるのか?という疑問はとりあえず置いておきましょう)
この新規ゲームアプリ開発プロジェクトを「やるべきことを明確にすること」「スケジュールを考えること」「ブレない目標を持つこと(成果物は何か見失わないこと)」の3点を押さえながら考えていきましょう。
今回の場合、目標(成果物)は「ゲームアプリ」です。では、ゲームアプリを完成させるためには、どのような「やるべきこと」があるでしょうか。
考えられるやるべきことは以下の点が洗い出されました。
- キャラクターやUIの素材を作成する
- ゲームを動かすプログラムを作成する
さて、では上記のやるべきことを達成するためには、どのような課題を解決していかなくてはならないでしょうか。
考えられる課題は以下の5点です。
- ゲーム内容が決まっていない
- キャラクターのデザインが決まっていない
- 予算についてクライアントと合意ができていない
- クライアントが求めるクオリティのキャラクターが描けるデザイナーがいない
- プログラミングにどれくらい時間がかかるか分からない
パッと考えただけでも、さまざまな課題が見えてきます。「ゲームタイトルが決まっていない」など他にも課題はありますが、今回はこれで進めます。
次は、課題解決に向けてのタスクを洗い出す作業です。
1.ゲーム内容が決まっていない
ゲームの内容を決めるためには、需要が高いのはどんなゲームなのかリサーチし、場合によってはクライアントと会議をしてゲームの内容を決める必要があります。
2.キャラクターのデザインが決まっていない
キャラクターのデザインを決めるには、ゲームの世界観を決め、キャラクターをいくつか用意し、クライアントの指示を仰いで決定する必要があります。
3.予算についてクライアントと合意ができていない
新規ゲームアプリに必要な人件費やコストを洗い出し、クライアントと予算会議をしなくてはいけません。
4.クライアントが求めるクオリティのキャラクターを描けるデザイナーがいない
社外のデザイナーを外注したり、派遣のデザイナーを手配したりする必要があります。デザイナーが決まらなければキャラクターのデザインも決まりません。
5.プログラミングにどれくらい時間がかかるか分からない
プログラマーにヒアリングを行い、どれくらい時間がかかるか明確にする必要があります。またそのためには、先にゲームの仕様がある程度詳細に決まっていなければ見積もることはできません。
6. キャラクターやUIの素材を作成する
当然ですが、ゲームに使用する素材を作るのにも時間や人的リソースが必要です。どれくらいの量が必要なのかを決め、タスクとしてリストアップしましょう。
7. プログラムを作成する
いくら素材が集まっても、それを動かすプログラムがなければゲームにはなりません。ゲームの仕様から必要なタスクをリストアップしましょう。
タスクの洗い出しが終わったら、タスクの優先順位を考え、1ヶ月で終わるようにスケジュールを組みましょう。最も効率的に業務が進行するように、タスクを並べ替えます。
並べ替えると以下のようになります。
- ゲームの内容についてクライアントと会議する
- プログラマーに開発に必要な時間や人数をヒアリングする
- 開発に必要な予算を洗い出し、クライアントと予算会議を行う
- デザイナーを手配し、人件費を算出する
- ゲームアプリを開発する(素材の作成・プログラムの作成)
タスクを並べ替えると、今やるべきことが明確になります。上記のタスクで1番時間がかかるのは、「ゲームアプリを開発する」工程です。
例えば、ゲームアプリ開発に少なくとも3週間はかかるなら、それ以外の工程を1週間以内で終わらせなくてはなりません。納期内にゲームアプリを完成させてこそ、プロジェクトの目標は達成されます。
大きなプロジェクトの場合
ここまでの例は、比較的プロジェクトの規模が小さいものでしたが、もし大きなプロジェクトになったとしても「やるべきことを明確にすること」「スケジュールを考えること」「ブレない目標を持つこと(成果物は何か見失わないこと)」の3点のポイントは同じです。
大きなプロジェクトであっても、細かく見れば小さなプロジェクトの集合体です。
例えば「新しくゲーム会社を立ち上げる」という壮大なプロジェクトがあった場合でも、細かく見れば「会社設立の手続きをする」「ゲームを開発する」「優秀な社員を雇う」など一つ一つは小さなプロジェクトです。
この小さなプロジェクトの積み重ねることが大きなプロジェクトを成功させる秘訣です。
プロジェクトマネジメントのスキルをアップしよう
プロジェクトマネジメントのスキルをアップするには、プロジェクトマネージャーが必要とされるスキルを知り、勉強し、実践することです。
本を読んだりプロジェクトマネジメント用のツールを取り入れることも大切ですが、実際にプロジェクトを進めるのは人間です。メンバーの一人一人と向き合い、それぞれが今何を考え、どこを見ているのか、しっかりコミュニケーションを取りましょう。
プロジェクトマネジメントをする上で求められるスキル
プロジェクトマネジメントに必要なスキルは3つあります。
それは「個ではなく全体を見るスキル」「先を予測するスキル」「コミュニケーションスキル」です。
プロジェクトマネージャーは、常に全体を見ながら「個人ではなく全体にメリットがある選択肢」を選ばなければなりません。例えばメンバーの一人が「私はこの業務は必要ないと思う」と訴えたとしても、全体として必要ならば受け入れてもらうといった判断が必要になるのです。
また、プロジェクトマネージャーは常に先を予測しておかなくてはなりません。もしミスが起こりやすい場面を予め予測できて忠告できれば、メンバーのミスを未然に防ぐことができます。
最後に、プロジェクトマネージャーはチームメンバーから上司、クライアントまでさまざまな人とかかわります。相手に合わせたコミュニケーションが取れるというスキルは大切です。
書籍を読んで勉強する
プロジェクトマネジメントのスキルをアップするには書籍を読むのもおすすめです。ここでは参考になる本を紹介します。
1.マンガでわかるプロジェクトマネジメント / 広兼修 (著)
マンガでプロジェクトマネジメントについて説明し、その手法を解説しているので、固い文章が苦手な人におすすめです。
2.「プロジェクトマネジメント」実践講座 / 伊藤大輔 (著)
プロジェクトマネジメントの具体的な知識とツールを「目標設定」「計画」「実行」の3つの視点を中心に解説しています。
プロジェクトマネジメントが目標達成の第一歩になる
プロジェクトマネジメントとは、目標を納期内に達成するための推進活動のことです。
「やるべきことを明確にすること」「スケジュールを考えること」「ブレない目標を持つこと(成果物は何か見失わないこと)」の3点を押さえることがプロジェクトマネジメント成功の鍵です。
先を予測したり、コミュニケーション能力を伸ばしたりするとプロジェクトマネジメントのスキルがアップします。本を読んで勉強するのも有効です。
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