アジャイル・ライダーの長沢です。みなさんのチームには「特有の共通言語」がありますか?共通言語があるチームは、プロジェクトを迅速に進められるため、アウトプットの質が高い傾向にあります。
先日、BacklogユーザーコミュニティのJBUGが岡山で開催され、「プロジェクト管理とツール」というお題で私も講演しました。その場でも「チームの共通言語」について話題になりましたが、私の支援先でも共通言語は度々話題になります。チームでプロジェクトを進めている多くのひとが関心を持っているのではないか、と常々感じています。
そこで、本記事では「適切な共通言語の見つけ方」と「共通言語をチームに促進するステップ」についてお届けします。
目次
共通言語とは
共通言語のメリットや概要は『チームで共通言語を作ることの重要性』をご覧いただければ幸いです。共通言語とは、一言にすると「チームで共通認識できる表記や表現方法」を指します。
共通言語を作るときは、曖昧性がないことが重要です。
ただ「曖昧性」といっても、そのコンテキストを共有する人たち(チーム)にとって曖昧性がなければ、とりあえず《そのチームにとって》共通言語になりえると捉えてください。
チームに関係のない人にも共通認識してもらう、と考えると「ハンドブック」のような重厚長大なものになってしまいます。
共通言語は「はじめは身近なチーム内で共通認識できればよい」ということを念頭に置いて作るとよいでしょう。
共通言語の促進
共通言語を促進するには「コミュニケーションが重要」です。コミュニケーションを取らずに誰かが勝手に決めた共通言語なんて定着するわけがありません。
コミュニケーション手法として、同僚やチームメンバー同士でレビューし合う「ピアレビュー」などが挙げられます。以下では、ツールを活用した共通言語の促進についてのアプローチを紹介していきたいと思います。
共通言語を発見するためのツール活用
コミュニケーションの量を増やして共通言語になる言葉を発見して、それが定着するというアプローチはおそらく避けて通れません。問題はそれをどう手間をかけずにできるか、加速できるか、へこたれずに習慣化できるかということになります。
私たちの現場にはいろいろと共通で使うツールがあり、それぞれのアウトプットを共同所有できる仕組みがあるはずです。
例えば、Backlogならば課題をベースとしたプロジェクト管理ができます。そこには、チーム内で命名規則がされた課題のタイトルや、進捗状況が一目でわかる課題の状態があります。課題の状態は誰が見てもわかるので、完成された共通言語の一つと言ってもよいでしょう。
共通言語を見つけるヒント
Backlogの課題だけではなく、Wikiも含めてフリーテキストとして書き込まれた情報にも、共通言語になりうるものが多く潜んでいます。
いきなり「共通言語で話そう」とはせずに、こうした既存の情報を精査して今ある情報から共通言語を発見する、共通言語にした方がよいものを発見する、というアプローチをとってみてください。
たとえば、同じことを別の言葉で言ってしまっているものがありませんか?それらは共通言語化できるものです。
このときに意識してほしいのは、その言葉の曖昧性がどれくらいあるかです。
「同じ言葉なのに人によって意味が異なるもの」
「違う言葉なのに同じ意味であるもの」
あたりが見つけどころです。
また、共通言語を加速する上でのツールの活用ポイントは以下の2つです:
- 今ある情報を集約しやすい
- 共通言語の候補を発見しやすい
共通言語を定着化するためのツール活用
ツールは情報を共有することに長けていますので、それを活用して
- 共通言語の用語集
- ディクショナリー
を作成するとよいかもしれません。
例えば、Backlogであれば、Wikiを活用して各共通言語を解説したページを作るとよいでしょう。
共通言語が定着化するまでは、例えば「その言葉がでてくるたびに解説ページへのハイパーリンクが設定される」といった、言葉がわからなければクリックするだけで意味が参照できるような仕組みを作っておくとよいでしょう。
また、ページを参照したときに定義や説明に違和感があったら、
- 書き換えてもよい
- 提案ができる
というルールを設けて、各人で柔軟に編集できるようにしておくと、知見が集約できてよいでしょう。
ここまできたら、共通言語として不適切な使い方があったら書いた本人でなくても書き換えてもよいかもしれません。例えば、文中に「これを課題として起票する」とあったときに、ここでの『課題』は、共通言語としては『タスク』だと思ったら「これをタスクとして起票する」と第三者が書き換えてあげてもいいということです。
まとめ
今回は、共通言語を作っていくにあたってツールを活用するアプローチを紹介しました。
ツールの特長でもある「アウトプット(情報)を共有できる点」に着眼することで、共通言語の集約と発見、定着化、共同所有が実践できると考えています。まとめると以下の2つのステップに分けられます。
共通言語の発見ステップ
- 現場の情報を集約する(Wiki や課題管理の情報)
- 情報の現状を把握する(Wiki や課題管理の情報)
- 共通言語を発見する(Wiki や課題管理の情報)
共通言語の定着ステップ
- 共通言語を作る(用語集、Wikiページを作る)
- 共通言語をこまめに更新する(用語集、Wikiページを更新する)
- 現場の情報に反映する(Wikiや課題管理の情報を誰でも気付いた時に更新できるとよい)
共通言語を作ってい、くという姿勢は、チームが当事者意識を持っていくことにつながります。また、共通言語がチームメンバーの当事者意識を加速していくでしょう。
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