チームで共通言語を作ることの重要性

こんにちは!ヌーラボ アジャイル・ライダーの長沢智治です。前回前々回の記事では「チーム」をテーマにしたお話をお届けしました。本稿では、組織力やチーム力を高める「共通言語」の重要性についてお話します。

好きなものから共通言語の重要性を考える

さて「アジャイル・ライダー」の由来でもあり、私自身もファンでもある平成仮面ライダーも20作品目を迎えます。平成仮面ライダーは特に多様性に富んでおり、ライダーなのにクルマを運転したり、バイクの免許を持っていなかったり、複眼ではなかったり、何をもって仮面ライダーとするべきなのか?という議論が尽きないことでも知られています。

しかし、これまでの仮面ライダーシリーズでも語られていたような、敵と同質な力を持っていたり、正義のためではなく人々の自由のために闘っていたりするシチュエーションなど、共通項も多く存在しています。実は今回のテーマの「共通言語」もこうした歴代の仮面ライダーシリーズで語り継がれてきた共通項から着想を得ました。

チームの「共通言語」はありますか?

前段はこのくらいにして、さっそく現場の話をしていきたいと思います。

みなさんのチームには、要件定義書はこういうものとか、振り返りをするときはコレでっ!という「共通言語」となるものはありますか?それとも、ひとによって違っていたり、プロジェクトや気分(?)によって違っていたりしますか?

私が何らかのかたちで現場のご支援やアドバイス役を務める際には、この「共通言語」があるか注意してみるようにしています。また、何らかの現場改善をするときには「共通言語を持ちませんか?」と働きかけています。

共通言語とは

「共通言語」とは何かを考えていきましょう。まずは「言語」です。「言語」と聞くと、日本語や英語などの自然言語や、Java,、C#、Rujbyなどのプログラミング言語を思い浮かべるひとも多いでしょう。それも正解です。

ここで使っている「言語」とは、意志や思想、感情を伝達する表現(表記法)です。

共通言語がないことで起きる問題

例えば、UML(統一モデリング言語)は、問題領域やソフトウェア仕様などのモデルを示す共通言語として開発された背景があります。同じものを示すのにひとや組織で表記法が異なると、相互理解が促進されなかったり、誤解を産んでしまったりという事態が起きます。表記法を統一することでこのような事態を防ぐことができます。

本稿で言っている「共通言語」とは、まさにこの本質を指しており「関係者が誤解なく、相互理解できる「言語」表現を持ちましょう」という提唱です。UMLなど特定の表記法を指しているわけではなく、チームや関係者で共通の言語を持つことで、問題に対して最短距離、最小のコストで対応できるようになると思っています。

また、DSL(ドメイン特化言語)も「共通言語」となりえます。

例えば「ゴミは分別しましょう」は誰が読んでも理解できます。でもゴミはどこまでをゴミとしているのか、分別はどのレベルでやるべきかは示されていません。これらのコンテキストが読み手に委ねられているので曖昧になっているのです。「汚れの取れないプラスチックゴミはどうする?」という問いかけに対しては、お住まいの自治体のお作法や自身の価値観やモラルに依存することでしょう。

では、ゴミを詳細に定義してみるのはどうでしょうか。

ゴミは燃やせるゴミと燃やせないゴミがあって、それからペットボトルなどの再利用すべきゴミと……。と、細かく定義することで、自治体が提供しているゴミのハンドブックが出来上がるわけです。同じく分別もゴミのハンドブックに詳しく定義されており、それに基づくことで、はじめて「ゴミは分別しましょう」が正しく実施できます。

しかし、ひとによってはハンドブックなんて読まないので、ゴミの分別はなかなかうまくいきません。

その場合は、共通言語としてゴミと分別の意味が関係者で理解できていれば、ハンドブックも必要ないでしょう。ゴミの種類、分別の分類が関係者で一致していれば「ゴミを分別しましょう」という最低限の標語で済んでしまうのです。

業務における共通言語とは

みなさんの業務で考えると、毎回ハンドブックやガイドラインに従って作業を進めるのは効率的とは言えません。とはいえ、言葉の定義や作業範囲など個々人で解釈が異なっていたら質に影響を与え兼ねません。

業務の現場で「共有言語」になっていると良いものを考察していきましょう。

用語集

1つ目の共通言語は「用語集」です。先の例の「ゴミ」や「分別」などが用語にあたりますね。より詳細な定義がないと勘違いしてしまう例になります。

その他にも、同じ言葉であるにも関わらず異なる意味を複数持つ用語が該当します。例えば「決定した」というのは「会議でみんなで決めたこと」を指すのでしょうか。それとも「意思決定者によって承認されたこと」を指すのでしょうか。ちょっとした違いではありますが、それだけでまったく状況が変わります。顧客とのやり取りとなると「言った言わない」の火種となりがちですね。

表記

2つ目の共通言語は「表記」です。議事録の体裁/書式もそのひとつです。人によって異なっていたり、毎回異なっていたりすると議論の前の認識に時間がかかってしまいます。見落としも増えるかもしれません。

ツール

3つ目の共通言語には「使用するツール」が挙げられます。議事録をWordで書くひととExcel方眼紙で書くひとがいたり、タスク管理にBacklogを使っているひととExcelを使っているひとがいたりするのがその一例ですね。

チームに最適な共通言語の作り方

最後に、チームに最適な共通言語の作り方をお伝えします。何を共通言語にするべきか、共通言語ができていないときの見分け方のコツをお伝えします。

共通言語で目指す目的を決める

「共通言語」で目指したいのは、現場の効率化だったり、業務の質の向上だったり、風通しの良い現場だったりするかもしれません。

それは、現場によって何をどこまで共通言語化すると現場の課題が解決するのか、何をどこまで共通言語化すると課題が浮き彫りになってくるのかによって変わるものです。他の現場がやっているからうちも!というのは参考になっても、最善手になるとは限りません。

共通言語ができていないときの見分け方

それは『指示語で伝えると』、「何を言っているかわかる」「何を示しているかわかる」「どうしたら良いのかわかる」が目安になります。

Aさん「議事録のアレ(アクションアイテム)どうなった?」

Bさん「アレ(アクションアイテム)は、適切な人にアサインまで終わってますよー」

Aさん「顧客の要件ってアレ(ユーザーストーリーマッピング)にまとめたよね?」

Bさん「この間、顧客とアレ(ユーザーストーリーマッピング)を見直したので見ておいてください」

指示語で簡潔に伝えられ、それが誰でも同じものを示しているとわかる状態になるというのは、それだけ現場で共通の認識を持てていることの表れです。

逆に言うと、指示語で何を言っているのかわからなかったり、言っていることにズレが生じるならば、それはまだまだ共通認識できていません。

組織は人間の集まりですから、全員が同じ価値観であることが理想というわけでもありませんが、必要最小限の共通言語を持つことは、現場をより良い傾向に向かせるために必要となるが多いです。

チームに最適な共通言語の作り方

ところで、どうやって共通言語を作るのでしょうか?誰かが「エイやっ!」と決めてそれに従うべきでしょうか?

一番良いアプローチの始め方は、とにかくコミュニケーションを取ることです。コミュニケーションをとることで、ズレていることや、ひとによってやり方が異なるといったことが見えてきます。そこから共通言語とするべきものを見つけていってください。

今まで個別にやっていたことを同じ役割のひとに共有するところからはじめると、共通言語にした方が良さそうなものが見えてきます。

要件定義書や設計仕様書、プロジェクト計画書、テスト仕様書などを同僚やチームメンバー同士でレビューし合う「ピアレビュー(査読)」からはじめてみるのも良いですね。モブプログラミングのように同じロールのひとたちで集まって、成果物の作成やレビューを実施することで自然と共通認識が生まれ、そこから共通言語化できることも多いでしょう。

ぜひあなたのチームでも共通言語をトライしてみてください。コミュニケーションの齟齬や、チームで行き詰まっていたことから解放できるきっかけになるかもしれません。

 

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