あなたの組織はどっち?〜統制型と自律型を解説〜

はじめまして、アジャイル・ライターの長沢智治です。今回から、日頃の業務に邁進しているあなたに一息ついて現場を考えるきっかけとなるネタをご提供していきたいと思います。第一回目は、統制型と自律型の組織についてのお話です!

あなたの組織

突然ですが、「あなたの組織について教えてください」と訊かれたらどう答えますか?即答できますか?その回答は現場のメンバーで一致している自信はありますか?

実は、私が現場訪問をさせていただいたときに、だいたい最初に訊いている質問なのです。大抵の場合は、周囲を見回してから回答するか、誰かに助けを求めます。これは決していけないことでも、恥ずかしいことでもないんですね。誰でも日々の日常はあまり意識しなくなるものです。仕方がありません。

でも、即答できたら、その回答が現場メンバーで一致していたら、カッコよくないですか?

チームって感じですよね!

組織にはタイプがある

私がこの質問をするのは、別に答えに意味があると思っていなくて、そのときの現場メンバーの様子を観察したいだけなのです(ネタバレ)。

誰かに助けを求める、代表して回答してくれそうな人をみんなで見るという動作が観察できると、だいたいその方がその現場のキーマンであることが多いです。その方は「プロジェクトマネージャー」と呼ばれる方であることが多いですね。

それに対して、現場メンバーがそれぞれに自分の意見を述べ始めたり、現場の統一見解を見出して回答してくれたりする動作が観察できると、誰か一人の”主役”がいるわけではなく、現場で模索する文化(クセ)がついているのだなというのがだいたいわかります。

※余談ですが、「現場で採用している開発プロセスは何ですか?」なんて質問を最初にもっていくのは悪手な場合が多いです。たいていはあるべき論でディスカッションにならずに終わってしまいます。

この質問だけで、後述するプロジェクト管理のタイプが断言できるわけではありませんが、おおよその目安をつけることはできます。そして、それぞれのタイプに応じてディスカッションする内容をコントロールしたり、現場の状況に対して前向きな話ができたりします。

ここでは、わかりやすいように、敢えて言葉を明確にしておきましょう。前者のように現場を代表してくれる、責任のあるプロジェクトマネージャーのような方がいる現場を統制型と呼んでみましょう。それに対して、後者のように誰がというよりは、現場のメンバーで考えて判断するような現場を自律型と呼んでみましょう。

統制型

統制型とは、経験豊富なマネージャーがいて、その方に権限と責任を持ってもらいます。

現場を混乱させずに、目的が達成できるようにコントロールしてもらうやり方です。現場メンバーは、マネージャーさんの指揮系統に則りお仕事を実施していくイメージです。

統制型のマネージャーさんは、経験と高く幅の広い能力が求められる傾向があります。統べるというのはそういうことです。同じようなプロジェクトを幾度となくこなし、成功も失敗もしている人物が望ましいです。それだけの経験の持ち主はおそらくご自身の”勝ちパターン”をもっているはずです。

現場メンバーの移り変わりや、プロジェクトによってまったく異なる現場メンバーでもプロジェクトを遂行して成功させるには、マネージャーさんの勝ちパターンにはめるのが一つの方策です。

現場メンバーは、マネージャーさんの指示に従うと個々人で最大限のパフォーマンスが発揮できるはずです。なので、全体はマネージャーさんにお任せして、現場メンバーは与えられたお仕事(タスク)に集中できます。

各メンバーのタスクの進行とタスクの完了をみておけば、全体計画のどれくらいを実施できたかどうかも把握できるので、マネージャーさんにとっても現場メンバーにとってもわかりやすいですね。

マネージャーさんは現場メンバー全員の特性や進捗を把握して進行できればベストですが、そこまでの余裕はないので、大まかな能力を数値化して把握することになります。そう「人月」という単位などがそれですね。

今まで述べてきたことを図示するとこのようになります:

統制型のマネージャーと現場メンバーのイメージ

統制型では、マネージャーさんの豊富な経験や、勝ちパターンに頼るところが大きくなります。

過去に経験したプロジェクトに似ている場合は、とても心強いですが、過去に経験したことがないプロジェクト、不確実性が高いプロジェクトでは、マネージャーさんの経験が活かせないかもしれません。

また、マネージャーさんが統制するということは、責任と負担がその肩に乗ってくることになります。

一般的に、日本のソフトウェア開発プロジェクトでは、マネージャーさんが、プロジェクトのマネジメントのほか、プログラムのマネジメント(アーキテクチャや再利用性、設計全般を考える)、プロダクトマネジメント(そのプロダクトの事業としての領域や、マーケティングや収益化などを考える)も兼ねている場合があります。そうなってくると百戦錬磨でかつ、経験している勝ちパターンに則っていないと負担は相当なものです。

自律型

自律型とはチームが自律していることで、ある程度の権限と責任をもっている(マネージャーさんからチームに委譲されている)ことです。

現場が混乱しないように自分たちで調整して、目的を達成できるように自らをコントロールするやり方です。現場メンバーはチームとしての意識を持つことが必要です。マネージャーさんは、チームが自ら意思決定して行動できるようにファシリテートする役回りになるイメージです。

自律型のマネージャーさんは、現場チームに対してマネジメントとして求める行動であったり指標であったりを提示し、それらを元にして現場チームを支援していきます。経験の豊富さや高く幅広い能力よりも、ファシリテートする能力や内外との交渉能力などが重要視されます。

現場チームは、自らが意思決定し、行動するため説明責任を果たす必要はありますが、実施に対して事細かく指示を受ける(待つ)必要はなくなるので、比較的自由に裁量を発揮できます。

その分、チームとして機能していないと無秩序で行き当たりばったりになりがちです。

個人個人の経験や能力も大切ですが、チームとしての総合的な経験や能力が重要になります。チームの理想は、機能横断的な能力をもっていることになります(多能工、多能なチーム)。したがって、チームを成熟させていくという意識が必要となり、マネージャーさんはそこも意識してチームを編成したり、チーム編成をあまり変えずに育てることも大切になるでしょう。

チームが成熟することで、そのチームでなら乗り越えていける”勝ちパターン”が見い出されていきます。ただしそこに至るまでにはチームで何度も小さく失敗していくことも大切かもしれません。マネージャーさんにはその小さな失敗を許容すること、外部の理解を得ることも期待したいところです。

現場メンバーは、個々人のお仕事の完了よりも、チーム全体として成果をだすことを意識する必要があります。目的に向かってお互いにフォローしていくことが大切になります。

この場合は、チームだけが理解できる最小限の共通言語や共通指標、数値化が役に立ちます。

例えば、相対的な見積もりで使われる「ストーリーポイント」などです。これらはチーム内での共通認識には役に立ちますが、外部に対してはその数字自体は客観的な意味をなさないことが多いです。チームの共通言語や共通指標は、部外者とのコミュニケーションには使えないことが多いですが、チーム内のコミュニケーションコストが最小で済むので、問題に素早く取り組む際にはとても効果的です。

自律型の現場チームとマネージャーのイメージ

自律型は、各自がもっている知識を集合知として最短距離で遂行していく勝ちパターンを作りやすいため、過去の経験が通用しないプロジェクトや、不確実性が高いプロジェクトで、逐次的漸進的に取り組む場合に活きてきます。

逆にすべてが決まっていて、素直に遂行していけばうまくいく場合には、現場チームにとって負担が高いかもしれません。

自律型を実施するには、マネージャーさんから権限と負担を現場チームに委譲する必要があることに注意しましょう。責任が取れない環境で自律は難しいですし、責任を伴わない自由(裁量)もありえません。

統制型と自律型での説明責任と権限の違いの一例

あなたの組織は統制型、自律型のどちらなのか

さて、大胆に統制型と自律型と大別してみてきました。それぞれに特徴があり、向き不向きもあることが見えてきたら幸いです。

ところで、あなたの組織は統制型と自律型だったとしたら、どちらに近いですか?それは意図してやっていますか?それとも過去からなんとなくでやっていますか?その認識は、マネージャーさんと現場メンバーで一致していますか?

ちょっとしたネタではありますが、こうした問いをたたき台にして、現場のメンバーで一度立ち止まって共通認識をもつことをおすすめします。

今後もあなたの現場が、自分たちでディスカッションしたり、共通認識を持つきっかけづくりになるような記事をお届けしていきます。

 

Backlogでプロジェクトを円滑に進める

 

30日間無料でお使いいただけます。

80万人に愛用されているBacklogを今すぐ試してみませんか?クレジットカードは不要です。

無料トライアル