目標管理の「OKR」を導入する手順を細かく解説します (MBOやKPIと比較あり)

プロジェクトメンバーが一致団結して目標に向かえるOKRは、GoogleやFacebookなど様々な企業で採用され注目を集めています。OKRは、会社の目標と自分たちの業務成果のつながりを可視化する方法です。短いスパンで目指す方向を修正して、メンバーの意識を統一できます。

今回は、OKRを使うメリットや使い方の他に、MBOKPIなど似ている方法との違いも含め紹介していきます。効率的なマネジメント方法を探している方は是非ご一読ください。

OKRの仕組と使うメリットについて

OKRの仕組と使うメリットとは?導入方法やMBO・KPIとの違いも解説

まずは、OKRの仕組や利点を解説します。

OKRとは?

OKRは「Objectives and Key Results」の略で、一つのO(目標)と複数のKR(鍵になる結果)で構成された目標管理方法です。

半導体素子メーカーのインテル社が考案し、Googleなどの有名企業でも採用しており、日本でも注目が集まっています。

OKRは、企業の目標をもとに、部署や個人でも細分化した目標を作成します。企業の目標とプロジェクトメンバーの行っている業務のつながりを可視化する方法です。

他の目標管理の方法よりも更新頻度などの周期が短い特長があり、変化が早いIT企業を中心に爆発的な勢いで浸透しています。

OKRの仕組み

OKRは、1ヵ月~四半期で成果を振り返りつつ「期間中に行った業務」の有用性を確認し、更新を繰り返します。

定める目標においては、必ずしも数字は使いません。「社会に貢献する新しい事業を生み出した代表的な企業になる」など、共有する人の意欲を向上させる、挑戦的な目標を設定します。

次に、いくつかの数字的な指標のKRを2~4個ほど設定します。「売上げを20%伸ばす」「ネットショップの月間アクセス数を2万人にする」など、数字で結果がわかるものを定めます。

目標は6割から7割の達成率で成功とし、KRも同様に7割前後を目指す事でプロジェクトメンバーのやる気を刺激します。定めたOKRは、すべてのメンバーがいつでも閲覧できるかたちで共有します。

OKRを使うメリット

OKRは、企業全体の目標を目指し、トップから個人まで個別に定めます。全体と個人との目標をつなげやすく、すぐに取り組むタスクの優先順序も決めやすい特長があります。

また、更新頻度も短期で自由に調整できます。迅速に目の前の問題に取り掛かることができ、業務に集中できます。

慣れれば設定にかかる時間もどんどん短くなり、会議に割く時間を短縮して実務の時間を増やせるのも魅力です。また、運用期間が短く、業務の方向性を討論する場が増えます。

プロジェクトメンバー間のコミュニケーションを活発にして、取り掛かっているタスクへの理解度も向上させます。

給与につながる判断基準は、達成率とは分けます。そうすれば、失敗に対する不安が多少は軽減され、高い目標を目指し業務に取り掛かることができます。

OKRの具体的な導入手順

次はOKRの導入方法について解説します。導入では、全体の目標から個人の目標まで、すべての目標を全員が確認できる仕組が重要です。

OKRの仕組と使うメリットとは?導入方法やMBO・KPIとの違いも解説_OKRの具体的な導入手順

手順1.企業のOKRを設定

はじめに、全体で目指す目標を決めて導入を開始します。以下の点に注意して目標を決めましょう。

  • 挑戦的である
  • プロジェクトメンバーが共感しワクワクする
  • プロジェクトメンバーの意見を反映する
  • 1ヵ月~四半期の期間を定める
  • 無理に数字を使う必要はない

達成率は6割から7割を想定し、部署やプロジェクトメンバーの意見も反映しつつ複数回調整してもかまいません。覚えやすく、メンバーが共感し意欲が向上する目標にしましょう。

目標の次は数値で計れるKRを定めます。KRは3個ほど、達成率は7割ほどが目安です。あまり多くのKRを定めると、各KRごとにプロジェクトメンバーの意見がまとまらず、業務を阻害する恐れがあります。

以上の点を押さえてOKRを作ります。また、すべてのメンバーがいつでも閲覧できる場所に公開しましょう。

手順2.チームのOKRを設定

企業のOKRを決めたあとは、チーム・部署ごとにさらに詳細なOKRを定めます。

部署の目標は、企業のOKRで定めたKRを満たすものが基準です。したがって、内容に数字が含まれます。作成するときには、全体や他の部署の目標を確認して、整合性が取れたものにしてください。

部署のKRを定めるときは、簡単と困難のちょうど中間の難易度になるように調整しましょう。実際に業務をするプロジェクトメンバーの意見を反映して、実現の可能性を明確にします。

手順3.個人のOKRを設定

各メンバーで個別にOKRを作ります。このときの目標は、部署で定めたKRを満たす内容です。プロジェクトメンバー間で情報や目標を共有して、整合性を取りながら定めましょう。

情報交換を活発にして、他者のOKRも確認すれば、自分が業務をする「意味」を深く理解できます。

同じように、全体のOKRを意識して作成をすれば、会社で目指す方向と自分の行いのつながりが常に確認できます。

手順4.OKRをレビューする

掲げたOKRは発表や検証をするときに、評価を付けて共有する機会を設けましょう。OKRは最長でも四半期で修正します。ただし、部署やプロジェクトメンバー単位の修正は、短期スパンで頻繁に発生することもあります。

検証や議論の機会を多くすると、メンバーごとの業務の進み具合も再確認できます。些細な問題や進捗であっても、他者と共有するのは重要です。業務の結果を部署や役員に伝え、意見交換をしましょう。

また、実現が難しい課題を達成したときは、部署全体で喜びを分かち合う機会も必要になります。

手順5.スコアリングして次回のOKRを設定する

最初に定めたOKRの期間を満たしたら、「KR」の結果を審査して、0.0や1.0、%でスコアリングします。各KRの点数の平均がOKRの評価になります。

ただし、評価を数値で採点しない企業や、プロジェクトメンバーの給与に反映させる企業があります。仮に、採点する場合でも審査に時間をかけるより、はじめから成果が分かりやすい目標を定めるほうが重要です。

審査が終了した後は、次回のOKRで組み込むべき内容を議論して、新たに構築します。OKRを再構築するときは、これまでの途中経過や結果、他のメンバーの進捗状況などを参考にして、整合性に気をつけてください。

はじめて利用する方は、点数の有無も含めて様々な方法を試してみましょう。サイクルを短くして、様々なことを試せるのがOKRの魅力です。

効率的なOKRのコツとMBO・KPIとの違い

OKRは、下記に挙げるコツでさらに便利になります。さらに、類似する目標管理方法も紹介していきます。

OKRの仕組と使うメリットと_効率的なOKRのコツとMBO・KPIとの違いは?導入方法やMBO・KPIとの違いも解説

効率的なOKRとは?

OKRは、目標を全員で共有して社内のコミュニケーションを活発にします。OKRを頻繁に改良して、さらに深い議論につなげていくのがコツです。

頻繁にする更新は「チェックイン」と呼ばれ、週の初めの月曜日に定期的に行われます。

チェックインでは、OKRの進捗や目標の実現度の更新、課題、弊害、代価案などを議論します。議論を通じて、プロジェクトメンバーに共通する深い問題や解決策を見つけましょう。

また、定める目標の難易度を調整すれば、プロジェクトメンバーの実行能力をある程度コントロールできます。

例えば、定める目標を「実現がとても困難」にすれば、メンバーの挑戦心を刺激して実行能力を引き出せます。ただし、6から7割の達成で成功とみなすため「ある程度まで頑張ればOK」という認識がプロジェクトメンバーに生まれてしまいます。

その場合は、目標の難易度を故意に下げて「少しきついが十分達成可能」なものにします。代わりに「達成率100%で成功、それ以外は失敗」とみなせば、プロジェクトメンバーの意識を引き締められます。OKRの運用では2つの基準を使い分けましょう。

「少しきつい」目標を定めるときは、数値を使ったKPIという方法も併用できます。

OKRとMBOの違い

OKRは、企業とプロジェクトメンバーが同じ方向を目指して一丸になる方法です。対してMBO(Management By Objectives)は、個人のパフォーマンスを保つ目的で利用できます。

MBOは、部下と上司・人事部などの限られた範囲で目標を定めます。

また、定めたMBOは限られた範囲以外に公開しません。利用期間は半年から1年など長期で、プロジェクトメンバーの評価・給与に直接影響する場合も多いです。達成率100%で成功とし、それ以外は評価を下げる判断材料になりやすい管理方法です。

狭い範囲で使いますので、部署同士の連携を阻害する要因になる場合が存在します。例えば、営業部と開発部で別々に定めたMBOがあり、利害関係が一致しない場合に業務が滞る原因になります。

MBOは評価を個人のやる気に結びつけてパフォーマンスを保つために利用できますが、広い範囲で連携するには向いていません。会社の目標を達成するには、広い範囲で使えるOKRを利用しましょう。

OKRとKPIの違い

OKRにとても良く似た方法にKPI(Key Performance Indicator)があります。達成可能と判断できる要因を分析・測定して、その結果をもとに数値を用いて目標を定めるのがKPIです。確実に実現可能な目標を使う業務に利用できます。

詳しく分別すると、KPIは最終の目標に対して、達成に必要な要素を数値で計測するために使います。

例えば「月間2万人のアクセスをサイトに集める」という目的がある場合、アクセスを集める方法にGoogleなどの検索エンジンからの流入数を増やすことが考えられます。他にも、DMメールやSNSの広告などで増やす、というアプローチも存在します。

そのときに「検索エンジンからの流入を1週間で5000人増やす」「SNSからの流入を1週間で○×人増やす」などの目標を定量的に設定したのがKPIです。

最終目標の「月間2万人のアクセスをサイトに集める」はKGI(Key Goal Indicator)と呼ばれます。

KPIもKGIも、OKRとの違いは「根拠のある数値を使って、目標や達成するためのプロセスを組み立てていく」という点です。

したがって、KPIはOKRと併用できます。KPIは営業、マーケティングなどの部署に適していて、最終目標を達成するための中間目標の管理に向いています。

まとめ

OKRの仕組と使うメリットとは?導入方法やMBO・KPIとの違いも解説

OKRは急速な変化に対応できる目標管理方法です。

OKRの概要、使い方、コツに分けて解説しました。会社のトップから個人までの意識を統一できるOKRは、すべての目標を全員が観覧できる、とてもオープンな方法です。

MBOやKPIなど、他にも目標を管理する方法はありますが、OKRは1周のスパンが短く全体の動きが軽快になる利点があり、社内コミュニケーションも活発化します。特に変化が激しい業界に適している管理方法です。

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記事の監修
中村 知成(ikikko)

ソフトウェアエンジニアとしてBacklogの開発・運用両面を担当。
並行して「共に働く人たちが、より輝けるように」という思いのもと、CI/CDや環境整備に対する取り組みも行う。2016年頃に知人のアジャイルコーチの活動に触れたことによって、技術的なプラクティスだけではないチーム作りや改善活動の重要性や難しさ・楽しさを実感し、以後アジャイルへの興味とそれを突き詰める活動を始める。
現在は、Backlogチームの開発マネージャーをしつつ、社内の各チームへの支援活動を通じて、ヌーラボのサービス開発を影から支えている。
著書に「現場のインフラ屋が教える インフラエンジニアになるための教科書」(ソシム) 等がある。


記事の作成
Backlog編集部


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