ヌーラボのアジャイル☆ライダー長沢です。本記事では、チームに新しい取り組みを導入するときの「導入計画の考え方」について考察します。
前回、新しい取り組みをするときに発生するパフォーマンスやモチベーションの低下についてご紹介しました。本記事では、周囲の理解を得ながらパフォーマンスをコントロールできる、現実的な導入計画作成のヒントをお届けします。
目次
新たな取り組みは慣れるまで時間がかかる
まず「新しい取り組みをするときに知っておきたい『落とし穴』とは」で紹介した図をもう一度ご覧いただきましょう。
この図は、新たな取り組みとパフォーマンスの関係を明示しています。「新たな取り組みの開始」を過ぎると、「今まで」のパフォーマンスが一旦下降し、緩やかに上昇していることがわかります。
これは、今までと比べると、覚えなければならないことや、慣れなければならないことがある分だけ業務に支障がでることを示しています。
こうした一時的なパフォーマンスダウンは、折り込み済みのものであることを関係者に理解してもらうことが大切です。
その理解を得るためにはどうすれば良いでしょうか。
導入計画に期間とリスクを明示する
導入計画にパフォーマンスが出るまでに時間を要することを明示するのが、もっともシンプルな方法です。
当たり前のように思えますが、これは意外とできていないことが多いです。あなたのプロジェクトでも、新しい取り組みを導入したのと同時に効果を評価・検証するような計画になっていませんか?
導入計画には最小でも以下の2つの項目を入れるようにしましょう。
- 効果が見込まれるまでに要する期間
- リスクのひとつとして今までの作業パフォーマンスが低下する可能性
期間を明示する
新たな取り組みの導入と同時に効果が出始めるわけではないので、そこまでに要する見込み期間を明示しましょう。
例えば
「タスク管理を『カンバン』という新しい手法に移行するには2ヶ月の試用期間が必要です」
と明示します。
仮にこの期間を待てない場合、新たな取り組み自体への理解が得られていないことになり、結果に満足してもらうのは難しくなります。うやむやにせずに見込みとして明示するようにしましょう。
リスクを明示する
導入計画では考えられるリスクも明示した方が関係者の協力を得やすくなります。
リスクを書くことは決してその取り組みに不安要素があるということでもありません。リスクを書けない(=リスクがわからない)方が予期せぬことが起き失敗することも増えます。
リスクを明示できることは強みです。
しっかりと想定できるリスクを明示しましょう。
例えば
「カンバンを導入することで最初の数週間は習得に時間を要することになります。そのためこなされる成果物の分量を減らしておきます」(リスクとその対応策)
というように明示します。
もし新たな取り組みをする前の段階(現状)で、パフォーマンスの数値化など十分にできない場合は、それもリスクとして盛り込んでおくべきです。現状を分析できていないと新たな取り組みの効果も適切に測れないかもしれません。
まとめ
導入計画というと、全力で良いことを書き並べたくなるものですが、冷静に遂行していくためにも、定着までに要する期間と考えられるリスクとその対策を明示できるようにしましょう。
また、期間については段階を設けて変更していく可能性も提示できると良い場合が多いです。そのときの考え方については、以前の記事「作業を正確に見積もる方法は?継続的な「期日見積り」のすすめ」でご紹介した段階的な期日の見積もり方法を参考していただければと思います。
次回は、新たな取り組みの段階に応じた評価の仕方について考察していきます。
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