他社の事例が、提案を「確信」に変えた。JBUGから始まったBacklog全社導入と次の挑戦

 

「Backlogを使いたいけれど、社内でどう広げればいいか分からない」「まだ導入していない自分が、ユーザーコミュニティに行ってもいいのだろうか」。そんな迷いを抱えている方もいるのではないでしょうか。

システムワークスジャパン株式会社の髙木 俊輔さんがJBUGに初めて参加したのは、2024年4月。当時の職場ではまだBacklogを導入しておらず、ひとりでの参加でした。

その後、髙木さんは次の回に同僚を誘い、コミュニティで得た事例を試しながら、一度は却下されたBacklogの導入提案を全社導入へとつなげていきます。そして今度は周囲に背中を押されて登壇し、自分の経験を伝える側に。人との関わりの中で行動を変えてきた髙木さんに、コミュニティとの歩みを聞きました。]

社内で使うだけでは、比べる相手がいなかった

原田: まず、普段のお仕事について教えてください。

髙木: システムワークスジャパン株式会社(SWJ)は、企業のID管理・認証基盤(IAM / IDaaS / IGA)の導入・構築やセキュリティソリューションを強みとするIT企業です。私もこうしたプロジェクトに携わっています。 社内でもBacklogのを使用いますし、プロジェクトによっては他社様からプロジェクトに招待されることもあり、Backlogを身近に仕事をしています。

原田: JBUGに初めて参加したのは、前職の頃でしたよね。当時は、仕事でどんな課題を抱えていたのでしょうか。

髙木: 前職では情報システム部門にいました。連絡はメールやチャットが中心で、情報が埋もれてしまったり、業務の情報が一元管理されていなかったりと、いろいろな課題があったんです。

さらに前の会社でBacklogを使っていたので、「Backlogなら業務を改善できる」というイメージは強く持っていました。

原田: JBUGに参加した時点では、まだBacklogは導入されていなかったんですよね。導入前にユーザーコミュニティへ行こうと思ったのは、なぜですか。

髙木: 導入を提案しようと考えていて、Backlogについて調べている時間が長かったんです。その中で、JBUGの開催を知りました。

登壇者に、パシフィコ横浜の松原さんがいたことも大きかったですね。職場が近かったので、「近くの会社さんがBacklogを使っているんだ。どんな話をするんだろう」と気になって。

それまで、他社でBacklogをどう使っているかという情報は、まったく入ってこなかったんです。社内だけなら「髙木、まあまあ使えるね」と言われるかもしれない。でも、他社と比べたらどうなのか。まだ試せることがあるんじゃないか。そういう気持ちが強かったですね。

原田: 社内だけだと比べる相手がいないので、「これで合っているのかな」と不安になりますよね。JBUGには、同じような思いで参加される方も意外と多いんです。

システムワークスジャパン株式会社 髙木 俊輔 氏システムワークスジャパン株式会社
髙木 俊輔 氏

最初は「見ているだけの人」でいい

原田: 僕もそうなんですが、知らない人が集まる場に参加するのは抵抗がありました。髙木さんはどうでしたか。

髙木: 最初はありました。「ひとりぼっちで大丈夫かな」と。

ただ、それを上回る興味がありました。JBUGについて調べていくと、過去の写真やレポートで雰囲気が分かったので、「こういう感じなら行けそうかな」と思えたんです。以前の会社でBacklogを使っていたので、話にはついていけそうだという安心感もありました。

原田: 実際に参加してみて、どんな印象を持ちましたか。

髙木: すごくウェルカムな雰囲気でした。もう少し勉強会っぽいのかなと身構えていたんです。自分でBacklogについて話さなきゃいけないのか、ワークがあるのか。会社の研修のようなイメージを持っていました。

でも実際は、本当にカジュアルに進んでいて。写真だけでは温度感までは分からないので、足を運んでみて初めて分かったことでした。

原田: アットホームさは、どんなところに感じましたか。

髙木: 一番は、運営スタッフの皆さんだと思います。参加者同士が、いきなりアットホームな雰囲気になることはなかなかないですよね。そういう空気をつくっていたのは、運営メンバーの方々だったんだろうなと思っています。

原田: もし、その回にワークショップがあったら、どうでしたか。

髙木: 初めての回なら、正直なかったほうがよかったと思います。ハードルが上がってしまうので。

最初は「見ているだけの人」でいいんです。どんなものか見てみたい。そのうえで次も同じ雰囲気なら、また参加できるかなと思えます。

原田: 分かります。僕も、みんなで集まって発表まで求められると、一歩引いてしまうので。登壇者の話を聞くのがメインだと、安心できますよね。

聞いた事例を、帰ってすぐに真似してみた

原田: JBUGに参加する前と後で、ご自身に変化はありましたか。

髙木: 情報を自分から取りに行くようになりました。それまでは、そういう発想自体がなかったんです。2024年4月の回を境に、Backlogを使っている他のユーザーさんの話から学びに行く姿勢へ、大きく変わりました。

原田: それは、何回か参加するうちに変わったのでしょうか。

髙木: 参加してすぐでした。「次のJBUGも行こう」と思って、4か月後の8月の回にも参加したんです。

その回では、デジタルキューブの恩田さんのお話がすごく印象に残っています。入社したタイミングからBacklogを使ってオンボーディングしていくという内容で、目から鱗でした。「この機能、あまり使ってこなかったかも」と気づいて、帰ってすぐに同じ使い方を真似しました。

「バックログスイーパー」と呼ばれる役割の話もありました。最初はふざけているのかなと思ったんですけど(笑)、よく聞くと、そういう役割が大事で、きちんと評価されるべきだという話だったんです。「そうだよな」と納得しました。

ひとりで参加した次の会は、隣の席の同僚を誘った

原田:1回目はおひとりでの参加でしたが、8月の回には、同僚の方と一緒に参加されたそうですね。。どうして誘おうと思ったのですか。

髙木: 隣の席のエンジニアの方です。仕事帰りによく話していて、アナログな作業に時間を取られている様子が分かっていました。そこで「それ、Backlogでやったら一発ですよ。今度8月にJBUGがあるから行きましょう」と誘ったんです。

帰り道には、「今日の話みたいに使えば、いけるよね」と、頭の中でイメージを浮かべながら話したのを覚えています。その方はそれまでBacklogを使っていなかったんですが、それをきっかけに使うようになりました。「コミュニティ、めちゃくちゃ楽しかった」と言ってくれましたね。

原田:ひとりで参加した最初の回から4ヶ月で、今度は誰かを誘う側になっていたんですね。

コミュニティで得た確信で、却下された提案を全社導入へ

原田: JBUGへの参加をきっかけに、社内でBacklogが広がっていった経験はありますか。

髙木: あります。JBUGに参加したあと、会社にBacklogの導入を提案しました。でも、最初はNOだったんです。自分の部署だけが楽になるための提案に見えてしまったんですね。

そこで、「みんなが楽になるのであれば、入れていいということだよね」と、勝手に捉え直しました(笑)。

原田: そこから、どう動いたのですか。

髙木: 情報システム部門は、いろいろな部署に顔を出せるのがいいところなんです。雑談のように「今こういうお仕事をされているんですね」「これ、どうやって管理しているんですか」と聞いていくと、Backlogで改善できそうな業務が見えてきます。

そこで、部署ごとにトライアルを申し込みました。1か月で切れるので、何回も(笑)。設定も僕がして、「今までの業務が、こんなふうに変わりますよ」とビフォーアフターを伝えると、気に入ってもらえるんです。

システムワークスジャパン株式会社 髙木 俊輔 氏システムワークスジャパン株式会社
髙木 俊輔 氏

その部署の上司の方とは、僕はあまりお付き合いがなかったので、「ぜひ、上司の方に賛成してもらえるよう話してほしい」とお願いして。そうやって、輪を広げていきました。

複数の部署で業務改善できることを証明して、それをエビデンスに再度提案したら、「それならいいんじゃない」とGOが出ました。

原田: 最初の提案も、JBUGに参加したあとでしたよね。コミュニティに参加したことで、何が変わったのでしょうか。

髙木: 参加する前は、自分の経験の分しか情報を持っていなかったので、改善できるイメージはあっても、それ以上に思いが膨らまなかったと思います。

JBUGでいろいろな企業の事例を聞いて、知見の幅がぐっと広がった。トライアルで自分でも試して、「これはいける」と確信に変わったんです。それで、提案に動けました。

 

背中を押されて、今度は自分の経験を伝える側へ

原田: 全社導入を実現されたあと、横浜の回で初めて登壇されました。学ぶ側だった髙木さんが、なぜ登壇しようと思ったのですか。

髙木: ヌーラボのマコリーヌさんに「登壇してみませんか」と声をかけてもらったんです。でも、自分に話せることがあるのか、よく分かっていませんでした。

Backlogを使いたかったのに却下されて、みんなが使える環境にしようと動いて、うまくいった。自分の中では、別にすごいことだとは思っていなかったんです。

でも、話を聞いてくださったマコリーヌさんやヌーラボの方が「いい話ですね」と背中を押してくれて。2024年に僕がJBUGで学んだように、学びになる人がいるなら、こんな話でよければ伝えてみようかなと思いました。

原田: 自分では大したことないと思っていても、誰かの役にすごく立つことは、よくあるんですよね。人前で話すことに、抵抗はありませんでしたか。

髙木: 正直に言うと、性格的には緊張しやすいほうなんです。ただ、前々職が教育業界で、人前で話す研修が多くありました。話の上手な人の真似をすることが癖になっているので、場慣れはしているほうかもしれません。

原田: 最初は学ぶために参加していたJBUGですが、いまの髙木さんにとっては、どんな場所になっていますか。

髙木: 最初は、自分が学ぶための場所でした。人とつながって次のアクションにつなげることは、あまりイメージしていなかったんです。

でも何回か参加して、いろいろなお声がけをいただく中で、景色が変わってきました。いまは、参加したことがない人や、興味はあるけれど一歩踏み出せない人に向けて、自分の知見をアウトプットしたい場所になっています。

登壇だけでなく、参加者の方との会話でも、「誰々さんの登壇でやっていたのを真似したら、すごく良くなりましたよ」といった成功体験を話しています。失敗の話も大っぴらにできる空気感なので、躊躇なく話せていますね。

原田:JBUGで学んだことを自社で試し、その経験を今度は次の誰かに手渡ししているんですね。

運営として場を支えて気づいた、仕事とは違うチームのつくり方

原田: いまは運営にも関わっています。その中で、感じていることはありますか。

髙木: 仕事なら、チームを組んで積極的に意図を伝え、リーダーシップを取ってプロジェクトを形づくっていけると思うんです。立場上、やりやすい。

でもコミュニティは、あくまで仕事ではない集まりです。運営メンバーには、それぞれの生活や仕事、働き方への考えがあります。その中で、自分に「できるでしょ」という気持ちがあると自覚していて。コミュニティというより、プロ集団のような状態にしてしまっているところがあるなと、最近感じているんです。

それは、自分が理想としているコミュニティではない。どうすれば思い描くチームにできるのか、すごく悩ましいところです。コミュニティの経験が豊富な方を真似することが、大事なんじゃないかと思っています。

原田: JBUG以外のコミュニティにも、興味はありますか。

髙木: 製品のコミュニティは今のところイメージしていないんですが、人に近いテーマのコミュニティには参加したい気持ちが強いです。

若い人たちと一緒に仕事をする時間が増えてきて、技術だけでなく、人を育てていく役割のフェーズに来ていると思っています。同じような立場の方々が、どんなことを考え、どう行動しているのかに興味があるんです。

原田: プロダクトへの興味から、人への興味に広がっていったんですね。僕も同じように広がってきたので、すごく共感します。

原田: これから、コミュニティでやってみたいことはありますか。

髙木: いまもまとめ役をやらせてもらっていますが、自分が見てきた偉大な先輩方のようにはいっていない自覚があって、不甲斐なさや悔しさもあります。

だからこそ、大なり小なりでいいので、まとめ役としての活動にあらためて挑戦してみたいです。そのときには、いいコミュニティになっているはずなので。

最初の一歩は、誰かと一緒でいい

原田: 最後に、参加を迷っている方へ伝えたいことはありますか。

髙木: 思っている以上に、ハードルは低いです。どのコミュニティも、おそらくそうだと思います。「ある程度の知識や技術がないと、浮いてしまうんじゃないか」という気後れは、一切持たなくていいと伝えたいですね。

とはいえ、ひとりで一歩を踏み出すのは、まあまあ勇気がいると思うんです。だから、何回か参加したことがある方は、ぜひ初めての人を誘ってあげてほしい。

初めての方も、「一緒に行きませんか」と誘ってみたり、「ついて行っていいですか」とお願いしてみたり。複数人での参加は、きっかけとしていいんじゃないかと思います。

ひとりで見に行き、試して、今度は誰かに伝える

髙木さんの最初の一歩は、ひとりで登壇を聞きに行くことでした。そこで得た事例を持ち帰って試し、次の回には隣の席の同僚を誘い、社内の提案を動かす確信にも繋げました。そして周囲に背中を押され、今度は自分の経験を、次の一歩を踏み出す誰かに伝えています。

最初は、見ているだけでも大丈夫です。気になるテーマの回に足を運び、持ち帰れそうなことをひとつ試してみる。ひとりで迷うなら、誰かを誘ってみるのもいいかもしれません。

 

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