ヌーラボのアジャイル・ライダー長沢です。本記事では、仕事や業務を効率化するために知っておきたい「優先順位づけ」についてご紹介します。優先度と優先順位の2つの違いを正しく理解して、仕事の効率化につなげましょう。
目次
優先度と優先順位とは?
仕事の現場では、チームメンバーからの要求、問題、障害を扱うときに「優先度」を設定することがあります。
優先度は、これらをタスクとして登録する際に起票者が設定することもあれば、それを閲覧して意思決定の際に設定することもあります。
このような優先度とは別に「優先順位」という概念もあります。
これは先の優先度などの設定項目というよりは、実施する順番そのものをさします。
例えば、プロダクトバックログにおける明確な優先順位がまさにそれです。プロダクトバックログにおける優先順位とは、プロダクトバックログ項目をどの順番に実現していくかを明示し、またそれらを入れ替えることでニーズに合わせていきます。
優先度と優先順位の違い
「優先度」と「優先順位」は言葉が似ているため混同されがちですが、両者は明確に異なります。
- 優先度は、[高い][中][低い]や[A][B][C]などの指標化できるものです。
例えば、要求の優先度やビジネスの優先度などが該当します。関係者で同一(同質)の意思確認を行うために必要となる場合があります。
- 優先順位は、明確な序列です。
順番が明確なので、理由の如何に関わらず絶対的な順番になります。逆に言うと、理由は示されていないケースもありえます。
さて、以下では優先度と優先順位の定義についてそれぞれみていきましょう。
優先度はどう使う?
優先度は指標化できるため、複数の「尺度(視点)」があることも多いです。
会話の一例として「ユーザーの使い勝手としての優先度は[高い]が、ビジネス・インパクトとしての優先度は、[中]程度だ」という内容をみなさんも聞いたことがあるのではないでしょうか。
こうした尺度は意思決定にとっての大切な材料となりえます。
さきほど「関係者で同一の意思確認を行うため」に優先度が必要だと述べましたが、これはなかなか難しいものです。その理由を挙げてみましょう。
- 関係者によって状況温度差が生じやすい
(Aさんにとって[高い]がBさんにとっては[低い]があり得る) - 3つ程度の指標にカテゴライズするのが難しい
([高い]と[中]の境界線ってどこ?) - 優先度自体の取り扱い(配慮や尊重、重要視)が不明確で意思決定材料になりにくい
(ユーザーの使い勝手の優先度をどう意思決定する?)
現場あるあるなネタとしては、すべてのアイテムが優先度[高い]なので意思決定材料として機能しないということもありますね。ひどい場合だと、優先度[A]より重要だから[A+]、[A++]、[S]がいつのまにか作られていたり……。
優先度は用量と用法を守って、正しく扱いましょう。
優先順位はどう使う?
「優先順位」は、明確な順番です。例えば、「1、2、3、4……」と並んでいれば1から順番に取り組んでいくことが誰がみても明らかになっています。
どうしてその順番になったのかはともかく、実施するという意味では迷うことなく、順番に取り組んでいけば良いことになります。
例えば、1をやらねばならないのに、4からはじめる人はまずいません。理由があって4から始める必要があれば、1をやらない根拠と4を優先する理由が伴うはずです。
その根拠と理由を明確にして意思決定ができれば、4をはじめにやる(4番目を1番目にプロモートする)のは優先順位の入れ替えなので問題ないはずです。
以下で具体例を見てみましょう。
- プロダクトオーナーがプロダクトバックログの優先順位を設定します。
B, C, D, A, E
- 開発チームがBを見積もったところ、技術的な調査の工数が重いことが判明し、先にAを優先した方が良いと報告します。
- 開発チームとプロダクトオーナーがAを優先した方が最終的なゴールを達成しやすい、と判断したならば、優先順位を変更します。
A, B, C, D, E
以上の流れで優先順位を見ると、順番の入れ替えだけを議論しており、必要最小限の分析と意思決定で済んでいることがわかります。
今回の例では、BとAだけ考えていてC,D,Eについては議論していません。
関連記事:優先度の高い複数の仕事に取り掛かるときに押さえておきたい5つのポイント
まとめ
このように優先度と優先順位は言葉が似ていますが、性質はまったく異なります。
- 優先度:状況や事情が明確に指標化される
- 優先順位:こなしていく順番が明確である
優先度は指標として明確だけど、どこから始めるかまでは判断しづらく、優先順位は順番は明確だけど、何でその順番なのかはわかりにくいというクセがあるということですね。
その2つとどう付き合っていけば良いでしょうか。まずは優先度と優先順位は異なるものであることを認識することからはじめましょう。あなただけではなく、組織やチームの関係者全員が同じ認識である状態が望ましいです。
すると、この2つがお互いに補完関係になっていることも見えてくるでしょう。「優先度」と「優先順位」をどう使い分け、どう補完するか。あなたの現場ではどうやっていますか?普段あまり意識をしていないとしたら、現場のみんなで考えてみてください。
次回は、優先順位に焦点を置いて「優先順位をつける上でのひとつのやり方として優先度を活用する方法」をご紹介します。
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