DXの具体的な進め方とは?成功事例やデジタル化との違いを解説


近年、DXという言葉がビジネスシーンでよく聞かれるようになりました。自社でDX推進に取り組みたいと考えている事業者の方も多いのではないでしょうか。

今回は、DXの定義や成功事例、推進する際の具体的な手順について解説します。DX推進に活用できるツール例にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

DXとは?定義と事例、デジタル化との違い

そもそも「DX」とは何を指しているのでしょうか。DXという言葉は知っているものの、定義を明確に説明するのは容易ではないと感じている方も多いはずです。有名な成功事例やデジタル化との違いについて押さえておきましょう。

DXの定義


DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、デジタル技術を駆使して製品やサービス、ビジネスモデルのあり方を変革することを指します。

もともとDXは、2004年にウメオ大学(スウェーデン)のエリック・ストルターマン教授が提唱した言葉です。ストルターマン教授は、DXを「デジタル技術の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」と定義しています。

現在、DXは多義的な言葉として使われるようになりました。ただし、「デジタル技術を活用すること」と「製品・サービスやビジネスモデルを変革すること」 という点は、大半のケースにおいて共通しています。

DXの成功事例


DXの有名な成功事例 は次の通りです。

・Uber:位置情報を活用し、誰もが個人タクシーとして登録できる仕組みを構築した
・Netflix:サブスクリプションモデルにより、映画をはじめとする豊富な映像コンテンツを見放題のメディアへと変容させた
・Airbnb:アプリを介して誰もが部屋を貸し出し、民泊として活用できるようにした

Uberはタクシー業界、Netflixは映画業界、Airbnbはホテル・旅館業界のビジネスモデルにそれぞれ変革をもたしました。単にデジタル技術を活用しているだけでなく、既存のビジネスモデルや業界の常識を根底から覆すほどのインパクトを与えている点が大きな特徴です。

DXとデジタル化の違い

DXとしばしば混同されるのが「デジタル化(IT化)」です。デジタル化とは、既存の仕組みをデジタルに置き換えることを指します。DXがデジタル技術活用の先にある「変革」を志向しているのに対して、デジタル化はデジタル技術の活用に留まっている点が大きな違いです。

言い換えると、デジタル化は量的変化であるのに対して、DXは質的変化を促している点が根本的に異なります。前述のUberの例に当てはめると、従来のタクシーに配車システムやキャッシュレス決済を導入して利便性を向上させるのはデジタル化です。Uberは既存の仕組みをデジタル化したのではなく、タクシーのビジネスモデル自体を変革する新たな仕組みを実現しています。

DX推進の具体的な手順


DXは具体的にどのように推進すればよいのでしょうか。単純にデジタルツールを導入すればDXが実現するわけではないため、手順を踏んで進めていくことが大切です。ここでは、4つのステップでDX推進を実現する方法を紹介します。

1.DX推進のビジョンを策定する

DXを推進する上で非常に重要な位置を占めるのが「ビジョンの策定」です。デジタル技術を駆使して何をどう変えたいのか、ビジネスモデルをどのように変革したいのか、ゴールを定めましょう。

DX推進でよくある失敗として、「どのようなデジタルツールを導入するべきか」から議論を始めてしまうパターンが挙げられます。DXが「変革」を志向する概念であることを念頭に置き、まずはビジョンを固めておくことが大切です。

2.DX推進に向けた体制整備を進める

次に、策定したビジョンの実現に向けて体制の整備を進めましょう。社内はもちろんのこと、社外のリソースを活用することも視野に入れて必要な人材を確保します。必要に応じて新たに人材を採用したり、プロジェクトを発足させたりすることになるはずです。

同時に、中長期的なDX推進の計画も立てておきましょう。DX推進を継続的に担える人材を育成していく必要があるからです。DX推進は中長期的なビジネスモデルにも大きく影響していくことを踏まえて、体制整備を進める必要があります。

3.予算規模・投資対象の決定

DX推進に投じる予算規模によって、打ち出せる施策や導入可能なツールは制約を受けるはずです。予算ありきで計画を立てるのではなく、あくまでもビジョンありきで予算に応じた投資対象を決定しましょう。

人員や設備などに投じる費用はコストであると同時に、製品・サービスやビジネスモデルに変革をもたらすための先行投資ともいえます。DX推進によって将来生み出される利益を見越して、予算規模を決定することが大切です。

4.実行計画の策定

DX推進の実行計画を策定し、いつまでに何を完了させるのかを決めていきましょう。漠然と進めるのではなく、時期ごとにKPIを設けて効果を検証し、必要に応じて改善や軌道修正を図る必要があります。

DX推進で目指すべきゴールはITツールの導入ではないことを念頭に置き、求める成果地点から逆算して運用方法を決めていくのがポイントです。ITツールの導入によって、製品・サービスやビジネスモデルにどのような変化がもたらされたのかを基準に効果測定を実施しましょう。

DX推進に活用できるツール例


DX推進によく活用されているツールの例を紹介します。ここまでに解説してきた通り、ITツールの導入はDX推進の目的ではなく手段です。次に挙げる3点に関しても、製品・サービスやビジネスモデルを変革するために役立つツールと捉えてください。

顧客関係管理ツール(CRM)

顧客関係管理(Customer Relationship Management)に活用されるツールです。顧客情報を一元管理し、さまざまな切り口で分析するのに役立ちます。顧客の属性に応じてアプローチを変えることにより、個々のニーズに合った提案がしやすくなるでしょう。

近年CRMが重視されているのは、従来のマスマーケティングが効果を失いつつあるからです。顧客1人ひとりのニーズをよりきめ細かく把握するには、顧客分析が欠かせません。顧客関係管理ツールを活用することで、LTV(顧客生涯価値)の伸長を実現しやすくなるはずです。

【顧客関係管理ツールの例】
・Salesforce(株式会社セールスフォース・ジャパン)
・kintone(サイボウズ株式会社)

ビジネス・インテリジェンス(BI)

企業内に散在する各種データを視覚的なグラフ等で一覧表示し、データ分析に役立てるためのツールです。視認性が高まるだけでなく、最新情報を素早く把握することで的確な意思決定を行うことができます。

複数のツールに蓄積されたデータを横断的に分析することにより、データ活用の可能性も広がるはずです。たとえば、データ間の関係性を明らかにするマーケット・バスケット分析や、データを階層ごとに分析する階層クラスター分析、といったデータマイニングの手法も実践しやすくなるでしょう。

【ビジネス・インテリジェンスの例】
・Tableau(株式会社セールスフォース・ジャパン)
・Actionista!(株式会社ジャストシステム)

プロジェクト管理ツール

進捗管理や課題管理、メンバー間のコミュニケーションなど、プロジェクト管理に求められる機能が統合されたツールです。メールやスプレッドシートによる煩雑な管理を効率化し、情報の共有化を推進する上で役立ちます。

【プロジェクト管理ツールの例】
・Backlog(株式会社ヌーラボ)
・Trello(アトラシアン株式会社)

Backlogは開発・マーケティング・総務など、幅広い職種で活用されているプロジェクト管理ツールです。ガントチャートやカンバンボード、社内Wikiなどの機能により、プロジェクトの進捗状況や課題の現状を可視化できます。30日間の無料トライアル期間が設けられているので、プロジェクト管理の効率化に役立つ機能を体験してみてはいかがでしょうか。

まとめ

DXはビジネスを大きく飛躍させる可能性を秘めており、業種を問わず多くの企業が注目しています。一方で、ITツールの導入によるデジタル化としばしば混同されやすいのも事実です。DXの目的を履き違えることなく、製品・サービスやビジネスモデルの変革を志向することが求められるでしょう。

今回紹介したポイントや手順を参考に、ぜひ自社で取り組むべきDX施策を検討してください。デジタル技術の活用によって、従来は困難とされていた新たなビジネスの可能性が開けていくはずです。

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