QCDとは?QC七つ道具やQCDS、QCDSEなどを網羅的に解説

QCDの意味を知りたいけれど、解説している言葉が専門用語ばかりで理解できない」「将来はPMを目指しているから、QCD周辺の用語理解をしておきたい」と思っているあなたへ、この記事がお力になります。

QCDについて詳細に解説した記事は多くありますが、専門用語やニッチな事例ばかりで理解しきれない人も多いでしょう。また、QCDについて簡潔に説明している記事は、派生語などを含めて網羅的に知りたいという方には物足りません。

本記事では「QCDについての理解」「派生語の意味確認」「QCD周辺のフレームワークを体系的に理解できる」という3つのメリットをお届けします。

まずは、QCDと派生語の意味を解説していきます。

QCDとは?QCDS、QCDSEなどを網羅的に解説

QCDとは?QC七つ道具やQCDS、QCDSEなどを網羅的に解説

QCDとはQ(クオリティ:品質)C(コスト:費用)D(デリバリー:納期)の頭文字を並べたものです。モノづくりにおいて、品質が最優先されるべき事項で次に費用、最後に納期といったように重要度の高いものが最初に来ています

QCDの3要素は密接に関係しており、品質を最優先するのであれば費用は増加します。費用を節約するのであれば品質が低下しますし、最短納期でモノを作るのであれば品質が低下します。

もともとは製造業で使われていた言葉ですが、IT業界にも同じように当てはめることが可能です。最近ではビジネスの中で普通に使われるシーンも増えてきているので、覚えておいて損はありません。

しかし、実際のビジネスでは「より早く、より安く、よりよいモノ」が常に求められます。改善する努力を怠ってはいけませんが、安易にお客様の要求を受け入れてしまうとコストが増大し、プロジェクトが頓挫してしまうリスクが増加します。

QCDとは?意味を理解しよう

QCDでは「品質が一番大事である」という位置づけです。なぜ品質がいちばん大事なのでしょうか。それは品質不良が起きた場合、費用と納期にも悪影響を与えてしまうからです。

製造業では不良製品の出荷は最悪ユーザーを命の危険に晒してしまいます。システム開発では命の危険とまではいかないまでも、品質不良がユーザーに不利益を与えることは同じです。バグだらけの低品質なシステムを納品することは自社・お客様双方の不利益を招いてしまいます。

したがって、「QCDでは費用や納期よりも重要視すべきことは品質である」と定めています。品質基準をクリアすることは追加費用の発生や大幅な納期遅延を防ぐという役割も果たしています。

QCDの概念は優れたモノで、今では製造業やIT産業のみでなく、建設業界などにも普及しています。それが「QCDS」などといった派生語です。

QCDの派生語「QCDS、QCDSE」とは?

QCDSのSはSafety(安全)を指します。主に建築施工業界で使われている言葉で、ここにEnvironment(環境)を追加した「QCDSE」という言葉も使われています。

IT産業との違いとして、建築作業中は作業員の安全確保や天候などの環境にも気をつけて作業を進める必要があるのでQCDSEといった派生語が誕生しました。

品質が最優先という考え方は建築成功業界においても一般的ですが、一方で「安全」と「環境」が最優先されるべきという考え方もあります。品質を保つためには現場の安全と環境が保証された状態でなければ成り立たない、という考え方です。

次は「QCDSM」「QCDF」について見ていきましょう。

QCDの派生語「QCDSM、QCDF」とは?

QCDにFlexibility(柔軟性)を加えたのがQCDFです。製造業サービス業で使われる指標です。製品の移り変わりが激しい現代のビジネス環境に適応するため、状況に応じて柔軟に対応するという視点から取り入れられたのがQCDFです。

もちろんQCDFもトレードオフの関係が成り立ちます。製品開発を柔軟に対応しようとすると、品質の低下やコストの増加といった悪影響も発生します。QCDFのバランスを上手くとるのが、マネージャーの腕の見せどころです。

QCDにSafety(安全)Moral(やる気)を付け加えたのがQCDSMです。QCDSMは経営管理の手法として使われる機会が多いです。

まとめると、プロジェクトマネージャーは、QCDには二律背反の性質があることを理解し、適切にプロジェクト運営、組織運営を成功に導く必要があります。それでは、QCDは具体的にどのように使うべきでしょうか。システム開発を例に挙げて考えてみましょう。

QCDの基本「品質・価格・納期」を正しく理解しよう

QCDとは?QC七つ道具やQCDS、QCDSEなどを網羅的に解説

QCDでは「品質」がいちばん大切であることは説明しました。しかし、実際のシステム開発現場では品質を落とさずに短納期が求められたり、お値段据え置きで品質アップが求められたりします。

そのような事態に陥ったとき、どのように対処すべきでしょうか。QCDの理論がわかっていても、実際に使えなければ絵に描いた餅です。実践的なQCDの使い方についても解説していきます。

基本的な考え方として、お客様の要求を丸呑みしているだけではプロジェクトは成功しません。相手の要望に答えつつも、粘り強く交渉し続けることが大切です。

Quality(品質)は最優先事項

たまに「値段が安ければなんでもよい」といった発言をするクライアント様もいますが、言葉どおりに捉えるのは危険です。何度も書きますが、QCDでいちばん大切なのは「品質」です。

よくある失敗例として、価格をひたすらに抑えて納品した結果、使いものにならずに終わるというケースです。追加修正で費用回収できればよい方で、最悪失敗の費用補填をするトラブルにも発展します。

品質を軽視する傾向があるお客様に対しては、品質の低下は多くの不利益が発生するリスクがあると説明しましょう。品質軽視は納期の延期、コストの増大を招きます。それはお互いにとって不幸なことであると説明すれば、納得していただきやすいでしょう。

Cost(価格)の抑え方とは?

システム開発において価格が上昇する原因は「追加・修正依頼」です。プロジェクトの初期段階でお客様へのヒアリングが十分実施されていないことが主な発生原因です。

お客様の求めていたものを把握しきれておらず、開発途中で機能の追加・修正に対応しているようではコストが上昇します。最悪の場合、ほぼ最初から作り直しといったケースもあります。

「お客様の悩みを解決」するためにシステム開発は行われます。プロジェクト計画初期の段階でお客様と認識の共有を徹底し、要件定義を綿密にすればコストの上昇を抑えることが可能です。

Delivery(納期)の落としどころとは?

納期設定はとても難しい問題です。システム開発において単純に作業員を増やせば納期が短くなるというのは幻想に過ぎません。建築現場では作業員を増員すれば一日あたりの作業量も増加します。しかし、システム開発においては作業員のスキルによって生産性が大きく変わります。

例えば、平均的な能力のエンジニアが一日で終わる作業があるとします。高スキル人材にとっては1時間程度でその仕事を終わらせることができます。一方で、初心者はその作業を終わらせるのに1週間以上かかるケースも珍しくありません。

建築現場ではスキルの劣る作業員でも、単純に人手が増えることは1日あたり作業量の向上に繋がります。しかし、システム開発ではスキルの劣る作業員のフォローにコストがかかり、1人で作業すれば1日で終わる仕事が2人で作業することによって3日かかるといったケースが発生します。

納期短縮のためにプロジェクトメンバーを増員する場合、事前のスキルチェックを実施しないと「増員しないほうが早く安くシステム開発できた」という事態になりかねないことを覚えておきましょう。

また、プロジェクトによっては厳しい納期を求められますが、そのときはQCDの考え方どおり、品質維持のためコストが増加すると交渉していきましょう。「納期を最優先すると品質・コストが悪い方に変化してしまう」と最終成果物への認識を事前に共有しておくと、うまく話がまとまりやすいです。

QCDとPMBOK、QC七つ道具の使い方

QCDとPMBOK、QC七つ道具の使い方

プロジェクトマネージメントの考え方はQCDだけではありません。QCDはあくまで「目的を達成する」ためのツールであり「どうやって達成するか」というプロセスの部分が無視されています。

このプロセスに焦点を当てたものが「PMBOK」「QC七つ道具」です。具体的には「品質を維持・向上するにはどうするべきか」という疑問を解決するための思考のフレームワークです。

主に製造業で使われる手法ですが、システム開発にも十分応用できます。QCDと合わせた効果的な使い方を見ていきましょう。

PMBOKとは?QCDとの違いについて

PMBOKとはアメリカの非営利団体が作成したもので「Project Management Of Knowledge」の頭文字を取ったものです。プロジェクトマネージメントのノウハウをまとめた知識集で、「10の知識エリア」「5つのプロセス」という構成になっています。

QCDで具体的な「目標」を設定した後にPMBOKを使って「目的を達成するためにはどうすればよいか」考えていきましょう。QCDとPMBOKは相互補完の関係にあります。

PMBOKのデメリットとして、プロジェクトごとにメンバーの共通認識が違う、想定外の結果が出たときの対処案がない、ということが挙げられます。そこで活躍するのが次に紹介する「QC七つ道具」です。

QC七つ道具は「品質を改善する」手法です

QC七つ道具は「問題の発見」「問題の原因の把握」「問題が解決したかの確認法」を明確にするフレームワークです。PMBOKで上手くいかないことがあった場合、必ず「原因」があります。

QC七つ道具は言葉のとおり、「パレート図」「特性要因図」「グラフ(管理図を含む)」「チェックシート」「ヒストグラム」「散布図」「層別」の七つに分類されます。

QC七つ道具を使うことによって、想定外が発生する原因分析からトラブル対策実施後に効果がでているかチェックすることができます。QCD、PMBOK、QC七つ道具はセットで使うと効果的です。

QCDは手法。最終目標を設定しよう

ここまで理解できたからといって、もうプロジェクトマネージメントは完璧と安心するのはまだ早いです。なぜならQCDは「目標が曖昧なもの」に対しては役に立たないからです。

プロジェクトの初期段階は、お客様自身も最終的にどういう形にしたいのか、どういう問題を解決したいのかハッキリしていないケースが多いです。そのときにQCDを持ち出しても役に立ちません。

プロジェクトマネージメントの肝は「目標の明確化」です。ゴールがはっきりしていないプロジェクトは終わりのないマラソンと同じです。メンバーは疲弊し、モチベーションも上がりません。必ず最終目標を明確に設定してあげましょう。

QCDは理解するだけでは意味がない

プロジェクトマネージメントに関わる方は、この記事で紹介したことをぜひ実践してみてください。

文字を読んで理解することと、実際に使ってみるのはまったく違います。プロジェクトマネージメントには高いコミュニケーション能力が要求されます。伝え方の違いで結果が大きく変わることもあります。

ノウハウコレクターにならず、さっそく今からQCDを使って普段の業務改善について考えてみましょう。

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記事の監修
中村 知成(ikikko)

ソフトウェアエンジニアとしてBacklogの開発・運用両面を担当。
並行して「共に働く人たちが、より輝けるように」という思いのもと、CI/CDや環境整備に対する取り組みも行う。2016年頃に知人のアジャイルコーチの活動に触れたことによって、技術的なプラクティスだけではないチーム作りや改善活動の重要性や難しさ・楽しさを実感し、以後アジャイルへの興味とそれを突き詰める活動を始める。
現在は、Backlogチームの開発マネージャーをしつつ、社内の各チームへの支援活動を通じて、ヌーラボのサービス開発を影から支えている。
著書に「現場のインフラ屋が教える インフラエンジニアになるための教科書」(ソシム) 等がある。


記事の作成
Backlog編集部


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