チームで同じ景色を見続けるために知っておきたい2つのこと

アジャイルライダーの長沢です。チームビルディングを成功させ、チームのパフォーマンスを高めるためには「チームで同じ景色を見続けている」ことが何よりも重要です。

本稿では、チームのパフォーマンスや成果物の質を高めるための手段として「チームで同じ景色を見続ける」ための2つのヒントと注意点について考察します。

チームで同じ景色を見ているか?

あなたのチームは、同じ景色を見ていますか?自分のチームが同じ景色を見ているかは即座に答えるのは難しいかもしれません。以下の2つのチェックリストを使って、自分のチームを簡単に診断してみましょう。

チームで同じ景色を見ているかチェックする6つの項目

同じ景色を見ているチームには特長があります。以下の6つの項目を踏まえて、自分のチームが同じ景色を見ているのか、客観的にチェックしてみましょう。

 チェック1  主語が「私たち」
 チェック2  共通の目的をもつ
 チェック3 チーム独自のやり方を共有している
 チェック4 チームとして自己完結している
 チェック5 統制より自律
 チェック6  集合知を重視

あなたのチームはいくつ当てはまりましたか?

チームで同じ景色を見るために必要な5つの環境づくり

チームで同じ景色を見るためには、環境を整えることも重要です。環境を整えるためのポイントには以下の5つが挙げられます。

 チェック1  同じ景色を見られるようにする
 チェック2  目的を定める
 チェック3 目的への道を描く
 チェック4 お互いの強みと弱みを知る
 チェック5 当たり前なことを愚直に見つめ直す

以上の「同じ景色を見ているチームか?」「同じ景色を見るために必要な環境」については、以下の記事でも以前解説しています。

この2つの記事で書いたことを実行することで「チームで活動できる」と考えています。チームになるというのは、同じ景色を見ていることと同等です。

同じ景色を見ていれば、合意形成がしやすくなり、自発的な意思決定もできます。個々人で意思決定ができるチームであれば、問題が生じた時や変化が必要な時に、可能な限り迅速に対処できるようになります。

本記事では、この2つの記事の裏テーマとして強調したかった「チームになるには時間がかかる」ということ、「チームは簡単に壊れる」ということを考察します。さっそくそれぞれ2つを見ていきましょう。

チームになるには時間がかかる

「今日からあなたたちは〇〇プロジェクトを担当するチームです。はりきってどうぞ!」

と急に言われたところで、チームとしていきなりパフォーマンスは出せないことが多いはずです。

そんなことができるならば、サッカーの日本代表などは招集されたら練習しなくても成果を出せることになります。業務においても同様で、急にチームとして相互理解して、共通言語で話しができて、同じ景色を見るなんてできません。

つまり、チームになるにはそれなりに時間がかかるのです。その時間が取れないうちにチームとして成果を出せと言われても難しいと言わざるを得ません。そのために以上で紹介した「環境を整えるための5つのポイント」をぜひ読み返してください。

■ 組織的な要因でチームを作れない場合はどうするべき?

もしあなたにチームになる猶予すら与えられないならば、いっそのことチームになることを諦めて、グループとして統制できるリーダーの元で個別にパフォーマンスを発揮する方がよいかもしれません。

ただしそれが有効かどうかはプロジェクトの特性によります。その辺りについては、あなたの組織はどっち?〜統制型と自律型を解説〜 も参考にしてみてください。

チームは簡単に壊れる

チームとして活動できるようになったとして、チームはとても壊れやすいものです。まず外的要因(”外敵”)にとても弱いです。

チームにはある程度の裁量権を与えることが大切になりますが、チーム活動を十分に理解できていない利害関係者(特に決裁権を持つ人)によって容易に解体されてしまう可能性があります。

■ チームの予実管理は説得材料になるのか?

チームでの活動は、他のチームやチーム外には示しにくいものや理解が難しいものがあります。

例えば、チームが相対的な見積もりとベロシティで計画と計測をしていたとします。ここでは、チームの活動がある程度数値化されています。この数値は、チーム内では意味があるものですが、他のチームやチームの外にいる人に示す絶対的な数値ではありません。

相対的な数値はあくまでそのチーム内での過去の実績との比較による数値なのでチームが異なれば数値の信憑性はなくなります。また共通して使える単位でもないため、例えば何人月と換算することも難しいです。

以上のことから、チーム外のメンバーにとっては、その数値の意図が分からないわけですから、外部の人にとって価値のある数値を要求されることがあります。

■ 外部のメンバーから理解を得るには?

この例だと、見積もりも計測も「価値として外部(ユーザーや出資者)に提供するための中間生成物*」に過ぎません。

それすらも外部に理解を得るために用意しなければならない、チームには必要以上の負担を強いることになるわけです。

*ここで言っている「中間成果物」というのは、届けたい価値が動くソフトウェアであったり、ユーザーが使える状態であったりします。そこに至るまでに出てくる成果物は最終的なものではないので、中間に存在するだけの成果物だということです。

中間成果物自体の存在は否定しませんが、中間成果物はチームごとに依存しても良いはずです。言い換えれば、チームでやりやすい方法があれば、無理に中間成果物を標準化などで規定しない方が良いかもしれません。

■ 外的要因から生まれたてのチームを守るには?

チームが同じ景色を見続けるには、チームの裁量を認めてもらい、その責任をチームが追うか、チームが見ている同じ景色を関係者まで拡張するかです。どちらの方法もそんなに簡単ではありませんが、検討する価値は十分にあります。

そうでないと、チームはあっさり解体されてしまったり、チームでの活動を休止して統制されたグループになってしまったりします。チームがチームとして最大限を追求すればするほど、外敵に弱くなると、個人の経験では感じています。

まとめ

チームで同じ景色を見続けることは、成果物やパフォーマンスに影響するためとても重要です。

とはいえ、チームは1日にして完成するものではなく、内部・外的のちょっとした要因で簡単に壊れてしまったり、少しずつ壊れていったりするものです。

日々の活動の中で、こうした“壊れる前兆”を感じ取りすばやく修正することは大切ですが、見落としもあります。

次回は、チームで同じ景色を見続けることを助長する存在として、プロジェクト管理ツールに頼ってみるひとつの方法をお伝えします。

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