ヌーラボのアジャイル☆ライダーの長沢です。今回から数回にわけて、新しいツールやプラクティスを導入するときに陥りやすいポイントを考察していきます。
本記事では、新しい取り組みをするときに気をつけたい、パフォーマンスやモチベーションの波についてご紹介します。
目次
新たな取り組みに潜む幻想
業務における新たな取り組みとはどんなことでしょうか。大別すると以下になります。
- 今までやってなかったことをする
- 今までのやり方を別の方法に置き換える
「今までやっていなかったこと」とは、例えば、不具合管理をしていなかったのでバグトラッキングシステムを導入して実施する、モブプログラミングをはじめて実施してみる、などが挙げられます。
「今までのやり方を別の方法に置き換える」とは、例えば、今までExcelで管理していたプロジェクトのタスクをBacklogで管理するとか、ふりかえりの方法をKPTからYWTにしてみるとかですね。また、今までやっていたことをやめることもあるでしょう。
その取り組みはみんなが望んでいるものか
さて、どちらの場合にせよ、新たな取り組みをする以上は、現状よりも良くなるという前提で考えることになります。
悪くなることがわかっているのに実行するということは、余程の政治的な理由がない限りはないですね。
このときに「良くなると思っているのが関係者全員なのかどうか」を慎重かつ、冷静に検証しておきたいところです。
このプロセスを無視すると以下のようなネガティブな要素が生まれる可能性があります。
- 良いと思っているのはあなただけだった
- 良いと思っているのがあなたと数人で過半数にも満たなかった
- 現場は良いと思っているが、マネージャの理解を得られていなかった
新たな取り組みはうまくいかない
新たな取り組みをすると最初はだいたいうまくいきません。……という表現は、誤解を招きますが、取り組み前と比べると一旦はパフォーマンスが落ちることがよく見受けられます。
なぜなら、どんなによい取り組みであっても、そのやり方を習得する時間が必要になるからです。
例えば、ツールを導入するならば、そのツールを覚える時間、使い方を共通化する時間と試行錯誤がどうしても必要になります。プラクティスの導入ならば、手に馴染むまでより時間を要するかもしれません。
したがって、今までよりもよいパフォーマンスが得られる取り組みであっても一時的にはパフォーマンスが落ちているように感じることはよくあります。
これを「新たな取り組みのせいでパフォーマンスが落ちた」という表現は適切ではなく、「新たな取り組みによってパフォーマンスが上がるのにはある程度の時間を要する」が適切です。
一時的なパフォーマンスの低下は織り込み済みであり、それを経て評価するべきパフォーマンスが見込めるようになるというのが正しいアプローチとなります。
まず気をつけるべきはモチベーション
新たな取り組みをする際には、期待感もあり、取り組みをスタートする前がもっともモチベーションがあがっているものです。
そこで実際に取り組んでみたらパフォーマンスが一時的に低下したように見えると、モチベーションは一気に下がります。
非協力者や非理解者にとっては「ほら、やっぱりうまくいかないではないか」と評価されてしまいかねませんので、なおさらモチベーションは低下する一方になるかもしれません。
このモチベーションのコントロールが難しく、本来の評価すべきパフォーマンスが見込める段階まで行かずに力尽きてしまい、元のやり方に戻ってしまうことがよくあります。
まとめ
新たな取り組みを行うとそのやり方をキャッチアップする分パフォーマンスが落ちたように感じることがあります。
それを折り込み済みのものとして捉えることができるかで新たな取り組みが継続できるかが左右されることがあります。
適切な評価が行える前の段階でのパフォーマンスが落ちたように感じることは起こり得ることだと認識しておきましょう。
次回では、パフォーマンスやモチベーションをコントロールするための方法を考察していきます。
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