「伝えたはず」をなくす!Backlogで実践する属人化・情報分散の解消術|JBUGイベントレポート

2026年6月26日(金)、JBUG福岡#22「『伝えたはず』をなくす!Backlogで実践する属人化・情報分散の解消術」が開催されました。

今回は、Backlog AIアシスタントを活用した情報整理の工夫や、Backlog導入によって社内に起きた変化、複数ツールが飛び交う現場でのコミュニケーション設計など、Backlog活用にまつわる知見が幅広く共有されました。

新サービスの紹介やグループワークも交え、盛りだくさんの内容でお届けしました。
※掲載内容はすべてイベント開催当日時点の情報です。

情報を集める時間をチームを進める時間へ

ご登壇者紹介

株式会社ヌーラボ プロモーション部
原田泰裕

最初のセッションでは、ヌーラボの原田が登壇し、Backlog AIアシスタントを使うことでチームの情報活用がどう変わるかについてお話ししました。

チームでAI活用が進まない理由

ヌーラボが2026年2月に実施した調査では、一般職の68.2%が生成AIによるチーム活用のアイデアについて「特になし・わからない」と回答しています。個人利用では作業効率の向上を実感している人が45.8%いる一方、チームでの生産性向上を実感している人は26.9%にとどまりました。

この差が生まれる理由は、AIがチームで共有された文脈を知らないためだといいます。個人利用では自分の頭の中に文脈があるためプロンプトを補いやすい一方、チームで使う場合は文脈がメンバーそれぞれに分散しており、AIには誰の前提も判断も伝わっていない状態になっているとのことでした。

Backlogに残る文脈がAI活用のカギ

では、その文脈はどこにあるのか。課題やコメント、進捗、議事録としてBacklogに蓄積された業務データこそが、チームの文脈そのものだといいます。Backlogに情報が残っていれば「あの人しか知らない」という状態がなくなり、属人化を防ぐ土台にもなります。

実際の活用例として、議事録のドキュメントURLをBacklog AIアシスタントに渡すだけで、タスクの抽出から課題テンプレートに沿った登録案の作成までを任せているという紹介がありました。最終的な登録は必ず人が確認する形にすることで、安心して活用できるとのことです。

1on1準備や見えにくい貢献の可視化にも

もう一つの活用例として紹介されたのが、メンバーとの1on1前の準備です。完了した課題数だけでなく、コメントやレビュー、リスクの事前共有といった見えにくい貢献もAIに拾ってもらうことで、マネージャー自身の見落としや属人化を防げるといいます。

事実と推測を分けて出力させる、評価を断定しないといった、プロンプトの工夫についても紹介がありました。最後に、Backlogに業務のナレッジデータをためていくことがAI活用の土台になるという呼びかけで、セッションが締めくくられました。

Backlogで見える化したら情報共有のその先が見えてきた話

ご登壇者紹介

ホライズンテクノロジー株式会社
望月 眞喜 様

続いて、ホライズンテクノロジー株式会社の望月眞喜様にご登壇いただき、Backlog導入から2年間で社内に起きた変化についてお話しいただきました。

情報が散在していた導入前の状況

望月様が入社した2年前、社内では情報共有の基盤となるツールがなく、スプレッドシートやGoogleドライブ、Slack、口頭でのやり取りに情報が散在していたといいます。管理場所がバラバラで最新情報が分かりにくく、オンボーディングにも多くの労力が必要でした。プロジェクトごとにやり方も異なっていたため、高い情報探索コストと属人化が課題となり、入社直後はプロジェクトへの合流に苦労したと振り返りました。

定着のために取り組んだ3つのこと

Backlog導入後、定着に向けて次の3つに取り組んだといいます。

① Wikiへのプロジェクト情報の整備
② 良い課題の書き方の共有
③ プロジェクト横断での知見のドキュメント化

プロジェクト開始時にはまずBacklogを整理する習慣をつけ、開発ルールやコミュニケーションガイドラインなどをドキュメントとしてまとめることで、毎回同じ説明を繰り返す手間も減らせたそうです。

情報共有の先にあった組織文化の変化

こうした取り組みの結果、プロジェクト内での共通認識が生まれ、オンボーディングもしやすくなりました。それだけでなく、成果物だけでなく調査や意思決定の過程が可視化されたことで具体的な称賛がしやすくなり、個人の知見が他プロジェクトへ展開されるようになったといいます。

あるジュニアエンジニアの事例では、実装方針をBacklog上で整理してからレビュー、実装に進む流れを徹底したことで手戻りが大きく減り、設計の観点も身についたそうです。望月様は、Backlogが単なる情報共有の効率化ではなく「組織文化を変えるインフラになりつつある」と締めくくりました。

▼登壇資料はこちら(bラボ掲載)
https://backlog-community-lab.backlog.com/chats/mzv7maaacvtxp0j5

Backlog×複数ツールのコミュニケーション設計「伝えたはず」を「伝わる」に変える実践TIPS

ご登壇者紹介

株式会社ビーワークス
徳田 祥吾 様

3セッション目には、株式会社ビーワークスの徳田祥吾様が登壇し、複数ツールが飛び交う受託制作の現場で実践しているコミュニケーション設計について紹介いただきました。

通知に追われる日々からの気づき

徳田様は、Backlogをはじめ、Slackやメール、Excel、AIエージェントなど日々多くのツールを使う中で、通知を追いきれず疲弊してしまう状況があると語りました。直近対応した案件ではBacklogの課題起票数が170件にのぼり、営業として扱う商談関連のチケットも1300件を超えているそうです。常に通知をおやすみモードにしているという実体験を交えながら、情報の受け取り方そのものを見直す必要性を伝えました。

コミュニケーションの3つの心構え

徳田様は、次の3つを心構えとして挙げました。

① 同期と非同期のコミュニケーションを使い分けること
② 情報格差を意識した翻訳家になること
③ 情報の循環をつくり、決まった流れのコースを作らないこと

専門的な内容を例え話に変換して伝えたり、結論だけでなく背景まで補足して水掛け論を防いだりする工夫のほか、どのツールから情報を探し始めても最終的に同じドキュメントへたどり着けるよう動線を張り巡らせることの重要性が説明されました。

明日から使える5つの実践TIPS

心構えを実践するTIPSとして、次の5つが紹介されました。

① ツール間の情報転記を徹底すること
② Backlogの通知をSlackに集約すること
③ メンションはむやみに増やさず、「答えてほしい人」と「見ておいてほしい人」を分けること
④ Backlogの課題テンプレートなどで情報に型を作ること
⑤ ルールは守られないものと考え、自らバックログスイーパーとして情報を整えること

徳田様は「どう伝えるかを意識できる人に信用は集まる」という言葉でセッションを締めくくりました。

質疑応答

参加者からは、情報の循環をつくるとかえって議論が分散してしまわないかという質問が挙がりました。徳田様は、最終的な結論は一つのドキュメントにまとめた上で、SlackやBacklog、Excelなど複数の入り口からそのドキュメントへたどり着けるようにしていると回答しました。また、情報整理をどこまで徹底しているのかという質問には、プロジェクトメンバーの中で情報整理役を明確に決め、毎日の朝会や情報整理の時間を仕組みとして設けることでモチベーションを保っていると答えました。

▼登壇資料はこちら(bラボ掲載)
https://backlog-community-lab.backlog.com/chats/dbuaazinwlkc3ttb

新サービス「Nulab Flowbase」紹介セッション

最後に、ヌーラボの鶴田より、新サービス「Nulab Flowbase」の紹介がありました。

AIと一緒にワークフローを作る新サービス

Nulab Flowbaseは、Backlogと連携しながら定型業務を自動化するワークフロー作成サービスです。AIとの対話形式でワークフローを組み立てられるため、ゼロから作るよりも手軽に着手できるといいます。

定期的なスケジュールで課題を自動登録する機能や、1つの課題で複数人に通知するのではなく一人ひとりに個別の課題を自動生成する機能などが紹介され、属人化の解消や進行役の負担軽減につながる事例が共有されました。

現在はプレミアムプランとプラチナプランで無償提供中で、ユーザーからのフィードバックを募りながら開発を進めていく方針が語られました。

グループワーク「あの人に聞かないとわからない」をなくす

後半は「『あの人に聞かないとわからない』をなくす、明日からできる最初のステップ」と題したグループワークが行われました。

参加者は近くの席同士でグループを作り、まずは自分の身の回りで「あの人がいないと進行が不透明になる業務や情報」を一つずつ共有するところからスタートしました。

イレギュラー対応のルールが特定の人の頭の中にしかない、更新作業のやり方を一人しか知らないといった、日々の業務に潜む属人化の事例が各グループで挙がりました。

参加者の声

日頃の困っていることなど色々なこと共有できてよかったです

イベントでは他の参加者と話せずに終わることが多いのですが、今回はグループワークがきっかけで交流できてよかったです。

初参加でしたが、プロジェクト管理についてざっくばらんに話せて楽しかったです。とても良い雰囲気で交流できて、運営の皆さんにも感謝しています。

ユーザー会を終えて

今回のJBUG福岡#22では、Backlogに蓄積された情報がAI活用の土台になるという話から、Backlog導入によって組織文化そのものが変わっていった事例、そして複数ツールが行き交う現場で「伝わる」コミュニケーションを設計する工夫まで、情報を「残すこと」と「伝わること」の両面からBacklog活用のヒントが語られました。

ご登壇いただいたBacklogユーザーの皆様、貴重なお話をありがとうございました。

JBUGでは今後も全国各地でBacklogユーザーの知見を共有するイベントを開催してまいります。ぜひ次回もご参加ください。

チームで使えるプロジェクト・タスク管理ツールならBacklog