こんにちは。Backlogアンバサダーの鍋島です。
業務を楽しく効率的にしたいという思いをもって、Backlogのトライアルや導入に取り組んでいる方は多いと思います。しかし現実には、チームへの定着や業務への採用が思うように進まないことも多いのではないでしょうか。
本記事では、Backlogを組織に根付かせたい担当者の皆様に向けて、定着に役立つ考え方をご紹介します。
目次
ステップ1 まずは自分のチームから小さく始める
Backlogを利用開始したら、まず自分のチームで小さく始めることからスタートしましょう。まずはメンバーと、身の周りの小さな仕事の管理を始めたり、タスク管理の練習をしてみましょう。
具体的には…
- 練習用のプロジェクトで、自己紹介、プロフィール設定といった簡単なタスクをこなす
- 社内行事、ミートアップなどイベントのタスクを管理する
- オフィスやチームの雑用などのこまごまとしたタスクを管理する
- エンジニアなら、技術調査や小さな内製ツールの開発などに使ってみる
小さなタスク管理から始めるべき理由は、まず周りのメンバーがBacklogを気に入ってくれるかどうか探るためです。
良さを実感してもらえれば、長く使い続けてもらえますし、より様々な業務にBacklogを使ってみたいと思うでしょう。また、簡単な作業を通して、今後Backlogを使う上での経験知をチームに蓄積することができます。
そして新しいやり方には、だれしも一定の抵抗感を感じるものです。心理的な抵抗感を減らすための良い方法は、まずは簡単な作業で手を動かしてもらうことです。小さなタスク管理は、そのための第一歩としてぴったりです。
ステップ2 自分のチームの業務に本格導入する
小さなタスク管理を続けた結果、メンバーの多くがBacklogが気に入って、自分たちの業務改善に役立ちそうと感じてくれたら、いよいよBacklogをチームの業務に本格導入しましょう。その段階が来たらするべきことを以下のポイントにまとめています。
Backlogの運用をデザインする
- 種別・カテゴリ・マイルストーンを設定して、Backlogの課題を整理する
- 課題の管理のフロー、状態の定義などのルールを決める
Backlogはチームで使うタスク管理ツールです。
チームの抱えているタスクの状況をクリアにして、管理しやすい状態を維持するためには、みんなで使う決まり事、つまり運用ルールを、誰もが見える形で明文化しておくことが重要です。
長い文章や難しい文章は必要ありません。まずは、上記のようなポイントについて、最低限の箇条書きにまとめるだけでも大きな効果があります。
計測しながら改善する
- 定量的 KGI/KPI改善に貢献したか?時間を効率化したか?
- 定性的 使っていて辛いか、楽しいか?辛いとしたらどこが?
定期的に振り返りをして、うまくいっている点や改めるべき点を見つけましょう。
そして、それらを業務の進め方やBacklogの運用ルールにフィードバックしましょう。
そうすることでチームがBacklogにさらに習熟し、業務がますます生産的になっていくでしょう。またもし思ったような結果が出ていないとしたら、問題点がどこにあるのかを探ることができます。
注意すべき点が二つあります。
まず、いきなり全部の業務をBacklogに置き換えたり、今までのやり方を全部変えるのは避けましょう。ステップ1と同様に、まずは「小さく」が鉄則です。つまり、小さな失敗で学び、小さな成功を積み重ねて自信と知恵を身に着けるのが大事です。
もう一つは、新しい取り組みは、最初のうちは必ずパフォーマンスが落ちるという事実です。そのことを意識して振り返りにのぞまなければ、思わぬ挫折感やチームの期待とのズレに苦しむことになるかもしれません。
参考記事:
新しい取り組みをするときに知っておきたい「落とし穴」とは
ステップ3 Backlogを他のチームに普及させる
Backlogが自分のチームに定着し、様々な業務を効率化したり、楽しく仕事を進めていけるようになれば、他のチームもその成果に関心を持つようになるでしょう。
Backlogを他のチームに広める、ひいては組織の中に良いやり方を普及するチャンスです。
そこで他のチームに、あなたのチームがBacklogを通して得たことを、良かった点も悪かった点も含めてまとめてみましょう。これらの資料は他のチームが、新しい業務の進め方を検討するきっかけになります。また、同じ課題を抱えたチームにとっては、あなたのチームの成し遂げたことは大きな助けになります。
資料にして共有する
- Backlogを使って変化したこと、良かった点をまとめる
- Backlogをどのように使っているか、使い方と運用ルールをまとめる
資料にまとめることで、社内会議でチームの取り組みの報告を求められた時に、素早く共有することができます。
また社内のメーリングリストやグループウェアで共有することもできます。同僚や上司にアピールするチャンスを逃さず活用しましょう。
さらに積極的な変化を起こすために有効なのが、同じ課題を持つ人同士で集まって、成果の共有やディスカッション、関連するテーマの学びを深める社内勉強会を開くことです。
シンプルに自分たちのチームが得た知見を共有したり、共通の悩みについて話し合うだけでも構いません。また、社外の資料や勉強会で得た知見を共有するのも良いでしょう。
例えば、Backlog使うユーザー同士で、プロジェクト管理について学びを深めるBacklogユーザーグループ(JBUG)というコミュニティもあります。また、ヌーラボはBacklogブログを通して、プロジェクト管理やBacklogの使い方に役立つ記事を提供しています。これらのリソースも勉強会の素材として有効です。
参考記事:
社内にエンジニア勉強会の文化が芽吹くまでの1年間の振り返りとノウハウ公開バラバラの同僚を社内勉強会でつなげよう
※エンジニア勉強会と銘打っていますが、IT技術者に限らず幅広い組織に役立つ内容です。
やらない方がいいこと
最後に、Backlogを定着させるために「やるべきではない」ことをお伝えします。
- すべてをいきなり刷新しようとすること
- 最初からドラマチックな成果を期待すること
- 変化を諦めてしまうこと
私たち人間は、理想の未来像や遠大な構想を抱いてしまいがちですが、現実と想定は必ず食い違うものです。そして変化には想像以上の労力や抵抗が伴います。
計画が大きくなればなるほど、現実との齟齬が生じたときのリスクや、手戻りのコストが大きくなります。また思い描いていたような華々しい成果が得られず、周囲をがっかりさせてしまったり、挫折感を抱くこともあるかもしれません。
新しい取り組みを始めるときのコツは、小さく始めて、小さく失敗し、小さな成功を積み重ねることです。残念ながら即効性のある特効薬のような施策はありませんが、小さな一歩を着実に進めていきましょう。
参考記事:
新しい取り組みは大きな計画でなく「小さな計画」で考えよう
まとめ
いかがでしょうか。
Backlogに限らず、新しい取り組みを始め定着させるには、劇的なブレークスルーに期待するのではなく、段階を追って少しずつ物事を進めていく必要があります。
本記事でお勧めした方法は一つのやり方に過ぎず、実際には、それぞれのチームや組織ごとに独自の作戦が必要になるかもしれません。で
すが、コツはあくまで「小さく失敗し、小さく成功する」ことです。
本記事でお伝えした考え方が、皆様の参考になれば幸いです。
本記事の執筆に当たっては、完全に準拠しているわけではありませんが、FEARLESS CHANGEという書籍の考え方を参考にしています。また記事でもいくつかご紹介しましたが、ヌーラボ・アジャイルライダーの長沢智治さんが、新しいツールやプラクティスを導入するときに気を付けるべきポイントについて記事を書かれています。より緻密に導入計画を立てたい、もっと詳しい考え方を知りたい方は、ぜひご一読ください。
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