「この製品、前回はどの材料を使ったんだっけ」
「あのとき手戻りが出た原因、どこかにメモしていたはずなんだけど……」
製造業の現場では、同じ製品を繰り返しつくるリピート案件や、毎月決まって発生する定常業務が少なくありません。一度やったはずの仕事なのに、そのたびに情報をゼロから探し直す。あるいは、当時の担当者に聞かないと分からない。そんな場面はないでしょうか。
こうした「前回どうしたか」は、たいてい管理表にもファイルにも残っていません。いまの管理表は、結果を記録する場所ではあっても、判断の経緯まで受け止める作りにはなっていないからです。
「そろそろ、記録のしかたごと見直したい」――そう感じている方に向けて、この記事ではツールとデータの移行についてお伝えします。
目次
エクセル管理で起きる「最新版はどれ?」問題
エクセルの案件管理表は手軽で便利ですが、チームで共有するといくつかの問題が発生しがちです。
ひとつは、ファイル管理の煩雑さです。メールに添付して共有し、それぞれが手元で開いて書き込む。気づけばフォルダには「工程表_最新」「工程表_最新_修正版」「工程表_0612_確認済」が並び、どれが本当の最新なのか分からなくなります。誰かが古いファイルを上書きすれば、直したはずの内容が元に戻ってしまうことも起こりかねません。
さらに、共有フォルダ上のファイルは誰かが開いている間は書き込めませんし、更新したことを別途連絡しなければ伝わりません。個人で使う分には十分でも、前工程から後工程へと人の手を渡っていく仕事を支えるには、どうしても無理が出てきます。
クラウドツールなら、最新情報をチームで共有できる
この問題の解決策として、クラウドツールの導入を検討される方も多いのではないでしょうか。情報の置き場所をクラウド上の1か所に決めておけば、誰かが更新した内容はその場で反映され、常に最新の情報が見られます。
誰がいつ何を更新したのかも記録に残るため、「言った・言わない」の確認に時間を使うこともありません。事務所からでも現場からでも、同じものを見られます。
とはいえ、ここで手が止まる方が多いのも事実です。「うちのメンバーが新しいツールに慣れられるのか」、そして「いまの管理表のデータをどう移すのか」。この2つの不安について、順にお答えします。
さまざまな職種のメンバーが使いやすいツールを選ぶ
クラウドツールとひとことで言っても、カスタマイズ性が高いものはITツールに慣れていない人にハードルの高さを感じさせてしまいます。そこで、エンジニアからバックオフィスまでさまざまな職種の方になじみやすい、プロジェクト・タスク管理ツール「Backlog」がおすすめです。シンプルな見た目で、分厚い説明書を読み込まなくても、登録・更新・コメントといった基本の操作を迷わず行えます。
たとえば、自分のタスクを登録すれば、自動でガントチャートに反映されて視覚的にスケジュールが確認できます。また、カンバンボードでは案件のカードを「未対応」から「処理中」へドラッグするだけで、「状態」の変更が可能。付箋を貼り替える感覚に近く、ホワイトボードで進捗を管理してきたチームほど抵抗なく入っていけるでしょう。スマートフォンのアプリもあるので、現場から写真を添えた報告もできます。
データの移行も、CSV一括登録機能を使えば難しくない
もうひとつ不安なのは、「いまの管理表のデータをどう移すのか」ではないでしょうか。Backlogには「CSV一括登録」機能があるので、1件ずつ手作業で入力しなくても、まとめて登録できます。
手順は3ステップ
- 移行したい項目を決め、いまの管理表からCSVで書き出す
- Backlogのフォーマットに沿って、列の並びを整える
- 課題一覧の「一括登録」からアップロードし、プレビューで確認して登録する
決めておく項目は、最低限で大丈夫
必須は「件名」だけです。あとは、いまの管理表にすでにある列のうち、次に見返したいものを選びましょう。
- 件名:製品名や案件名
- 種別:基本セットに加え、業務に合わせて自由に追加できます(迷ったら、まずは「タスク」でOK)
- 担当者:誰が担当していた案件か
- 期限日:納期や完了予定日
このほか開始日やカテゴリー、マイルストーン、優先度、プロジェクトに合わせてつくったカスタム属性も、同じ表の列として運べます。同じファイルの中であれば、親子の関係も指定できます。
完璧な項目設計をしてから移そうとしないことが大切です。突き詰めるほど着手が遅くなります。足りない項目は後から追加も修正もできるので、まずはやってみましょう。
すべてのデータを移さなくてもOK
移行が大変に感じられる一番の理由は、「何年分もの全案件を移さなければいけない」と考えてしまうことにあります。けれど、実際に見返す案件はそのうちのごく一部のはずです。
移すのは、これからも経緯を知っておきたい案件だけで構いません。たとえば、次のようなものです。
- 繰り返し受注があり、また同じ仕様でつくる可能性が高い製品
- 手戻りや不具合があり、原因と対処を残しておきたい案件
- 担当者しか経緯を知らず、いま引き継ぎが必要な案件
すでに終了していて、今後参照する可能性が低い案件は、既存のツールに置いたままでも構わないでしょう。「全件のデータ移行」ではなく「これから使う情報の選別」と捉え直すと、作業量は一気に現実的になります。
移行するのは、経緯を受け止める「入れ物」
ファイルサーバーに残るのは、図面や仕様書といった「結果」です。それでも「前回どうやったか」が分からなくなるのは、探しているものが結果ではないからです。なぜその材料に変えたのか、どの工程で手戻りが出たのか。この「判断の経緯」だけが、個人の記憶やメールに埋もれています。
Backlogでは、案件を「課題」として登録し、そのやり取りをコメントとして課題に紐づけていきます。連絡や相談を課題の上で交わすだけで、決めた理由や気づいたことが、そのまま時系列で残ります。誰かが記録のために別途まとめる必要はありません。
つまり移行するのは、データそのものというより、これから経緯が積み上がっていく「入れ物」です。次に同じ仕事をする人がたどれる状態は、移した瞬間ではなく、その後の日々のやり取りでできあがっていきます。
まずは1案件から。30日間無料トライアルで試してみよう
最初から全社で切り替える必要はありません。リピートの多い製品をひとつ選び、その案件だけを登録してみてください。1プロジェクト分なら、思っているより短い時間で形になります。
一年後、同じ製品の相談が来たとき。担当が代わっていても、課題を開けば当時の判断が分かる。大がかりな移行計画を立てるより先に、その状態を用意できます。
Backlogは30日間無料でお試しいただけます。まずは管理している案件をひとつ、CSVで登録してみるところから始めてみてください。