世界中のBacklogユーザーのみなさま、こんにちは! コミュニティマネージャーのTanny(タニー)こと、谷山鐘喜(たにやましょうき)です!
今回はBacklogのユーザーコミュニティ、JBUG(ジェイバグ)が開催したBacklogWorldの様子を前編に続き、後編としてレポートします。
BacklogWorldとは「プロジェクトマネジメントに関わる全ての方のための祭典」として開催されるカンファレンスで、各エリアのJBUGリーダー陣が有志で集まって準備を進めます。
コロナ禍を経て4年ぶりにオフラインで開催しました。
今回のブログでは後編として後半部分のセッション内容についてご紹介させて頂きます。
元発電所設計者からみたBacklogについて 北海道ガス株式会社 峠さん
峠さんは北海道ガス社で様々なキャリアを形成してきました。ガス工事の現場監督からハード/ソフトウェアの開発を経て、現在はBacklogを使って、プロジェクトマネジメントを推進する立場です。
峠さんはBacklogをシンプルな機能のサバイバルナイフに例え、「機能美な部分が素敵」と表現しました。
つまり運用ルール(使い方)を整備すればその能力を存分に発揮するので強い味方になる。ということです。
まずBacklogの利用ルールについては以下の2点が前提のようです。
【利用ルールその1】
種別を以下の通りに用意して親課題とします。
- 会議:アジェンダと議事録
- ToDo:何をすればいいか明確なもの
- 成果物:各工程におけるレビュー対象物
- タスク:成果物を修正する内容
- 変更管理:仕様変更に伴う内容の整理
【利用ルールその2】
- 課題ステータスの完了はプロジェクトマネージャーのみ実施
- 会議中のToDoを子課題としてぶら下げる
その上「会議カードの運用」というユニークな使い方をしていました。
- 会議用課題のアジェンダに会議資料のURLを追記します。
- アジェンダの追記や依頼事項があれば事前に記載いただくよう周知します。
- 確認事項は資料のスクリーンショットを課題自体に貼り付けます。
- アジェンダを上からなぞれば、そのまま会議が終了します。
会議資料のURLはありますが、スクリーンショットを貼ることでファイルを開かずにテンポよく会議が進みます。
結果、会議時間が週4時間から1時間になり、大幅に業務改善ができました。
このようにシンプルな使い方でBacklogはツールとしての能力を存分に発揮します。
だから沢山の機能がある「十徳ナイフ」ではなく「サバイバルナイフ」との表現に至ったのです。
DX!あなたのBacklogにAIを実装しよう 株式会社オルターブース 榛葉さん
オルターブース社でフロントエンドエンジニアとマーケターを兼務している榛葉(しんば)さんに、自社で提供しているAzure OpenAI Serviceを使ったBacklog向けAIソリューションのお話しをしていただきました。
Backlogをタスク管理にも使っていますが、チケット制のサポート業務でも使用しています。チケット制のサポート業務とは、お客様の質問にAIを使って回答するシステムです。
例えば、
- マニュアル的な回答しか用意できないご質問
- ノウハウはあるが回答を作成するのが複雑なご質問
- 検索すればすぐに回答が出てくるようなご質問
など、人力で検索、調査して対応するのではなく、AI を使用して以下の手順で自動で回答します。
- Backlogのコメントに質問を入力
- 連携したチャットツールに自動で通知
- チャットから自動回答
- 回答の下にある「Backlogに回答を送信する」ボタンをクリック
- 1の質問に対する回答をBacklogのコメント欄にて返答
今回、シルバースポンサーになっていただいたヌーラボ公式パートナーのオルターブース社のブースは、紹介されたサービスのデモンストレーションで盛り上がっていました。
会計士CFOが新規事業のPdMに挑戦した話 株式会社デジタルキューブ 和田さん
デジタルキューブ社でCFOを務める和田さんに新規事業のPdMに挑戦した際のお話しをしていただきました。
和田さんは公認会計士として会計監査やIPO支援、ベンチャー企業のM&Aに携わったご経歴をお持ちです。
その際に感じていた業務上の課題は下記の通りでした。
- 専門職による職人技で属人的な業務遂行
- メールベースのプロジェクト管理
- 専用のソフトウェアがない
このような業界の課題を解決するべく和田さんが立ち上げたサービスがFinanScopeです。
FinanScopeの特徴
- M&A、IPOに必要な手続きに特化したタスクマネジメント
- 非上場会社の決算書や事業計画書からの株価算定
このプロダクト開発は、延べ20名で約1年間をかけて進めてきました。
その際に使用したツールがBacklogやTypetalkなどです。
Backlogの課題数は627ありましたが、全体の振り返りではBacklogを中心に仕事を進めてきて良かったと感じていただいたようです。
Backlogを使ったテレワーク時代の新人教育【遠隔徒弟制度】 株式会社テンタス 小泉さん
テンタス社は幅広い知見により様々な課題に対して多彩なソリューションを提供するWeb開発会社です。今回は代表の小泉さんにコロナ以降、フルリモート環境での社内教育制度についてお話しいただきました。
リモートワーク時には以下の課題が浮き彫りになりました。
- お互いの理解度の確認ができない
- タスクの進捗状況が不透明
- アクティブ時間が非同期
そこで社員教育用のプロジェクトをBacklogで作りました。
各課題には入社後の設定や各種制度の説明、議事録の取り方など、入社後のオンボーディングにおいてインプットすべきことを課題として立てています。
また、会社としての考え方や企業風土はWikiにまとめています。
その上でブラザー&シスター制度といって、先輩が教わった事を後輩に伝授する仕組みを作りました。
この制度でもBacklogを利用しており、各課題の情報アップデートもフローに組み込んでいるので、教育制度の一元管理と並行しながら情報の鮮度も保っています。
デザイン会社で研究開発やってみた ‐おばけタイムウォッチャーができるまで‐ 株式会社ビーワークス 今岡さん
ビーワークス社でフロントエンドエンジニアとして活躍する今岡さんに「おばけタイムウォッチャー」ができるまでの開発の進め方についてお話しいただきました。
そもそもおばけタイムウォッチャーとは、Chromeの拡張機能で、設定した時刻以降にブラウザを開くと、おばけが現れるようになるタイムウォッチャープラグインです。
開発プロジェクトでは以下のようにPDCAを回しました。
- PLAN テーマの策定、ブレスト
- DO 迅速なプロトタイプ作成
- CHECK プロトタイプの評価
- ACTION 方向性の検討、改善
全てのプロセスにおいてBacklogを活用し、「タスク」、「アイデア」、「会議体」など種別を分けた課題管理を行うことで開発サイクルを早めることに成功しました。
なお、おばけタイムウォッチャーのデモンストレーションはこちらからご覧いただけます。
Good Project Award 2023 株式会社ヌーラボ 主催
Good Project Award とは「Backlog World 2023」内で行われるピッチイベントです。
Backlogを提供する株式会社ヌーラボが主催し、2023年の最も素晴らしいプロジェクトを表彰します。
今回は数あるエントリーの中から優秀賞を受賞した以下の3社にご登壇いただきました。
- 遠鉄システムサービス株式会社
- 株式会社ALL CONNECT
- パシフィコ横浜
この3社で繰り広げられたピッチバトルの様子はヌーラボ社からのブログ、「Backlog World 2023 Re:Boot-未来への帰還-を振り返る ― Good Project Award 2023 優秀賞受賞3社のピッチバトルをレポート!」にてご覧いただけます。
フルリモート開発チームが挑む新規事業開発 リコーITソリューションズ株式会社 茶屋さん
茶屋さんはリコーITソリューションズ株式会社でtorunoという会議の音声を文字起こしするツールを開発するチームのエンジニアです。
東京、横浜、鹿児島と普段の開発をリモートワークで進めているとのことで、まずはチームとして大切にしている考え方を教えていただきました。
まず、素早い意思決定・プロダクト開発のため、コミュニケーションロスが発生しないように気をつけています。
コミュニケーションツールとしてチャットも使用していますが、全員が集まるミーティングや進捗確認時はBacklogを使用しています。
そしてサービスの開発においては、競合もスピード感をもってリリースしているため、仮説検証のサイクルを早く回したいとのことです。
そこで優先度が高いチケットへの向き合い方とタスク化までの流れを教えていただきました。
【タスク化までの流れ】
- 顧客・営業の声(顧客接点)
- 対応・打ち手(案)プロット(顧客接点/認識揃え)
- 優先順位検討(認識揃え)
- 順序・全体感で計画化(認識揃え)
- タスク化(認識揃え)
- PBI化/タスク分解(Backlogへ登録)
併せて、チームの全員が常に同じ方向を向き続けるために下記を実践しているとのことでした。
- 四半期単位でチームの方向性の確認を行う
- 毎日30分間プロダクトの認識合わせやプロダクトバックログの詳細化を行う
- 企画だけではなく開発からも意見を吸い上げる
- MVPはどこにある?を常に考え、計画にフィードバックする
Backlog APIと生成系AIで考える課題優先度 株式会社Fusic 清家さん
Fusic社でプリンシパルエンジニアを務める清家さんにBacklogで管理する課題の優先度について話していただきました。
ちなみに電話での口癖は「今の会話、Backlogに書いておきますね」らしいです。
入社して8年目の清家さんはBacklogを通して様々な案件に参加し、コミュニティ活動でも利用しているので使用頻度も高いようです。
しかし、Backlogに情報を集約していくと、本当の優先度が不明瞭になるという課題にあたりました。
特にプロジェクトを跨いだ上での優先度の設定に関しては不安もありました。
自分とお客様の判断があり、判断する指標が統一されていないことも原因の一つです。
そこで、API Key の設定を行い、BacklogAPIとOpenAPIによるアプローチをしました。
それぞれを組み合わせ、Backlogのデータ構造から自身のタスクを抽出し、タスクの優先度を考察できるようにしました。
その後OpenAI側でプロンプトの調整を行い、各課題の優先度が分かるように出力をしたことで効率的に把握できるようになりました。
心が折れそうになったときに大切にしていること 株式会社ドリーム・アーツ 清水さん
ドリームアーツ社でCSXグループのゼネラルマネージャーをしている清水さんに直近のプロジェクトで大変だったときのお話をしていただきました。
そのプロジェクトでは自社の会計ワークフローシステム、SmartDBの開発、テスト/導入支援をしました。
現場では「無理な作業依頼」や「要件定義で決まっていた事がひっくり返される」など、多くの出来事がありました。
そこで下記のように努めることで、冷静さを失わないようにしました。
- メタ認知による客観視
- 感情に支配されないこと
- 信念を失わないこと
そして困難な状況下でも当たり前のことをしっかりやるべく、Backlogでのタスク管理を行うと同時に、報連相のコミュニケーションも徹底しました。
また、自分の中にある負の感情を書き出し、自身と向き合うことを重ねていった結果、冷静さを保て、プロジェクトに向き合い、歩みを進めることができました。
閉会式/懇親会
閉会式では運営委員長の井上さんの挨拶と協賛いただいたスポンサー各社様の紹介をし、無事閉会しました。
1つ下の階にある懇親会場では、2021年のBacklogWorld元運営委員長で現ヌーラボの中道さんと今回の運営委員長であり、親友の井上さん二人揃っての乾杯で懇親会がスタートしました!
最後は全員ではないですが、集合した運営メンバーでお決まりの「b」ポーズ!
これからもJBUGをよろしくお願いします。
以上、最後まで「Backlog World 2023 Re:Boot-未来への帰還」を振り返る!!【後編】を読んでいただきありがとうございます。
当時の様子や登壇資料は下記からも確認できますのでぜひご覧ください。
ダイジェスト動画
「Backlog World 2023 Re:Boot-未来への帰還」のダイジェスト動画はこちらから
登壇者の資料一覧
「Backlog World 2023 Re:Boot-未来への帰還」登壇者の資料一覧はこちらから
JBUGについて
JBUG(ジェイバグ:Japan Backlog User Group)は、Backlogユーザーによるコミュニティです。現在はオフラインやオンラインでのイベント開催をメインに、Backlogの話だけに止まらず、プロジェクトマネジメント全般やチームコミュニケーション、働き方などについても意見交換を図っています。
プロジェクトマネジメントは、全ての業種/職種において必須のスキルである一方、そのノウハウが学べる場はあまり多くありません。
Backlogは国内最大級のプロジェクトマネジメントツールであり、すでに100万人を超えるユーザーがいることから、「プロジェクトマネジメント」「仕事のうまい進め方」に関する知識やテクニック、ノウハウを学び合うことをねらいとして、Backlogユーザーによって、JBUGが発足されました。
実体験から学んだ知見やノウハウのシェアを通し、より「働くを楽しくする」を実現したいと思っています。
あなたの街でもJBUGのイベントを開催しませんか?
これまで、北海道、宮城、東京、愛知、静岡、大阪、兵庫、高知、岡山、広島、福岡、宮崎、鹿児島、沖縄にてJBUGのイベントが開催されました。
いずれも、「イベントをやろう!」というBacklogユーザーさんが主体となり、リーダーとして話を進めてくださっています。もしあなたがBacklogユーザーで、「私の住む街でもJBUGを開催しようかな?」と思ったら、ぜひお気軽にJBUGのフォームからご連絡ください!Backlog運営メンバーの方々と一緒に、開催時期やテーマについて考えましょう!
Backlogの開発・提供のみならず、プロジェクトマネジメントのリアルなノウハウや知見を共有する場をオフライン、オンライン問わず増やしていくことにより、「働く」を楽しくしていきたいと考えています。
それでは、JBUGのイベントでBacklogユーザーのみなさまにお会いできることを楽しみにしています!
パートナー制度について
ヌーラボではヌーラボサービスの導入 / 技術 / 運用支援を行う企業とアライアンスを組んでおります。
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