現代のビジネス環境では、組織や所属、専門分野が異なるメンバーと協働して仕事を進める必要性が高まっています。このように多様なメンバーが集まる状況において、パフォーマンスを最大化し、目標達成に向かってチームを前進させるためには「チームワークマネジメント」が重要な役割をはたします。
チームワークマネジメントには、適切なタスク管理が欠かせません。しかし、タスク管理は簡単なことではありません。特にチーム全体のタスクを管理する際には、タスク(作業項目)を分解・整理し、役割を明確にし、計画的に管理・実行するスキルが必要です。
このスキルを持つ人をヌーラボでは「バックログスイーパー」と呼び、チームワークマネジメントに欠かせない役割として位置付けています。では、「バックログスイーパー」と呼ばれる方々は、具体的にどんなことをしてチームの成果に貢献しているのでしょうか?
そこで、本記事ではヌーラボでの実践から得たノウハウをご紹介します。今回お話しを伺ったのは、「バックログスイーパー」の一人である、ビジネスグロース部 マーケティング課の親川 彩子さんです。
目次
バックログスイーパーとは
「バックログスイーパー」とは、組織やチーム内のバックログ(残務・未処理の作業や案件)を常にキレイして、チームの仕事を前に進める人のことです。
具体的には、
- メンバー自身がタスク起票するよう定着させる
- タスクの起票漏れをなくす
- 進捗をモニタリングする
- 残務をなくす
など、組織のタスクを常に整理し、進捗を促すためのサポート役のことを指します。
単純にタスクの期限をチェックするだけではなく、チームが高いパフォーマンスを発揮するために、上記のことを実行してプロジェクトを前に進める存在です。
展示会の全体運営から見るバックログスイーパーの役割
親川さんはヌーラボのイベントマーケティングのリーダーとして、年間出展計画の設計から企画立案、タスクの組み立てから割り振り、チームメンバーや外部パートナーとの連携までを担っています。
年間を通じた展示会出展業務は試行錯誤の連続だといいます。そんな中、2024年6月に出展した最初の展示会では、目標数値を大きく達成する結果となりました。
この成功の裏側には、親川さんの「バックログスイーパー」としての功績がありました。展示会出展業務における実際のタスク管理方法を例に、バックログスイーパーの役割とポイントを具体的に挙げていきます。
必要な業務をタスク化し、役割を明確化する目標を設定する親川: まずは具体的なゴール・目標を設定する必要があります。 必要なタスクを洗い出し、起票する親川: 次に、プロジェクトの要ともいえるタスクの設計です。ヌーラボではすべてのプロジェクトのタスク管理にBacklogを活用していますので、まずは必要なタスクを洗い出し、Backlogに課題※として起票していきます。 タスクのベースは、マーケティングコンサルティング会社が公開している展示会のタスクリストを参考にしました。状況に応じて、他社の知見や過去の事例なども有効活用し、その中から今回のプロジェクトに必要なタスクを洗い出していきます。 課題の起票には、スプレッドシートでの課題の一括登録を活用しました。一つひとつ課題を起票する手間を省くことができますし、タスクリストを作成することでプロジェクトの全体像を俯瞰して確認できるので、お薦めの方法です。
役割を明確化し、チームメンバーと認識をすり合わせる親川: ほとんどのプロジェクトでは、組織やチームをまたいださまざまなステークホルダーが関わると思います。今回の展示会出展においても、ブースデザインや配布するパンフレットなどのコンテンツ・デザイン制作のチーム、当日お客さまをブースに誘導するスタッフ、ブース内での商談を行うセールスチームなど、さまざまなメンバーとやり取りしました。 展示会の設計とタスク起票ができた段階で、展示会に関わるすべての社内メンバーとのキックオフミーティングを実施しました。展示会の目的、計画を共有する場として開催しています。 全体キックオフの後、必要に応じてチームごとのキックオフも実施しています。各チームにタスクを割り振る前に依頼したい内容をおおまかに共有し、お互いの認識と理解をすり合わせていくイメージです。 それ以降のタスクのやり取りはすべてBacklogで行いました。最初に認識を統一し、お互いの役割を理解してからスタートしたからこそ、大きな認識のズレがなく進行できたと感じています。
タスクの完了条件を明確にし、認識の齟齬を防ぐタスクの完了条件を明確にする親川: 重要なのは、タスクがどのような状態になったら「完了」なのかを明確にしておき、メンバー間で共通認識として持つことです。 タスクには、自分だけで完結するタスクと、他のメンバーが関わるタスクがあります。特に後者においては、「誰がどのような作業をするのか」「どこまで作業をすれば完了なのか」といった項目を明確にし、Backlogの課題に記載しました。 完了条件を明確にしておくことで、メンバー同士のコミュニケーション不足によるミスを防げます。 課題テンプレートやカスタム属性を活用する親川: それぞれのタスクを適切な項目で管理していくことも意識しています。 また、Backlogは課題の種別ごとにテンプレートを設定できるので、その機能もおおいに活用しました。具体例を挙げると「運営マニュアル作成」という種別を作って、運営マニュアルに必要な項目をチェック項目にして課題テンプレートに登録しています。展示会ごとに新たに運営マニュアルを作成する時も、登録した種別を選ぶことにより種別に紐づいたテンプレートが呼び出され、登録したチェック項目に沿って進めていけば、抜け漏れを防ぐことができるんです。 進捗状況をモニタリングする親川: プロジェクトが動き始めたら、定期的な進捗確認は欠かせません。私自身が担当になっている課題はもちろん、他のメンバーに担当を割り振った課題に対しても「完了前に期限が切れていないか」「動きが止まっていないか」をウォッチしていました。自分のタスクだけを確認するのではなく、プロジェクト全体を俯瞰して見ることを心掛けています。 進捗確認にはさまざまな方法がありますが、私はガントチャート機能をメインで活用しました。週初めに、メンバーに割り振った課題の中で今週末が期限になっているものをざっくりと洗い出しておきます。そして週末までに、自分とメンバーの進捗状況を確認して、終わっていないメンバーにはあらかじめ声をかけるようにしていました。 複数の展示会出展のタスクが同時進行するので、マイルストーンにそれぞれの展示会名を設定し、ガントチャート上で切り分けられるように工夫しています。
遅延しているタスクを前に進めて完了させる停滞・遅延しているタスクを前に進める親川: プロジェクトの進行中、進行状況が芳しくないタスクも発生しました。事前準備や設計はしっかり行ったつもりでしたが、初めての施策だったということもあり、見立てが甘かった部分があります。 ここで重要なのは、メンバーは怠惰でタスクを放置しているわけではないということです。タスクが進んでいないことには必ず理由があります。バックログスイーパーとしてやるべきことは、その理由を探り、改善策を講じることです。 遅延しているタスクの担当者には「何に困っていますか?」「あと何をすれば完了になりますか?」という尋ね方をしていました。 経験を次に活かし、理想のチームを目指すタスクの粒度や運用方法を改善していく親川: プロジェクトの設計は一度で完璧にできるものではありません。運用をしていく中で試行錯誤して、より良い方向に改善していきます。 6月の展示会を経て見直した点でいうと、「タスクの粒度」や「スケジュール」があります。細分化しすぎて管理工数の方がかかっていたタスクをフェーズごとに親子課題でまとめたり、ざっくり設定していた期限日を少しずつ細かく設定したりと調整しています。 一度の運用で終わらせるのではなく、きちんと振り返りを行い、改善点を反映して次にチャレンジしていくことを意識して取り組んでいます。
メンバー自身がタスクを起票できるようにする親川: 6月の展示会では、タスクの設計と洗い出し、Backlogでの課題起票、担当者への割り振りは基本的にすべて私が行いました。前例がなく、動き方や進め方が浸透していないプロジェクトの場合、誰かが率先してリードしていく必要があると思います。 ただ、今回の展示会に携わったことで、メンバーは一連の流れを経験しています。展示会への出展は年間を通してまだまだ続いていきます。今後の展望としては、業務改善やKPIの達成度をメンバーにそれぞれのポジションで考えていただき、必要と思ったタスク(課題)を起票したり、課題の進め方を各自で効率化できるようにできる仕組みづくりをして、自走できるチームを目指していきたいですね。 「チームの仕事を前進させる」意識を持つ親川: チームで働くみんなが報われる仕事がしたいです。ヌーラボが好きですし、ビジネスグロース部というチームを大切にしています。だからこそ、「チームの仕事を目標達成に向けて前進させたい」という思いを強く持っています。 展示会は特に、さまざまな分野のマーケティング要素が必要とされます。それぞれの分野のプロフェッショナルが集まり、チームとして最大限の力を発揮する。まさに「チームワークマネジメント」が実現できたことが結果につながったと思います。 |
バックログスイーパーは、チームワークマネジメントに欠かせない存在
バックログスイーパーはどんな組織、チームにも必要な存在です。自薦・他薦を問わず、チーム内に「バックログスイーパー」を任命し、効果的なタスク管理を実現していくことで、メンバーも効率よくタスクを進めていけます。チーム全体のタスク管理が円滑になることでチームワークマネジメントの効果を発揮でき、チームや組織の成長につながっていきます。
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