「生きるを、デザイン。」をミッションに掲げ、「ひと・もの・こと」の三つをつなぎ合わせ、新たな価値を生み出すサービスを提供する株式会社エンファクトリー。
多様なサービスを展開する中で、各プロジェクトにおけるタスク管理にBacklogを活用中です。一部署での導入から全社的に活用が広がっていった背景には、社内の啓発活動や運用サポートを地道に行ったお二人の存在がありました。
その先導役となったクリエイティブユニット 副ユニット長 マークアップエンジニアの松本氏と、同じくクリエイティブユニットに所属する辻氏に、Backlog活用の浸透と運用におけるポイントを伺いました。
■課題
・複数プロジェクト横断で業務を行っており、タスクを管理しきれていなかった
・IT統制の監査に必要な書類やデータの準備に時間がかかっていた
■効果
・すべての業務や作業履歴がBacklogに記録され、業務の見える化が実現した
・「1タスク1課題」を徹底することで、各担当の業務内容や進行状況が明確になった
・IT統制の監査にはBacklogの画面キャプチャを提出し、作業工数が大幅に削減された
目次
煩雑なマルチタスク業務を支えるBacklog活用
—— はじめに、御社の事業概要とお二人の担当業務について教えてください。
当社は、働き方が多様化する現代において、ますます活動の幅が広がっているローカルプレナー(専門家、フリーランス、つくり手、パラレルワーカーなど)に向けて、企業とのマッチングサービスやECサービスを展開しています。
具体的には、プロ人材と法人・個人をマッチングし、さまざまな課題解決を支援する「PROKUL(プロクル)」や、ライフスタイル型セレクトショップ「STYLE STORE(スタイルストア)」などを展開中です。
私たちが所属するクリエイティブユニットでは、社内の各事業部やお客様のWeb制作、システム開発などを支援する役割を担っています。また、サービスの販促に関する企画の立案・進行管理を行う場面も多いです。
—— Backlogの活用状況についてもお聞かせください。
現在、全社的にBacklogを導入しており、社員だけでなくアルバイトや外部パートナーの方々も含めて活用しています。
社内では、複数の役割やプロジェクトを兼務しているメンバーが多く、マルチタスクな働き方を基本とするメンバーが少なくありません。各担当プロジェクトはさまざまな関係者と協働して進めていく必要があるため、全体的な進捗の確認やタスクの割り振りが煩雑になりがちです。そこで、プロジェクト内で発生するタスク管理にBacklogが大いに役立っています。
使い方は事業部によって異なりますが、クリエイティブユニットでは全社に先がけてBacklogを導入した経緯もあり、とりわけ積極的に活用していると思います。タスクが発生したら「とにかくBacklogに課題を起票する」、そんな文化が根付いているんです。
「Backlogを使えばタスク管理に困らない!」社内への活用浸透の秘訣
—— そもそも、どのような経緯でBacklogを導入したのでしょうか?
導入は2014年頃、当時のクリエイティブチームのリーダーが、受託開発において外部パートナーとのやり取りを円滑に行うために導入を決定したと聞いています。そのため、導入直後はクリエイティブ制作に関わる数名のみが利用していました。
その後、他部署でもディレクション業務を担当するメンバーが「Backlogだとタスク管理がしやすい」ということに気づき、徐々に利用部署やメンバーが増えていきました。
—— そこから、どのように全社展開へ至ったのですか?
本格的に広まったのは、会社として手がける事業の幅が広がり、個人が担うタスク量が増加したタイミングでした。最初は手書きのカンバンボードやリストで管理する方法を試してみたものの、うまくいきませんでした。
一方、Backlogを使っているメンバーはタスク管理にそれほど困っていない様子でした。彼らを見て「とりあえずBacklogを使ってみよう」という空気が生まれていったと記憶しています。全社展開は一気にではなく、徐々に進んでいったんです。
2019年頃には「そもそもBacklogとは何か」「なぜBacklogを使う必要があるのか、どのような効果があるのか」をまとめた資料を作成し、説明会を開催しました。社内のメンバーに活用のメリットを丁寧に説明したことで、一気に利用が広がっていきました。
「1タスク1課題」に切り出すことが「見える化」のコツ
—— Backlogの活用を始めて、皆さんの業務にはどのような変化が生まれていますか?
実際のタスク管理では、業務を細分化して「1タスク1課題」に切り出すことを心がけ、各担当者に課題を割り振っています。そうすることで「プロジェクト内で何がどのくらい完了したのか」を把握しやすくなり、複数のプロジェクトを並行して進めていく中でも混乱しにくくなりました。
Backlogを導入してから、メンバーは「こんなに今の状況が『見える化』されるんだ!」と効果を実感してくれています。
また、タスクが滞りがちなメンバーの状況も把握しやすくなり、適切なサポートもしやすくなりました。タスクが滞ってしまった本人も、自分の状況を周りに共有できるようになり「ヘルプを出しづらい」といったような心理的な負荷も軽減されているのではないかと思います。
—— まさに、「見える化」の効果ですね。
Backlogで作業のログを残せる点にも大きなメリットを感じています。
各業務にはマニュアルも用意していますが、内容が汎用的になりがちで、細かな対応方法やナレッジまでは伝えられません。Backlog上では、その時々の業務に対してどんな対応をしたのか、実際の作業はどのようなものだったか、リアルな作業の過程が履歴に残ります。作業でつまずいた部分を改善するために振り返りをしたり、前年に実施した企画を今年も実施する際に参照したりできて、とても便利です。
関わるプロジェクト数も多いため、今ではBacklogがないと業務が立ち行かないほど、なくてはならないツールとなっています。
作業ログを適切に記録することで「IT統制」にも適用
—— マニュアルとノウハウは似て異なるものですから、どちらの情報もあると業務がよりスムーズに進められそうです。
おっしゃる通りです。さらに、Backlogの履歴は、社内のIT統制に必要な提出情報としても利用しています。年に2回ほど、親会社より監査のための情報提出依頼が来るのですが、短納期で準備や情報収集を行う必要があり、たいへん手間がかかっていました。
具体的には「システム開発が適切なフローで行われたかどうか」の証憑を提出する必要があるのですが、Backlogの課題に記載されているタスクや課題内でのやり取りをキャプチャとして収めたものが証憑代わりとなります。丸1日かかっていた対応作業が、今ではたったの数時間でできるようになりました。
Backlog上の履歴を証憑として利用するためには、課題のカテゴリーや種別、状態の設定方法やコメントに記載すべき内容など、運用ルールを細かく定める必要があります。そのため運用が軌道に乗るまでは少し大変でしたが、「日々の業務でこれさえ行っておけば、後で困らない」ということを根気強くメンバーたちに伝え、ルールを浸透させていきました。
Backlogを通じて、もっと助け合い前進できるチームに
—— Backlogを、本当に幅広くご活用いただいていますね!
ツールに苦手意識のある人や、複数人で進めるタスクの課題起票に不安のある人もいます。そういったメンバーには、まず「自分のタスクをToDoとして登録する」ことから始めてもらっています。小さなToDoから始めて、課題を一つずつ「完了させる」という達成感を味わってもらうことで、Backlogへの心理的ハードルを下げる工夫をしています。
—— 他にも、Backlogの活用浸透における工夫はありますか?
外部サービスとの連携が可能な「Backlog API」を活用して、期限日が迫った課題をまとめてSlack内で通知する仕組みを開発し、取り入れています。個人やチーム単位でアラートが届くので、進捗状況を確認し合うきっかけになっています。
今では、チーム内で自発的に未完了のタスクや期限切れのタスクなどを洗い出し、タスクの整理を行う「バックログスイーパー *(チーム全体のタスク管理をサポートし、チームの仕事を前進させる人)」の役割を担ってくれるメンバーも出てきました。私たちも引き続き、その役割を率先して行うようにしています。
*ヌーラボでは、組織やチーム内のバックログ(残務・未処理の作業や案件)を常にキレイして、チームの仕事を前に進める人を「バックログスイーパー」と名づけ、その活動や功績をコミュニティやブログで紹介しています。
—— 素敵ですね! 最後に、今後のBacklog活用の展望についてお聞かせください。
社内では現在、部署やプロジェクトごとにBacklogの使い方が異なる状況です。これまでBacklogの運用ルールをしっかり固めて臨んだプロジェクトではタスク管理に困ったことがないので、その成功体験やノウハウをどんどん広めていけたらと考えています。
また最近は、Backlogの「OpenAI連携」にも期待しています。当社としてもAIの活用を推進していきたいので、機能を積極的に使いこなして、さらなる業務効率の向上につなげられたらうれしいです。
ゆくゆくは、課題の一覧を見て「○○さん今忙しいですよね?このタスク受け取れますよ!」と、Backlogを通じての助け合いが当たり前の世界になると理想ですね。Backlogを見ればプロジェクトの進捗やチームの状況がすぐに把握でき、声をかけ合って業務がスムーズに進んでいく。自分だけでなく、チームとしての働き方を本当に良い方向へ変えてくれるツールだと思います。
—— さまざまな工夫をされたことで、Backlogの活用が全社に浸透していく様子がリアルに伺えました。貴重なお話をありがとうございました!
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