ビジネスの現場では、目標を達成するための方法として「KPI」や「KGI」という言葉をよく耳にしますが、この「KPI」と「KGI」という言葉の意味を正確に理解していますか?
今回はKPIの意味とKGIとの違い、KPIの設定方法から効果的な導入方法まで紹介します。
曖昧な理解のままKPIを導入してもチーム・プロジェクト・会社など組織のマネジメントは上手くいきません。この機会に正確に理解しておきましょう。
目次
KPIとは?
チームのマネジメントやプロジェクトマネジメントで重要なことは「明確な目標」です。目標が不明瞭な作業は効率が悪いだけでなく、メンバーのモチベーション低下にも影響します。
「この作業は何のためにやるのだろうか?」と思ったことが一度はあるのではないでしょうか?長期間に渡って目標や目的がない作業を、モチベーションを落とすことなく継続できる人は稀です。そこで必要になるのがKPIによる目標設定です。
KPIとは「Key Performance Indicator」を略した言葉で、日本語では「重要業績評価指標」とも言われます。
簡単に説明すると「目標を達成するための過程を評価する指標」であり、可能な限り定量的に設定することです。たとえばECサイトを運営しており、1ヶ月で10万ユーザーが訪れて、1,000人が商品を購入する場合、購入率は1%だったとします。
このECサイトの最終目標が「購入者を2000人にすること」と仮定すると、そのプロセスであるKPIは「訪問者を20万人に上げる」や「購入率を2%にする」などです。
このように、決められた目標を達成するために手段を具体的に設定することを「KPIを設定する」と言います。このときの手段は「1ヶ月の訪問者を2倍にする」といったように具体的でなければいけません。数字を使って定量的に測定できると望ましいです。
参考: プロジェクト管理とは?目的や項目、管理手法について徹底解説!
KPIとKGIの違いを解説
KPIに似たような言葉に「KGI」があります。KGIとは「key goal indicator」の略で、日本語では「重要目標評価指標」といいます。
簡単に説明すると、KGIは「企業全体の目標設定」のことです。KGIを設定する場合、その目標を全社で共有するため、具体的な期限と数値(目標値)が好ましいです。
たとえば「2023年4月1日までにECサイトの売り上げを2倍にする」というのがKGIです。このKGI(目標)を達成するためにKPI(手段)を設定することを覚えておきましょう。
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KPIを正しく設定するポイントとは?
KPIの効果を十分に発揮するためには、KPIを適切に設定することが大切です。手段が明確に設定されていなければメンバーはどうすればよいのかわからず途方に暮れてしまいます。
手段を設定するときの大切なポイントは3つあります。
それでは詳しく解説していきます。
①KPIの設定水準は適切か?
KPIの設定水準が高すぎたり、低すぎたりしていませんか?例えば「来月の訪問者数を今月の10倍にする」では、実現性が低すぎて、チームのモチベーションを下げてしまいます。
一方で「来月の訪問数を今月の1.1倍にする」では、ほぼ何もしないで達成できてしまいます。KPIで設定した目標水準は高すぎても低すぎても良くないので、設定時は気をつけましょう。
KPIを正しく設定するには過去のデータ分析や経験をもとに、必ず「努力すれば達成可能な目標」を設定することです。
②KPIの定義は明瞭か?
設定したKPIが複数の要素が含まれた内容や、抽象的な目標になっていませんか?
例えば「ECサイトで販売している商品の売り上げを伸ばす」をKPIに設定すると、「ECサイト全体の売り上げを伸ばしたい」という解釈や「ECサイトで取り扱っている特定の商品の売り上げを伸ばしたい」という解釈をすることもできます。
こうした抽象的な表現や解釈の余地があるKPIはよくありません。
KPIを設定するときは、必ず誰が見ても理解可能で単純な目標設定にすることを意識しましょう。数字を使って定量的に結果を測定できる状態が望ましいです。
③KPIが個人のタスクに落とし込まれているか?
KPIを設定した後、だれが何をすればよいのかメンバーは理解していますか?
KPIの定義を明確に設定し、設定水準も適切だが、メンバーは何をすればよいか分からず「私には関係ない」という考えになっていては意味がありません。
KPIを設定したら、メンバーの作業レベルまで分解して業務に組み込んでください。
数字だけ示して「あとは自分の頭で考えるように」ではKPIになっていません。上司が設定した目標を部下の作業に割り当てるまでがKPIです。
KPI、KGI、KSFの使い分けをしよう
ほかにも重要な言葉に「KSF(Key Success Factor)」があります。「重要成功要因」とも呼ばれるKSFは、成功への鍵を握る要素であり、KGI(目標)からKPI(手段)を設定するときに使います。
ECサイトでたとえると「来月のECサイトの売り上げを今月の3倍にする」という目標(KGI)を定めたときに「サイト訪問者数を増加させる」、「訪問者あたりの購入率を増加させる」、「一人あたりの購入額を増加させる」という複数の手段(KPI)の中から、実行することを決定するのがKSFです。
設定したKPIがひとつでは、あとから効果検証をするときの判断要素が少なすぎます。逆にKPIを多く設定するとリソースが分散してしまい、十分な効果を見込めなくなります。
KPIはKSFを数値化した指標となるので、KPIを設定するときにはKSFを徹底的に洗い出し、複数のKPIを適切に設定しましょう。
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KPIに限らず目標達成するためには「目標」と「手段」に解釈の余地があってはいけません。いつ誰が読んでも理解可能な「目標」であり「手段」でなければいけません。
具体性があるか、数字を使っているか、現実的に達成可能か、という点は常に注意しましょう。「よい会社にしよう」「売り上げを伸ばそう」「残業時間を減らそう」ではKGIとして不適切です。
KPI導入で失敗するポイントまとめ
KPIの導入が上手くいかないパターンは以下の3つです。
- ・KPIの定義が曖昧
- ・KPIを個人のタスクに落とし込めていない
- ・KPIの設定水準が不適切
何度も言いますが、KGI、KPIは社外の人が見ても理解できるくらい簡潔かつ明瞭にしましょう。
また、KPIを設定しただけで終わらせず、必ず個人の作業レベルまで落とし込んでください。無理難題なKPIや、努力しなくても達成できるKPIを設定するのはやめましょう。
KPIを上手く設定するためには、過去のデータを分析し、具体的な数字を使って、達成可能な水準を決められるように、努力することが必要です。
KPIは万能ツールなのか
目標管理手法としてKPIは優れたツールです。
しかし、KPIやKGIを使えば物事は必ず解決するとは限りません。設定したKGIが方向違いのものであれば優れたKPIも役に立ちません。また市場環境の変化でKGIの再設定を迫られることもあります。
KPIの導入をきっかけとして「適切な目標とは何か」「この組織は今後どの方向に向かっていきたいのか」について、改めて問い直してみましょう。
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