こんにちは、ヌーラボのアジャイル・ライダー長沢です。前回の記事「良いとこ取り!統制型と自律型をグラデーションしたハイブリッドな組織とは?」でも触れましたが、今回と次回の2回に渡って『チーム』について考察をしていきます。本記事では、組織における『チーム』という言葉の意味と役割、またチームとグループの違いについて解説します。
目次
「チームなんだから」に潜む不穏な臭い
「うちのチームは・・・」、「チームなんだから、みんなで・・・」と皆さんの組織ではよく『チーム』という言葉を使うのではないでしょうか?
私はチーム開発のコンサルタント、エバンジェリストを長年務めてまいりましたので、これらのセリフをよく耳にしてきましたし、私自身もよく「チーム」という言葉を使っていました。
そして、これらのセリフが聞こえるたびに眉をひそめたり、顔色が曇ったりする人たちを見てきました。その数は、チームという響きに前向きになる人たちと半々か、もしかしたらそれ以上に多かったかもしれません。
ネガティブに捉えられてしまう『チーム』という言葉
なぜこのように、どちらかというとネガティブに捉えてしまう人たちがいるのでしょうか?中には純粋にチームプレイより個人プレイを好む人もいますが、本当はチームプレイを望んでいるのに素直になれないのかもしれません。
なぜ素直になれないのか?それは、実は組織の実情がチームになっていないからではないでしょうか?
チームになっていないチームが引き起こす同調圧力
『チーム』という言葉には魔力があります。『チーム』というだけで一体感や連帯感が生まれます。とてもポジティブな印象があるので願望も含めてよく使われます。
チームとして形成されている組織での『チーム』という言葉は好循環の作用をもたらしますが、チームとして形成されていないグループ、集団にとって『チーム』という表現は共同体になりなさい、個人プレイは許さない、異論を唱えるな、従え、必要以上に仲良くなれ、と言った同調圧力に転化されてしまいがちです。
なので、顔色が曇ったり、眉をひそめたりという状況を作るのです。
チームとグループを再定義してみる
昨年より、チームとグループ、または、チームと集団の違いについての講演やスクーの生放送授業をするようにしています。それは、以上のような同調圧力を軽減・除去したいという動機から取り組んでいます。
チームとグループには、次のような違いがあると思っています。
グループ | チーム |
主語が「わたし」 | 主語が「わたしたち」 |
それぞれの目的 | 共通の目的 |
それぞれのやり方、または標準化したやり方 | チーム独自のやり方 |
分業・分担 | 自己完結 |
統制 | 自律 |
形式知(引き継ぎ)を重視 | 集合知(暗黙知)を重視 |
立ち上げが早い | 立ち上がるのに醸成が必要 |
変化に弱い | 変化に強い |
これらの違いを一言で表現するならば『チーム』かどうかは、同じ景色を見ているかどうかだと言えるでしょう。グループは、同じ景色を見ても良いけど見なくても成り立つと言えます。
このように、チームを定義すると現場がチームになっているのか、チームになろうとしているのか、チームになることは現場にとって解につながるのかを考えるキッカケになるはずです。
同じ景色を見ている人探しから始めよう
「うちの現場はチームになっていないな」「都合よくチームであれと強要されているな」と思ったら、まずは同じ景色を見ていそうな人を探しましょう。
現場の座席表や組織図でいいので、あなたと同じ景色を見ていそうな人に丸をつけてみましょう。
次に同じ景色を見れる可能性のある人、さらにこの人と同じ景色を見れたら最高!という人に丸をつけましょう。それぞれに対して別の色で丸をつけていったり、丸ではなく、三角や四角などを駆使して区別していったりしても良いですね。
たとえ、同じ景色を見ている人が同じグループに所属していなくても落胆しないでください。近隣に同じ思いを持っていそうな人がいるだけでも勇気付けられますし、お互いに成長するための相乗効果をもたらすこともできます。
同じ景色を見ている人は伝搬していきます。決してグループのメンバーを変えようとは思わず自分の身の回りから環境を変えていくことができれば、きっと名ばかりの『チーム』も本当の『チーム』に近づけるはずです。
まとめ
本記事では、組織における『チーム』という言葉の意味と役割、チームとグループの違いについて触れました。次回は「チームになるための環境づくり」を考察していきます。
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