業務効率化の進め方を検討している際、タスク管理が話題に挙がることは少なくありません。
業務効率を高める上で適切なタスク管理が課題となることに気づいていても、なぜタスク管理に取り組むと業務効率化につながるのかが明確になっていないケースも多いのではないでしょうか。
今回は、業務効率化とタスク管理の関係性について解説します。業務効率化を実現するために必要なタスク管理のポイントもあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
タスク管理の上手な進め方は、下記をご参照ください。
参考:タスク管理の上手なやり方とは?4つのステップとオススメツールを解説
業務効率化・タスク管理の定義
はじめに、業務効率化とタスク管理の定義をそれぞれ整理しておきましょう。本来の目的や目指すべきゴールを再確認し、手段と目的を履き違えないことが大切です。
業務効率化とは
業務効率化とは、業務の「ムリ・ムダ・ムラ」を抽出して改善を図ることを指します。
上記はいずれも業務効率を低下させ、生産性を下げる原因となる要素です。ムリ・ムダ・ムラをできる限り削っていくことで、時間あたりの作業量や作業の質を高められます。労働人口が減少しつつある今、業務効率化はあらゆる業種・職種で欠かせない施策といえるでしょう。
タスク管理とは
タスク管理とは、業務を「やるべきこと」の単位に細分化し、優先順位を付けて管理することを指します。タスク管理の主な要素は以下の通りです。
チームメンバーが担当する業務の進捗状況を管理する場合も、担当者自身がやるべきことを管理する場合も、どちらもタスク管理に含まれます。To Doリストの作成や完了した業務の消し込みなどもタスク管理の一環と捉えてください。
タスク管理に取り組む目的
そもそもなぜタスク管理に取り組む必要があるのか、目的に立ち返って確認しておきましょう。タスク管理を一切行わなかった場合、どのような弊害が生じるのかを考えるとイメージしやすいはずです。
業務の漏れや重複の防止
業務の着手漏れや工程の重複を防ぎ、最短時間で目標を達成することがタスク管理の重要な目的といえます。仮にタスク管理を一切行わなかった場合、以下のような弊害が発生し得るからです。
・着手漏れ:誰かが進めていると思っていた業務が未着手のまま放置されていた
・工程の重複:別々の担当者が同じ内容の仕事をしており無駄な作業になっていた
業務を細分化し、タスク単位に切り分けておくことで「誰が」「いつまでに」やるべき工程であるかが明確になります。業務の漏れや重複を防ぐには、タスク管理が欠かせません。
進捗状況の可視化
予定通りに業務が進んでいるかどうかを把握することも、タスク管理の目的の1つです。タスク単位で工程に遅れが生じていないか随時確認していくことによって、工程全体の遅延を防げるからです。
進捗に遅れの兆候が見られることを早期に発見できれば、事態が深刻化する前に対応策を講じられます。進捗状況を可視化し、ボトルネックになっている業務を発見するには、業務を構成するタスクを洗い出して把握しておく必要があるのです。
全体像の把握
業務の全体像を把握し、優先順位付けをすることもタスク管理の目的といえます。タスクはどの順序で着手してもよいのではなく、緊急度・重要度の高いものから優先的に処理しなければなりません。タスク間の優先順位を適切に判断するには、業務全体でどのようなタスクが発生するのかを俯瞰する必要があります。
タスクを一覧化することにより、より緊急度・重要度の高いタスクから順に優先順位を付けられます。また、前後の工程との関係性を明らかにしておくことで、作業の抜けや手戻りの発生を防げるのです。
タスク管理が業務効率化につながる理由
タスク管理を適切に行うことによって、業務効率化を実現しやすくなります。タスク管理が業務効率化につながる理由は次の3点です。
作業の手戻りを未然に防げる
タスク管理に取り組むことで、作業の手戻りを未然に防止できます。作業の着手漏れが発覚すると、本来は完了させておくべき工程に立ち返って作業をやり直さなくてはなりません。また、複数の部署や担当者間で業務が重複していた場合、作業結果を統合したりチェックしたりするための工程が新たに発生するでしょう。
こうした作業の手戻りは、業務効率を低下させる直接的な原因となります。タスク管理は作業の手戻りを防ぎ、時間のロスを減らしていく上で役立つのです。
進捗の遅れを早期に察知できる
タスク管理に取り組むことで、進捗の遅れを早期に察知しやすくなります。すべてのタスクが可視化されていれば、具体的にどのタスクが順調に進行しているのか、予定よりも遅れているタスクがどれであるのかが明確になるからです。
仮にタスク管理を行わなかった場合、担当者ごとに工程がブラックボックス化しやすくなるでしょう。進捗の遅れが発生していても察知しづらく、結果的に工程全体に悪影響を与えることも十分に考えられるのです。
課題の選択と集中に役立つ
目的の達成に向けて必要なタスクを洗い出し、優先順位を付けることによって、取り組むべき業務の緊急度・重要度を明確化できます。優先度の高いタスクにより多くのリソースを投下するなど、課題の選択と集中に役立つでしょう。
組織のリソースは無限ではありません。限られたリソースをできるだけ効率よく有効に活用するには、タスク管理は欠かせないプロセスといえます。至急取り組むべきことと今すぐに着手する必要のないことを明らかにすることが、結果として業務効率化にもつながるのです。
業務効率化を実現するタスク管理のポイント
タスク管理を通じて業務効率化を実現するには、どのような点を意識しておくべきでしょうか。次に挙げる3つのポイントを押さえて、業務効率化に直結するタスク管理を心がけましょう。
タスクごとの所要時間を正確に見積もる
タスクを漏れや重複なく洗い出したとしても、タスクごとの所要時間が正確に予測できていないようでは本末転倒です。全体のスケジュールありきでタスクごとの作業時間を算出すると、管理者側の希望的観測にもとづく業務計画になりかねません。
それぞれのタスクに必要な作業時間は、実績ベースで見積もることが大切です。前例のない業務であれば、一定量をこなした上で実際にかかった時間を元に全体の所要時間を算出しましょう。作業実績を着実に蓄積していくことが、見積精度の向上へとつながります。
タスク管理方法を統一する
タスク管理は担当者各自が行うだけでなく、チームや部門全体で取り組むことが大切です。担当者ごとにエクセルで管理していると、人によって管理方法がまちまちになりやすく、業務が属人化する原因となります。
タスク管理方法を統一し、担当者間の差異をできるだけ少なくする仕組みを構築しておく必要があるでしょう。タスク管理アプリを活用するなど、管理方法の標準化を図るための具体的な対策を講じておくことをおすすめします。
進捗状況を共有する
タスク管理に取り組んでいても、業務の実態と管理者の認識が乖離してしまうケースは少なくありません。主な原因として、次の2点が挙げられます。
・進捗状況がリアルタイムで共有されていない
・管理者と担当者との間で認識にずれが生じている
進捗状況を常に共有していくことは、タスク管理を成功させる上で非常に重要な要素です。情報を共有しやすい仕組みを整えると同時に、各担当者が進捗状況を随時更新するよう周知徹底を図りましょう。
タスク管理の上手な進め方は、下記をご参照ください。
参考:タスク管理の上手なやり方とは?4つのステップとオススメツールを解説
まとめ
業務効率化を実現するには、適切なタスク管理が欠かせません。タスク管理を着実に実践し、業務の漏れや重複、手戻りを防ぐことが、結果として業務効率化につながるのです。
今回紹介したポイントや注意点を参考に、ぜひタスク管理の精度を高めてください。タスク管理の精度が向上することによって、業務効率化の効果をいっそう実感しやすくなるはずです。
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