30代も後半にさしかかり「体重が増加傾向にある」と妻に相談したら「まずは毎日体重計にのったら」と言われたので、律儀に毎日のってる中村です、こんにちは。
本記事では、業務の責任者や責任範囲を明確にしたいときに使うフレームワーク「RACIチャート」の紹介と試してみた感想をお伝えします。
目次
RACIチャートをプロジェクトに取り入れた背景
責任が曖昧になりがちだけど、責任範囲の明確さも求められる「管理部門」の課題
最初に、RACIチャートを取り入れた背景を説明します。
RACIチャートは管理部門のプロジェクトで取り入れました。このプロジェクトの発端は、管理部門のスタッフから「私たちの業務フローを改善するのを手伝ってくれないか?」という依頼を受けたことでした。
RACIチャートを解説する上で、まずはヌーラボの管理部門について簡単に紹介します。一言で管理部門と言っても、業務内容は多岐にわたります。人事や経理、財務、労務といった部門ごとに分かれており、ヌーラボでは大体1人から3人でそれぞれの業務にあたっています。
管理部門に話を聞いてみると、プロダクト開発と比較して、管理部門の業務には責任に関する性質の違いがありそうだと感じました。そこで、以下の2つに分けて管理部門が直面している課題を考えることにしました。
- 誰が責任を持つべきかが曖昧となりがちである
- 責任範囲の明確化・権限委譲が大切になる
課題1.責任の所在が曖昧
管理部門は業務・役割ごとに対応する人が分かれてはいますが、各役割間で連携することも多い傾向がありました。
役割が違う他部門とタスクを何度もやり取りするうちに、誰が責任を持つべきかが自然と曖昧になるという課題を発見しました。
課題2.責任範囲が不明確
管理部門は主に基幹システム・SoR(System of Record)なシステムを扱うという特性があり、抑えるべきところは確実に抑えないといけません。
そのため、重要度や機密性が高い作業は承認者に確実に確認してもらわなければなりません。しかし、すべての作業の承認を依頼していたら承認者がパンクしてしまうので、責任範囲を明確にして権限委譲もセットで取り組む必要があります。
これらの責任に関する認識合わせのフレームワークとして「RACIチャート」を採用しようと考えました。
RACIチャートとは?
RACIとは、以下の4つの役割の頭文字を取ったものです。
名前 | 日本語名 | 説明 |
Responsible | 実行責任者 | タスクの実行者。複数いても構わず、Accountableと兼ねることもある(実行者がそのまま承認してタスクを完了する)。 |
Accountable | 説明責任者 | タスクの説明責任者。承認者とも捉えることができる。責任の所在が曖昧になるので、原則1つのタスクに1人(1部門)のみ。 |
Consulted | 協業先 | タスクを進める際の相談者。タスクを進める際に、双方向にやり取りを行う。 |
Informed | 報告先 | タスクの進捗状況の報告先。タスクを進める際に、一方向的なやり取りとなる。 |
以上の役割とタスクを踏まえた表がRACIチャートです。
RACIチャートで責任者を明確にする
RACIを使って、管理部門で着手しようとしていた給与計算業務のシステム刷新プロジェクトをRACIチャートにマッピングしました。
給与計算業務システム刷新プロジェクトは、大きくは以下のようなタスクに分割されます。基本的には労務が中心となって進める業務ですが、適宜他の部門とも連携しています。
- 人員と勤怠確定:人事と連携して、当月の勤怠を確定させる
- 日次処理計算:給与の計算を行う
- 経理への報告:経理側に計算結果を報告する
- 経費精算処理:経理と連携して、給与と合わせて経費精算も処理する
- 社員への説明:全体承認者から社員へアナウンス
以上のタスクを横軸にして作ったRACIチャートが、以下の写真です。
- 縦軸:RACI上の役割(部門)
- 横軸:タスク
労務はほぼすべてのタスクにR(Responsible:実行責任者)として参加しています。2以降のタスクはお金に直接絡むので、全体承認者が確認したいという旨のもとに、全体承認者にA(Accountable:説明責任者)が入っています。
RACIチャートを試した感想
実際にRACIチャートを試した感想は、以下の通りです。
- R:実行責任 / A:説明責任という2つの責任者が明確になって、考えやすい
- Aは不安が減り、Rは責任範囲が明確になり、業務の担当範囲を自分の意思で進めやすい
- 関係者が共通言語で話せるので、認識のぶれが少ない(参考記事:チームで共通言語を作ることの重要性)
今回は、責任者や責任範囲を明確にするフレームワークであるRACIチャートを紹介しました。
責任範囲を明確にすることは、業務の効率化だけでなく、自分で考えることができる自律的な組織を作るための必要条件でもあります。責任者が曖昧だなと感じるプロジェクトがあるときは、ぜひ一度試してみてください。
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