Backlog World 2024レポート:「社外コミュニティで学び社内に活かす 共に学ぶプロジェクトの実践」西馬 一郎氏 招待講演

日本経済新聞社 西馬一郎氏 招待講演(Backlog World 2024)

Backlogユーザーのみなさま、こんにちは!

2024年12月14日、雲一つない晴れやかな青空のもと「Backlog World 2024 in Yokohama 〜 Grow Together 〜」が開催されました。

今回は、招待講演より株式会社日本経済新聞社 西馬 一郎氏「社外コミュニティで学び社内に活かす共に学ぶプロジェクトの実践」のセッションレポートをお送りします。

社外コミュニティで学び社内に活かす共に学ぶプロジェクトの実践(Backlog World 2024)

エンジニアの採用や技術広報として活躍し、「日経電子版」の立ち上げにも関わっていた西馬さん。コミュニティが大好きで、2020年のBacklog Worldでは運営委員長も務めました。現在は「日本企業が内製開発や、自社のプロダクト開発を伸ばしていくというところを盛り上げていきたい」という思いで日々活動されています。

そんな西馬さんが語るのは、「社外コミュニティで学んだ知見を自組織で実践。そこで得た知見をコミュニティに還元することで、自らも組織も成長する方法」です。

日本経済新聞社 西馬一郎氏(Backlog World 2024)株式会社日本経済新聞社
西馬 一郎氏

学びを持ち帰り、小さく実践。試行錯誤で知見を得る

このBacklog World 2024もそうですが、勉強会コミュニティに登壇した人たちは他の人たちからいろいろな経験を吸収し、またアウトプットしています。さらにこの内容を社内外にフィードバックし、それがさらなる学びにつながっていきます。

これは、具体的な経験をし、内省的な観察を行い、抽象化して概念化し、それをまた実践していくという「経験学習モデル」に則ったパターンですが、みなさんも普段から意識せずにこれを行っているはずです。では、これを自組織でどう実践すれば良いのでしょうか?

西馬さんは「まずは持ち帰っていただいて、小さく始めてみるのがよいと思います」とアドバイスします。

コミュニティで学んだことを自組織で実践するポイント

あれもこれも実践するのは大変ですし、他社でうまくいったことが自社でうまくいくかというと、そうとは限りません。「試行錯誤で得た知見が非常に大事」と西馬さんは語ります。

お客さまへの価値提供を早くするため内製化

2010年に創刊した「日経電子版」を契機に、日本経済新聞社のデジタル化が進み事業とエンジニア組織の拡大が進みました。Backlogの活用を始めたのはわりと早くて2013~2014年頃です。お客さまへの価値提供を迅速にするため、サービス開発の内製化や開発スピード向上に取り組んできました。

その成果もあってサービスは順調に伸び、2024年12月1日には日経電子版の有料会員100万人を突破しました。エンジニア組織も拡大し、現在エンジニア数は約100人。ソフトウエアエンジニア、データサイエンティスト、デザイナーといった多彩な職種が在籍しています。

西馬さんは「『組織を作っていきましょう』とか『採用がんばりましょう』とか、『Backlogを入れましょう』といった活動をしている理由は、“お客さまへの価値提供を早くする”ためです。激しい変化のなかでスピード感をもってやっていくことが重要ですし、みなさんとの共通点も多いと思います」と話します。

プロジェクトとして取り組むからには、誰しも目的地・ありたい姿があるはずです。それに対して、いま自分たちがどこにいるのか。この現在地と目的地のギャップを埋めていくのが“プロジェクト推進”です。

自らを知り(現在地)、どうありたいか(目的地)

目的地に至るまでに課題を見つけ、問いやタスクを立ててはつぶして課題を達成していくことでゴールに一歩、また一歩と近づいていくわけです。これはウォーターフォールであろうとアジャイルであろうと同じであり、いま自分がどういう立ち位置にいるかも重要なポイントになります。

ここで西馬さんは一冊の本「アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン」を紹介します。この本には組織にアイデアを持ち込む方法が解説されており、西馬さんはそのひとつのパターンを挙げました。

組織にアイデアを持ち込む「アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン」

コミュニティで得た知見を組織づくりに広げる

どの組織にもさまざまな課題があるものです。例えば日本経済新聞社のエンジニア組織の場合、「エンジニア界隈における認知度が低い」「エンジニア採用の難易度が高い」ことが外面として挙げられます。また内面を見ると、楽しく仕事ができているかという「開発者体験」やエンジニアの「育成・キャリア開発」があります。

こういった課題を抽出すると「組織課題が大きいな」と感じてしまうでしょう。そのような課題・タスクの扱い方を6つ提案しています。

課題・タスクの扱い方

「やっぱりビジョンがあって、それに沿っているかどうかは大事ですね。『あれ? これって何のためにやってるんだっけ?』みたいな話はよく起こりますので、そういった紐づけを丁寧にしていくのがいいと思います」と西馬さん。

加えて、コミュニティで得た知見を自組織に持ち帰って実践した事例として、技術広報の例を挙げています。
「(ファネルの)上部ばかりやっていても駄目だし、下部ばかりでも駄目だし、こういったところのバランスも大事だということをコミュニティで学ばせていただけたと思います」

事例:採用、技術広報の場合

さらに、組織づくり、職場改善の事例も紹介します。組織課題はなかなかすぐに解決せず、解決状態もわかりにくいものですが、だからこそ“見える化”していかなければなりません。あるいは対話、アンケート、課題の抽出が大事であり、まさにプロジェクトマネージャーが日々邁進している内容です。

とはいえ、プロジェクトマネージャーは足元のタスクで手一杯です。だからこそ西馬さんは、ひとつのやり方として「定期的な活動マイルストーンを決めて、リズムを作っていくこと」を提唱します。

定期的な活動でリズムを作る

学んだことを、なにかひとつでも実践してみる

最後に西馬さんは、「コミュニティで学びを得たら、ぜひ実践しましょう。今日は夕方まで(Backlog World 2024の)セッションが続きますので、月曜日になにかひとつでもやっていただけるといいですね。それが循環することで、コミュニティも自社も発展していくのだと思います」と締めくくりました。

おわりに

みなさんは「Backlog World 2024」からどんな学びを持ち帰ったでしょうか。今日学んだことを、ひとつでもいいから明日からやってみる。こういった学びの連鎖が自身だけでなく組織の成長につながるのですね。

Backlog World 2024のテーマはまさに、「Grow Together」です。皆で共に学び合い、成長することで、チーム全体の力を育てていきましょう。

関連リンク

登壇資料「社外コミュニティで学び社内に活かす 共に学ぶプロジェクトの実践」

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