新しい取り組みで協力者を巻き込む方法とは?

Backlog World 2019でプロジェクトマネジメントと仮面ライダーについて講演したアジャイル☆ライダー長沢です。イベント会場でもご質問いただいた新たな取り組みでのお悩みごとを本記事でも触れていきます。

今回は、新しい取り組みで巻き込みたい関係者をフェーズに分けて正しく巻き込む方法をお届けします。

新たな取り組みでのフェーズ

まずは、前回のおさらいです。新たな取り組みではフェーズを分けて考えるとよいという記事を書きました。

新たな取り組みでの主なフェーズを一覧にした図新たな取り組みでの主なフェーズ

導入前フェーズ、導入直後フェーズ、評価フェーズ、定着フェーズをネーミングしてみましたが、この名前だけみても、関わる人がすべての段階で同じであるとは直感的にも思えないのではないでしょうか。

関係者を洗い出してみる

具体的なロール(役割)名や、より具体的な役職名などを挙げていくと、詳細すぎて真実を見失ってしまうことがあります。ここでは「新たな取り組み」に挑む当事者の視点で考えてみましょう。

  • 推進する人(当事者)
  • 協力したい人 / 協力したくない人
  • 困っている人 / 困っていない人
  • 意思決定する人
  • どこまでいっても中立な人(もしくは無関心な人)

すると、以上のような人たちが挙がりますね。あなたがどの立ち位置で新たな取り組みに向き合っているか(もしくは向かい合っていないのか)もわかります。

ここからは想像力が大事です。以上のリストを見ながら、あなたの現場でのそれぞれに該当する具体的な人が頭に浮かんできたでしょう。それを覚えておいてください。

フェーズごとに抑えておく

新たな取り組みのフェーズと関係者を整えてみましょう。

フェーズ 巻き込みたい関係者 気にかけておきたい関係者
導入前フェーズ ■ 協力したい人
■ 困っている人
■ 意思決定する人
■ 中立な人
■ 困っていない人
導入直後フェーズ ■ 協力したい人
■ 困っている人
■ 意思決定する人
■ 中立な人
評価フェーズ ■ 困っている人
■ 困っていない人
■ 協力したくない人
■ 中立な人
■ 意思決定する人
定着フェーズ ■ 中立な人
■ 困っている人
■ 意思決定する人
■ 困っていない人

注目していただきたいのは「意思決定する人」については、どのフェーズでも無視はできません。お金も時間も人も有限ですから「意思決定する人」の理解であったり、動向であったりは大切です。

導入前フェーズ

導入前フェーズで、お金や時間や人について理解が得られなければそもそも新たな取り組みを行うことは難しいです。

その後についてはできれば口をあまり出さないでもらいつつ(現場に任せてほしいという意味で)、不測の事態には協力していただきたいですし、一定の報告義務はあるはずです。

彼らの価値観と尺度で報告できるとベストですが、第3回で述べたように、定性的なデータであっても予め評価指標として挙げておくと理解を得やすくなるでしょう。

導入直後フェーズ

導入直後フェーズで大切なのは協力者です。

導入直後はパフォーマンスが一時的にも落ちることが織り込み済みですから、モチベーションの高い人の士気をキープすることが重要です。困っている人、協力したい人とともに推進できるようにしていきましょう。

評価フェーズ

評価フェーズでは、パフォーマンスの兆しが見えてきたタイミングからはじまるので、より客観的な目線が大切になってきます。

したがって推進者や協力者は近視眼的になってしまっている可能性も高いこともあり、協力したくない人(新たな取り組みに懐疑的な人)の協力が必要になるはずです。

一時的なパフォーマンスの低下や初期の成果が見え始め、取り組み以前と大差ないパフォーマンスになっている段階で、懐疑的だった人がどういうモチベーションで見てくれているのかは知っておくべきです。また、彼らは意思決定者やその他の中立な人に対しても、比較的客観的な意見を述べられる存在でもあります。

評価フェーズでは、定量的な数値データが求められてきますので、彼らの動向や彼らからのアドバイスが得られれば成果をよりリアルに伝えることが見込めます。

非協力者は、新たな取り組みの前段階から変化する必要がないことのデータをもっているかもしれません。持っていたとしたらそのデータと新たな取り組みによって得られたデータの改善は、意思決定する人へのよき知らせとなるはずです。

定着フェーズ

定着フェーズでは、ある程度は全方位になります。定着したといっても習慣化するまでは脆いものです。

また、新たな取り組みが完璧であり、それで改善が完結することはほとんどありません。新たな取り組みの結果、新たな課題が生まれる、新たな問題の壁があることがほとんどです。それらを発見し、次の改善の旅へ向かうことが、新たな取り組みの本当の意味での成果となるはずです

まとめ

新たな取り組みでは、フェーズによって巻き込みたい関係者に変化があることを意識しましょう。導入直後フェーズは、同じ志を持つ者を、評価フェーズでは、違う意見を持つ者を意識してみてください。

▼チームや組織の新しい取り組みに関する記事はこちら

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