この記事では、プロダクトライフサイクルの意味やメリットを解説し、プロダクトライフサイクルの段階ごとに適したマーケティング方法もご紹介します。
目次
プロダクトライフサイクルとは
プロダクトライフサイクルと聞いても、ピンとこない人も多いのではないでしょうか。まずは、プロダクトライフサイクルの意味やメリットを確認しましょう。もしもあなたが製品の販売戦略プロジェクトの管理者であれば、プロダクトライフサイクルマネジメントについても覚えておきましょう。
プロダクトライフサイクルの意味
プロダクトライフサイクルとは、企業が生み出した製品の「生まれてから消失するまでのプロセス」のことです。一般的に、製品は販売されてから人気が出ると、売り上げが伸びます。しかし、年月が経つと人気が衰えたり、新商品に抜かれたりします。その結果、最後には廃盤や製造中止になり、マーケットから撤退するのです。このように、いわば「製品の一生」のことをプロダクトライフサイクルといいます。
プロダクトライフサイクルは、「製品ライフサイクル」や「商品ライフサイクル」とも言われています。マーケットに投入される製品をまるで生き物の一生(ライフサイクル)として捉えた考え方です。生き物と同じように、生まれてから成長し、年月が経つと衰退してしまう様子を、表現していて、導入期・成長期・成熟期・飽和期・衰退期の5つの過程に分けられます。
プロダクトライフサイクルを知るメリットとは
プロダクトライフサイクルを知ると「自社の製品の位置付けを知ることができる」「利益を上げることができる」「コスト削減ができる」の3つのメリットがあります。それぞれ、詳しく見ていきましょう。
自社の製品の位置付けを知ることができる
プロダクトライフサイクルを知ると、自社で開発している製品が、マーケットにおいて今どのような状況なのかを客観的に見ることができます。プロダクトライフサイクルは、導入期・成長期・成熟期・飽和期・衰退期の5つのプロセスがありますが、それぞれの特徴を理解すれば、製品が顧客にとって今どのような位置付けなのか知り、それに合わせたマーケティング戦略を取ることが可能です。自社の製品は今、「これから売り上げが伸びる時期」なのか「そろそろ市場から撤退すべき時期」なのか知るだけでも、企業の方向性は変わってきます。
利益を上げることができる
プロダクトライフサイクルを理解できれば、マーケットにおける自社の製品の状況を知ることができるので、「CMを流す」、「サンプリングをする」といった施策を導入するタイミングや、増産して販路を拡大するチャンスを逃さないので、製品が市場での存在感を増しているところで売り上げを拡大することができます。
コスト削減ができる
顧客ニーズが細分化している現代においては、製品によってはプロダクトライフサイクルも短いものになりがちです。そのため、自社の製品のプロダクトライフサイクルの特徴を知っていれば、無駄なコストをかけずに済みます。例えば「この製品のプロダクトライフサイクルは短いから開発コストは減らそう」、「撤退するべき時期に入ったから、集客コストを抑えよう」など、プロダクトライフサイクルのプロセスに応じてコスト管理をすることができます。
プロダクトライフサイクルマネジメントとは
プロダクトライフサイクルマネジメントとは、製品の企画立案から設計、生産と出荷、そのあとのサポートなども含め、総合的に管理することです。製品のプロジェクト管理者は、プロダクトライフサイクルについて把握し、製品の誕生から撤退までを見据えておかなくてはなりません。
プロダクトライフサイクルの段階を知ることが成功の鍵
プロダクトライフサイクルには、導入期・成長期・成熟期・飽和期・衰退期の5つのプロセスがあります。5の段階の意味を、それぞれチェックしてみましょう。
導入期とは
「導入期」とは製品が生まれようとする黎明期の次の段階で、市場に製品が投入されたばかりの時期のことです。そのため、顧客からの認知度は低いのが特徴です。製品を生み出した企業以外は、そもそもその製品の存在自体を知らない、ましてや製品の良さや使用するメリットも分かりません。一般的には情報が少なすぎて「製品が自分にとって必要かどうか」の判断すらもできない状態です。
成長期とは
顧客やマーケットが製品を認知し、スピード感を持って普及する段階のことです。爆発的に広がるティッピング・ポイントと言われる転換期を境に、急に人気が出て市場が拡大します。一般の人にも製品が認知され、製品の良さを知る人が増えます。売り上げが伸びるのもこの時期ですが、市場が拡大するにつれて競合他社が増えるのも特徴です。
成熟期とは
競合他社が多数登場することで、市場に類似製品が溢れ、市場が成熟してきます。デザインも性能も同じような製品が他社からもどんどん販売され、それに伴い価格競争も激しくなってきます。もともと製品を開発したオリジナル企業は競合他社との差別化を図ろうと、製品の種類に多様性を持たせたり、自社製品をブランド化したりするのもこの時期です。
飽和期とは
製品を必要とする人がほとんど頭打ちになり、需要が停滞して売り上げが伸びない時期を「飽和期」と言います。製品を欲しがる人は、すでに購入済みなので、新規の顧客は見込めません。売り上げは買い替えや買い増しといったリピート購入に頼ることになります。市場規模がこれ以上増えないため、競合他社は価格競争を仕掛けてきます。人々は低価格製品に流れ、低価格製品が市場での存在感を増します。
衰退期とは
製品自体のニーズが減少して、売り上げが段階的に減っていく時期です。市場では、その製品の代わりとなる新しい製品がどんどん生まれていきます。もしくは、技術が進んだ結果、人々は別の機能をもつ製品を求めるようになります。需要が大きく減るので、競合他社も次々と市場から撤退します。新たに同じ製品を製造することはなく、長年のユーザーへの製品メンテナンスや修理といった、最低限のサポートをするのみになります。
プロダクトライフサイクルをマーケティングに生かす方法
利益をできるだけ大きくするには、プロダクトライフサイクルの段階に合わせたマーケティング戦略を行うことが重要です。ここでは、プロダクトライフサイクルの段階に応じて、企業が取るべき戦略を解説します。
導入期はデモが重要
自社製品が完成し、いざ市場に売り出そうとしても、導入期ではほとんどの顧客が製品の存在自体を知りません。導入期には、とにかく製品を皆に知ってもらうためのデモ活動を行うことが重要です。たとえば、製品の発表会や展示会を行ったり、サンプルを配布して認知に努めたりしながら、地道に周知させていきます。
当然ですが、デモ活動は人件費や試供品などのコストがかかります。更に、デモ活動の結果、「このデザインは評判が悪いからモデルチェンジをしよう」といった仕様変更も予想されます。しかし、少しずつ認知度が上がってくれば、新しい製品やテクノロジーに注目してくれる人が増えてくるので根気強くデモを行う必要があります。
成長期・成熟期にはプロモーションに力を入れる
成長期・成熟期には、製品の種類やデザインのバリエーションを増やしたり、女性や高所得者など、特定の顧客を狙った製品を打ち出したりして、製品をブランド化させ、プロモーション活動に力を入れていきましょう。この時期は、流行最先端のアーリーアダプターと呼ばれる人と、アーリーアダプターを追随するアーリーマジョリティと呼ばれる人をターゲットにするのが重要です。
積極的なプロモーションで、人々が「この製品なら買わなくては。」と思えるようにアプローチしましょう。アーリーアダプターの興味を引き、更にアーリーマジョリティにも受け入れられるプロモーション活動をすることがポイントです。
飽和期・衰退期は市場からの撤退を検討する
飽和期になると、製品のプロモーションだけでは売れなくなってきます。市場には類似製品が溢れてくる時期なので、ここで無理に販路を拡大するのはコストばかりがかかり、得策ではありません。それよりも、不要な機能やサービスを見直し、製品をスリム化させていくことが重要です。製品が洗練されれば、さまざまな顧客層にアプローチできるようになります。飽和期にはプロモーション活動よりも、製品の改善を通して利益を出していきましょう。
衰退期に入ると、売り上げを伸ばすことが難しくなります。人々も別の製品やテクノロジーを求めるようになるためです。衰退期では、市場から撤退するタイミングを検討しましょう。もしも撤退しない選択をした場合は、製品のコンセプトを変えたり、より専門性の高い製品にモデルチェンジしたりするなど、別の市場を狙う方が得策です。
プロダクトライフサイクルの段階に応じた戦略を行おう
製品が生まれてから消失するまでのプロセス、「プロダクトライフサイクル」には、導入期・成長期・成熟期・飽和期・衰退期の5つの段階があります。製品の売り上げを伸ばし、プロジェクトを成功させたいなら、プロダクトライフサイクルの段階の特徴を知り、段階に応じた戦略を練ることが大切です。導入期にはデモを、成長期・成熟期にはプロモーション活動を、飽和期には製品の改善を、衰退期には撤退の検討を行いましょう。製品のプロジェクト管理者は、それぞれのタイミングを見逃してはいけません。プロダクトライフサイクルの段階に応じた戦略を立てましょう。
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