自分の経験に、共感してくれる人がいた。JBUGで得た自信と学び


「コミュニティに興味はあるけれど、知り合いがいない」「参加すると、仕事にどんな変化があるんだろう」。そんな思いから、最初の一歩を迷っている方もいるのではないでしょうか。

いま、Backlogのユーザーコミュニティ「JBUG」で登壇やイベント運営に関わる峠 幸寛さんも、初対面の人と話すことには苦手意識があるといいます。

転機となったのは、自分の取り組みに共感してくれる人との出会いでした。その経験は、仕事への自信や新たな学びにどうつながったのでしょうか。峠さんに、コミュニティとの歩みを聞きました。

成果は出ている。でも、自分のやり方に自信が持てなかった

原田:まず、普段のお仕事と、Backlogを使い始めたきっかけを教えてください。

峠: 北海道ガスで働いています。僕は社内全体のDXを推進する部署に5年ほどいて、基幹システムの刷新プロジェクトでBacklogを使い始めました。利用を始めたのは2021年11月頃でした。

現在は、省エネに関わる機器や、クラウドを通じて遠隔で自動制御するサービスを開発する部署にいます。異動先でもBacklogを導入して活用しています。

原田:いまは登壇や運営にも関わっている峠さんですが、JBUGに初めて参加する前は、仕事でどんな悩みを抱えていたのでしょうか。

峠: もともとはエンジニアだったので、「基幹システム刷新へのDX推進に向けたプロジェクトマネジメントをやってほしい」と役割が変わったときに、落ち込んだんです。「自分はエンジニアだったのに」という気持ちもありましたし、マネジメントは得意ではありませんでした。

それでも、Backlogを活用したら業務効率が上がるのではないか?と利用方法について社内で共有したんですが、あまり真似してくれる人はいませんでした。まぁ、実績もない状態で新しい手法をやってみたいと思う人も少なかったのだろうと思っていました。ただ、自分のチームはBacklogを使って効率化が進んでいて、仕事もきちんと終わるようになっていたんですよね。

成果は出ているのに、共感や真似してもらえない。「自分の言っていることは、合っていないのかな」と思うようになって、発表する気持ちもだんだん薄れていきました。

原田:周りの反応がないと、自分のやり方に自信が持てなくなりますよね。そんな中で、JBUGとはどう出会ったのですか。

峠: 別のコミュニティ「CMC Meetup札幌」で、JBUG札幌を運営している巻さんと出会ったことがきっかけです。

「大企業でのBacklogの事例はなかなかないので、登壇してほしい」と声をかけてもらって、「登壇させてください」と答えました。「どれくらい話していいんですか」と聞いたら、逆に「どれくらいがいいですか」と聞かれて。悩んだ末に、「30分ください!」とお願いしたんです。

JBUG札幌に初めて参加したのが、その登壇のときでした。

北海道ガス株式会社 峠 幸寛 氏北海道ガス株式会社
峠 幸寛 氏

自分の経験に、共感してくれる人がいた

原田:自分の経験に、社外の人が興味を持ってくれるのか、話すまでは分からないですよね。実際に発表すると、どんな反応が返ってきましたか。

峠: 信じられないくらい、ウケました。

Backlogをサバイバルナイフに例えた話や、孫課題がいらないと考える理由などを話したんですが、すごく反応がよかったんです。

会場には、以前から関わっていたAWSのコミュニティ、JAWS-UGの方たちも来てくれました。「元気をなくしていた峠が登壇するらしいから、見に行こう」と、たぶん声をかけてくれたんだと思います。それも嬉しかったですね。

その場で「絶対にBacklog Worldにも行ったほうがいい」と勧めてもらいました。当時はBacklog Worldのこともよく知らなかったんですが、「みんなが言うなら、行けばいいんだな」と(笑)。

それで、2023年のBacklog Worldでも登壇しました。

原田:次の挑戦まで後押ししてくれたんですね。発表を通じて、ご自身の自信や周りとの関わりに変化はありましたか。

峠: はい。社外の物差しで見てもらったときに、「自分がやってきたことには、ある程度の価値があるのかもしれない」と思えたんです。背中を押してもらった瞬間でしたね。

その後、公開された登壇動画を見て、「プロジェクトマネジメントの話を聞きたい」と声をかけてくださる方もいました。Backlogをどう使えばいいのか、相談をいただくことも増えました。

実績がない状態で社内で発表したときは無風だったのに、社外で話したことをきっかけに、社内での受け止められ方も変わってきた。あらためて、コミュニティってすごいなと思いました。

共通の話題が、人と話すきっかけになった

原田: 初めて参加したJBUG札幌では、参加者同士の交流はどんな雰囲気でしたか。

峠: めちゃくちゃ楽しかったです。「はじめまして」「こういうことって、どうしていますか」といった会話が、いろいろなところで生まれていたんです。横のつながりができていく場所だと感じました。

原田: 知らない人に話しかけるだけでも緊張する方は多いと思います。峠さんは登壇する形で参加されましたが、人前で話すことや、初対面の人たちの中に入ることに抵抗はありませんでしたか。

峠: 実は、誰にも自分を知られていない状態で参加するほうが、僕には抵抗があるんですよ。「はじめまして」だと、人見知りが出てしまうので。

登壇すれば、少なくとも「あの発表をした人」にはなれるじゃないですか。話しかけてもらいやすくなるし、そこからこちらも「何をされているんですか」と聞ける。

原田: 峠さんにとっては、先に自分を知ってもらうことが、話しやすさにつながるんですね。

峠: そうなんです。話すこと自体は好きなんですけど、相手が何に興味を持っているか分からない状態で話すのは、わりと苦手で。

自分の発表を聞いて話しかけてくれた人なら、「きっと、この内容に興味があるんだろう」と思えます。その話題なら自分も話せるので、会話が盛り上がるんですよね。

一緒に動くことで、仕事の進め方を学んだ

原田: JBUGでは、どんな学びがありましたか。参加を考えている方に向けて、峠さんが感じる良さを教えてください。

峠: 僕にとっては、マネジメントを学ぶ入り口になることですね。

マネジメントは、知れば知るほど学ばなければいけないことが増えるんです。仕事の進め方もあれば、チームのマネジメントもある。どこから学べばいいのか、迷ってしまうんですよね。

僕自身、当時は研修を少し受けた程度で、体系的には勉強できていませんでした。JBUGで皆さんの話を聞くと、「よくある悩みにはこういうものがあって、こんなふうに解決した」という具体例を知れる。「こういう本があるんだ」と、次に学ぶ手がかりも見つかりました。

原田: マネジメントと聞くと、管理職向けの話だと思う方もいそうです。日々の作業を担う人にも、役立ちそうでしょうか。

峠: そう思います。作業をする側も管理者の目線を持っていれば、どんな情報を渡すと相手が判断しやすいかが分かるので、お互いに楽になるんです。

でも、作業をしているだけだと、なかなかそこに気づけない。普段の仕事とは違う場所で、全体を俯瞰する視点に触れられたのは、よかったですね。

原田: その後はBacklog Worldの運営にも関わっています。一緒にイベントをつくる中で、仕事の参考になったことはありましたか。

峠: Backlog World 2024の運営は、本当に学びが多かったです。

議論した内容をBacklogにまとめていく中で、「これを見ても、今どういう状況なのか分からないよね」という話になったことがありました。

例えば、ステータスが「処理中」でも、”担当者が作業しているのか”、”誰かに確認してほしいのか”、”判断を待っているのか”という具体的な進捗が分からないんです。

そこで、「判断待ち」というステータスが追加されました。そうすれば、判断を担う実行委員長の清家さんは、「判断待ち」のタスクを確認すればいい。それで、みんなの仕事が進むんですよね。

具体的な内容は担当者同士で話し合い、判断が必要なところを分かるようにする。普段の仕事だけでは、僕はなかなかそういう考え方にたどり着けなかったと思います。

運営に入ると、どれくらいの規模のことを、どんなスピード感で調整しているのかを、自分でも体験できます。そこで学んだ仕事の進め方は、「会社にもたくさん持ち帰れるな」と感じました。

北海道ガス株式会社 峠 幸寛 氏北海道ガス株式会社
峠 幸寛 氏

忙しいからこそ学ぶ。関わり方も、自分の暮らしに合わせて

原田:コミュニティに参加するようになって、ご自身の行動に変化はありましたか。

峠: 新しい技術や考え方を、早い段階で取り入れやすくなったと思います。

本から得られる知識もありますけど、コミュニティには、実際に取り組んでいる人がいる。その事例を目の前で見られるので、自分との違いがはっきり分かるんです。

例えばJAWS DAYSで、生成AIのエージェントとしての活用について、たくさん話を聞いたことがありました。「これは自分でも触ってみないと」と思って、翌週にはサービスを契約して使い始めました。2か月ほど使ったあとに年間契約へ切り替えて、今も使っています。

原田:話を聞いた翌週には、使い始めたんですね。「面白そう」と思っても、実際に試すまでには至らないこともあると思います。峠さんが行動に移せるのは、どんな理由からでしょうか。

峠: 面白いから、ということと、実際に役立つから。その二つですね。

仕事も家事も育児もあるので、自分の時間は限られています。だからこそ、どうすれば時間をつくれるのかを考えるんです。

例えばAIに作業を任せられれば、その分、学ぶ時間を増やせるかもしれない。仕事の進め方を学べば、限られた時間でもっと効率よく働けるかもしれない。そういう実利を感じる事例に触れると、やってみたくなります。

原田: 仕事や家庭と両立するために、コミュニティとの関わり方を変えることもありますか。

峠: ずっと運営側にいるわけではありません。別のコミュニティでは、立ち上げやイベントの開催に関わったあと、「いったん参加者に戻してほしい」とお願いしました。今は家庭に使う時間を優先しようと思っています。

社外の物差しが、自分の次の一歩を教えてくれる

原田:お話を聞いていると、人との出会いが自信につながったり、次に学びたいことが見つかったりと、参加を重ねる中で変化があったんですね。あらためて、峠さんにとってコミュニティは、どんな場所になっていますか。

峠: 社外の物差しで、自分自身や自分の会社を見られる場所だと思います。

世の中の変化が激しいと言われる中で、「じゃあ、自分は何をすればいいんだろう」と分からなくなるのが、僕は一番苦しいんです。不安ばかりが募ってしまうので。

でも、コミュニティに行けば、先を行く人たちが何をしていて、どんなスピードで進んでいるのかが見える。次に学ぶことや、準備しておくことを考えられるようになります。

ソフトウェアやマネジメントは、実際に体験してみないと分からないことも多いので、自分ごとにすることが大事だと感じています。

興味のある話から、自分なりの関わり方を見つける

峠さんにとっての入り口は登壇でしたが、関わり方は人それぞれ。まずは気になるテーマの話を聞き、共感したことがあれば、感想を伝えてみる。

自分に合うペースで参加する中で、社内では出会えなかった人や、次に学びたいことが見つかるかもしれません。

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