「複数の担当者から同じことを何度も聞かれる」
「そのたびに同じ説明を繰り返している」
こうした「同じ説明」の繰り返しは、金融業における業務課題の1つです。
本記事では、金融業の業務実態を独自に調査した結果を踏まえて、同じ説明が繰り返される原因とその解決策を解説します。説明工数の削減に役立つツールもあわせて紹介していますので、金融DX推進の方向性を検討する際のヒントとしてぜひ役立ててください。
目次
【調査結果】金融業における説明工数の実態
ヌーラボは、金融業に従事し、チームで仕事をしたことがあり、チーム人数増加経験がある方々46人を対象に、業務プロセスで発生する説明工数の実態を独自に調査しました。同じ説明が繰り返されている実態を、調査結果から読み解いていきましょう。
毎週約48分が「同じ説明の繰り返し」に消えている

金融業に従事する方々が、同じ内容の説明を複数の人に繰り返し伝えることに費やした時間は、平均47.7分/週でした。業務時間のうち、毎週約48分が同じ説明の繰り返しに充てられている計算になります。
なかには、週に2時間以上を同じ説明に費やしているという回答も10.9%(46人中5人)ありました。類似する内容の社内問い合わせへの対応が、一部の担当者の業務を圧迫している実態がうかがえます。
6割近くが「誰にどこまで伝えたか」を管理しきれていない
誰に何を伝えたのかを管理しきれていないことがある、と答えた人は全体の58.7%を占めました。すでに説明した人・まだ伝えていない人は誰なのか、各々にどこまで伝えたのかが不明確な状態が常態化しているケースは少なくありません。
そしてこの状態こそが、「同じ説明の繰り返し」を生む直接的な引き金になります。伝達状況が把握できていなければ、担当者は「念のため、もう一度説明しておく」という判断を取らざるを得ないからです。重複した説明は、こうして構造的に発生します。
同時に、説明した・していない、どこまで説明したかを管理することは、内部統制の観点からも重要なポイントです。一方で、説明する側の管理負担が重くなりやすいポイントでもあります。
半数以上が「記録はあるが理解できない」状態に直面している

本調査では、説明が簡略すぎて業務内容を理解しきれない事態が発生していた、と答えた人が56.5%と半数を超えました。つまり問題は、必要な情報が記録されているかどうかではありません。再現可能な状態で記録されているかです。
情報が記録・共有されていても、記録した当人以外が再現できる形になっていなければ、最終的には本人に聞くしかないという判断が働きます。特に与信判断のノウハウや監査対応に関する経験知など、ニュアンスも含めた詳細な共有が必要な事項ほど、この問題は表面化します。
【原因】金融業で同じ説明が繰り返されるのはなぜか
調査結果から、「同じ説明の繰り返し」が業務の負担になっている実態が浮かび上がってきました。なぜこのような状況が生じているのでしょうか。主な原因として、次の3点が挙げられます。
特定の担当者への業務の属人化
1つめの原因は、特定の担当者しか把握していない事柄が散見されることです。業務が属人化しており、担当者に聞かなければわからない・判断できない事項が少なからず存在しています。結果として、業務に必要な知見を備えたベテラン担当者に同じ内容の問い合わせが集中します。
業務の属人化・ブラックボックス化は、人事異動の多い金融業において業務引継ぎがスムーズに進まない原因にもなります。引継ぎ時の情報不足が頻発する原因や、異動に伴うナレッジ消失を防ぐための対策については、次の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
各種データの分散・サイロ化
2つめの原因は、さまざまな情報が社内に分散し、データがサイロ化していることです。疑問点や不明点の解消につながる情報がどこに保存されているのか明確になっていないために、やむを得ず口頭やメールによる質疑が積み重なっていきます。
記録に「判断の経緯」が残っていない
3つめの原因は、記録が結論だけを残し、そこに至る判断の経緯を残していないことです。調査で56.5%が「説明が簡略すぎて理解しきれない」と回答したのは、まさにこの状態を指しています。
「どのような例外条件を考慮したのか」「なぜ差し戻したのか」といった判断のプロセスが欠落していると、記録を読んだだけでは同じ判断を再現できません。金融業では、この再現性の欠如が説明工数の問題にとどまらず、判断基準の一貫性や監査対応時の説明責任にも直結します。
【解決策】同じ説明の繰り返しを防ぐ「金融DX」3つの方策
同じような内容の社内問い合わせが頻発する事態を防ぐには、どのような対策を講じればよいのでしょうか。原因の3点に対応する、3つの方策を解説します。
1. 暗黙知を形式知に変換する
属人化への対策です。特定の担当者しか把握しておらず、言語化されていない事柄(暗黙知)を、言語化・可視化された形式知に変換し、誰が見てもわかるようにしておくことが、説明工数の削減に向けた第一歩となります。
2. 形式知を一元化する(ハブを構築する)
サイロ化への対策です。マニュアルや留意事項が文書にまとめられていても、それらの置き場所がバラバラでは意味がありません。「ここを見れば間違いなく最新情報を得られる」という情報のハブを用意します。加えて、更新の履歴が残る仕組みにしておくことで、情報の鮮度と信頼性を担保できます。
3. 結論だけでなく「判断の経緯」を残す
再現性の欠如への対策です。記録すべきは結論だけではありません。どのような検討を経てその結論に至ったのか、というプロセスまで残すことで、はじめて第三者が判断を再現できます。
金融業においては、この経緯の記録が監査証跡としての価値も持ちます。「なぜこの判断をしたのか」を後から遡って示せる状態は、説明工数の削減とコンプライアンス対応を同時に満たす仕組みになります。
説明工数の削減に役立つツール「Backlog」の紹介
ここまで挙げた3つの方策を、実務のなかで無理なく実現する手段として、タスクを可視化し一元管理するプロジェクト・タスク管理ツール「Backlog」の特長をご紹介します。
暗黙知を書き足していける「ドキュメント機能」
方策1,2に対応する機能です。業務フローや対応ルールを「ドキュメント」に記録できます。Backlogのドキュメントは特定の管理者だけでなく、チーム全員で「共同編集」が可能で、更新の履歴も残ります。
最初は簡略に書かれたメモであっても、実務の中で気づいた人が「なぜこの手順が必要か」「過去にどんなミスがあったか」をその都度ページに追記・修正していけるため、書き手一人に依存せず、チーム全体で再現性の高いドキュメントへと育てていくことができます。プロジェクト単位で情報が集約されるため、「ここを見れば最新情報がある」というハブとしても機能します。
やり取りがそのまま残る「課題管理とコメント欄」
方策3に対応する機能です。Backlogでは業務が「課題(タスク)」という単位で管理され、そこでチャットのようにやり取りができる「コメント欄」があります。
日々の相談や確認をこのコメント欄で行うことで、「実際に現場でどんなやり取りを経てその結論(例外判断や差し戻し)に至ったか」というプロセスが、案件ごとに時系列で蓄積されていきます。マニュアルの記述自体が簡略であっても、後から見た人が当時の判断を再現しやすくなり、「本人に直接聞くしかない」という状況を大幅に減らせます。
必要な記録を素早く見つけ出す「Backlog AIアシスタント」
一元化した情報を「探せる状態」に保つための機能です。ドキュメントやコメントの書き方に多少のムラがあっても、Backlog AIアシスタントが関連する過去の案件やドキュメントを検索し、文脈を補完して提示します。
「どこに何がどんな書き方で残っているか分からない」という探索の迷いや、そのために質問を繰り返す工数を、テクノロジーでカバーします。
今回ご紹介したBacklogは、30日間無料でお試しいただけます。トライアル開始時の支払い情報入力も不要ですので、ぜひ説明工数削減にご活用ください。
金融DXを推進して説明工数を効果的に削減しよう
同じような内容の社内問い合わせと説明が繰り返される背景には、業務の属人化、データのサイロ化、そして記録に判断の経緯が残っていないという問題が潜んでいます。暗黙知を形式知へと変換し、一元化し、判断の経緯まで残すことで、同じ説明の繰り返しは削減できます。それは同時に、判断基準の一貫性や監査対応力を高めることにもつながります。金融DX推進を通じて、説明工数を効果的に削減してみてはいかがでしょうか。
金融業における、ベテラン担当者に「直接聞くしか方法がない」といった状況から脱却する方法についてまとめたホワイトペーパーをご用意しています。無料でダウンロードできますので、ぜひ社内共有・社内提案にお役立てください。
【調査概要】※本コラムでは「金融業」のみに対象者を絞った結果を掲載しています
調査名:プロジェクト管理に関する調査
調査対象:金融業に従事し、チームで仕事をしたことがあり、チーム人数増加経験がある方(n数=46)
調査方法:インターネット調査
調査期間:2026年2月20日~2026年2月24日
調査機関:株式会社ネオマーケティング




