テレワークや在宅勤務は、コロナ禍を経たことにより従来にも増して一般的な働き方として認知されるようになりました。場所を選ばず働けるテレワークは、合理的なワークスタイルとして多くの企業に導入されつつあります。
一方で、テレワークの導入によって生産性が下がるのではないか?という懸念が完全に払拭されたとは言い切れません。中にはテレワークが導入されて以降、生産性が下がったと感じている方も少なからずいるのではないでしょうか。
今回は、テレワークで生産性が下がる原因と対策について解説します。テレワーク環境の改善や生産性向上に向けた施策の提案にぜひ役立ててください。
目次
テレワークの導入によって生産性は下がる?
はじめに、そもそもテレワークの導入によって生産性は下がるのかを整理しておきます。
2017年に実施された調査では、テレワークを実施した企業の約半数が「生産性の向上」を導入目的として挙げています。実際に労働生産性が向上したか、企業の認識を尋ねた結果は下記の通りです。
【労働生産性向上目的でテレワークを導入した企業による効果の認識】
・非常に効果があった:28.5%
・ある程度効果があった:53.6%
・あまり効果がなかった:1.7%
・効果はよく分からない:13.4%
・無回答:2.8%
(平成30年度 情報通信白書 より)
一方、2021年に経済産業省が公表した「コロナ禍の経済への影響に関する基礎データ」によれば、オフィスでの勤務と在宅勤務を比較した場合の生産性は下表のように認識されています。
【在宅勤務と通常出社の生産性】
4年前の調査結果と比べると、「在宅勤務は生産性が低い」と感じている企業の割合が顕著に増えていることが分かります。これらの調査結果から、テレワークの導入直後には一定の効果を見いだしていた企業も、継続的な実施を経てテレワークが生産性を下げていると考え始めた実態が窺えるのです。
テレワークで生産性が下がる三つの原因
テレワークによって生産性が低下する主な原因を整理しておきましょう。さまざまな要因が考えられますが、中でも影響が大きいと思われる原因は次の3点です。
設備・環境面の対応不足
オフィス勤務から在宅勤務に移行して大きく変わることの1つに、設備や環境面が挙げられます。業務に使用するPCや通信といったハード面が十分に整っていないことで、業務の遂行に支障をきたしているケースがあるのです。
たとえば、オフィスでは業務用の複合機を使用して大量のコピーやスキャンができていたものの、在宅勤務では家庭用のプリンタしか用意できない、といったケースが典型例といえます。
ルール整備の対応不足
テレワークを導入する際、勤務場所や就業環境が変化することに伴ってルールを追加・変更するケースは少なくないでしょう。しかし、実際にテレワークを始めてみると業務管理や労務管理といったソフト面が十分に対応しておらず、不便を感じるケースが出てくることがあります。
一例として、業務の進捗状況を把握する手段がチャットやメールしかないために、高頻度で連絡を取り合わなければならないといったケースが想定できるのです。
運用面での対応不足
設備・環境面やルール整備を十分に行ったとしても、それらを運用するにあたって問題が発生することがあります。とくにコミュニケーションや相互理解が不足することで業務に支障をきたすケースは少なくありません。
たとえば、メールなど文字情報のみでやりとりしているために背景やニュアンスが伝わらず、認識のずれが生じてしまうといった事態が生じやすいのです。
生産性低下への対策1(設備・環境面)
テレワークの生産性低下への対策として、まずは設備・環境面への対策について見ていきましょう。主に次の2点への対策を講じておくことが大切です。
PC・通信環境・セキュリティ対策を整える
社員が私物のPCや自宅の通信環境を使用する場合、人によって作業環境に差が生じます。スペックの高いPCを所有している社員や高速通信が可能な通信環境が整っている社員は支障なく仕事を進められますが、社員によっては仕事が進めづらい・作業に適した環境が用意できないといったことになりかねません。
業務用PCの持ち帰りを条件付きで認めることや、個別に貸与することも検討する必要があります。セキュリティ対策の面でも、私物のPCにインストールするウイルス対策ソフトを提供するなど具体的な対策を講じることが大切です。
出社での対応が必須となる業務を絞り込む
文書の印刷や捺印を伴う業務をできるだけ減らしていくことも大切です。紙ベースでやりとりする業務が多ければ多いほど、出社での対応が必須となる場面を減らすのは困難になります。
クラウド上での文書のやりとりやデジタル捺印を導入するなど、出社での対応が必須となる業務を最小限に絞り込んでいきましょう。
また、上司・部下ともに「出社して対応するしかない」といった固定観念に縛られないよう注意する必要があります。技術的にはテレワーク業務が可能であっても、意識改革が進まず「出社したほうが早い」と考えるケースは少なくないからです。
生産性低下への対策2(ルール面)
次に、ルール面から生産性低下への対策に取り組むポイントを解説します。せっかくテレワークが可能な環境が整っても、ルールが従来通りのままでは仕事を進めにくいでしょう。次の2点を推進し、ルールを決めておく必要があります。
タスク管理方法を確立しておく
お互いが物理的に離れた場所で就業していても、進捗状況の確認・共有が可能なタスク管理方法を確立しておきましょう。ポイントは「仕組み化」することです。メールやチャットによる連絡でタスク管理をカバーしようとすると、連絡の漏れ重複が生じやすくなったり、連絡頻度が高くなりすぎたりする恐れがあります。タスク管理ツールを導入し、進捗状況が常にオープンな状態になる仕組みを確立しておくことが非常に重要です。
勤怠管理のルールを決めておく
出退勤や休憩時間をはじめ、残業時間や有給休暇の申請といった勤怠管理のルールを決めておきましょう。ある社員は電話で報告し、別の社員はメールで報告するといったように報告手段がまちまちになっていると、管理する側・される側の双方の生産性が低下する原因となります。クラウド勤怠管理ツールを導入するなど、就業場所を問わず勤怠管理を一元化できる仕組みを導入するのが得策です。
生産性低下への対策3(運用面)
最後に、運用面から生産性低下への対策に取り組むポイントを解説します。設備やルールが整備されていても、それらをうまく運用できていないと生産性を高めることはできません。とくに運用面でつまずきがちな2つのツールについて、対策方法を見ていきましょう。
Web会議ツールの活用方法を想定しておく
Web会議ツールの運用でよくある失敗例として、大勢が参加する会議で発言しにくい・発言する人が偏ってしまうといった状況が挙げられます。対面で実施する会議以上に、Web会議ツール上で発言するタイミングがつかめないと感じる人は少なくありません。
そこで、Web会議ツールを「会議」以外にも活用することをあらかじめ想定しておきましょう。たとえば、1on1など打ち合わせ以外の場面でもWeb会議ツールを積極的に活用することをおすすめします。本来はコミュニケーションを促進するためのツールですので、会議や打ち合わせだけに使用するといった固定観念に囚われないことが大切です。
チャットツールの活用方法を想定しておく
チャットツールに関しても、定型的な固い事務連絡ばかりにならないよう注意しましょう。出社時には挨拶やささいな質問・相談事ができていたにもかかわらず、テレワークになった途端に声をかけづらくなることは少なくありません。上司の側から「おはようございます」「本日も頑張りましょう」とチャット上で声をかけるなど、フランクな会話がしやすい雰囲気を作っていくことが重要です。
また、「お疲れさまです」といった定型句の省略や、スタンプの活用を推奨することも、コミュニケーションを活性化させる上で有効な方法といえます。重要な業務連絡でしかチャットを使用できないといった先入観をメンバーが持たないよう配慮しましょう。
テレワークの生産性向上にBacklogを活用しよう!
テレワークの生産性が下がる原因は1つではなく、複合的な要因が絡み合って生産性を下げていることがより理解できたのではないでしょうか。テレワークの環境下で情報共有やコミュニケーションを促進するには、必要な情報が常に共有されている状態にしておくことが非常に重要です。
プロジェクト管理やタスク管理を一元化し、情報共有を促進するBacklogを活用することで、メンバー間での情報の偏りを防ぎテレワークの生産性を高めることができます。Backlogの基本的な使い方や利用事例はサービス資料で確認できますので、テレワークの生産性低下を防ぐ対策の1つとしてぜひご活用ください。
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