ブレインストーミング(ブレスト)とは?意味・ルール・やり方を解説

アイデア出しが必要な場面でブレインストーミング(ブレスト)が活用されることがあります。ブレインストーミングは有効に活用すれば新たな発想が生まれる可能性がある一方で、ルール・やり方を押さえて実践していくことが重要です。

今回は、ブレインストーミングの意味や効果、実践するメリットについて紹介します。取り組む際のルールや具体的なやり方、注意点にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

ブレインストーミング(ブレスト)とは

ブレインストーミング(brainstorming)とは、集団でアイデアを出し合うことで創造的な発想を生むことを目的とした集団発想法です。その歴史は古く、1950年代にはすでに活用されていたといわれています。

日本語ではブレインストーミングのほか、ブレスト、BS法などと呼ばれることもあります。いずれも集団発想法のことであり、同じ意味を表していると捉えて差し支えありません。

ブレインストーミングの効果

ブレインストーミングを行う効果として、一人では思いつかないようなアイデアが生まれることが挙げられます。複数名でアイデアを出し合うことで連鎖反応が起き、新たな視点や発想が生まれやすくなるのです。

自由に意見を出し合う機会を設けることにより、アイデア創出の幅や可能性が広がることがブレインストーミングの主な効果といえます。新企画を生み出すための会議や、解決策に詰まっている時の打ち合わせなどに、ブレインストーミングを取り入れると効果的でしょう。

ディスカッションとの違い

ブレインストーミングとディスカッションは、目的・進め方が大きく異なります。ディスカッションとはお互いに意見をぶつけ合い、1つの結論に至ることを目的とした討論のことです。時には相手の意見に対して反論するケースも少なくありません。

一方、ブレインストーミングではお互いの意見を否定せず、自由にアイデアを出し合うのが基本的なルールです。また、多くのアイデアを出すことを目的としているため、必ずしも一定の結論に達することを目指していません。このように、人の意見に反論する・しない、結論を出す・出さないという点で、両者には大きな違いがあるのです。

バズ・セッションとの違い

バズ・セッションとは、数名程度の少人数のグループに分かれて行われる話し合いを指します。アイデアを出すことよりも、参加者全員が発言の機会をもつことを重視している点が特徴です。大人数で開催されるセミナーなどで、一人ひとりが発言しやすいようバズ・セッションを別途設けるケースが見られます。

ブレインストーミングも少人数で行われることが多いものの、主な目的が「アイデア出し」である点がバズ・セッションとは大きく異なります。両者は「実施する目的」が大きく異なると考えていいでしょう。

ブレインストーミングを実践するメリット

KJ法

ブレインストーミングを実践することによって、通常の会議や打ち合わせでは得られないメリットがもたらされる可能性があります。具体的なメリットとして挙げられるのは次の3点です。

新たな発想・アイデアが生まれやすい

新商品開発や企画会議においては、0から1を生み出す必要があります。既存の発想に囚われることなく、新たな着眼点を得るには自由闊達にアイデアを出し合える場が必要です。

ブレインストーミングの実践を通じて単に多くのアイデアが集まるだけでなく、他の参加者のアイデアを聞く中で発想力が刺激され、一人ひとりから出されるアイデアの幅が広がる効果も期待できます。これまでにない新たな発想やアイデアが生まれやすい状況を作れることは、ブレインストーミングを実践するメリットの1つです。

チームの結束・一体感が高まる

ブレインストーミングでは、奇抜なアイデアや独特な発想であっても否定しないのが基本的なルールです。自由に発言できる場が保証されていることは、参加者にとって心理的安全性の確保につながります。

また、自由に意見を言い合えるため前向きな雰囲気になりやすいこともブレインストーミングの特徴です。お互いの意見を認め合う場を設けることで、チームの結束や一体感が高まる効果も得られるでしょう。

参加者の発想力が磨かれる

ブレインストーミングは参加者同士が他の人のアイデアを聞く場でもあるため、必然的に多くのアイデアに触れることになります。自分では思いつかなかったアイデアに触れることで自身の固定観念に気づかされたり、思考の幅が広がったりする効果も期待できるでしょう。

このように、ブレインストーミングを繰り返し実施していく中で、参加者一人ひとりの発想力が磨かれていくはずです。発想力の底上げにつながる可能性があることは、ブレインストーミングを実践するメリットの1つといえます。

ブレインストーミングのルール

ブレインストーミングはアイデアの創出に役立つ発想法ですが、ルールに則って進めなければ十分な効果が得られないことも考えられます。ブレインストーミングの基本的な4つのルールを参加者が理解した上で、アイデア出しに臨むことが大切です。

1. 人のアイデアを否定しない・その場で結論を出さない

アイデアが出された際に「それは非現実的ではないか」と否定することや、「どうすれば実現できるのか」といったその場で結論を出そうとする発言をすることは控えましょう。たとえ実現可能性の低いアイデアであっても、思考の幅を広げる上で役立つ可能性があるからです。

参加者がお互いのアイデアを否定しないことが前提になっているからこそ、心理的安全性が確保された状態で参加者が自由に発言できます。人のアイデアを否定したり、その場で結論を出そうとしたりすることのないよう、参加者の間で共通認識を形成しておくことが大切です。

2. アイデアの質よりも量を重視する

ブレインストーミングを実施する主な目的は「できるだけ多くのアイデアを出すこと」です。アイデアの質にこだわるあまり、提示されるアイデアの数が限られてしまうようでは本末転倒といわざるを得ません。

ジャストアイデアでもいいので、アイデアの質よりも量を重視するのがポイントです。具体的にどのような方法でアイデアを形にしていくかは、ブレインストーミングとは別の機会を設けて議論していくべきでしょう。アイデアの「質よりも量」を重視することは、ブレインストーミングの基本と捉えてください。

3. 奇抜なアイデア・斬新なアイデアを歓迎する

参加者がお互いの発想力を刺激し合い、思考の振れ幅を広げていくことも、ブレインストーミングを実施する大きな目的の1つです。無難なアイデアやよくある発想に留まることなく、奇抜なアイデア・斬新なアイデアを歓迎するムードを作っていく必要があります。

たとえ非現実的なアイデアであっても、人の発言を笑ったり「実現できるわけがない」と否定したりすることのないよう注意してください。突拍子もないアイデアが出てくることは、ブレインストーミングを実施するメリットの1つでもあるのです。

4. アイデア同士を結びつける

ブレインストーミングの場で出されたアイデアの優劣を判断するのは避けましょう。参加者が「良いことを言わなければ」と考え始めると、アイデアが硬直化する原因にもなりかねません。まずはどのようなアイデアでも歓迎し、受け入れることが大切です。

その上で、出されたアイデア同士を組み合わせ、結びつけることで新たな発想へとつなげていく必要があります。アイデア同士の関連性を見出し、さらに新しいアイデアを創出しましょう。アイデアを「募っただけ」「収集しただけ」にならないよう、アイデア同士を結びつけていくのがポイントです。

ブレインストーミングのやり方

ブレインストーミングの基本的な取り組み方について解説します。多くのアイデアが次々と出てくる有意義なブレインストーミングにするためにも、次の4点を押さえておくことが大切です。

目的・テーマを明確にする

ブレインストーミングは発言の自由度が高いため、そもそもの目的・テーマを明確にしておかないと話題が脱線しがちです。何についてのアイデアを出すのか、解決すべき課題は何かを冒頭で示し、全員で共有しておく必要があります。

単に「何でもいいのでアイデアを出して欲しい」と伝えるだけでは、課題解決につながる発想は出てこないでしょう。目的・テーマをホワイトボードに大きく書いておくなどして、全員が常に確認できる状態にしておくことをおすすめします。

参加者を選出する

ブレインストーミングの参加人数に厳密なルールはありませんが、通常は3〜10名程度までで実施するのが一般的です。参加者が多すぎると発言できない人が出てくるため、大人数での実施はおすすめできません。

また、参加者の選出も重要なポイントです。普段から同じチームや部署に属して働いている人同士はアイデアが重複しやすいため、できるだけ異なる部門から参加者を集めるといいでしょう。

ファシリテーターを決める

ブレインストーミングをサポートする役割を果たす「ファシリテーター」を選出しておくことも大切なポイントです。進行やアイデアの統合をサポートするほか、アイデアに対する批判的な意見が出されるのを防いだり、発言をためらいがちな参加者を促したりする役割を果たします。

ファシリテーターがどのように関与するかによって、ブレインストーミングの成功・不成功が決まるといっても過言ではありません。ファシリテーターの人選にこだわり、全体をバランスよく見ることができる人を選出しましょう。

制限時間を決めて実践する

アイデアを思いつくままに発言していくと、つい時間が過ぎるのを忘れてアイデア出しに没頭してしまいがちです。アイデア出しに10分間、アイデアの取りまとめ・統合に15分間など、時間を短めに区切って実施することをおすすめします。

制限時間が設けられていることを事前に伝えておけば、参加するメンバーも集中して取り組みやすくなるでしょう。時間ばかりが過ぎていき、雑談会のようになってしまうのを避ける必要があります。

ブレインストーミングを実施する際の注意点

制限時間を長く取りすぎない

斬新なアイデアを出すには、多大なエネルギーと集中力を要します。参加者の集中力を持続させるためにも、短めの時間を設定した上で集中的にブレインストーミングを実施するのが望ましいでしょう。ファシリテーターはタイミングを見て残り時間を伝えるなど、参加者が集中力を保ちやすい状況を作っていくことが大切です。

参加者の多様性を重視する

ブレインストーミングの参加者を選出する際には多様性を重視しましょう。参加者の所属部門や年代、性別、ポジション、社歴などが偏らないように留意することで、多様な意見が出やすくなります。参加者の顔ぶれが「中堅社員ばかり」「同じ部署の人しかいない」といったことにならないよう意識して選出するのがポイントです。

テーマから脱線したら軌道修正する

参加者が自由に発言できることは有意義なブレインストーミングにしていく上で重要な要素ですが、テーマから逸脱したアイデアばかりが出されるのは防がなくてはなりません。ファシリテーターは参加者から出てくるアイデアを注意深く見守り、テーマから大きく脱線しているようなら軌道修正を図る必要があるでしょう。

まとめ

ブレインストーミングは集団で自由にアイデアを出し合う発想法であり、一人では思いつかないようなアイデアを生み出すには有効な手法といえます。一方で、ブレインストーミングの基本的な進め方や注意点を把握し、陥りやすい失敗パターンを回避することが大切です。今回紹介したポイントを参考に、ぜひブレインストーミングを有効活用してください。

アイデアの可視化やチームメンバーとの連携強化には、プロジェクト管理ツールBacklogの活用がおすすめです。ファイル共有機能を活用してブレインストーミングのテーマを事前に共有したり、お知らせ機能を活用して担当者の割り当てや連絡事項などをメールでお知らせしたりできます。チームコラボレーションを強化したい事業者様は、ぜひBacklogの導入をご検討ください。

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記事の作成
Backlog編集部

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