プロジェクトチームの生産性を高めるためには、日常的な情報共有は必要不可欠です。情報共有が適切に行えていないチームでは勘違いや待ち時間などのムダが増え、プロジェクト全体の進行速度が大きく低下します。
とはいえ、「必要性は理解しているけど、情報共有をする具体的な方法がわからない」「チームマネジメントは初めて。実は情報共有のメリットを理解していない」といった方もいらっしゃるでしょう。
この記事では「情報を共有するメリット」と「情報共有システムを効果的に導入することができない原因」について解説していきます。
具体的には、以下をご紹介します。
- 情報共有の具体的なメリット
- 社内で情報共有できていない原因を知る
- 情報共有ツールやアプリを導入する際の注意点
特徴を理解した上で情報共有の仕組みを導入するとチームの生産性を劇的に高めることができます。
目次
情報共有のメリットとは?
「チーム内で情報共有を徹底することで生産性を高めることができる」とはよく聞く言葉で、この言葉自体は決して間違いではありません。しかし、情報共有を推進する具体的なメリットを知る機会は意外と少ないですよね。既存の組織に新しい仕組みを導入するには時間と労力がかかります。情報共有は一人で進めるものではありません。周囲の理解を得るためにも、情報共有の仕組みを導入するメリットは事前にしっかりと抑えておきたいものです。
この章では情報共有のメリットである「属人化を防ぐことができる」「効率化が図れる」「信頼関係を築くことができる」について順番に解説していきます。
属人化を防ぐことができる
仕事中になんらかのトラブルへの対処が必要となった際に、「その仕事はAさんに聞かないとわからない。しかしAさんは外出中/休暇中」というケースを一度は経験したことがある方は沢山いらっしゃるのではないでしょうか。仕事を進めるためにはAさんが事務所に戻ってくるのを待つか、電話などでAさんに直接連絡をとらなければなりません。上記のようなケースは『仕事が属人化している』典型的な状態です。
仕事に待ち時間が発生することはもちろん、担当者や顧客への連絡回数が増えることも生産性の低下を引き起こす要因となります。個人が割り当てられている専門的な仕事領域ならともかく、聞けばすぐに理解・解決できるようなことは日ごろからメンバー全員で情報共有することで仕事の属人化を防ぎましょう。
ただし、情報共有にかける時間が長くなっては本末転倒となるので、スピーディーかつ簡潔に情報を共有できる仕組みを構築しなければなりません。
業務効率化が図れる
多数のチームメンバーで進めるプロジェクトでは、ほかのメンバーが作成したデータや資料を参照しながら仕事を進める機会が多くあります。日ごろからチーム内で情報共有を習慣化できていると、「あの人が作成した資料はどこに置いているのか」「そもそも資料は完成しているのか」と確認する時間を短縮することが可能です。ひとつの資料を探す時間は数分程度ですが、プロジェクトの規模は大きくなるほど資料を探す時間は長くなる傾向があるので、日頃から情報共有を徹底しておくメリットはとても大きいです。
信頼関係を築くことができる
「事前に予定していた打ち合わせにメンバーが揃わない」「依頼していた仕事が締切日になっても完了しない」などのトラブルを経験したことがある方は多数いらっしゃるでしょう。コミュニケーション不良が原因のスケジュールのブッキングや勘違いは、チーム内で発生しがちなトラブルのひとつです。
このようなチーム内のトラブルは単体でプロジェクトの進行に大きな影響を与えるものではありませんが、メンバー間の信頼関係が不良となるとチームの生産性はたちまち低下してしまいます。日毎からコミュニケーションを密にとり「言った/聞いていない」といった口論が発生してしまうことを未然に防ぐことができる点も、情報共有を徹底する大きなメリットです。
社内で情報共有ができていない原因を知る
前の章では情報共有することの具体的なメリットを紹介しました。普段の業務スピードを高めながら属人化も防ぐことができる点は、情報共有をチーム内で推進する大きなメリットであると言えます。しかし、情報共有を促進する仕組みを組織に導入するためには、「現状の組織で情報共有が実施されていない原因」を事前に明確化しておかなければなりません。
原因がわかっていなければ新しい仕組みを取り入れてもチーム内で定着化させることは難しいからです。
この章では情報共有が実施できない主な原因を3つご紹介します。
- チームメンバーや組織全体が情報共有できていると思い込んでいる
- 情報共有の重要性が組織に浸透していない
- 社内に情報共有がスムーズにできる環境が整っていない
組織の現状と照らし合わせることで、どのような原因で情報共有ができていないかを確認してみましょう。
チームメンバーや組織全体が情報共有できていると思い込んでいる
情報共有を実行できていない組織でも、メンバー自体は「自分たちはきちんと情報共有できている」と思っていることが多いです。たとえば社内でメール連絡をする際にプロジェクトメンバー全員をCCに入れるだけで「私はちゃんと情報共有をしている」と認識している場合もあります。メンバーが現状の情報共有方法に問題意識を持っていない場合は、リーダーなどの管理者が情報共有の変革を促しても変わらないことは当然です。管理者には情報共有の理想的なカタチをメンバーに明確に示すか、有用なアウトプットができる情報共有ツールを導入することが求められます。
情報共有の重要性が組織に浸透していない
そもそも情報共有の作業効率との関連性やプロジェクト進行に置ける重要性を理解できていない場合、情報共有の文化をチーム内で根付かせることは困難となります。なぜならば重要であると認識していないことに時間や手間をかけることは面倒と感じてしまうからです。
管理者はともかく、担当者レベルのメンバーでは情報共有の重要性を理解できていないケースが多いと言えます。情報共有を習慣化したい場合はマニュアル的に指示するだけではなく、情報共有を徹底する根拠や背景も含めて理解しやすくメンバーに周知教育することがとても重要です。
社内に情報共有がスムーズにできる環境が整っていない
情報共有に限らずなんらかの行動をチーム内で習慣化するためには、作業にかかる一連の手順を手間なくスムーズに実施できる環境が必要不可欠と言えます。たとえば現状使用している情報共有システムの動作が遅い、日付などの自動挿入に対応しておらず無駄な入力項目が多いなどの利便性の悪さは、情報共有を習慣化するうえで致命的な欠点です。日々の業務の中でメンバーに無理なく情報共有を実行してもらうためには、システムやパソコン端末の更新を含めて多角的に改善案を検討する必要があると言えます。
情報共有ツールやアプリを導入する際の注意点
ここまでの章では情報共有を推進するメリットと、組織で情報共有の文化が浸透しない原因をご紹介しました。現状の「情報共有を実施できていない原因」を正しく理解し対処することで、情報共有の仕組みを効果的に導入することが可能です。最後の章では情報共有の促進を実現できるツール/アプリを導入する際の具体的な注意点をご紹介いたします。
情報共有ツールの導入を検討する際に注意しなければならないことは、「情報共有の文化を根付かせて実際にチームの生産性を高めること」という目的を見失わずに検討を進めるという点です。以下にご紹介する注意点を事前におさえておくことで、情報共有ツールの効果的な導入を実現しましょう。
ツールやアプリ選びで気をつけたいこと
プロジェクト管理ツールなどの情報共有システムの導入を検討する際に、最も重要で注意を払わなければならないことはシステムの利便性です。具体的には「視認性」と「ポータブル性」は重要です、この二点が確保されたシステムでなければ利便性が悪く、組織に浸透させることは困難になります。まず情報共有システムではプロジェクト全体の進捗が一目でわかるチャート表示ができることがとても重要です。
プロジェクト規模が大きい場合、各タスクの進捗・担当者・期限などの情報は膨大な数となります。無数の情報をまとめプロジェクト進捗を一目瞭然に表示できる視認性がよいシステムでなければ、導入する意味はなくなってしまうでしょう。また情報共有の文化をチームで根付かせるためには「ポータブル性」も必要です。具体的にはPC端末・モバイル端末を問わずどこでも入力・確認できるシステムでなければ利便性が低くメンバーに使われないシステムとなってしまうかもしれません。以上のように情報共有ツールを選定する際には「メンバー/管理者ともに快適に利用できるかどうか」を第一の軸として検討することをおすすめします。
情報共有文化が根付いていないと効果が発揮されない
先述のとおり、導入するシステムはとにかく利便性が高くメンバーが毎日利用しても苦にならないものを選定することが必要と言えます。しかしながら、どんなに利便性が高く優良なシステムを導入してもメンバーが利用しなければ生産性を高めることはできません。情報共有文化が現状根付いていない場合は、情報共有をする根拠・メリットを明確に示した上で、手順の簡易性をわかりやすくメンバーに伝えていく必要があります。説明会の開催や社内でマニュアル作成を着実に実行することで、情報共有文化を着実に根付かせていくように心がけましょう。
メンバー全員が無理なく利用できるツールで情報共有の習慣化を実現する
この記事では「情報共有を推進する具体的なメリット」「情報共有を実行できない主要な原因」「情報共有ツールを導入する際の注意点」の3つを主題として解説いたしました。情報共有の文化が根付くとさまざまなメリットを得て生産性を劇的に高めることができますが、チームに根付かせるためには現状分析と無理なく情報共有を継続できる仕組みが必要です。
組織内の習慣を改善することは骨の折れる作業ですが、使い勝手のよい情報共有専門ツールを利用するなど総合的に対処方法を検討することができれば必ず現状を打破することはできます。ぜひ本記事の内容をご参考にしていただき、情報共有の習慣化を実現させてください。
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