Backlogユーザーのみなさま、こんにちは!
2024年12月14日に「Backlog World 2024 in Yokohama〜Grow Together 〜」が開催され、これからのプロジェクトマネジメントについて熱い知見が交わされました。
このブログでは、株式会社ピー・アール・オー 河野 千里氏と株式会社mgn 大串 肇氏による公募セッションの様子をレポートします。それぞれ「日報」「ミーティング」という日常的な作業に焦点を当て、明日から実践できるBacklog活用アイデアを話してくださいました。
目次
Backlog日報で広がる輪!つながるチーム、変わる職場|株式会社ピー・アール・オー 河野 千里氏
公募セッション枠には、株式会社ピー・アール・オーの河野 千里さんがご登壇!
河野さんは、Backlogでどんな成功体験を得たのでしょうか?
ピー・アール・オーは、大規模Webサイトの構築、スマホアプリの開発を得意としつつ、ECサイト、組み込み系、ゲームなど多種多様な実績を持つシステム開発会社です。
河野さんは開発部部長を長らく務め、現在は営業部セールスサポートチームマネージャーとして活躍。少し前までチームビルディングに携わっていたそうです。声をかけられたり、面白いことをおすすめされるとバイクでどこにでも行ってしまう「#サク越者」でもあるとか…
ピー・アール・オーは、Backlogを使い始めて12年目。なかでも10年前に立ち上げた「日報プロジェクト」では、社内の複数のチームがつながり、メンバー間のコミュニケーションが生まれ、職場の雰囲気全体が変わっていくという体験をしたそうです。
河野さんが語る、Backlogならではのチームビルディングとは?
日報プロジェクトが実現したノウハウの共有
2014年頃の社内では、縦割りの組織構造がチームの隔たりを生み出していました。チームが違うと誰が誰だかわからない、ナレッジが共有できず、他チームに事例があっても活かせないという状態でした。この問題をどうにか解決したいという思いから生まれたのが、「そうだ!Backlogで日報を書いてみよう」というアイデアだったそうです。
当時、すでにBacklogでプロジェクト管理をされていたため、課題のタイトルを列挙するだけでもやっていることはわかる状態です。「これならばメンバーの負担も少ないだろう」ということで、日報プロジェクトはスタートします。
当時の日報を振り返ると、そのフォーマットはとてもシンプルで、項目はたったの5つ。
日報の運用ルールは、大きく「起票」「日々の報告」「クロージング」という流れで行われます。月始めに部長がチームメンバー全員分を1人・ひと月・1課題として起票します。メンバーの数が多くても、Backlogの課題の一括登録を使えば瞬時に課題起票が完了します。
メンバーはその課題に対して、毎日の日報をコメントに記録していきます。Backlogの課題リンクを貼り付けたり、Backlog APIを使って自分がその日実施した課題を自動出力する機能を開発したり、各々で取り組んでいました。
月の終わりには、メンバーがまとめコメントを記載しマネージャーに提出。これに対しマネージャーがフィードバックコメントを書いたら、クロージングです。
「これをやっていると、誰がどんなプロジェクトに携わっていて、どんなことをしているのか、開発者全員に共有されるようになりました」と語る河野さん。
「自由欄で、個人がどんな技術を持っているのかを共有したんです。誰がどんなノウハウを持っているのかがすごくわかりやすくなりました」
人と人とをつなげるスター機能
「ノウハウの共有はBacklogでなくてもできるよね?」と思う方もいるでしょう。ここで河野さんはBacklogの大きな特徴として「スター機能」を挙げます。
「私、Backlogは唯一、感情に作用するタスク管理システムだと思っています。そう足らしめているのが、スター機能ですね。この機能があったからこそ、日報プロジェクトは10年続いてるのではないかなと思っています」と大絶賛。
実は、日報プロジェクトを始めた10年前は、スター機能は誰も使っていなかったのです。チームの盛り上げ役が使い始めてから共感が広がり、利用数は右肩上がりで上昇。現在はスターを押すのが当たり前になり、メンバーはモチベーションアップ、アウトプットも加速したそうです。また「頭が痛い」のようなちょっとネガティブなことが発信しやすくなり、同時に共感やフォローもしやすく・得やすくなったとか。
さらに共感によって心理的安全性が高まったことで、「ひとこと(自由欄)」も活性化。個人の思いを記載する場になり、社内コミュニティにも好影響を与えています。例えば運動不足という言葉から運動同好会が発足したり、見るに堪えないひどいコードにストレスを貯めるコメントからプログラミング勉強会が始まったりと、その効果を実感しています。
「スター機能によってアウトプットが加速し、人柄や能力を知るきっかけになります。さらに私の場合は『Cacoo』を使って、その情報をチームビルディングのインプットとして役立てていきました」と河野さん。
Cacooは、誰でも簡単にきれいに図が描けるオンライン作図ツール。全員で同じ図が見れるので、共通認識を創ったり、合意を形成したりするのに便利です。
チームメンバーとの1 on 1 にCacooを活用することで、メンバーの思いを可視化することに成功しました。「『会話の真ん中にCacooを!』を合言葉に、ぜひ使ってみてください」と河野さんがイチオシするツールです。
スター機能で加速する、チームビルディング
スター機能により受け取った・見えたフィードバックは肯定的な感情に作用し、社内で行動の連鎖を生み出していきました。この効果を踏まえ、スター機能を使った新たな試みにも挑戦しています。
ひとつは、「ホットな情報捜し」。スターを調査すると、社内の関心軸がすぐにわかります。そしてもうひとつ、「スタープレイヤーの発掘」も行えます。スターをたくさん集めたコメントや人は社内に注目されているということであり、スターをたくさん配っている人は社内に目を配らせている人だからです。さらにスター数の経過観察を加えると、メンバーのやる気や疲れの変動も把握できるので、早期にケアもできるでしょう。
「スター機能を使っていると、普通のタスクをこなしてるだけで、マネジメントに必要な情報がこのBacklogの中に集約されるんです。人材育成・チームビルディング・評価に活用できるのではないかと思っています」と河野さんは締めくくります。
スター機能の可能性を見出し、あまり知られていない応用的な活用も駆使されている河野さん。「Backlogは感情に作用するツール」というキーワードが印象的でした。
Backlogは使っているけれど、スター機能を使ったことはないというユーザーも多いはず。この機会に、ぜひスターで気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。
また、河野さんは2025年1月23日に開催されるCacooのオンラインイベントにもご登壇されます。興味のある方はぜひご参加ください。
Backlogを中心にミーティングをするアイディア|株式会社mgn 大串 肇氏
Backlog World 2024最後のセッションを行うのは、株式会社mgnの“めがね”さんこと、代表取締役CEOの大串 肇さんです!
mgnは、WordPressを専門とするWebサイト制作会社。大串さんは2011年頃からBacklogを使い始め、2015年のmgn設立後も使い続けているそうです。そして、必ずクライアントと一緒にBacklogのプロジェクトに入るという形を取っています。
大串さんは、Backlogを中心としてミーティングの効率化を実現するアイデアについて語ります。
ミーティングでよく言われること
「ミーティングと一口で言っても、みなさんの想像の中ではバラバラかな~と思います。ミーティングって5つに分けられるんですって。」と大串さんは話し始めます。
ミーティングは、以下の5つに大別されるそうです。
- アイディア出し
- 意思決定
- 問題発⾒・解決
- 報告・連絡
- コーチング
では、ミーティングはなぜ行うのでしょうか。「これだけオンラインが浸透しているなら、チャットやBacklogだけではだめなのか?」と思っている人も少なくないでしょう。
直接お互いの反応を見ながら何かを決めたり、声や表情から細かなニュアンスを感じ取ったり、大容量の情報を短期間で伝えたりと、対面には対面の良さがあるでしょう。これはこれで大切です。
一方、発⾔しない人は参加している意味がない、無駄なミーティングもある、実務の時間が削られるといった指摘もあります。
つまり「どうしたら効率よくミーティングができるのか?」が課題となるわけです。
どうしたら効率よくミーティングできるのか?
それでは、効率のよいミーティングを行うためにはどんな準備をしたらいいのでしょうか。大串さんは検証を行い、以下の結論に至りました。
- 事前に議題の共有や報告をすませ、議論やアクションに集中する
- 議事録を作って共有する
- ⽬的とゴールの明確化
- ⼈数を最低限にする
しかし、すべてのミーティングでこれができるでしょうか?コロナ禍以降はオンラインミーティングが普及し、30分や1時間おきに休みなくミーティングが入っている人もいるでしょう。どのミーティングも大小あれど重要で準備を怠れないのに、突発的なトラブルや割り込み作業、想定外の案件もしばしば発生します。
そこで大串さんが導き出したのは「Backlogを中心にミーティングをする」というアイデアです。
Backlogを中⼼にするミーティングのメリット
Backlogを中心にミーティングをするメリットはたくさんあります。当初の「効率よくミーティングできるか」という課題と照らし合わせると、次のような効果が期待できるでしょう。
- 事前に議題の共有や報告をすませ、議論やアクションに集中する
→「今週はBacklogのこの課題群を進めます」という簡潔な報告で済む
- 議事録を作って共有する
→必要な情報をBacklog課題に記載すれば、最小限の議事録で済む
- ⽬的とゴールの明確化
→いつまでに誰が対応するのか、すべてBacklogで設定できる
- ⼈数を最低限にする
→Backlogで担当者が設定されていれば、ミーティング後も見返しやすい
ただし、これらのメリットを実現するためにはひとつポイントがあります。それは「Backlogを中⼼とし、オンライン前提で進める」ということです。
「高い透明性で情報共有を楽にするために、今ここに人が集まったとしても、オンラインツールでミーティングをするということです」と大串さん。
オンラインミーティングを録画しておけば、当日参加できなかった人も、参加した人の振り返りとしても視聴できます。議事録も残りますし、都合の合う時間に見たり、倍速で効率よく見返したりできます。これはオンラインの大きなメリットと言えるでしょう。
議事録とBacklogをリンクさせるアイデア
ここから大串さんはBacklogを活用したミーティングの具体的なアイデアを紹介していきます。
ひとつ目は、「議題ごとにBacklog課題のリンクを貼り付ける」という一番シンプルな方法です。mgnでは、課題キーと件名のコピーボタンを活⽤しています。このキーやURLを議事録のドキュメントに貼れば、簡単にBacklogへのリンクができます。これだけでもミーティングが進めやすくなるはずです。
ミーティング中は、可能ならその課題にコメントを書いていきます。これがそのまま議事録となり、その次の指示やメンバーとの共有、次のアクションへとつながっていくでしょう。つまり省⼒化、時短が望めるということです。
ですが、一人でミーティングを進行させながら議事録を取るのはとても大変です。おのずとメンバーの協力が必要になるでしょう。そのためにドキュメントツールは共同編集できるものを選びましょう。事前にドキュメントを共有できれば、コメントのやり取りも可能です。
なお、Backlogのドキュメントは同時編集・コメントのやり取りに対応しています。リンクをカード形式にできるため、見やすい形で課題を紐づけられます。
ふたつ目はもっとシンプル。「Backlogのボード画面を共有しながらミーティングする」という方法です。前もって議事録でBacklog課題を共有していても、ミーティングまでの間に課題が完了していたり、新しい課題が立ったりすることはよくある話。
そこで、Backlogのボードを見ながらミーティングを進めていくことで、リアルタイムに対応できます。放置されている課題も処理できますし、課題に関わるメンバーが揃っていればその場で相談したり、決まったことを他のメンバーにも伝えやすいです。
最後に大串さんは、「これは私たちが日々やってるアイデアで、たたき台のひとつです。皆さんからフィードバックをいただければ、より良くできる可能性があります。今年のBacklog Worldのテーマは“Glow Together”です。みんなで意見を出し合い、みんなで成長できるといいなと思います。」と、メッセージを伝えました。
おわりに
いかがでしたか?セッション中は参加者が熱心に聞き入り、Xでもハッシュタグ #BacklogWorld で「知らなかった!」「来週からやってみよう!」といったポストが多かったのが印象的でした。
Backlog Worldは登壇者や参加者の垣根なく、お互いに知見や意見を交換し合う場です。皆さんのアイデアも、ぜひお聞かせください!
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