新しい取り組みを正しく評価する!段階に応じた評価の仕方

ヌーラボのアジャイル★ライダー長沢です。組織やチーム内の新しい取り組みを適切に「評価」できていますか?

本記事では、新しい取り組みを「評価」する際の注意点とその方法をご紹介します。新しい取り組みでは、評価は段階に応じて変えるべき理由を丁寧に解説します。

前回の振り返り

新しい取り組みを成功させる!導入計画の考え方」では、新たな取り組みをするときの考え方を考察しました。

新しい取り組みで、ある程度の時間を要することを想定して、期間の見込みと起こりうるリスクを明示することは、決して後ろ向きな態度ではなく、責任をもって新たな取り組みを遂行する上で大切なことであることをお伝えしました。

新しい取り組みの導入期間について

新たな取り組みの種類は大別すると「今までやっていなかったことを行う」か「今までのやり方を別の方法にしてみる」のどちらかになります。

どちらの場合でも、導入にはそれなりの期間が必要です。すぐにできることならば、厳密な計画や意思決定を待つより実践してしまった方が良いからです。「なかなかそうはいかない」または「コストがかかる」から、期間もリスクも要するのです。

その長い期間(目安として2週間から3ヶ月)、まったく同じ評価基準で進めていくことが必ずしも正しいとは限りません

評価基準は都度変えていく

新しい取り組みは期間、リスク、期待値、成果などが伴い、評価基準も都度変化していきます。

このとき評価軸として重要なのは、リスク・期待値・成果です。

起こりうるリスクにどう対応していくかは大切です。導入当初は「リスクは織り込み済みなので」と済むようにしたいものです。ただ、いつになってもそのリスクを抱えているべきかは別の問題になります。

  • その取り組みでは根本的に改善できないものなのか?
  • その取り組みで慣れるまではリスクを伴うが、やがてリスクが緩和されたり、解決したりするものなのか?

これらは都度評価していく必要があります。

期待値もそうです。今までできなかったことがどれくらいできるようになるのか最終ゴールを明確にするのは大切ですが、一気にそうなることはないでしょう。段階的に何でそれを評価するか、見極めることが大切です。

成果もリスクと期待値と同様です。

導入期間にフェーズを設ける

導入計画の段階では、どうしても最終成果に着目しがちです。しかし、評価は最終結果と結び付くとは必ずしも限りません。

例えば、最終結果として成果目標の達成度で評価されるのは難しいのは直感的にもわかるでしょう。時間やこなした苦労に比例して成果が上がるならば良いのですが、そうはいかないことは、前々回前回で示してきた図からもわかるでしょう。

では、どうするのかというと、導入期間中にフェーズを設けてそのフェーズにあった適正な評価を行ってみてはいかがでしょうか

たとえば、第1回で述べたように、導入当初は一時的にパフォーマンスが落ちるので

  • 「落ち込みを最小限に留められているか」
  • 「モチベーションが著しく下がっていないか」

をみられるとよいでしょう。パフォーマンスの落ち込み度合いもだいたい把握でき、このまま続けていけそうと判断できたならば、本来の取り組みの成果を軸に評価します。

これをフェーズとして切り出してみると以下の図のようになります。

導入前と導入直後のフェーズ

[導入前フェーズ]は、新たな取り組みをはじめる前なので、現状の分析(できるだけ数値情報を取っておく)と新たな取り組みの導入計画の時期です。

[導入直後フェーズ]は、先述した「パフォーマンスが落ちる時期」です。そしてそこから改善の見込みがあるかを測る時期です。

この2つのフェーズでは、定量的な評価より、定性的な評価が重要になることが多いです(※定量的な評価も定性的な評価もどちらも重要ですが比較するという意味です)。

新しい取り組みに疲弊していないか、新たな取り組みの定着後の近未来への展望が失われていないか、といったところです。

定性的なというと、「笑顔が増えた」とか「挨拶するようになった」とか「会議でみんなが発言するようになった」とか「今まで目をつぶっていた問題を話し合うようになった」とかです。

評価と定着のフェーズ

[評価フェーズ]は、新たな取り組みによってどうパフォーマンスが改善できるか、期待した効果がでてきているのかを測る時期です。

導入前と直後のフェーズで、モチベーションが下がらず保てているならば、定性的な評価より、定量的な評価に指向が移っているはずです(※このフェーズでも定性的な評価が中心だと危険信号かもしれません)。

[定着フェーズ]は、新たな取り組みが定着しているのかを測る時期です。ベタな表現だと「息を吸うように実践できている」となるかを目指しましょうといったところです。

定着後に発生する課題

忘れてはいけないは、定着したら新たな課題が顕在化してくるという事実です。

それは今回の新たな取り組みとは関連がないことも多いです。

しかし「新たな取り組みのせいでこんな問題が起きてしまった」と錯覚しがちです。

乱暴な言い方をすると、仮に今回の新たな取り組みによって引き起こした新たな課題だったとしても、取り組みの問題とすべきではありません次の新たな取り組みの材料を得たと捉えるべきです

ほら、次の改善のネタがでてきたでしょう(笑)。

まとめ

今回は、新たな取り組みを実施している期間をフェーズで分けて評価の仕方も変えていきましょう、という提案をしました。

ここでも大切なのは、実践者のモチベーションと、関係者との相互理解が行えているかに他なりません

新たな取り組みを実施するときのフェーズ分けは、厳密にはもうすこし細分化したり、グラフの節目となる位置よりすこし(前段階に)ずれていたりすることが多いのですが、今回ご紹介した図のフェーズをイメージしてもらえれば概ね問題ありません。

あとは、現場にあったやり方は現場で見つけていってくださいね。

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