#JBUG広島 #Backlog と蟻とアジャイルの話 #JBUG

世界中のBacklogユーザーのみなさま、こんにちは! コミュニティマネージャーのTanny(タニー)こと、谷山鐘喜(たにやましょうき)です!

テーマをこのご時世にぴったりの「制御不能な時代に立ち向かえ」として登壇者の方々に思う存分語って頂きました♪
JBUG広島は様々な取り組みを行っていて、メンバーや登壇者が個性的で見せ方も工夫しながら楽しく進めています。

その時の様子をレポートとし、コミュニティマネージャーとしての所感をお届けします。

やんこさんによる「とあるWeb制作会社の使用事例 #1」

今年の1月からBacklogを使い初めたそうですが、当初はJBUG広島に参加する事で様々なTipsを学んでいったようです。
タスクの進行状況を細かく把握する為、「状態の追加」を駆使し細かく進捗を把握されているそうです。
「ディレクターとデザイナーの間」ではまとめて修正の指示出しがある為課題は1つの案件に対し、2,3課題との事でしたが「ディレクターとエンジニアの間」では1つの修正に対し1つの課題を立てるので必然と数は多くなるそうです。
また、社員さん同士で仲が良い事もありBacklogのテーマを個人ごとにアレンジしたりするという遊び心も忘れていないそうです。

Tanny’s eye

進捗管理に関して「誰待ち」なのか一目瞭然な状態を追加されているのは勉強になりました。デフォルトの4つだけであれば「状況」は分かりますが、どこのポジションでタスクが止まっているかは分かりません。
担当者を設定すれば「誰」がボールを持っているか分かりますが、逆に言うとその人以外はそのタスクに気づけない事もあります。
ただし、「担当者がAさんで状態がエンジニア待ち」になっていれば、Aさんではないエンジニアの方々も「自分達がボールを持っている」という認識に変わる為Aさんの状況を見て別のエンジニアのBさんがタスクを処理して返すというチームワークを生み出せる機会に繋がると思います。

やんこさんの資料やんこさんの資料

富岡さんによる「在宅勤務時代をBacklogで乗り越えてる話」

現在は某携帯電話会社でAWSチームのアーキテクトをしているという富岡ですが、Backlogを使用して4年が経つそうです。
そんな富岡さんですが、コロナ禍で2020年4月から原則在宅勤務になったそうですが、当初は下記のような様々な混乱や課題が生じたそうです。

「テレワーク開始時の課題」

  • VPNが繋がらない
  • 仮想デスクトップが繋がらない
  • オンラインミーティングが増えた
  • 他のメンバーが何をしているのか分からない
  • タスクの依頼がSlackで気軽に飛んでくるようになった

「こんな状態では仕事が回らない」と感じていた富岡さんはBacklogで下記のような仕組みを作り、業務の可視化に成功されたそうです。

「Backlogの課題を案件に見立てて以下のように定義」

  • 課題の本文を「ストック情報」と考え、課題の概要と完了条件を記載する
  • 親課題の担当者を案件のオーナーと考える
  • コメント欄はコメントを書いたり履歴確認に利用する

こうする事で誰もが課題の内容を理解できて後から振り返る事も可能だそうです。
他にも進捗会議では相談しながら下記のような取り組みを実施しているそうです。

「進捗会議での取り組み」

  • 必要に応じて期限日を変更する
  • 親課題の担当者が子課題の担当者を責任持ってアサインする
  • 課題に記載されているスコープに変更があったら本文に追記する

結果として親課題の担当者であるオーナーが増えてご自身も負担が減ったそうです。(22案件→7案件)
それだけではなく、「親課題の担当者がオーナー」と定義するだけで各メンバーが主体的に課題をコントロールするようになりメンバーの意識の底上げにも繋がったそうです。

Tanny’s eye

とても勉強になったのは課題登録に対する考え方です。
詳細欄の本文に「課題の概要と完了条件」を記載する事で誰が見ても分かる状態を作り出しています。

書き方や受け手にもよるかもしれませんが大抵の事は質問を受けずに済むはずなのでその時点で「改めて伝える時間」を節約できていますし、将来の自分が見ても理解できるのでその度にリアルな記憶と反省を呼び起こす事が可能だと思います。

それだけではなく、親課題の担当者をオーナー制にする事で親課題単位でのPMを生み出しているようにも思えました。

実際各担当者が主体的になって動いているという事ですから、その効果は敵面でありBacklogというツールを使ってそのような環境を構築した事で成果に結び付けているという事例はまさにベンダー冥利に尽きると感じました。

富岡さんの資料富岡さんの資料

きょんさんによる「人間よ昆虫に学べ!タスク管理をしないアリはなぜうまく生活できるのか」

趣味で蟻を研究しているというきょんさんは普段はアジャイルコーチとして新規事業開発や企業研修に携わっているそうです。

蟻には「先天的な役割分担」があって、体の大きさなどの特徴や年齢によって仕事の役割が異なり予め決まっているそうです。

但し、育児担当の蟻に何かあってできなくなった場合は、兵隊蟻がそのサポートに入るなど、先天的役割の垣根を超えてサポートに入るという特性もあるそうです。

また蟻にはブラック社会が構築されており、必死で働く蟻がいる一方でとことん怠けて働かない蟻もいるそうです。

そして蟻は世界で最も多い昆虫で人間の「70億人」に対し「数兆匹」存在するそうです。だからこそ蟻のモデルを参考にするといいかもしれないと考えたそうです。

翻って我々人間のタスク管理について考えると、下記のような話を聞くのではないかと例をあげておりました。

「一般的なタスク管理に対する考え方について」

  • 負荷を平準化しよう
  • ある範囲では役割をなくすけど、ある範囲を超えたサポートについては考えない
  • ゴールに向かって一緒に行けないやつはチームから外せ

これって蟻と逆の事をやっているなぁと感じたきょんさんは書籍やブログなどの言説を信じ込み過ぎず、様々な疑問を持って物事に取り組む大切さを「蟻の習慣」を例に訴えておりました。

Tanny’s eye

最初は「ん?蟻の話??」と思いました。テレビなどで蟻の習慣について知る事があってその時は面白いなぁと思っていました。

なので個人的に興味は無くはないのですが、それがどうやってプロジェクトマネジメントと話が結びつくのかイメージができなかったです。

しかし、そこはきょんさんでしたね。なにも蟻の真似をしよう。というのでは無く、「数兆匹」と子孫を繁栄している蟻の習慣を知る事で、人間の仕事に取り組む時の姿勢や考え方に疑問を持とうという切り口でした。

僕自身話を聞いていて引き込まれたのは「役割分担」や「ブラック社会」など人間と共通している部分があると感じたからです。
さぞかし「デスマーチ」は「蟻地獄」にあたりそうですね。

そういう意味では動物や昆虫などあらゆる生物の習慣を参考に人々の取り組みを見直すという考え方はとても良いかもしれません。

そういう意味ではとてもアリな内容でしたね。本当にアリがとうございました。
次回が楽しみです!!

きょんさんの資料きょんさんの資料

及部さんによる「制御不能な時代のプロジェクトマネジメント」

新卒で楽天に入社し、現在は株式会社デンソーでエンジニアをしている及部さんは開発者として様々な経験をされてきたそうです。
そんな及部さんに「どんな事を考えてプロジェクトマネジメントをしているのか」について語って頂きました。

まずプロジェクトを進めていくにあたって大切な事は「分からない事」とどう向き合っていくかという事でした。

今後の先行きやプロダクトの行方、性格や価値観が分からないメンバーなど、分からないという事は不安ではあるものの悪い事でもなんでも無く、「当たり前」という考え方です。

そのような前提のもと、プロジェクトを下記のような段階に分類されていました。

「プロジェクト序盤」

一番情報を持っていない状態なので完璧な計画を作ろうとせず、まずは必要最低限の計画や設計を行い取り組んでみる事が大切との事です。
特にその際に有効なのはインセプションデッキなどを使用し、メンバー全員の認識を一致させる事だと言います。

なぜならインセプションデッキを作成する中で出てきた言葉や考え方はプロジェクトを進めていく上でのコンパスとなるそうです。

但し仕事の回し方やリズムに関しては職種や立場によって異なるので、「スクラムは1週間のスプリントだから」などと、無理に型にはめずに融通を利かせながら進める大切さを訴えておりました。

「プロジェクト中盤」

序盤にメンバーで決めた事を大切にしつつもあまりそれらに固執しない方が良いとの事でした。目の前で起きている事にフォーカスしながらも「変えない」と固執するのでは無く、「変える」という発想で柔軟な対応をしていく方が良いそうです。

なぜなら序盤で立てた計画や設計はあくまで仮説に過ぎず、目の前のプロダクトで起きている事やユーザーからのフィードバックが「FACT」だからです。

また、リスクマネジメントに関しては小さな事でも気になる事は書いて吐き出しておく必要性を訴えておりました。
なぜなら頭に残しておく事自体がコストなので、「書いたら忘れて目の前の事に集中する」為だそうです。

その後の指針になるのはユーザーからのフィードバックであり、当初立てた仮説からどの位ずれているかを把握して擦り合わせを行い、微調整していくそうです。

その際に重要なのは「偉い人の意見」では無く「ユーザーの声」に耳を傾ける事だそうです。

このような開発スタイルを進めていく中で「作業」や「決裁」を同時並行で進める新しい会議スタイルも提案していました。

「プロジェクト終盤」

終盤だからと言って頑張る理由にはならないとの事です。
開発チームは最後だからこそペースを崩さずに冷静になって「本当に必要か」という観点でタスクの処理を判断する必要があるそうです。
本当に必要であれば実行に移し、そうでなければやらないだけ。という事でした。
それよりも終盤では今回の反省をいかにして次回に繋げるかという発想の方が大切のようです。

Tanny’s eye

僕自身最近はアジャイルコーチの話を聞く機会が増えてきています。その度に感じるのは皆さんの考え方やプロジェクトに対する向き合い方はとても腑に落ちるという事です。
「合理的且つ柔軟」というのが僕の印象で、そのプロセスや取り組みは僕自身とても面白いと感じています。
今回も及部さんから沢山の価値観を吸収させて頂きました。印象に残っている物は下記の通りです。

「参考になる考え方」

  • 序盤は一番情報がないから完璧にこだわるな
  • リスクは書いたら忘れろ
  • 検証段階では「メンバーの意見 < ユーザーの声」
  • 最後にラストスパートという発想でいきなり頑張るな
  • 終盤では反省をどうやって次回に繋げるか考えろ
  • 分からない事は悪い事でないのでどうやって付き合うかに焦点をあてろ

皆さんいかがでしょうか?
改めて言われると「分かるけどそれができないから困っているんだよ」というのが本音ではないでしょうか。

その時は及部さんに相談しましょう。

僕としてはここに人間関係が絡んだりするので一筋縄ではいかないかもしれない。とも思いますし、更には「炎上」、「クライアントの怒り」、「逼迫した財政状況」などチームメンバーが追い込まれた状況でいかにして冷静にこのように進める事ができるのかがチームとしてその真価を問われてくるのだと思いますし、それが「現場」だと思いました。

そう考えると、そんな状況下で自分自身どの位できるものなのか経験したいようなしたくないような、そんな気分になりました。

及部さんの資料及部さんの資料

及部さんのとても格好良い入場シーン

品川さんによる「グラッフィクレコーディング」

今回は広島でエンジニアをされている品川さんに及部さんのセッション内容をグラレコにして頂きました。
とても素敵でしたのでこちらで一部ご紹介させて頂きます。
品川さんありがとうございました。

品川さんによるグラッフィクレコーディング品川さんによるグラッフィクレコーディング

最後に

今回の開催に向けご尽力された、JBUG広島の中道さん井上さん石橋さんお忙しいところお疲れ様でした!!ありがとうございました!!
最後は恒例の記念撮影😃

最後の記念撮影最後の記念撮影

参考資料につきまして

次回予告について

2020/10/30(金)20:00〜JBUG札幌#7「初めてのオンライン!試される大地のプロジェクトマネジメント」

開催情報につきましてはこちらのページをブックマークして都度ご確認頂ければと思います。

また、拠点関係なくゲリラ的にYouTubeでライブ配信する「JBUGフルリモート支部」が立ち上がります。

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JBUGについて

JBUG(ジェイバグ:Japan Backlog User Group)は、Backlogユーザーによるコミュニティです。現在はオフラインやオンラインでのイベント開催をメインに、Backlogの話だけに止まらず、プロジェクトマネジメント全般やチームコミュニケーション、働き方などについても意見交換を図っています

プロジェクトマネジメントは、全ての業種/職種において必須のスキルである一方、そのノウハウが学べる場はあまり多くありません。

Backlogは国内最大級のプロジェクトマネジメントツールであり、すでに100万人を超えるユーザーがいることから、「プロジェクトマネジメント」「仕事のうまい進め方」に関する知識やテクニック、ノウハウを学び合うことをねらいとして、Backlogユーザーによって、JBUGが発足されました。

実体験から学んだ知見やノウハウのシェアを通し、より「働くを楽しくする」を実現したいと思っています。

あなたの街でもJBUGのイベントを開催しませんか?

これまで、北海道、東京、愛知、静岡、大阪、兵庫、高知、岡山、広島、福岡、宮崎、沖縄にてJBUGのイベントが開催されました。

いずれも、「イベントをやろう!」というBacklogユーザーさんが主体となり、リーダーとして話を進めてくださっています。もしあなたがBacklogユーザーで、「私の住む街でもJBUGを開催しようかな?」と思ったら、ぜひお気軽にJBUGのフォームからご連絡ください!Backlog運営メンバーの方々と一緒に、開催時期やテーマについて考えましょう!

Backlogの開発・提供のみならず、プロジェクトマネジメントのリアルなノウハウや知見を共有する場をオフライン、オンライン問わず増やしていくことにより、「働く」を楽しくしていきたいと考えています。

それでは、JBUGのイベントでBacklogユーザーのみなさまにお会いできることを楽しみにしています!

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