国内最大級のMICE施設「パシフィコ横浜」がBacklogをテレワークに活用!手帳・ふせんなど個人に閉じたタスク管理からデータベース型のタスク管理に移行した効果
Backlog導入前の課題
■ 社内や外部とのコミュニケーションで使っていたメールは、1日放置すると100通以上飛び交う状況。テレワークでリアルタイム性が求められる業務では限界がある
■ 社内の業務は紙ベースや保存ルールのあいまいな共有フォルダで管理されており、情報が閉じているため「互いの業務や進捗を可視化する」仕組みが弱かった
■ 3年などの一定周期の社員の異動も多く、業務の引継ぎやナレッジの共有がうまくできていない
Backlog導入後の効果
■ コミュニケーションをメールベースからBacklog+チャットツールにしたことで、テレワークでリアルタイム性が求められる業務にも柔軟に対応
■ Backlog導入でデータベースのタスク管理ができるようになり「互いの業務を可視化して、タスクの対応漏れを防ぐ」という意識がチームメンバーに芽生えた
■ Backlogの課題やWikiに業務マニュアル、顧客情報、代理店とのやり取りなどの情報を集約して、引継ぎやナレッジシェアの文化を根付かせる
国内最大級のMICE* 施設(会議や展示会、イベントなどの会場施設)を運営する「パシフィコ横浜」では、新型コロナウイルス感染症の感染防止のため全社的にテレワークを導入し、タスク管理ツールとしてBacklogを活用しています。
テレワークでリアルタイム性が求められる業務に対応するために、社内のコミュニケーションのメインツールをメールからBacklog+チャットツールに移行し、コミュニケーションの迅速化やリアルタイム性の問題を解消。タスク管理を手帳やふせんなど、個人に閉じたツールからBacklogに移行してデータベース型にしたことで「履歴が残らない・担当者がわからない・期日がわからない」という問題を解消し、互いの業務を可視化して、タスクの対応漏れを防ぐ意識を根づかせつつあります。
同社が取り組むテレワークでの業務管理とBacklog導入によるコミュニケーションの改善効果について、営業推進部 営業開発課 南雲 隆さん、松原 正和さんにお伺いしました。
※MICEとは、Meeting(企業ミーティング)、Incentive Travel(報奨・研修旅行)、Convention(国際会議)、Exhibition/Event(展示会/イベント)といったビジネスイベントの総称
目次
緊急事態宣言を受けてテレワークを導入!パシフィコ横浜の業務のオンライン化をBacklogが支える
ーパシフィコ横浜の事業概要について教えてください。
パシフィコ横浜(株式会社横浜国際平和会議場)は、政府系会議や学術会議、各種コンサートやイベント、展示会、ホテルからなる複合MICE施設の運営をする企業です。
1991年に会議センターと展示ホール、ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルが最初に完成しました。続けて国立大ホール、アネックスホールなどの施設を完成させ、現在では、公共駐車場や緑地・広場などの施設も運営・管理しています。2020年4月24日には、ビジネスイベント市場(MICE市場)規模の世界的な拡大や横浜での開催需要を踏まえて、新施設「パシフィコ横浜ノース」がオープンしました。
ー2020年4月の緊急事態宣言を受けて、パシフィコ横浜様ではテレワークを本格的に導入し、業務をBacklogやチャットツールなどで管理されるようになったそうですね。
はい。緊急事態宣言の発令と同時に一部輪番制にして、全社でテレワークをはじめました。テレワークの準備については、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言を受けて、弊社の経営企画課のシステム担当が2週間足らずでネットワークを整備して、急ピッチで進めてくれました。そのおかげで、もともと計画していた「業務のデジタル化を目的としたBacklogなどのオンラインツールの導入」もスムーズに行えました。
ー今回パシフィコ様のように急ピッチでテレワークを導入した企業はきっと多いですよね。もともとBacklogを導入する計画はあったそうですが、ITツールの活用はあまり進んでいなかったのでしょうか?
そうですね、社内でのITツールの活用具合にはバラつきがありました。ただ、緊急事態宣言が発令される1年前から、パシフィコ横浜の代表が「デジタル化に力を入れていく」と方針を決めて、社内の業務をデジタル化する計画がありました。
背景には、紙ベースでの書類管理が中心となっており、それに伴うワークフローの効率化が課題となっていました。また、施設運営に加えて、新たな事業として力を入れはじめていた広告事業や旅行業などの付帯事業が立ち上がるなかで、従来のアナログな手法では業務を管理しきれないという経緯がありました。
松原は去年の5月にパシフィコ横浜に入社したのですが、社内のコミュニケーションや業務管理をデジタル化するために、Backlogをはじめとしたツールの提案・説明会を実施したり、タスク管理のナレッジをBacklog Wikiにまとめたりする取り組みをしています。
本当は時間をかけて各部署にITツールを普及しようと考えていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で強制的にテレワークを導入することになり、全社導入が一気に進んだというのが現状です。1ヶ月ほどテレワークで業務に取り組んだ感想としては、全社員の協力もあり、とても上手くいっていると感じています。
ーテレワークでのコミュニケーションはどのように進めていらっしゃるのでしょうか?
社内のコミュニケーションはBacklogとビジネスチャットツールを併用しています。以前からメールは使っているのですが、リアルタイムでやり取りが必要なテレワーク下では、メールのみの運用では限界があることがわかりました。
Backlogとチャットツールのすみ分け方としては、チャットではリアルタイムで話し合いたいこと、Backlogはタスク管理として使っています。Backlogのアカウント数は現在(取材実施2020年5月)社内外で20アカウントほどで、MICEの誘致・セールスや、広告事業・地域連携を担当する営業推進部と総務部・広報チームで使われています。
導入して日が浅いため、私の方でタスクをひろって、Backlogに課題として起票してメンバーに割り振る運用もしています。ツールで対処しきれない部分はオンライン会議で補足するために、Zoomを利用しています。
「1日100通のメール受信、個人のタスクは手帳で管理」テレワークをはじめたことで浮き彫りになった業務上の課題
ー今回のテレワークでBacklogやチャットツールなどを本格的に使うようになりましたが、以前のタスク管理の手法と比較してどうですか?
あらためて、以前のデジタル化していないタスク管理は改善の余地があることがわかりました。弊社は催事場の運営・管理が事業の主軸ですが、主催であるお客様とさまざまな手配の確認をする必要があるため、書類手続きが日常的にあります。
その一方、業務管理としては、大げさに言うと手帳やふせんなど紙ベースや共有機能のないツールを使って担当者ごとに自己のタスクを管理するのみとなっており、チームでのタスク管理として「互いの業務を可視化する」という文化が弱く、上手く共有されていませんでした。
ー個人のタスク管理は手帳やふせんなどの閉じたツールでしたが、そこで起きていた問題について教えてください。
手帳やふせん、と言うと大げさですが、“共有機能の無いツール”などのタスク管理だと、どうしても情報が個人に閉じてしまい、チームメンバーの業務を可視化する、といった運用が難しい状況でした。そのため、「履歴が残らない・担当者がわからない・期日がわからない」という問題も起こりがちで、タスクの進捗やマイルストーンの可視化が求められていました。
また、社内外の案件に関するコミュニケーションツールとして使っていたメールは1日放置していたら100通以上飛び交う状況で最適な手法ではありませんでした。広告案件で代理店からの電話も頻繁にきていたので、口頭ベースでの業務依頼も増えてしまい、その対応に時間を費やしていました。
Backlog導入で「互いの業務を可視化する」文化がパシフィコ横浜の社内に醸成されはじめた
ーBacklogなどのオンラインツールで業務を進めるようになってどのような効果がありましたか?
まずはミニマムのスタートではありますが、Backlogが共通のタスク管理ツールになったことで、個人に閉じていた業務進捗がチームメンバーに可視化されるようになりました。その結果、「履歴が残らない・担当者がわからない・期日がわからない」という問題が解消されました。タスクの進捗を紙ではなく、マイルストーンなどのデータで管理することで、スケジュール遅延、タスク漏れの対策ができているのは大きな効果です。
また「オンラインで互いの業務を可視化して、タスクの対応漏れを防ぐ」という意識がチームメンバーに根づきつつあります。
ータスク管理がチームに習慣化するとナレッジを蓄積できると思うのですが、このあたりの変化や効果はありましたか?
ありました。パシフィコ横浜は、事務系の社員については、ジョブローテーションがあることから、3年程度の一定の周期で社員の異動があります。こうした異動が多い環境下において、社員同士のやり取りに閉じたツールを使っていると、業務の引継ぎやナレッジの共有が難かしいのです。
Backlogの課題管理やWikiを使った文書管理は、こうした情報の「ブラックボックス化」や属人化を防ぐのに大変有効だと感じています。マニュアルや顧客情報、代理店とのやり取りなどの情報をBacklogに記録することで社内にナレッジシェアの文化を根付かせていきたいです。
ー広告代理店とのタスク管理など、社外とのBacklogの使い勝手はいかがですか?
広告代理店との案件管理で活用しています。催事広告や一般企業広告の取りまとめ用に使っていますが、ガントチャートで催事のスケジュールを管理したり、細かい手続きが多い広告案件を課題で管理しています。
また、弊社の広報チームでは、Facebookページの投稿運用にBacklogを活用しています。
以前はこうしたタスクはメールやExcelでやり取りしており、掲載期日や案件ごとの情報管理が難しかったのですが、Backlogを導入後は期日の設定や情報が明確に管理できるようになったので助かっています。
また、課題のトップに関連情報(投稿予定の記事一覧や関連リンク)を入れるようにして使っているので、課題毎の基本情報が把握しやすいです。メインの担当者以外のチームメンバーとも随時情報共有ができるのもありがたいですね。
「Backlogはデジタルふせんです」社内のメンバーへの導入を円滑に進めるための秘訣
ー紙ベースで業務を管理しているひとにとって、Backlogをはじめとしたオンラインツールを導入するのはなかなか敷居が高いと思うのですが、このあたりはどのように利用を促していますか?
必ず最初に自分は「こう使っている」という使用事例を見せています。事例を見せることで「広告案件をマイルストーンで進めています」と口頭で説明するよりも、より相手がイメージしやすいと思うので。
加えて、わかりやすい言葉に置き換えてツールや機能を説明することを意識しています。例えば、説明する時は「Backlogはデジタルふせんです」という説明と一緒にカンバンボードを見せるとか。ぱっと見たときのわかりやすさでいうと、課題画面よりもカンバンボードなので、まずはカンバンボードを見せて、実際に使ってくれたら課題一覧で管理してもらう、という運用にしています。
テレワークの波を受けて、今後パシフィコ横浜で取り組む「オンライン施策」とは
ーテレワークを一ヵ月続けて、見えてきた課題などはありますか?
今後ますます「業務を可視化する仕組みづくり」が必要だと考えています。社内のメンバーがBacklogやチャットツールに慣れていくことで、ツールで管理するタスク量は増えるので、その状況を見据えながら課題の受け渡しがもっとスムーズになる仕組みを構築していきたいです。
ー新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークを導入する企業が増えて、オンライン化の波は強まっていくと思いますが、今後パシフィコ横浜が取り組んでいきたいことはありますか?
今後、オンラインのイベントが増えていくことは間違いありません。それにともない、パシフィコ横浜では、オンラインとリアルな場での開催が組み合わされた新しいイベントの形(ハイブリッド型)が増えていくことを想定し、今から準備に向けて動いていきたいと考えています。
幸いにも、今回のテレワークでタスク管理に使ったツールは、オンライン配信のツールに似ているものが多いです。なので、今回の経験を糧にしていきたいです。
会社としてもデジタルへのシフトが急速に進み、2週間でテレワーク環境を構築して、Backlogなどのツールをうまく活用できた実績があります。この実績をバネに、Backlogなどのオンラインツールを今まで以上に活用して「オンラインとオフラインが融合したハイブリッドイベントといえばパシフィコ横浜」という印象を世の中にもってもらい、業界を牽引してく存在になっていきたいです。
※掲載内容は取材当時のものです。