結論の出ない会議から卒業するための3つの手法

こんにちは。会議に対して、必要とは思いつつできるだけ少なければどんなに楽だろうと、複雑な気持ちを感じている中村です。今日は「会議の結論を出すために効果的な3つの方法」を紹介します。


突然ですが、みなさんの会議は効率的に行われていますか?

会議のゴールは、何らかの結論を出すことですが、そこに至るまでには難しい局面が多々あります。例えば、以下のような場面に遭遇した人は少なくないでしょう。

  • 話の枝葉にこだわって議論が進まず、時間間際になってよく聞いてみると結論は一緒だった
  • お互いの前提条件が合っておらず、同じ共通認識を持つまでに時間がかかった
  • 声が大きい人の発言ばかりが重視され、なかなか意思表示をできない人の意見を汲み取ることができなかった

同じ時間を共に過ごし、徐々にコンテキストがあってくると以上のような場面は減ってきます。

しかし、何もやらずにただ時間が解決するのを待つのではなく、少しでも早く結論を出して会議を効果的なものにするために使える手法を紹介したいと思います。

効果的に結論を出すための3つの手法

ここでは、以下の3つの手法を紹介します。

  適正人数 適した場面
プランニングポーカー 2,3〜7,8人 会話をしながら、徐々に認識を合わせていく場面

親指サイン(Roman Voting) / 拳から5本指(5 Fingers)

2,3〜7,8人 ある程度情報が出た後、最終的な意思決定の場面
ドット投票 4,5〜数10人 多数の意見を、短時間で素早く見える化したい場面

プランニングポーカー

最初は、プランニングポーカーです。アジャイル開発の見積もりのときによく使われる手法で、聞いたことがある・使ったことがある方も多いのではと思います。

まず、1, 2, 3, 5, 8, … といった、フィボナッチ数が書かれたカードを各自が用意します。そして、ベースラインとなるものの大きさを2と定めたとき、今から見積もりしようとするものが2と比べてどれくらいか?をカードの数でメンバー一斉に表現します。

数が大きく異なった場合、一番小さい数を出した人と大きい数を出した人で議論した後、再度カードを出し直します。詳細は、下図のkawaguti氏によるプランニングポーカーかんたんガイドに簡潔にまとまっているので、参照ください。

試してみると分かりますが、このプランニングポーカーは会議を前に進めるのに非常に効果的です。通常の見積もりの場でよくある、声が大きい人に引きづられる・なかなか結論に収束しないということが劇的に減ります。

何か迷ったときは、お互いの認識を確認するため、「まずポーカーしましょう!」という会話が出るときもあります。

プランニングポーカーかんたんガイド by kawaguti

(ちなみに、数字が書かれたカードを使ってやることが多いのですが、特にカードにこだわらずとも構いません。5までなら、指の数で簡易的に表現することもできるでしょう。ヌーラボでは拠点が離れたメンバー同士でやることもあるので、以前紹介したようにスプレッドシートを使ったり、チャット上に一斉に数字を入力したりなどで実現しています。)

親指サイン(Roman Voting) / 拳から5本指(5 Fingers)

続いては、親指サインと、その派生系である拳から5本指を紹介します。

親指サインは、親指の立て方で3パターンの意思表示を行います(一部、絵文字の関係で親指でないところがありますが、ご容赦ください😙)。

  • 👍(親指を上に):提案に賛成
  • 👉(親指を横に):どちらでもよい、チームの決定に従う
  • 👎(親指を下に):提案に反対、引き続き議論したい

親指サインは、賛成 or 反対だけでなく、どちらでもよいという意思表示も表現できます。現実的な議論の場では、賛成でも反対でもないということもあると思いますが、そのときに有用な表現ですね。

Lean coffeeという会議の手法中でも、取り入れられています。ある程度議論が出尽くして、最終的な意思決定の場で用いるといいかと思います。

親指サインの意思表示を、もう少しバリエーションを増やしたものが、拳から5本指です。5本の指をどれだけ立てるかによって、意思表示の度合いを表現します。下記のスライドが詳しいので、こちらを参照ください。

( 強いチームの作り方  by Yoshiba Ryutaro )

ドット投票

最後は、ヌーラボで実施しているワークショップでも紹介した、ドット投票です。大勢の意思表示を、素早く見える化できる手法です。ワークショップなど大勢の参加者がいるときに効果を発揮しますが、日々のミーティングでも活用できます。

例えば、下図はふりかえりにドット投票を用いた例です。

KPTを用いたふりかえりにおいて、Problem(図左側の領域)がいくつかあがったのですが、全てを詳細に話す時間はないと判断しました。

そこで、各自の顔アイコンをドットに見立て、解決したいと考えている付箋に対して投票してくださいと促し、投票数が多かったものを重点的にTry(図右側の領域)を考えるようにしました。さらに、Try案もいくつかあがったので、ここでも同様にアイコンによるドット投票で、効果的だと考えるものを表現しています。

backlog-ドット投票ふりかえり(KPT)において、ドット投票によるProblem/Tryの決定

手法導入の際のTIPS

最後に、こちらで挙げたような新しい手法を導入する際のTIPSを紹介します。

発散 / 収束フェーズにおいて、収束フェーズで使う

ここで紹介した手法は、合意形成・意思決定の場で使われることが多い手法です。必然的に、議論の収束フェーズで使うと効果的でしょう。しかし、場の流れを無視して、まだ発散フェーズにいるときに使おうとすると、中途半端な情報で決定しようとして逆効果になる場合もあります。

目の前の議論の流れは「発散して様々な意見を出してもらう場なのか」「決定に向かおうとしているところなのか」を見極めてから、適切な手法を活用するようにしましょう。

試しに使うときは意識的に使うようにしてみる

新しいものを導入するときは、多かれ少なかれ心理的ハードルがあります。心が迷ってしまうと、惰性で楽な方向、つまり今までと同じやり方を取りがちです。特に、親指サインや拳から5本指など、体を動かすものは余計に照れが出ることもあるでしょう。

ただ、試してみて初めて分かることも多いはずです。

「今日はこういう手法を試しに取り入れてみたいと思います」など、予め場に宣言しておき、機会があればえいやで使ってみるぞと決めておくといいでしょう(もちろん、むやみやたらに使うことはないよう、場は見極めるように)。


ヌーラボでは、意思決定を迅速にするお手伝いをしてチームを支える人を募集しています。興味がある方はまずはお話だけでも良いので、ぜひ応募してみてください。

(アイキャッチ写真:Planning Poker by Joel Bez )

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