運用コストを40分の1に削減した、大規模WebリニューアルプロジェクトにBacklogを活用

Backlog導入前の課題

・合計1,000ページにおよぶ公式Webサイトのリニューアルを内製で進行
・チーム5名のうち、IT業務経験者は1名のみという布陣でプロジェクトを開始

Backlog導入後の効果

・誰もが状況把握できる環境を確立、社内ノウハウの共有も効果的に行える
・在宅での進行、不在時のフォローがしやすく、時間と場所にとらわれないタスク管理が可能に

国内最大級のMICE*施設『パシフィコ横浜』を運営する株式会社横浜国際平和会議場(以下、パシフィコ横浜)。同社では、コロナ禍におけるテレワークをきっかけにBacklogを導入し、コラボレーションツールとして活用いただいています。そして2023年12月には、株式会社ヌーラボ主催の「Good Project Award 2023(以下、GPA2023)」で最優秀賞を受賞されました。同プロジェクトでBacklogはどのような役割を果たしていたのでしょうか。同プロジェクトをリードし成功に導いたチームNADOの経営推進部 経営企画課係長 松原様、同係長 西谷様に詳しくお話を伺いました。

パシフィコ横浜の大規模WebリニューアルプロジェクトにBacklogを利用

―― この度はGPA2023最優秀賞受賞、おめでとうございます! 改めて御社の事業と、プロジェクトの概要をお聞かせください。

ありがとうございます。『パシフィコ横浜』を運営する弊社では、イベント誘致や企業・団体営業、主催者を支えるコーディネーター業務を主軸に、自主イベントや顧客向けサービスの企画、施設管理など多彩な事業を展開しています。『パシフィコ横浜』は、日本を代表するMICE施設として、海外セールスも積極的に行っており、パシフィコ横浜のWebサイトには国内外問わず多くの方々からのアクセスがあります。

最優秀賞を受賞したプロジェクトは、このWebサイトを全面リニューアルするために立ち上げたものです。合計1,000ページ、ピーク時は月間100万PVを超える公式Webサイトを、「サステナブルWebデザイン」を取り入れてフルリニューアルする大規模なプロジェクトでした。

―― このプロジェクトの進行管理にBacklogをご活用いただいたのですね。

初めての内製、しかも完全内製化によるアジャイル開発という一見無謀にも見えるプロジェクトでした。挑んだのは、経営企画課に所属する「チームNADO」のメンバーです。チーム名は既存事業に留まらず、新しい事業やプロジェクト等いろいろやる「~など」を由来に、勝手に名乗っています(笑)。我々チームNADOの5名のうち、IT業務経験者は1名のみという布陣でしたが、このビッグプロジェクトは見事に成功。さらに年間運用コストが以前と比べて40分の1にダウン、という驚異的なコスト削減を実現しました。

パシフィコ横浜株式会社 横浜国際平和会議場 経営推進部 経営企画課 係長 松原 正和 氏

パシフィコ横浜株式会社横浜国際平和会議場
経営推進部 経営企画課 係長 松原 正和 氏

Backlogで誰もが状況把握できる環境を確立。スピードを速め手戻りを減らす、アジャイル開発を推進

―― チームNADOの偉業ですね! Backlog導入から公式Webサイトリニューアルプロジェクトでの活用に至った経緯を伺えますか?

2020年にBacklogを導入して以降、社内で業務のデジタル化が徐々に浸透しつつあります。導入当初はコロナ禍の混乱や環境の変化が続く中で、我々のチームでは「誰が・何を・いつまでに」を可視化できるよう、Backlogを活用した業務の見える化に取り組んでいました。

2022年にはBacklogをひと目見れば、各自の状況が誰もが把握できる環境が確立できたと思います。在宅勤務時においても、業務がスムーズに行えるようになったことから、「うまく回っているな」と実感することが多くなってきました。

2023年になり、営業部門でBacklogを活用していたメンバーが新たに加わり、現在の5人体制になったわけですが、この頃にはチーム内全ての業務をBacklogで管理できるようになっていました。その中でWebサイトリニューアルのプロジェクトが立ち上がったので、Backlogで管理することはある意味、必然の流れでした。

―― ここからBacklogを活用したビックプロジェクトが動き出したわけですね。どのようなスタートを切られたのでしょうか。

まずは「どのようなサイトを目指していくのか」を探るために、社内のヒアリングから始めました。社内の各部署に赴き、要望や課題を吸い上げました。プロジェクトリーダーの松原が全要望に対して「これはすぐにやりましょう」「これは次のフェーズでやりましょう」と一つひとつ返答し、優先度の高いものからBacklogに課題起票するといったやり方で進めていきました。

―― サイトのリニューアルと内製化に踏み切ったとき、社内の反応はいかがでしたか?

リニューアル自体は全員が必要性を認識しており、肯定的に受け止めてもらえていました。ただ、突貫工事でサイトを作成するにあたっては、さまざまな意見があることは承知していたので、情報を随時共有することで不安なく進められるように動くことにしました。

しかし、本プロジェクトは外出自粛要請の解除や「ポストコロナ社会」といった生活環境の変化を受け、多くの催事が戻ってくることが予想される中で動き出したこともあり、時間的な猶予がありませんでした。

―― スピード感を重視してプロジェクトを進める必要があったわけですね。

内製化の大きなメリットは、スピード感です。外部ベンダーとの調整や発注手続きなどが不要となり、サイト開発を高速化することができます。また、Webリニューアルの進行にあたって、事前にヒアリングした要望をもとに、60~70%の完成度で仕上げたサイトの全体像を、本番環境への反映前に共有していました。

スピード感をもって一気に進行するような場合に懸念されるのは、やはり社内のハレーションや手戻りの増加です。そのため、社内全体でのイメージ共有、認識のすり合わせを重視しつつ、やり取りを地道に行っていたのです。スピードと進め方の両面から、臨機応変に対応できる“完全内製化でのアジャイル方式”が最適解だったのです。

パシフィコ横浜株式会社 横浜国際平和会議場 経営推進部 経営企画課 係長 西谷 直子 氏

パシフィコ横浜株式会社 横浜国際平和会議場
経営推進部 経営企画課 係長 西谷 直子 氏

Backlog活用で感じた効果。属人化を防ぎ、メンバー不在時のフォローがしやすい

―― 具体的にどのようにプロジェクトを進行しましたか?

まずはスケジュールの策定です。リニューアルはフェーズ1とフェーズ2に分けて段階的に進行することにしました。次に、完成イメージの共有です。カテゴリーやジャンルの整理、ページの再構成、ディレクトリマップの公開など、根本的なUI/UXの改善と必要なページの取捨選択を実施。そして、ターゲットに合わせて全体設計からページデザインまで再構築しました。そのビジュアルイメージを見える形で随時共有しながら、方向性を確認しながら進めていきました。

―― その中で、Backlogの活用方法と、効果を感じられた部分があれば教えてください。

リニューアル対象のページは、まず課題として起票します。個々のページに関する作業内容や情報をリアルタイムで集約・ストックして共有したり、タスク管理やチームメンバーの進捗確認にも活用しました。元々1,000ページ以上あったWebサイトは約200ページまで削減しましたが、Backlogのおかげでタスク漏れや遅延などは発生せずスムーズに進行できました。作業も属人化することなく分担で行うことができる仕組みとなり、作業工数も削減できています。

目標としていた4か月でリリースできたことも大きな成果ですね。Backlogの利便性は、タスクの振り分けや在宅での進行、不在時のフォローがしやすい点にあります。しかもプロジェクト管理だけではなく、社内ノウハウの共有や外部ユーザーの招待も効果的に行える。最初はBacklogでのタスク管理が不慣れであったメンバーですが、少しずつ「場所」「時間」にとらわれない働き方、タスク管理ができるようになりました。

実は私の上司もBacklogの効果を高く評価しており、「大きなイベントが中止となったコロナ禍は、さまざまな制約もあった。そんな中でもリモートで新しいプロジェクトに取り組めるのはBacklogのおかげ。Backlogがなかったら辞めていた社員もいると思う」と言うほどです。

もともと、従来のやり方を変えることに対する抵抗感というのは、どうしてもあると思いますが、コロナ禍での状況を踏まえて、BacklogをはじめとしたITツールを駆使しながらリモートでプロジェクトに取り組む環境を整えることができた――。この成功体験から、新しいツールを積極的に採り入れる文化が広まりつつあります。

パシフィコ横浜 松原氏・西谷氏

Backlog活用を起点にDX文化の醸成を図りたい

―― 嬉しいお言葉をありがとうございます! 今後の展望をお聞かせください。

今回の成功体験は、社内からの意見を引き出すための環境づくりにつながりました。社内から「実はこういうことをサイト上で実現したかった」という声が増え、フェーズ2に向けてサイトの作り込みに気合いが入っています。

今後はSlack連携をはじめ、もっと気軽なBacklogの活用環境の整備をしていく予定です。Backlogは業務に必要な情報を一元化し、物理的に離れているメンバーでもスムーズにプロジェクトを進められる、素晴らしいコラボレーションツールです。その真価が発揮できるのは“全員で使ってこそ”。今後は小規模なチームからBacklogの利用が広がり、成功体験を重ねることで、その良さが広まることを期待しています。当社としてもDXを進めたいという方針ですし、Backlogを活用したDX文化の醸成・定着を図っていきたいですね。多様な働き方の実現と業務効率化を目指し、積極的にチャレンジしていきたいと考えています。

——貴重なお話をありがとうございました!

 

*MICEとは:企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字を取りMICE(マイス)と呼ぶ、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称

※掲載内容は取材当時のものです。

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