工場DXから全社活用へ。オンワードグループに聞く、「Backlogがないと仕事を回せない」理由

Backlog導入前の課題
・建設、ITベンダー、現地スタッフなど多国籍・多職種が関わり、メール中心のやり取りで情報が分散していた
・誰が何を担当し、どれが最新かを追えず、課題の放置や「言った・言わない」が起きやすかった
・最短1週間で届けるという「KASHIYAMA」のブランドコンセプトに対応するには、受注情報を紙で扱う従来の仕組みでは対応しきれなかった
Backlog導入後の効果
・やり取りと進捗をBacklogに集約し、「どれが最新版か分からない」が解消。担当と責任の所在も明確に
・ガントチャートのURL共有で同じ画面で会話でき、現地調整もリモートで前進。出張の必要が減った
・大連プロジェクトを起点に全社へ拡大し、社外含め約800ユーザーの情報基盤に成長
・特定の人に頼らず、課題ややり取りを残す文化が定着。担当者が代わっても経緯をたどれるように
アパレル商品の企画・生産・販売を一体で手がけ、婦人服から紳士服まで幅広く展開するオンワード樫山などを傘下に持つ、オンワードホールディングス。同グループでは、進行管理とコミュニケーションの基盤としてBacklogを全社的に活用しており、その規模は約800ユーザーにのぼります。
導入のきっかけは、中国・大連のスマートファクトリー立ち上げプロジェクト。メール中心のやり取りで生じがちだった情報の分散や課題の放置といった悩みに、Backlogをどう活用して向き合っていったのか。導入背景から全社への広がり、具体的な活用方法まで詳しくお聞きしました。
目次
多国籍・多職種が関わる一大プロジェクトのDX基盤に「Backlog」を選択
―― まずは御社の事業概要と、Backlog導入のきっかけについて教えてください。
オンワードホールディングスは、オンワード樫山やオンワードパーソナルスタイルなど、複数の事業会社を擁するグループの持株会社です。ホールディングスのDX推進室では、特定の事業会社だけでなく、グループ全体のITやセキュリティを横断的に管轄しています。
Backlog導入のきっかけは、注文から最短1週間でオーダースーツを届ける新ブランド「KASHIYAMA」の立ち上げに伴う、「大連工場のスマートファクトリー化」プロジェクトでした。
多様な注文を、正確に、かつスピーディーに生産へつなぐには、受注情報を紙で管理するような従来の仕組みでは限界がありました。ミスや作り直しが起きれば、ブランドコンセプトが成り立ちません。そこでカギとなったのが、工場システムの刷新(スマートファクトリー化)です。
DXの観点で最も重要だったのは「情報が正しく、早く伝わること」。工場内で完結する話ではなく、既存システムと新しい工場システムをどのように接続するのかも重要な論点でした。そのため、グループ全体のITを管轄するDX推進室が立ち上げから深く関わることになり、私たち二人もそれぞれの立場で参画しました。
しかし、このプロジェクトを進めるにあたっては、「コミュニケーション」の大きな壁に直面することになります。

株式会社オンワードホールディングス
DX推進室
DX推進Div. ITプラットフォームSec.
課長代理
水谷 圭介 氏
―― その壁を乗り越えるツールとして、Backlogを選定されたのですね。具体的な理由を教えてください。
アナログなコミュニケーションを変えるためです。それまでのやり取りは、基本的にメールでした。ところが、立ち上げには建設会社、施工管理、工場管理、ITベンダー、コンサルタントなど多くの関係者が関わり、工場は中国にあるため現地スタッフとのやり取りも発生します。情報が分散し、誰が何を確認し、どれが最新なのかを追うのが難しい状態に陥っていたのです。
そこで、進行管理を一元化できるツールを探し、たどり着いたのがBacklogです。社外の関係者や当時の導入担当者自身に利用経験があったことも、導入の後押しになりました。
社内外の調整も進捗共有もBacklogへ集約。「どれが最新版か分からない」がなくなった
―― 具体的な活用方法を教えてください。
タスクの管理はもちろん、決まったことや関係者とのやり取りを、Backlog上にドキュメントとしてまとめていました。運用ポリシーや進め方を書いて共有することで、同じ説明を繰り返さずに済みます。また、個人の記憶やメールに頼らず、プロジェクト全体のノウハウとしても蓄積できました。
一部のシステム会社や設備関連会社にはアカウントを発行し、設備やシステム連携の調整も課題として管理。社内外の関係者が同じ場所で確認できる状態をつくったのです。

株式会社オンワード樫山
プロダクトグループ プロダクトDX Div.
デジタルイノベーションSec.
課長代理
小林 遼志 氏
―― よく使われている機能はありますか?
ガントチャートは、課題を登録すれば連動してスケジュールが可視化されるので、重宝しています。わざわざエクセルでスケジュール表を作成する必要がなくなりますし、予定が変更になっても、Backlog上で動かせば反映されます。全員が同じガントチャートを見ているので、「どれが最新版か分からない」という手間がなくなりました。
条件を絞り込んだ結果がURLに反映されるので、見てもらいたいガントチャートのURLを共有すれば、同じ画面で話が通じるのも便利ですね。担当者で絞り込めば自分のやるべき課題も一覧で確認でき、抜け漏れを防ぎやすくなっています。

ガントチャートでスケジュールを可視化
親子課題を活用し、必要な工程がひと目でわかるように
誰が何を担うか明確になり、「言った・言わない」の不毛なやり取りから脱却
―― Backlogを使うことで、プロジェクトの進め方に変化はありましたか?
誰がボールを持っているかが、ひと目で分かるようになりました。担当者を指定し、複数人へのメンションもできるので、責任の所在がぼやけにくいんです。「やっておきます」と言ったまま止まってしまう、「やりました」と報告されても想定と違うものが上がってくる、ということは、どうしても起こってしまいます。しかし、そうしたやり取りをオープンな場で行い、誰もが確認できる状態にしておくことに、大きな価値があると感じています。
結果として課題が放置されにくくなり、「言った・言わない」にもなりにくい。誰がどこで止まっているかが見えるので、チームでお互いをフォローしやすくなりました。「あの人はこういうタイプだから気にかけておく」といった属人的な管理も減ったと思います。
―― お互いをフォローし合えるチームへと変化していったのですね。使いやすさや、業務効率化の面ではいかがですか?
課題とガントチャートが連動しているので、遅れもすぐ見えます。今となってはBacklogがないと仕事が回らない状態ですね。以前はメールでのやり取りでなかなか話が進まず、「現地に行ったほうが早い」となりがちでしたが、リモートでも進めやすくなりました。
実は、前任者はコロナ禍ということもあり、ビザの都合で2週間ごとに日本と中国を往復していた時期もあったんです。今は、課題を整理することで何が目詰まりしているかを把握でき、重いデータも共有できます。現地に行かなければ進まなかった確認を、オンラインで進められる場面が増えました。
グループ横断で約800ユーザーへ。Backlogは同じ情報を見て進める情報基盤に
―― 時間や距離が離れた相手とのやり取りも、進めやすいのですね。現在のBacklogの利用規模を教えてください。
社外ユーザーも含めて約800人です。2018年頃の導入から始まり、DX推進室を中心に、日常的にやり取りするグループ会社や取引先へと広がりました。
着実に効果を感じていたこともあり、全社に広げる方針を打ち出し、月に約50名ずつ増える時期もあったほどです。今ではプロダクトやマーケティング、開発、経理など幅広い部門で使われています。
一方で、人事など機密性の高い部門は、権限やセキュリティの観点から使い方を慎重に分けています。
―― 活用範囲がどんどん拡大していったのですね!社内浸透のために取り組んだことはありますか?
活用促進の資料を作成して配布したり、初めて使う方や操作が不安な方にはレクチャー会を開催したり、DX推進室が中心となってサポートしています。
また、ユーザーが実際につまずいているポイントを解決する取り組みも始めました。アンケートの結果、「課題の粒度」に悩んでいるユーザーが多いことがわかり、今後は部署や利用シーンごとに、もう少し具体的な運用方法についての説明会も検討しています。

社内向けに利用マニュアルを作成し、活用を促進
―― ほかのツールとの使い分けはされていますか?
目的や用途に合わせて使い分けをしています。Backlogはユーザー数が無制限ですし、アカウント申請も煩雑ではありません。そのため、社外や海外のメンバーも招待しやすく、取引先を含めてオープンにやり取りしたい場合に向いているんです。一方、役員が関わる話や秘匿性の高いやり取りなど、社内で完結すべきものは専用の環境を使っています。
社内メンバーとのやり取りはチャットツールが多いですが、業務の進行に関わるストック情報はBacklogに集約するようにしています。BacklogのURLをチャットに貼って「この課題を見ておいてね」と連絡することもありますよ。
昔、上司に言われた「同じものを見て話さないと仕事にならない」という言葉が、今も心に残っています。Backlogがあれば、同じ課題や情報を見ながら話せるので、認識のズレを防げるんです。

「誰が、いつ、何をしたか」を可視化。Nulab Passでセキュリティを担保
―― 御社ではNulab Passも導入されていますね。
情報漏洩対策とアカウント管理の強化のため、導入を決めました。IDとパスワードだけの認証では、それらが漏れた場合のリスクを防ぎきれません。また、退職者が認証情報を保持していたり、個人のPCからアクセスできたりすると、取引先とのやり取りや進行状況が見えてしまう可能性があります。
Nulab Passを導入することで、会社が管理する端末・アカウントからのみアクセスできるようにし、約800人規模でも「誰が、いつ、何をしたか」を監査ログで追える状態を整えました。導入時にユーザーの棚卸しも行い、不要なアカウントを洗い出せたのも大きな成果です。
―― あらためて、Backlogの価値についてお聞かせください。
Backlogは単なるタスク管理ツールではなく、コミュニケーションツールだと考えています。誰が何を担当し、どこで止まっているのか、決まったことや、やり取りの経緯など、そうした情報が一か所に残り、関係者全員が同じものを見ながら話せる。プロジェクトを前に進めるうえで欠かせない「対話の土台」になっています。これからもっと、いろいろな部門に活用の場を広げていきたいですね。
―― 今後のBacklog活用における展望はありますか?
グループで進めているAI活用とも組み合わせていきたいです。「Backlog AIアシスタント」で蓄積された課題やドキュメントを探したり、議論の経緯を整理したりできれば、新しいメンバーへの説明の手間も減らせます。
さらに、親子課題の進捗からリスクのありそうなものを抽出できれば、進行管理の精度はさらに高まるはずです。記録・確認するだけでなく、状況を先回りして必要なアクションを考える方向へ、使い方へと広げていきたいと思っています。
―― 「コミュニケーションツール」としてBacklogを活用いただいているという言葉が印象的でした。貴重なお話をありがとうございました!
※掲載内容は取材当時のものです。