放置タスク133件がゼロに。20年使ったタスク管理ツールからBacklogへ移行できた理由

Backlog導入前の課題
・20年来使ってきたツールでは「誰が・いつまでに・何をやるのか」が見えにくかった
・メール通知のみでチャット連携がなく、自分宛のお知らせに気づきにくかった
・依頼から着手・完了までに時間がかかり、対応が遅れがちだった
・1年以上更新されていない放置タスクが133件残っていた
Backlog導入後の効果
・ツールの利用満足度が、既存ツール「約1割満足」からBacklog「約7割満足」に
・依頼テンプレートや自動リマインドなどの工夫で、記入漏れがなくなり、放置タスクがゼロになった
・当初の想定を超えて、他部署でも活用が広がった
IT分野を中心に、複数のWebメディアを運営するアイティメディア株式会社。同社では約20年にわたり従来のタスク管理ツールが使われていましたが、現在の業務プロセスとの「ズレ」が生じていました。そこで注目されたのがBacklogです。新ツールへの移行に際しては、社員アンケートと既存ツールの利用状況データの両面から課題を洗い出し、移行に向けた環境作りまで、戦略的な導入が進められました。組織にBacklogを定着させるためのプロセスをご紹介します。
目次
20年使い続けたツールの限界。「いつまでに何をやるのか」が見えなかった
── はじめに、事業内容についてお聞かせください。
当社は、テクノロジーやビジネス、ITに関する専門的な情報を発信する、東証プライム上場のWebメディア企業です。大きく分けてBtoBとBtoC、2つのセグメントを展開しています。BtoBメディア事業では、「ITmedia NEWS」「@IT」「MONOist」といった専門メディア、BtoCでは、「ITmedia PC USER」「ねとらぼ」など、テクノロジーやトレンドの情報を発信するメディアを運営しています。
── 本当に数多くのメディアを運営されているのですね。ご所属の部門では、どのような業務を担当されているのでしょうか?
メディアの価値向上やユーザー体験の最適化といった、社内の事業部に対する技術的な支援を担当しています。業務範囲は、UI/UXの改善提案からCMSの運用・刷新の支援、各種レポートの作成まで多岐にわたります。
── 以前はタスク管理に、長年使われてきたツールがあったと伺っております。
約20年前から全社で利用してきた、従来のタスク管理ツールがありました。長らく使い込まれていたのですが、今のクラウドサービスやチャットツールに慣れた人たちからは、戸惑う部分が出てきていました。特に課題に感じたのは、「いつまでに何をやらなくてはいけないのか」「スケジュール通りに進んでいるのか」といった、チーム内の業務が見えにくかったことです。

アイティメディア株式会社
メディア・テクノロジー本部 プロダクト開発統括部 オーディエンス開発1部
濵田 香織 氏
── そんな従来のツールからBacklogへの移行は、どのように動き出したのでしょうか?
新しいツールへの移行など、環境の変化に対しては、「今のやり方に慣れているから変えたくない」という、現状維持バイアスが働くものです。ただ変えましょうと号令をかけるだけでは、全社の約450人は動きません。そこで、まず現状の課題を洗い出しました。
既存ツールを頻繁に使っているメンバーを対象としたアンケートの結果、通知がメールのみで自分宛の依頼に気づきにくいこと、VPN接続のひと手間、UIが古くて操作性が低いことがわかりました。こうした問題点を一つひとつ整理し、Backlogならどう解決できるのかを対応づけた、ストーリーを組み立てたんです。それを上長に提案したところ、「やりましょう」という言葉をもらい、移行プロジェクトが動き出しました。
── Backlog以外のタスク管理ツールとも比較検討はされましたか? その場合、決め手は何だったのでしょうか?
それぞれのタスク管理ツールの機能をマトリックスで整理して、比較しました。Backlog導入の最大の決め手となったのは、「ユーザー数が増えてもコストが変わらない*」こと。ツールのコストは毎年積み上がってしまうものなので、ユーザー単位で課金されない点は大きな魅力です。
* プランにより異なります。
加えて、アンケートで、すでに社内のいくつかの部署でBacklogが使われていて、8割近くの人に利用経験があると分かったんです。非エンジニアが多い当社でこれだけ使われているなら、BacklogのUIとの親和性も高く学習コストも抑えられると、客観的に判断できたことも理由の一つです。
Backlog導入によって「普通」から「満足」へ。データでつくる移行への空気感
── 社内への浸透は、どのような順序で進められたのでしょうか?
前述したアンケートの内容を確認すると、他部署でも既存ツールを課題に感じている人が多いことが見えてきました。
そこで、Backlogのトライアルを2回に分けて実施しました。1回目は定型業務の依頼者・対応者に一人ひとりお願いした小規模なもの。2回目は複数部署を巻き込み、定型業務以外で試すトライアルでした。

トライアルの全体像イメージ
── トライアルの結果はいかがでしたか?
トライアル後のアンケートでは、Backlogに「満足」と回答したメンバーが約7割にのぼりました。トライアル前に実施したアンケートでは、既存ツールの評価は「満足」が約1割でしたから、ユーザー体験が大きく向上したことを、客観的なデータで示せたわけです。
ただ、この結果は私ひとりで出せたものではありません。社内にはすでにBacklogを使っているメンバーがいて、その方々が協力してくれたことが大きかったですね。
── 社内に「協力者」がいるのは心強いですね。
Backlog移行に向けた空気をつくることを意識していました。各部署ごとにマニュアルやFAQ、テンプレートの整備など、環境づくりを手伝ってくださる方もいて、本当に助かりました。
記入漏れも放置もなくす、仕組みづくり
── 2025年4月の正式運用開始から1年あまり。現在の活用状況を教えてください。
事業部から我々の部門への依頼窓口としては、Backlogへの移行が完了しています。Backlog上のプロジェクトは、依頼窓口としては4つ、全体だと20あり、ユーザー数は外部ゲストを含めて約450名です。
── 「テンプレートの整備」とは、具体的にはどのような工夫をされましたか?
以前は依頼を受けてから「この情報が足りないので教えてください」といったラリーが発生し、必要以上に工数がかかっていました。そこで、Backlog の「課題のテンプレート」を活用し、あらかじめ依頼時に必要な項目を用意しました。
既存ページの改善依頼なのか、新規ページの制作依頼なのか。素材の有無やスケジュールなど、必要な情報を盛り込んだテンプレートを用意したことで、記入漏れがぐっと減りました。

課題のテンプレートの一覧(一部抜粋) 依頼内容によってテンプレートを分けている

テンプレートの内容
依頼時に、何を記載すればよいか明確にしている
── 「自動リマインド」の仕組みも構築されているそうですが、どのようなものでしょうか?
Backlog APIとGoogle スプレッドシートを組み合わせて、2種類のリマインドを自動化しています。
- 未対応課題*:依頼から1営業日経っても担当者が付いていない課題を、毎朝チャットツールに一覧で通知
- 期限切れ課題:期限を過ぎたにもかかわらず、対応完了していない課題を、週1回チャットツールに通知
* Backlog ではタスクのことを「課題」と呼びます。
メールと比べて、チャットの通知はより気づきやすいようです。チャットツール内にもBacklogの簡易マニュアルや相談窓口へのリンクを掲載し、日常業務の動線のなかで使えるようにしています。
毎回、人力でリマインドするのは大変ですから、ルール化して自動で回るようにすれば、みんなが楽になるはず。いかにそうした「楽になる仕組み」を作れるかを、日ごろから意識していますね。

自動化のイメージ図

チャットによるリマインド通知の画面
── 「楽になる仕組み」を積み重ねていらっしゃることを感じます。そんな工夫を凝らしたBacklogの効果を、あらためて教えてください。
導入後の効果は3つあります。
- ツールの利用満足度が、既存ツール「約1割満足」からBacklog「約7割満足」に
- 依頼から完了までのリードタイムが大幅に短縮された
- 放置タスクがゼロになった
依頼者側の不安を取り除き、円滑に業務を進めるためにも迅速な対応は不可欠です。自動リマインドやチャット通知で気づきが早くなったことで、対応遅延のリスクは解消されました。
また、既存ツールには1年以上更新されていないタスクが133件も残っていたのですが、今ではゼロになっています。
── それは大きな改善ですね!現場の方々の声はいかがですか?
印象的だったのは、「仕事中はBacklogの画面を開きっぱなしにするようになった」というメンバーの声です。
また、「自分が今どんな仕事を抱えているのか?」という頭の中のもやもやを、Backlogに“外部化”できて楽になったという声もあがっています。
さらに、長年の課題だった「業務の進捗が見えない」という点も、ガントチャートで可視化できるようになり、私たちにとって大きな変化となりました。

AIアシスタントが週次の棚卸しを担当。新たなことへの第一歩は「協力者を見つける」こと
── 2026年3月にリリースされた「Backlog AIアシスタント」もご活用いただいていると伺いました。どのように使われていますか?
自動リマインドを機能させるためには、課題に期限日が設定されている必要があります。そこで、週次の棚卸でAIアシスタントに「開始日と期限日のいずれか設定がない課題を一覧で出して、日付を提案してください」と依頼しています。
すると、該当する課題だけでなく、適切な期限日の提案をセットで一覧化してくれるんです。提案内容を確認して「お願いします」と返すだけで、期限日を一括設定してくれる点も非常に助かっています。単なるチャットではなく、エージェントのように動いてくれています。
また、Backlog AIアシスタントは入力したデータがAIモデルの学習に利用されない点*も、社内で安心して使う上で大きいと思います。
* データの取り扱いに関しては、「Backlog AIアシスタントのよくある質問」をご確認ください。

── Backlogの導入後、社内に変化はありましたか?
他部門からもBacklogを「使いたい」という声があり、活用範囲が広がりました。
基本的に「事業部から本部への依頼窓口」としての利用を想定していたので、「部内のタスク管理にも使いたい」という相談が来たのは、嬉しかったですね。
たとえば営業部からは、「タイアップ企画は工程が多くて大変なのでBacklogを使えないか」という問い合わせがありました。
それだけ社内のメンバーに、Backlogの価値を感じてもらえたのかなと思います。
── 長年使ってきたツールからの移行や部門横断の協働に挑む方へ、アドバイスをお願いします。
やはり、「協力してくれる方を見つける」ことに尽きると思います。データを示すのが効く人もいれば、まず触ってみようと言ってくれる人もいます。社内には、すでに使っている人がいるかもしれません。私の場合、探し方の一つがアンケートでした。
そうして見つけた協力者と一緒に、「既存の環境をアップデートする空気」をつくっていくとプロジェクトの推進につながるのではないでしょうか。
── 最後に、今後の展望をお聞かせください。
部内で別途使っているエンジニア向けタスク管理ツールも、Backlogへの移行を検討しています。また、今後大きなプロジェクトが立ち上がったときにも、Backlogの活用を広げていきたいですね。
機能面のアップデートとしては、階層構造がもう一段深くなる「孫課題」の実装をとても楽しみにしています。
── 「楽になる仕組み」を戦略的に構築し、全社を動かした今回の事例は、同じ悩みを抱える方々のヒントになると思います。本日は、貴重なお話をありがとうございました!
※掲載内容は取材当時のものです。