業務の可視化が意思決定を促し、生産性向上に寄与!全社にBacklogを浸透させたその方法とは?
Backlog導入前の課題
・メールで依頼を受けていた時は、必要な情報を探し出すのに時間を要していた
・オンプレミスのタスク管理ツールを利用していた時は、社外からタイムリーに報告できず非効率的だった
・スプレッドシートにタスク一覧化をして管理を試みたが、バージョン管理が煩雑で管理しきれなかった
Backlog導入後の効果
・タスクの進捗に関して認識の齟齬が起こらなくなった
・必要な情報にすぐに辿り着けるため、メールを使っていた時と比べて、確認や意思決定のスピードが上がった
・部門横断で情報管理を共通化できたことで、全社的なコミュニケーション効率が向上
「アイディアとテクノロジーで革新的なサービスを提供し、便利で楽しい、みんながハッピーになる社会を創る。」をミッションに掲げるアララ株式会社。キャッシュレスサービス事業、ソリューション事業を軸に、BtoBtoCの先進的なサービスを開発・提供しています。
それぞれの事業が自律的に運営されるなか、社内外の連携において、全社的にBacklogを活用いただいています。執行役員 ソリューションシステム運用部・ソリューションシステム開発部管掌 須藤様に、各部門での使い方や、Backlogを社内に浸透させるコツなどについて聞きました。
目次
キャッシュレスサービスからARサービスまで、多角的なビジネスを展開
——御社の業務内容を教えてください。
アララは、キャッシュレスサービス事業、ソリューション事業を展開しており、それぞれで複数のサービスを提供しています。キャッシュレスサービスは、子会社であるバリューデザインにて、飲食店から自治体まで、あらゆる業態に向けて決済・マーケティング機能を併せもった「独自Pay」発行サービスの開発・提供を行っています。
ソリューション事業においては、メールマガジンなど大量のメールを一斉に配信したい法人向けに展開する高速メール配信サービス「アララ メッセージ」。またPCやファイルサーバにある個人情報ファイルを検出するデータセキュリティサービス「P-Pointer」の開発・提供を行なっています。さらに、商品プロモーションやイベントなどで利用されるAR(拡張現実)コンテンツの制作なども手がけています。
部門間の連携に試行錯誤。誰でも使えてタイムリーにやりとりできるのが決め手!
——Backlogの導入に至った背景についてお聞かせいただけますか?
Backlogを導入する7年ほど前までは、技術部門と他の部門のやり取りをメールで行うことがほとんどでした。とくに営業部門とは、お客様からの自社サービスに関する問い合わせや、ご意見・ご要望などのエスカレーション先として技術部門とのやり取りが発生していました。
当初は技術部門のメンバーがメールを確認して、対応の振り分けをしていましたが、メールだと外部からのDMや広告など異なる性質の情報も混ざり、受信トレイから対応すべき報告メールを迅速に見つけられません。そのうえ、各タスクの進捗状況も確認しづらいことが課題でした。
そこで技術部門が当時使用していたプロジェクト管理ツールを技術部門以外に対しても使い始めたところ、オンプレミスのため社外からは煩雑な手続きを踏まないとアクセスができず、営業部門から「タイムリーな報告ができず困る」と敬遠されてしまったんです。また、ツールのUIが複雑に見えてしまったせいか、営業部門のメンバーは入力や操作にハードルの高さも感じたようで、結局メールでエスカレーションが届く状況は変わりませんでした。
この問題を解消しようと、技術部門以外ではスプレッドシートでタスクの一覧化を始めましたが、今度は複数名が同時に編集を加えた際にデータが破損されてしてしまう問題が多発。マネージャが定期的にバックアップを取るようにしても、バージョン管理が煩雑で、この対処方法でもなかなかうまくいきませんでした。
技術部門以外のメンバーにとっても、使いやすいデザイン・機能であり、社外からも安全にアクセスできる。加えて情報共有とタスク管理の両方が実現するサービスを探していたところ、出会ったのがBacklogだったんです。
タスク進捗が可視化され、あらゆる業務において情報共有や意思決定のスピードが向上
——Backlogの導入によって感じられた効果はありますか?
一番の大きな変化は、タスクの進捗に関する認識の齟齬がほとんど起こらなくなったことです。「いつまでに誰が何をやらなくてはいけないか」「今、誰がボールを持っているのか」が明確になりました。
また、各タスクの発生から完了までの経緯が1つの課題の中で時系列に沿って追えるため、仮にタイムリーに課題を追えていなくても、会議の前などにざっと眺めるだけですぐに状況を把握できるようになったんです。メールを使っていたときと比べて、確認や意思決定のスピードが格段に上がりました。
さらに、トラブルの対応が完了したときなどは「そもそもなぜ問題が発生したのか」「作業の遅延や行き違いがどのタイミングで起きたか」を振り返りやすい。改善ポイントを見つけるための重要な情報源にもなっています。
——他にも社内の変化はありましたか?
Backlog活用の効果はそれだけではありません。部門横断での情報管理を共通化できたことで、全社的なコミュニケーション効率が上がりました。
メールのやり取りでは、時系列に並んだ文章から課題や必要な想定タスクを読み取らなければいけません。しかしBacklogでは、それを業務の目的である「課題」として区切り、そこに経緯や付随情報を紐づけられるため、整理がしやすいんです。
他部署と連携したり確認の連絡を取ったりする際も、「この課題の件なんですが…」と課題のリンクを共有すればすぐに内容や経緯が共有できます。そのおかげで、より重要度の高い業務に時間を割けるようになりました。
全社的にBacklogの活用を浸透させる秘訣は、あえて“使い方”を制限しなかったこと
——最初は技術部門と営業部門とのやり取りにBacklogを活用しはじめたとのことですが、ツールの活用浸透に苦労はありませんでしたか?
以前導入を試みたツールにおいては、使い勝手の面から技術部門以外に抵抗感を示されたこともありました。しかし、Backlogは親しみやすいデザインで、営業部門のメンバーにもすんなりと受け入れられました。
1つの業務をBacklogでの管理に置き換え、実際に使ってもらうことでメリットを感じてもらい、隣の部署などへ自然と「使ってみよう」が波及していった印象です。たとえば私たちの部門ではデザインチームに依頼をすることが多いのですが、その依頼にBacklogを活用してみたところ、「作業の進捗がわかりやすい。チーム内の業務管理でも使いたい」という要望があがり、本格的に導入した経緯があります。
全社にBacklogが浸透していく過程では、「こう使ってください」と用途や厳格なルールをあえて決めなかったのもよかったのかもしれません。課題の中で期日や担当者だけをきちんと設定してもらい、あとは基本的に各自の運用に任せたのです。
ツールを導入するとき、業務フローを明確化し、扱う情報の構造を見極めて設定を行い、ルールに従って運用することを求めがちです。しかし私たちはBacklogを道具とみなし、道具を手に馴染ませながら活用していこうと考えました。アララでは、上意下達だけでなく、フラットな環境で、部門横断的に業務を行う文化があります。そのような文化の中で使い方に行き詰まったら社内のメンバーに相談し、使い方を改善しながら運用しています。
顧客サポート・営業・マーケティング部門でも活用中
顧客サポート部門では、お客様からの問い合わせを一括管理
——各部門での具体的な活用法についてもぜひ教えてください。
お客様からの製品に関する問い合わせなど、すべての問い合わせを一括で管理しているのが顧客サポート部門です。お問い合わせ内容を課題に起票し、Backlog上でお客様とのやり取りおよび状態を記録しています。
顧客サポート部門では対応できない内容のお問い合わせの場合、課題を共有して技術部門へエスカレーションを行います。連携は、Backlogのおかげで毎回とてもスムーズです。
営業部門やマーケティング部門では、ToDo管理や部門内の情報共有を
お客様からの意見を課題として起票し、技術部門に対して仕様検討などのきっかけとなる報告を行います。実際にサービスの改修が行われた際は、課題内で連携を取ることによって、要望をあげた営業にも伝わるようにしているんです。また、営業が受けたお客様からのお問い合わせを、先ほどご紹介した顧客サポート部門へ伝える際にも使用します。
ほかにも、営業部門ではさまざまな場面でBacklogが活用されているようです。各営業担当がToDoリストのように一つずつ課題を作成しているケースもあれば、見込み顧客を一時的にリスト化しているケースもあります。
重点フォローを行うお客様ごとに課題を作成し、必要な対応内容をタスクとして子課題にリストアップする、という使い方をしている営業メンバーの話も聞きました。
マーケティング部門では、主に、部内で発生したタスクの共有と進捗確認にBacklogを使用しています。
——さまざまな部門でBacklogを活用いただいていますが、プロジェクトはどのように分けていますか?
アララは、各事業部ごとに営業・企画・技術と3つの部門に分かれている体制となっていますが、その中でプロジェクトの性質には3つのパターンがあります。
1つ目は、同一の事業部内で、3つの部門を横断して行われる作業を管理するために作成するプロジェクトです。
このプロジェクト内では、製品仕様・性能の確認、リリースした製品の修正・レビュー依頼、技術部門への相談・作業依頼、サービス利用にまつわる請求関係の作業記録などが行われています。記録された経緯は、部門を跨いだ業務フローの改善案を洗い出す際や、類似のタスクを行う際に過去事例として参照されることも多いです。
2つ目は、社外のお客様やパートナー企業との間で行われるやり取りを管理するプロジェクトです。
お客様からウェブサイト経由で問い合わせが入ると、課題が自動起票される仕組みにしました。課題内で、問い合わせ発生から返答完了までの経緯と状態を記録しているんです。お客様から技術的な問い合わせがあった際も、窓口となる営業担当が状況を確認できるように、こちらも部門をまたぐ形でメンバーがプロジェクト内に参加しています。
また、パートナー企業の方々とも個別にプロジェクトを作成し、会議の議事録を共有したり確認のやり取りを行ったりしています。
3つ目は、部門内での作業の進捗管理に使用するプロジェクトです。技術と営業、営業と企画など、部門をまたいで状況を共有する必要がない場合に、いわゆるToDoリスト的な形で活用することが多いです。
全社でBacklogが浸透した今、さらなる業務効率化を目指して
——今後Backlogをどのように活用していきたいか、展望をぜひお聞かせください。
今ではほぼすべての事業部・部門でBacklogが活用されるようになりました。全社的な運用ルールは、ユーザやプロジェクトの追加・削除要件やアクセス権等セキュリティを担保するために必要な点に留める。その上でBacklogの「課題」の使用方法を利用者に委ねたことが功を奏したと考えています。
その一方で、「こうすればもっと効率的なタスク管理につながる」と伝えたくなるものもあります。でも、あえて伝えないようにしているんです。それは、運用のルールを委ねるという以外に、Backlogを活用することで、自らの業務の課題整理ができると考えるからです。自身で考え、より良い活用、運用を目指していけると良いと思っています。今後は、各所のノウハウやHowtoを集約し、全社に共有していきたいですね。
現在も、Backlogのおかげでスムーズなタスク管理と情報共有が実現できています。さらに効率的な運用を目指し、これからも関係者同士で密に連携を取りながら業務を進めていきたいと思います。
——貴重なお話をありがとうございました!
※掲載内容は取材当時のものです。