北九州空港に本社を置く株式会社スターフライヤー。お客様へのホスピタリティの高さで2021年11月には国内最大級の顧客満足度調査において国内航空部門1位を獲得しています。同社では新たな顧客接点として、社員が部署の垣根を超えて自社の魅力を公式SNSで発信しています。
運営を担う「SNS委員会」は、マーケティング部や営業部に加え、パイロット、客室乗務員、整備士なども参加するバラエティに富んだチーム構成です。それぞれの勤務体制が異なる中で業務効率を高めるために導入したのが「Backlog」でした。
部署間のコミュニケーションをメールからBacklogに移行したことで、コミュニケーションコストが下がり、月単位で換算すると約20人× 5時間の工数削減に成功しています。こういった社内コミュニケーションの変化や効果、そして部署間連携を強化するためのBacklogの使い方について伺いました。
目次
パイロット、客室乗務員、整備士。航空会社の「中の人」が生の声を発信する、部署横断のSNSプロジェクト
-株式会社スターフライヤー様の事業内容について教えてください。
株式会社スターフライヤーは「感動のあるエアライン」を企業理念に、お客様へのホスピタリティを重視した航空輸送サービスを提供する航空会社です。国内線66便、国際線4線を毎日運航しております。(*コロナ禍においては一部運休減便)
お客様に満足いただけるサービスを目指し、国内航空業界において、2021年度日本版顧客満足度指数調査(JCSI)第1位を獲得いたしました。
-Backlog導入のきっかけとなった「SNS委員会プロジェクト」とは?
SNS委員会プロジェクトは、企業公式SNSを運営する全社横断プロジェクトで、現在24名が在籍しています。マーケティング部が中心になり、パイロットや客室乗務員、グランドスタッフ、整備士など現場部門のメンバーも多く参加しています。
-どんなコンテンツを配信しているのでしょう?
お客様の反応を見ながらそれぞれのメディアに最適なコンテンツを発信しています。例えばInstagramであれば女性パイロットを紹介した投稿などの社員紹介が人気です。
Twitterでは新機材導入をご紹介したプレスリリース風の投稿が好評でした。他にも整備士やパイロットの日々の業務を伝えるためにコックピットの写真やグランドスタッフの仕事を伝えるために空港の写真を発信しています。ほぼ毎日行っているため、部署をまたいでBacklogで投稿文や画像をやり取りしています。
SNSは新たな顧客との接点として大切なコンテンツだと考えています。鮮度の高い情報を発信することで、いわゆる「中の人」のキャラクターや仕事への情熱を伝えられるように運営しています。
ステークホルダーの多いプロジェクト運営で、非効率なメールのやりとりにストレスを感じてBacklogを導入
-Backlog導入前はSNS委員会のコミュニケーションをメールで行っていたのですか?
当時、社内のコミュニケーションツールがメールだったため、プロジェクト内のやりとりもメールでした。社内で飛び交うメールがとにかく膨大で『あれ送ったんですけど確認してくれましたか?』から派生するメールの検索作業に時間を費やしていました。
また多くの部署や外部委託先とのコミュニケーションが必要なため、同じ内容で違う人とのメールが同時並行し、他部署からのフィードバックが重なることで情報確認だけに1時間以上を要する日もありました。
-膨大なメールから目的とする情報を探り出す作業…絶対に時間を取られたくないタスクですね。
当時の課題感としてメールは過去の情報の検索性が低いというデメリットを感じていたことは大きいです。
航空保安の観点から、外部に公開してはいけない情報なども多く存在します。SNSの投稿文や素材にも各部署から修正や指摘が入るので、メールでやりとりしていると更新された最新の情報はどれだろう?という状況にも陥ります。
-航空会社ならではの課題などもありましたか?
パイロットや客室乗務員、整備士など普段はPCの前にいないメンバーがプロジェクト内にいる事で生じる課題がありました。
自分専用のPCがない場合、『共有PCのある場所へ行く⇨ログインをする⇨メールソフトを開く』という物理的な手間も発生していました。結果、メールが開かれず確認をお願いするというコミュニケーションコストがかかっていました。
ツールを浸透させるために行ったのは丁寧で優しいマニュアルづくり
-当時の皆さんの課題感が実感を持って伝わります。そんな中どのようにBacklogに出会ったのですか?
SNS委員会の中心メンバーである米田が当時Webサイトデザインの外注先とのやりとりで使用していたのがBacklogでした。メールとは違い、Backlogはカジュアルに進捗確認ができることにとても魅力を感じていました。
実際にコミュニケーションを効率化できた実績もあったので「Webサイトだけでなく、社内の他部署を巻き込むプロジェクトで利用しても絶対に便利!」と思い、導入を推進しました。
-今までメールを使っていたメンバーに浸透させるため、どんな工夫をされましたか?
現状24名のプロジェクトメンバーのほとんどがスムーズに利用できています。Backlogの利用開始をプロジェクトメンバーに一斉案内した際に、基本的な使い方マニュアルを共有した効果が大きいと思われます。
具体的には、課題の作成方法、課題詳細欄に記入する情報、コメントの仕方や担当者の変え方からその際に押すボタンの場所まで細かく記載しました。部門や人によって、デジタルツールの成熟度が異なるので、基本的な使い方を優しく丁寧に解説することを心がけました。
また、課題タイトルのルールや親子課題の使い方ルールを事前に決めておいたことで、管理されない課題が乱立するような状況を防げました。
-現場の方々はどのようにBacklogを確認しているのですか?
メールからBacklogに移行したことで大きく変わったことの1つがこれです!Backlogはブラウザだけでなくスマートフォンアプリも提供しているので、専用PCがないメンバーが各自のスマートフォンから返信できるようになりました。これによって現場メンバーのコミュニケーションコストは大きく削減できていると思います。
月単位、5時間×20人の工数削減!課題対応中に生じた小さなタスクも担当者と期日を明確にすることで業務スピードが大幅UP
-よく使う機能はありますか?
親子課題機能にはとても助けられています。
メールは複数のタスクにまたがったコミュニケーションが、1つのメッセージへの返信で積み重なりがちで「最終的には誰が何をするのかがわからない」という現象がよく起こっていました。それがBacklogでは1つの課題を起票した後でも担当者の違うタスクが生じれば、そこに子課題を作って担当者と期限を設定できます。
1課題に対して1テーマの会話が原則なので、目的とする情報を探して脱線した会話の中をさかのぼるようなことはありません。
具体例を挙げると『2022年_夏期_売り出し』という親課題があり、そこに『夏期売り出し_Webページ更新作業』や『夏期売り出し_運賃策定』などの子課題を作成しています。メールを利用していたときには、Webページの話と運賃の話が同じメールへの返信上で行われ、混乱していました。
-投稿する画像やテキストなど、素材のバージョン管理に課題を抱えていたとのことですが、その点はBacklog導入で変化がありましたか?
現在はSNSに投稿する画像素材の管理にBacklogのファイル機能を利用しています。Backlogに素材を集約することで修正履歴の管理を容易にできるようになりました。確認を依頼してから時間が経ってしまった場合にもメールのように過去のやりとりから添付ファイルを探すような手間はなく、共有ファイルのリンクを送信することですぐに同じファイルを見ることができます。
またWebサイトの更新を担当している部署への依頼も、以前はExcelで依頼書を作成していましたが今ではBacklogを活用しています。また、Backlogの予定時間と実績時間を詳細に記入することで工数管理もできています。10時間の予定で依頼していたタスクに実際は30時間かかった、というような工数の予実管理をすることで依頼内容の最適化に役立っています。
予定と実績など課題に付随する情報はCSVやExcelで出力することもできるので、月次や四半期で数字を確認することで、工数を圧迫している依頼を割り出して対策を検討する、などのネクストアクションにもつながっています。
-Backlogの課題に登録できる情報を余す所なくご活用いただいている様子ですが、今後の運用に向けての展望などはありますか?
Backlogを導入したことで、特定のプロジェクト内だけでもコミュニケーションやタスク管理に費やす工数を月単位で5時間×20人ほど削減できています。スターフライヤー社内全体でもBacklogの利用者が広がっているため、今後も社内にツールを浸透させて無駄に消費しているコミュニケーションコストを削減していけたらと思います。
また、社内でチャットツールとして導入しているMicrosoft Teamsとの連携も行い、ツール間の往復をよりシームレスに円滑にしたいと考えています。
-Backlogを効果的に活用してくださる方が増えるよう、弊社でも引き続きご支援させていただきます!ありがとうございました。