福岡を代表する都市ガス事業者として、90年以上の歴史を誇る西部ガス株式会社。ガス・電気の自由化を背景に、近年はコア事業である都市ガス事業を軸に、電力などのエネルギー事業や暮らしサービス事業を展開。「エネルギーとくらしの総合サービス企業」へと変革を遂げています。
福岡に本社を置く大企業が、どのようにBacklogを活用し、プロジェクト管理を変革したのか。同社のマーケティングDXグループの松元氏と友池氏に詳しくお話を伺いました。
■導入目的
・タスクごとの進捗を把握し、誰がどの作業を担当しているか明確にしたい
・社外のプロジェクトメンバーとも簡単にやり取りや資料共有がしたい
■課題
・扱うデータや関係部署が多く、Excelやメールでの管理だと複数のタスクが絡み合い、進捗の把握に手間がかかっていた
■効果
・Backlogに情報が集約され、効率的な進捗管理&チーム連携ができるようになった
目次
多様なサービスで顧客のニーズに応える西部ガス株式会社
―― 御社の事業概要をお聞かせください。
弊社は都市ガスを中心に事業を展開しており、もうすぐ95年になります。2017年のガスの全面自由化以降、お客様の選択肢が広がったことで、競争が激化しました。そのため、ガス・電気だけではなくリフォームなど暮らしに関わるサービスも提供し、お客様の多様なニーズにお応えするため、マーケティングの強化に注力しています。
―― お二人の業務内容を教えてください。
我々は、マーケティングDXグループに所属しています。データやITを活用したマーケティング企画をゼロから立ち上げる部署で、2017年のガス自由化を機に特設チームとして活動を開始、本年4月に正式に組織化されました。具体的には、目標に対してキャンペーンの立ち上げ、システム開発など、上流から下流までの設計や実施後の広告運用を行っています。松元は主に企画や統括を担当し、新しいサービスの立ち上げや既存サービスの改善に携わっています。友池はチームの目標やキャンペーン施策の実現方法を考え、システムの作成や運用、プロモーションの設計に加え、外部の企業との連携も担当しています。
メール・電話から解放!Backlogがもたらした劇的な変化
―― Backlog導入の経緯を教えていただけますか?
導入前は、Excelやメール、社内チャットで施策を管理していました。しかし、我々のチームはデータを活用したマーケティングをしている関係上、扱う情報が多い。また、関係部署も多岐にわたりますので、情報の交通整理がパンク寸前でした。
―― 多くの情報を管理しなければならないチームなのですね。
複数のタスクが複雑に絡み合い、「誰が」「いつまでに」「どんな」タスクを担当しているのかがひと目でわからず、進捗管理に苦労していました。また、社外のパートナーとのやり取りや、電話で「あの件はどうなっているか?」のやり取りも多く、進捗の把握にとても手間がかかっていたのです。そんな時に、外部パートナーのFusicさんとのプロジェクトで招待されて使ったBacklogに衝撃を受け、社内への導入を検討し始めたのがきっかけです。
―― 最初はゲストユーザーとしてご利用いただいていたのですね。社内でも導入した決め手は何でしたか?
Backlogの直感的な操作性、タスクごとの進捗が把握できるその可視化力の高さに感動したのです。とくに、タスクを細かく分割して管理できる機能は我々にとって画期的で、誰がどの作業を担当しているのかが明確になり、進捗状況の共有が容易になりました。しかも、社外の人ともスムーズにやり取りができる。「これはいい!」とのことで、まずマーケティングDXグループで導入することにしました。
それが2018年頃だったのですが、Backlogの使いやすさからチームメンバー全員にすぐに馴染みました。チームの性格上、社内の他部署や外部パートナーもプロジェクトメンバーとしてBacklogに招待することも多いのですが、そこでも「使いやすい!」「わかりやすい!」と大好評。使いやすさや利用実績を受け、営業本部全体へ導入が広がっていった形です。
情報の集約と可視化で、進捗管理とチームコミュニケーションが効率化
―― Backlog導入後の効果を教えてください。
圧倒的に電話の頻度が減り、メールはほぼゼロになりました。導入前は、Excelやメールでの管理で情報が散らかり、進捗状況の把握が難しかったです。Backlogに情報を集約するようになって、情報共有が円滑になり、チーム全体の透明性が高まりました。
コミュニケーションコストが激減したこともあり、社外ユーザーからも「円滑な進行に欠かせないツール」ととても好評です。
また、ナレッジとしての情報共有がスムーズになりましたね。新しく加入したメンバーへ、「課題を受け取ったら進めてください」「作業が終わったら担当者を変えましょう」など最低限のルールをWiki機能で周知するだけでも、スムーズに業務が進んでいます。Wikiに簡単なマニュアルを作成しておけば、すぐに使いこなせるようになるので、新しいメンバーがチームに加わった時の研修の実施も楽です。
―― チームメンバーとの連携面ではいかがでしょうか?
課題一覧やプロジェクトホーム画面で進捗状況を可視化できるようになりました。これによってチームメンバー全員が常にプロジェクトの全体像を把握でき、タスクの漏れや重複を防ぎ、プロジェクトをスムーズに進められるようになりました。
複数のプロジェクトを同時に進めている場合でも、全体の進捗状況を一目で把握できるのは、とても便利です。メールでは、このような全体像の把握は難しかったですね。プロジェクトを円滑に進めるためには、タスクごとに誰がボールを持っているかを明確にすることが本当に大事なので、担当者を変えるべき課題や、放置された課題があったら声かけをしていますね。
―― ヌーラボではBacklogを活用して、メンバーに業務のタスク化を浸透させたり期限を周知したりしながら、プロジェクトをうまく進行させる役割の方を「バックログスイーパー」と呼んでいるのですが、まさにそれですね。
毎週の打ち合わせでは、Backlog画面をそのまま共有しながら進捗確認を行います。担当者として設定されている人には「自分がボールを持っていたら作業を進めて、次の担当者に渡しましょう」と伝えることで、うまく回っています。プロジェクト全体を見ることが多いので、自分が担当していないタスクでも、プロジェクトホーム画面でメンバーの動きが一目でわかるのは良いですね。
Backlog導入で生産性が5倍!10以上のプロジェクトを同時管理できるように
―― チーム全体の生産性が向上したとのことですが、具体的にどのように変化しましたか?
導入前は、キャンペーンを2つ同時並行で進めるのがやっとでしたが、今では10以上のプロジェクトを同時に管理できるようになりました。Backlogがなければ、これほどの並行は無理だったと思います。情報を追うのに精一杯で考える時間がなく、人数が多いとメールで「宛先をどうするか?」のような余計な手間も発生してしまいますから。
―― 同時並行するプロジェクト数が大幅に増やせた要因は何だと考えられますか?
要因は大きく3つあると考えています。1つ目は、進捗管理がしやすく、社外ユーザーもすぐ使いこなしてくれたこと。2つ目は、課題が探しやすいこと。メールのやり取りでは別の案件の話が混じったりして探しにくかったのですが、Backlogでは明確に整理され、検索も容易になりましたね。
3つ目に、情報の一元化。Backlogに情報が集約されることで、「探す」「誰がボールを持っているか思い出す」「進捗を思い出す」といった脳のリソースが解放されます。その結果、本来の業務に集中できるようになり、生産性が向上したと考えられます。
我々は社外のメンバーも含め、キャンペーン企画からお客様対応まで、ビジネスとして上流・下流までを一気通貫で行っている、いわゆるワンチーム。Backlogは、チーム全体の生産性を向上させるツールとしても機能しています。たとえば、お客様から問い合わせがあれば、スーパーバイザーからシステム開発者を担当に課題を割り当てるなど、他部署横断の体制がうまく作られています。このように、1つのプロジェクトに社内外の関係者が集い、進捗やコミュニケーションがオープンであるというのは、私たちの仕事のやり方にとても合っていると思いますね。
―― 社内外のメンバーがワンチームとなって事業目標を達成する。Backlogがチームワークマネジメント*強化の一助となっているのですね。
私たちの会社では、多くのパートナー企業と協業しており、Backlogの利用はもはや常識となっています。新しいパートナー企業が、Backlogでの進捗管理に応じてくださるかどうかは重要な要素の1つです。10社以上の企業と同時にプロジェクトを進める場合、Backlogの有無で効率が大きく変わります。売上や成果を上げる重点施策を行うチームにとって、Backlogの効果はとても大きいと言えると思います。
*チームワークマネジメントは、所属や組織が異なるチームやメンバーとの協働を前提としたタスクやプロジェクトを効率的に管理し、効果的に目標を達成するためのプロセスや手法です。
「そろそろBacklogにしませんか?」Backlogで実現するチームワークマネジメントと効率的なプロジェクト管理
―― 今後の展望を教えてください。
合言葉は「そろそろBacklogにしませんか?」。他社さんにもBacklogをぜひ使っていただきたいと考えています。業務内容が複雑化するにつれて、確認事項がどんどん増えていきますから、メールでは、すべての情報を共有・管理することは難しいです。Backlogのように、タスク、ファイル、コミュニケーションを一元管理できるツールはとても有効だと考えています。
現在、一部の業務ではまだGoogleスプレッドシートを利用している業務もあるため、今後はマイルストーン機能やガントチャート機能をもっと活用し、より効率的なプロジェクト管理を目指したいと考えています。また、JBUG(ジェイバグ)のようなユーザーコミュニティにも参加して、他のユーザーの方々の使い方や、新たな機能を発見していきたいですね。
―― 本日は貴重なお話をありがとうございました!