「国民と行政、双方の生産性を抜本的に向上する」ことを目指す、経済産業省大臣官房デジタル・トランスフォーメーション室。「Gビズフォーム」をはじめとした行政サービスのオンライン化、省内のデジタル化等、さまざまな行政のDXに日々取り組まれています。
2018年7月の部署立ち上げ当初からBacklogをプロジェクト管理の標準ツールとして導入、現在Backlog活用の幅はさらに広がりを見せているとのこと。「Backlogなしにプロジェクトを進めることは考えられない」と話す経済産業省 大臣官房デジタル・トランスフォーメーション室 妙中様、髙柳様、石井様にBacklogの魅力を伺いました。
■導入目的
経済産業省の各システム開発に係るプロジェクト管理のため
■課題
・ベンダーとのやりとりをメールで行い、コミュニケーションコストがかさんでいた
・課題管理表をファイルでやりとりしていたためリアルタイムの情報共有が難しかった
■効果
・メールの情報整理や検索に費やす時間が劇的に減り、事務作業の時間が3分の1まで減少
・リアルタイムでの情報共有が可能になった
・対面の打ち合わせは必要最小限にしながらプロジェクトをスムーズに進行
目次
令和7年末までに行政手続きを全オンライン化へ!急増するプロジェクトを支えるBacklog
――Backlogをご利用いただいている部署と主な業務内容について教えていただけますか?
経済産業省では、従来行政自体のDXに力を入れておりましたが、2022年7月に省全体のDXをさらに強力に推進する体制を整え、省内のシステム担当部署の職員やベンダーと力を合わせて業務に取り組んでいます。
大臣官房デジタル・トランスフォーメーション室(以下、DX室)の前身となる情報プロジェクト室では、2018年からプロジェクト管理ツールとしてBacklogを利用していました。関与する情報システム開発等のプロジェクト増加に伴い、Backlogの活用の幅も大きく広がりました。
――どのように活用が広がっているのか、詳しくお聞かせください。
政府では、令和7年末までに民間から行政への申請に伴う手続は、すべてオンライン化する方針を定めています。そのため、DX室では事業者向けの行政手続のオンライン化を省内の制度所管課室とともに総力を挙げて進めており、プロジェクト数が大幅に増加している状況です。
Backlog導入当時は、7プロジェクト100人体制でしたが、現在は7~80プロジェクト、ユーザーは900人増の1000人体制となっています。
コミュニケーションコストがかさむメールからの脱却をしたかった
――Backlog導入時にはどのような課題を抱えていたのでしょうか。
一部の事例として、DX室では事業者向けの行政手続のオンライン化システム「Gビズフォーム」の開発プロジェクト(以下、Gビズフォームプロジェクト)を制度所管課室と連携して推進しています。その中でDX室はGビズフォームプロジェクトのCoE(Center of Excellence)、つまり管理者の立ち位置であり、外部ベンダーも交えたコミュニケーションをいかに円滑に行うかが課題でした。
CoEであるDX室と、制度所管課室、そして開発ベンダーとの3者がそれぞれの役割を担いつつ、大小さまざまなプロジェクトを同時並行で進めています。DX室の立ち位置もあって、必然的に調整先が多くなってしまうため、情報共有をいかに効率化していくかが大きなポイントになってきます。しかし、省内のコミュニケーションツールは省外とのやり取りに制限があり、ベンダーとのコミュニケーションはメールに集中してしまう。その結果、各ベンダーから送られてくるプロジェクトに関する大量のメールを処理する必要が出てきてしまいました。
――メールの処理工程が入ることで、リアルタイムの情報共有が難しくなってしまうんですね。
その通りです。メールはプロジェクト単位での情報をタスク軸で追うことが難しいため、スピードや効率を重視する場面では最適であるとは言い難いツールです。加えてBacklog導入前は、各ベンダーによって課題管理表が異なっていました。膨大なメールのやり取りから課題管理表に必要なファイルをピックアップし、別途工程表を用意して、ファイルの整合性を図る。この一連の事務作業に多くの時間を費やしていたのです。プロジェクト管理においてコミュニケーションコストの高いメールからの脱却をしたい。この課題の解決策としてBacklogを導入したのです。
Backlogにプロジェクト管理を集約することで、事務作業時間が1/3に短縮!
――Backlog導入によって抱えていた課題を解決できたとのことですが、詳しく教えていただけますか。
7~80にも及ぶプロジェクト管理をBacklogに統一し、得られた効果は主に3つです。1つ目は「事務作業の効率化」。Backlogでは立ち上げた課題、つまりタスクを軸に会話が進んでいくので、別のタスクに関する情報が混在することもなくなりました。
その結果、メールの情報整理や検索に費やす時間も劇的に減り、今まで費やしていた事務作業の時間が3分の1まで減少したのです。また、必要な情報を後から探す際にもタスクごとに検索できるため、今まで行っていた進捗報告やリソース確認の手間、不要な作業やタスクの重複確認などの業務がなくなりました。
2つ目に、「リアルタイムでの情報共有が可能になった」こと。DX室では、制度所管課室、そして外部ベンダー間で膨大なファイル数が飛び交うので、バージョン管理が煩雑になりがち。タスクに紐づけた状態でファイル情報を一元管理できるBacklogだからこそ、データの散逸・多重管理を防げます。
また、Backlogはユーザーに対して段階(二要素)認証を必須にできるため、セキュリティに関しても対策できますし、開発業務外の細かなところで作業コストが下がるのはありがたいですね。
3つ目は、「コミュニケーションコストが削減できた」こと。Gビズフォームプロジェクトの場合では、ローコード開発ツールを活用して、DX室、制度所管課室、そして開発ベンダーとの3者間で合意を得ながら進めています。コミュニケーションを効率的に行えることで、短期間に設計・開発、テスト、リリースといったサイクルを回せました。
その際、「実際に動く」プロトタイプを確認、システムの改修を重ねながら作り上げていくため、大量のレビューや修正作業が発生するのです。Backlog導入前であれば都度打ち合わせをしていました。Backlogでは、レビュー、修正点を課題として立てられるので、どのタスクに“誰がいつ”発言したかログとして明確に残ります。そのおかげで対面の打ち合わせを必要最小限に抑えられました。コミュニケーションコストの削減はもちろんのこと、情報共有のタイムロスがなくなったのは、Backlogのおかげだと実感しています。
まだまだ利用規模拡大中!活用が広がって感じている効果
――Backlog導入時からご活用の幅がかなり広がった理由は何だとお考えですか?
Backlog自体の使いやすさはもちろんですが、プロジェクトやユーザー数がどれだけ増えても費用が変わらない月額固定の料金体系が大きいと思います。DX室のプロジェクトでは、関わる方の出入りが頻繁にあり、複数プロジェクトが同時並行で進むため、ユーザー数が大きく変動します。そのため、わたしたちのように「導入後、プロジェクトやユーザー数がどれくらい増えるかわからない」といったケースでは、ユーザーライセンスによらない料金体系は非常に嬉しいですね。一度導入すれば費用面のことを一切気にせず、業務に集中できる。Backlogがあったからこそ開発の本数をここまで増やせたのだと感じています。
――最後に、Backlog導入のメリットはどういった点だとお考えでしょうか。
経産省ではコロナ禍以降さらにテレワークする職員が増え、オンライン会議が増加しています。時間や場所を選ばず参加できるオンライン会議はメリットもある一方、対面で行うよりも丁寧な情報共有が求められるため、会議のやり方にも工夫が必要です。DXチームのオンライン会議の際、Backlogのガントチャートを画面共有することで、必要な情報をリアルタイムに確認しながら仕事を進めています。
チームメンバーが一堂に会する場で、必要に応じて直接Backlog上のタスクを完了することもできますし、その瞬間をメンバー全員が確認しながら進められるため、わざわざ会議資料を作成する必要もありません。つまり、Backlogというツールがそのまま会議資料になるんです。これは業務効率化における大きなメリットだと思いますね。
現在では、DXチームでの活用は、導入初期の黎明期から、ガバナンスやナレッジの共有についての重要性が高まる円熟期に移行しつつあります。BacklogのWiki機能を活用することで、人の入れ替わりが激しい部署でも引き継ぎが円滑に行えるようになっていると感じます。今後もBacklogを活用しながら、さらなるチーム力向上をめざし、業務に集中できる環境づくりに尽力していきたいです。
——妙中さん、髙柳さん、石井さんありがとうございました!