アマナグループ700アカウントでBacklogを活用「業務の脱属人化」「問い合わせ量の激減」など社員のコミュニケーションストレスの軽減効果
Backlog導入前の課題
■ ビジネスの主体である事業部側のプロジェクト管理への意識が低く「WBSって何?」という状態
■ 開発部門内で使用していた既存のプロジェクト管理ツールは操作が複雑で事業部が利用できない
■ 口頭での仕事の依頼が多く「タスクをやったかどうか分からない」「頼まれたことを意識できているのかわからない」という状態が起こりがちだった
■ 事業部の認識として「開発部門に頼めば、よしなにできてる」ような状況になっており、システム開発部門に調整負荷がかかりすぎていた
Backlog導入後の効果
■ Backlog導入で事業部のプロジェクト管理への意識が向上し、開発部との連携がスムーズになった
■ プロジェクト管理ツールにありがちな、見た目や操作の“複雑さ”がBacklogには無く、説明コストがそこまでかからずに事業部で利用が浸透した
■ 口頭ベースの仕事の依頼をきちんと記録できるようになったので、仕事やコミュニケーションがスムーズになった
■ システム開発の全案件をBacklogで可視化できたことで、事業部からの問い合わせが減った。業務の属人化も解消しシステム開発部門の調整負荷も減った
広告領域を中心に様々なビジュアルコミュニケーションを手掛ける「アマナ」は、グループ企業のアマナイメージズも含めた業務プロジェクトの管理にBacklogを活用。
主力事業であるストックフォト事業拡大にともない、開発部門と事業部門の共同プロジェクトが増えたため、共通のプロジェクト管理ツールとしてBacklogを導入。ビジネスの主体である事業部も抵抗なく使える「見た目や操作の"複雑さ"がない」ことが決め手だったと言う。
導入の結果「事業部のプロジェクト管理力が向上し、開発部門との連携がスムーズになった」と語る同社の開発部取締役と事業部担当者に、Backlog導入による組織のプロジェクト管理やコミュニケーションの改善効果についてお話をお伺いしました。
■プロフィール(写真左から)
- 松田 達也 :アマナ開発部門 兼 アマナイメージズ取締役。アマナイメージズのWebサイト運営、システム開発を担当。2008年にアマナのウェブ開発部門に入社、日本最大級のストック素材販売サイト「amanaimages.com」の運用開発をはじめ、グループ内の様々なWebサイトや社内基幹システムの開発を行う。コーディングやインフラを見ながら、Webサイト運営開発の全体的なシステム管理とマネジメントを行っている。
- 田中 靖士:デザイン部所属。アマナイメージズのデザイン全般を担当。アマナイメージズが運用する3つのWebサイト(amanaimages.com、amanaimages PLUS、amana online store)、メルマガ、キャンペーン、印刷物などのデザイン全般を担当。アマナに入社してはじめてBacklogでプロジェクト管理を行なった。
目次
創業40周年を経て一層加速するアマナの経営スピードを支える「デジタル化」
ーアマナイメージズの事業概要について教えてください。
松田達也(以下、松田さん):アマナイメージズは、アマナのグループ会社として2007年に創業しました。
アマナグループでは「表現力」を武器にさまざまなビジュアルコミュニケーション事業を展開していますが、そのグループ会社のアマナイメージズの主な事業の1つが、顧客からのニーズに応じた広告写真や映像等を制作する「アサインメント事業(ビジュアルコンテンツの企画制作)」、2つ目が、写真家やイラストレータの著作物を有償提供する「ストックフォトの企画販売」です。
とりわけ、ストックフォトビジネスとしては、日本最大級の素材販売サイトを運営しています。
ーアマナグループはビジュアルコンテンツのパイオニアとして、業界でもいち早くWebサイトでの素材販売など、事業にITを取り入れていきましたね。
松田:広告業界は、常に時代の一歩先に行かないと戦えません。アマナでも、1979年の創業当時から代表取締役社長兼グループCEOの進藤の経営方針として「積極的にデジタル化に取り組みビジネスに柔軟に対応していく」スタンスを貫いてきました。
例えば、広告などで使用される写真素材を国内ではいち早くデジタル化して、Webサイトでの写真販売に切り替えました。
アサイメントの事業においてもアナログのカメラからデジタルカメラを導入しました。最近の動きとしては、ドローン、360度カメラ、3Dモデリング、4K / 8K動画対応など、新しい技術を用いたビジュアルソリューションに力を入れています。
現在(2020年1月1日時点)グループ会社は13社におよびますが、この1年を振り返っても全社的に新規事業の立ち上げや組織変革が起きています。
こうした経営スピードに対応するためにもITによる効率化の流れは必須で、クライアントや外部協力会社とともに、生産性向上を図るクラウド上のクリエイティブプラットフォームシステムを活用して、グループ共通の管理システムを開発部門にて一括してシステム構築しています。
事業拡大のためにBacklogで開発部門と事業部の連携を強化
ーアマナグループのIT推進のかげには開発部門の存在があったと思いますが、その変遷について教えてください。
松田:私はアマナが「アマナイメージズ」を設立し、デジタルコンテンツ事業に注力するタイミングで入社しました。現在は開発部門担当取締役として、アマナとアマナイメージズのシステム開発を担当しています。
アマナイメージズの設立前は、アマナの主力事業はWebサイトでなはくストックフォトのアナログ販売だったりと、開発部門が対応する領域も狭まっていました。
しかし、ストックフォトのデジタル化を皮切りに、その後、世界的にインターネットが普及し、アマナの各事業部においてもデジタル化が加速する中、開発部門だけで完結できるプロジェクトは減り、さまざまな場面で各事業部との連携が増えています。
実際、アマナイメージズにおいても、ビジネスの中心をオンライン販売に転換していくなかで、ストックフォトに特化したWebサイトのリニューアルを実施しました。そのときに、外部のベンダーも交えて使ったのがBacklogでした。
現在(2020年2月18日時点)Backlogのアカウント数は、アマナグループ内で約700アカウント、60プロジェクトを登録しています。
ーアマナイメージズとしてプロジェクト管理ツールが必要になったきっかけは何でしたか?
松田:ストックフォトの基幹システムとWebサイトの同時リニューアルで、開発部門と事業部の連携が増えたことがきっかけでした。
当時アマナイメージズはストック事業のマーケットを広げるために、クリエイター向けに写真、動画、音源などすべてのビジュアル素材を探せるプラットフォームを展開しようとしていました。
それにともない、Webサイト開発などのプロジェクトが同時に走っており、開発と事業部間での進捗管理が難しくなっていました。そこでツールを導入することになりました。
Backlogの決め手は「事業部と開発部門が互いに使える『目安箱』となり得たこと」
ーさまざまなプロジェクト・タスク管理ツールがあるなかで、Backlogを決めた理由は何でしたか?
松田:Backlogの決め手は、ビジネスの主体である事業部と開発部門で互いに使えるツールだったことが理由でした。
正直なところシステム開発部門だけのプロジェクト管理であれば、JIRAやRedmineでもよかったのですが、事業部と案件の進捗やスケジュールを管理して、正しいシステムを開発することが目的だったので、開発者に特化した見た目や操作性のツールは除外しました。
事業部側のメンバーは、個人のタスク管理には慣れている一方で、プロジェクト管理に馴染みがなく「WBSって何?」という人たちが多かったのですが、Backlogが事業部と開発部門の目安箱となったおかげで、一度説明しただけで、スムーズに導入できました。
Backlogは、プロジェクト管理ツールによくある見た目や操作の複雑さが無く、開発者ではないメンバーでも直感的にすぐに利用できるのが大きな魅力でした。
開発部門の作業負荷が軽減、事業部のプロジェクト管理力も向上
ー事業部側のメンバーはプロジェクト管理に馴染みのない方が多いとありましたが、Backlog導入後なにか変化はありましたか?
松田:Backlog導入で、事業部側のシステム開発のプロジェクト管理の意識がかなり変わりました。
アマナの開発プロジェクトは、開発部門から事業部へいつ何ができるのかという細かいスケジュールを出す必要があります。今まではシステム開発部門が請け負う全案件を事業部が俯瞰できる仕組みがなかったので、スケジュールの問い合わせが頻繁にありました。
その結果「システム部門に頼めば、よしなにできてる」ような状況になってしまい、システム開発部門に調整負荷がかかりすぎていました。
Backlogを導入したことで、事業部側でも開発の進行管理を把握できるようになり、システム部への問い合わせが減り、調整負荷も軽減しました。
いまでは、事業部が先導してプロジェクトを管理できるようになったので、開発部門では最初の開発期間の提示だけして、あとは開発にリソースを注げるようになりました。
口頭ベースでの案件依頼がなくなり、業務の属人化も解消できた
ーBacklog導入後の効果はいかがでしたか?
田中 靖士(以下、田中):私は事業部に所属しているWebデザイナーですが、アマナに入社してはじめてBacklogを使いました。他のプロジェクト管理ツールを使う機会もありましたが、難しすぎてわからない、あくまでも開発者が使うツールでしょ、と思っていました。しかし、Backlogはそんな私でも抵抗なく使えました。
事業部でのBacklogによる一番の効果は、口頭ベースの仕事の依頼をきちんと記録できるようになったので、仕事やコミュニケーションがスムーズになったことです。
口頭での仕事の依頼は割と多く「タスクをやったかどうか分からない」「頼まれたことを意識できているのかわからない」という状態が起こりがちでしたが、そのときに「Backlogに登録してください」という一言を添えられるようになったので、依頼する側と依頼を受ける側の心理的な負担も軽減されましたし、コミュニケーションストレスもなくなりました。
松田:開発部門では、業務が個人に依存しなくなったという効果がありました。
私は開発部門に昔から在籍していることもあり「わからないことがあったらとりあえず開発部門の松田さんにメールしよう」という認識が他部署にあり、対応できる社員もたくさんいるのにも関わらず、私に仕事が集中するという状態が起きていました。
Backlogを導入したことで、人と業務が安易に紐づいている状態を解消できましたし、この案件の対応ならAさんもできます、と仕事を手分けしやすくなりました。
制作チームはBacklog導入でマーケティング施策の精度を改善
ーデザインや制作などのクリエイティブ業務のワークフローなどで変化はありましたか?
田中:ありました。私はマーケティングチームとWebサイトのバナーデザイン更新やキャンペーンのデザイン制作をBacklogで管理することが多いのですが、Backlogを導入して、過去の施策の振り返りが簡単にできるようになりました。
たとえば、30%オフキャンペーンを実施するときに、過去に似たような施策をBacklogの課題とコメントで参照して、どういう経緯で実施した施策か、売り上げにどれだけ影響があったのかクイック確認できます。施策の精度も高められるので、Backlogはマーケティングチームにも効果的だと思います。
ー制作業務のワークフローにも変化はありましたか?
田中:他にも制作業務では、期限が決まっているタスクとプライオリティが高いけど期限が決まっていないタスクが発生します。Backlogを導入したことで、「プライオリティが高くても期限が決まってるものを優先する」という運用を上層部や他部署にロジカルに説明できるようになりました。
「人が中心」のアマナの働き方改革の挑戦をBacklogで支えていきたい
ーBacklogを使って、コミュニケーションスピードや業務の改善をしているアマナ様ですが、今後改善したいポイントなどありますか?
松田:社内に浸透しているプロジェクト管理ですが、いまでも新しい管理方法の導入や検証も日々繰り返しています。アマナグループ内では、新規事業の立ち上げや組織改革が月単位で実施される環境なので、それに応えられるようにBacklogを応用していきたいですね。
田中:業務が高度化するとコミュニケーションもより複雑になっていくので、ツールの力で複雑化したコミュニケーションを強化したいですね。
アマナグループではチャットツールを導入していますが、社会全体でチャットマナーが固まっていないので、手間が増えることがあります。メールにあるビジネスマナーのようなものをチャットツールでも固めて社内で発展していきたいですね。
松田:アマナグループは何よりも「人」を大事にしているので、ツールを使ってポジティブなコミュニケーションを広げていきたいです。Backlogにはチームでスターを送り合う機能がありますよね。案件管理はできるようになったので、次のステップとして感謝の気持ちを伝える運用もしていきたいです。
ーありとあらゆるビジュアルコミュニケーションを手掛けるアマナが競合他社の追随を許さないために取り組みたい働き方改革などありますか?
広報室:世の中の流れとして働き方改革に向かっていますが、一時、ブラックなイメージが強かった広告領域で活動するアマナグループでも、こういった方向に変えていくという思いを経営方針にも掲げて、様々なデジタルサポートツールを導入しています。
また創業40周年を迎えた2019年の全社施策「Project 4」でも、社員同志のコミュニケーションの活性化を目指す様々なプロジェクトの提案があり、実際に、若手社員やキャリア採用の社員問わずボトムアップで働き方改革を進めるプロジェクトも始動しはじめています。
松田:開発部門でも、こうした社内での働き方をより変えていくような挑戦をしています。最近では、自社開発のアプリケーションで、出退勤や労働管理をしています。これは、外回りの多い営業部がタイムカードを押すためだけに会社に移動する時間がももったいない、といった非効率な状況を無くしたいというのが背景にあります。
こうした小さな無駄の改善を重ねて、今後は集計した時間をもとにどの案件にどれだけ工数を割くべきかなどの生産性管理までできるようにしていきたいと考えています。
受託ビジネスの業務管理は、受注、制作、納品までと工程が多く、見積もりも属人化して精度が高くないので、社員の生産性に関するデータを含めて単価や工数などの見積もり精度を高めていきたいです。
ー今後社内の改革にBacklogをどのように応用していきたいですか?
松田:プロジェクトの管理手法が固まっているならば、アマナグループの事業体や組織体制の変化に柔軟に対応できると考えています。現在はWebサイトの運用管理にBacklogを活用していますが、今後は社員の多様な働き方を支えるアマナグループの社内システムの開発や新規事業など、会社の変化に合わせて応用していきたいです。
※掲載内容は取材当時のものです。