「組織をより良くする」知見の連鎖。管理部門へのBacklog浸透で実現した“自走するチーム”への変革

Backlog導入前の課題
・会議が現状確認や報告だけで終わり、議論の時間がなかった
・業務が属人化しており、過去の資料や進め方の確認に手間取っていた
・メンバーが離れた拠点に常駐しており、組織課題への着手が遅れていた
Backlog導入後の効果
・事前共有の徹底により、会議ですぐに議論・意思決定ができるようになった
・業務プロセスが記録され、組織の共通資産(ナレッジ)として蓄積された
・定型タスクの自動的な起票運用により、業務の失念や漏れが解消された
請負・受託開発やエンジニア派遣を手がけるエボルテック株式会社。本社である名古屋開発センターでは、組織課題の解決にBacklogを活用し、タスクの可視化とナレッジの蓄積を進めてきました。
その取り組みは、Backlogを活用した優れたプロジェクトを表彰する「Good Project Award 2025」において優秀賞を受賞。今回は、名古屋開発センター マネージャーの大河原氏に、取り組みの背景と実践、そして組織に生まれた変化について伺います。
目次
「組織をより良くする」取り組みを加速させるため、管理部門へBacklog導入
── 御社の事業概要と、大河原さんご自身の現在の業務内容について教えてください。
エボルテックは、請負・受託開発事業やエンジニア派遣サービスを手がける総合エンジニアリング企業です。名古屋の本社に加え、浜松、長野の3拠点があり、基本的にはお客様先に常駐する形で開発を行っています。
その中で私は、名古屋開発センターのマネージャーとして、営業と採用、そして組織運営全般を担当しています。
もともとはエンジニアとして業務系システムの開発に携わってきましたが、チームビルディングへの関心から、2025年10月に管理部門へ異動しました。自チームのみにとどまらず、組織全体にその取り組みを広げたいと考えたのがきっかけです。

エボルテック株式会社
名古屋開発センター マネージャー
営業・採用担当
大河原 翔 氏
── Backlogとの出会いはいつ頃でしたか?
社内で使い始めたのは2019年8月からです。エンジニア時代に、お客様先の常駐プロジェクトで、ファイルサーバーとタスク管理ツールの両方の役割を果たせるクラウドサービスを探していました。そして、導入に至ったのがBacklogです。
最初の数年間は、私が関わっていたプロジェクト内のみで利用している状態で、組織全体で活用しているというわけではありませんでした。
── 「Good Project Award 2025」で発表されていた管理部門でのBacklog活用の取り組みは、どのような経緯で始まったのでしょうか?
名古屋開発センターにおける「組織をより良くする」ための活動として始まりました。現在、拠点における組織運営は、管理部門にいる4名に加え、エンジニア部門のリーダー層とも連携しながら進めています。
ただ、エンジニアメンバーの多くはお客様先に常駐しており、全員が顔を合わせて議論できるのは月に1回のみ。タスク管理も行っていなかったため、会議では課題の確認や経緯の棚卸しに終始し、解決に向けた具体的な議論の時間がほとんど取れない状態が続いていました。
向き合うべき組織課題は多いのに、なかなか前に進まない。その状況を打破し、スピード感をもって取り組みたいという思いからスタートしました。
Backlogユーザーコミュニティ「JBUG(ジェイバグ)」で得た知見が後押しに
── 「組織をより良くする」という観点でBacklogを活用しようと思われたきっかけは何だったのでしょうか。
2025年3月に開催されたJBUG名古屋がきっかけです。外部から知見を得ることで現状打破のヒントになればと思い、初めて参加しました。
── 実際に参加してみて、いかがでしたか?
まず感じたのは、JBUGは「チームを良くしたい」と本気で考えている方々が集まっている場だということです。
それまでは「もっとこうしたい」「社内で話し合いたい」と思いながらも、ひとりで考え込んでしまい、具体的な打ち手が見えずに行き詰まることが多くありました。
JBUGで参加者の方々に自分の抱えている悩みを相談してみると「自社ではこのように取り組んでいます」といった事例やヒントを多くいただけて、大変ありがたかったです。社内に持ち帰り、適用できそうだという具体的なイメージも湧きました。
── そこで得た知見が、Backlogの社内浸透につながったのですね。
「やってみて、次回その取り組みを登壇で話してくださいよ」と言われたことが、大きな後押しになりましたね(笑)。「管理部門にBacklogを浸透させるまでの道のり」と題し、3か月後のJBUG名古屋で無事に登壇を果たしました。
ヒントを得るだけではなく、実践してみる。そして、その取り組みをまたほかの参加者に共有する。JBUGでは、そうした「知見の連鎖」が生まれるんです。
結果として、このプロジェクトは「Good Project Award」で優秀賞を受賞するに至りました。

2025年の最も素晴らしいプロジェクトが決定!「Good Project Award 2025」:Backlog World 2025レポート | Backlogブログ
最も素晴らしいプロジェクトを表彰する「Good Project Award 2025」!11月29日のBacklog World 2025に…
backlog.com「仕事が増える」という抵抗感。乗り越えた鍵はルール設計と巻き込み力
── JBUGで得た知見をもとに現場で実践され、3か月後のJBUGで登壇へ。管理部門へのBacklog導入はスムーズに進んだんですね!
ところが、最初は思わぬ壁にぶつかりました。Backlogを活用したタスク管理を依頼したところ、メンバーからは「入力作業という新たな仕事が発生する」と捉えられてしまい、抵抗感を持たれてしまったのです。
私は日頃からBacklogが好きで使っていたので、タスクを見える化し、期限を決めて、ガントチャートで進捗を見通すことの重要性や効果を十分に理解していました。これから初めてBacklogを使う人とはどうしても温度差が生まれてしまうことに、そのとき気づきましたね。
── その壁を、どのように乗り越えたのでしょうか?
Backlogの活用さえ始めれば、必ず効果が現れるに違いない。そう確信していたので、いかに初動を生み出すかを考えました。
そこで、日頃からタスク管理を行っており、新しいツールへの抵抗も少ないエンジニアメンバーに協力を仰ぎました。新しい施策を進める際には、まず取り組みに賛同してくれそうな人たちを巻き込むことが有効だという経験則があったからです。
エンジニアメンバーには、ちょっとしたやり取りで解決できそうな内容であっても、Backlog上に課題として起票してほしいとお願いしました。まずは「使う状態」をつくることを意識したんです。
── まずは仲間をつくること、重要ですね。
並行して、普段のコミュニケーションに使っているチャットツールのチャンネル内に、Backlogの通知を流すようにしました。すると、エンジニアメンバーが起票してくれた課題の通知がチャット上に大量に流れてきます。チャット上で議論をしてもすぐにメッセージが流れてしまうため、通知をきっかけにBacklogへ遷移し、各課題にひもづいたやり取りをする習慣が徐々についていきました。
そのように小さく始めていったところ、数週間ほどで管理部門のメンバーからも「Backlogに課題の一覧とやり取りの履歴がまとまっているとわかりやすいね」という声が上がるようになりました。全員がBacklogを使うことへの抵抗感もすっかりなくなっていたんです。
── ほかにも工夫された点はありますか?
課題を起票する際にはテンプレートを用意し、起票する側の「書くストレス」を減らすようにしました。人によって記載方法がまちまちだと、閲覧する側の「読むストレス」も増えてしまいます。
そこで、上から順に記載していけば抜け漏れのない構造になるよう、テンプレートを作り込みました。さらに、「担当者と期限日を必ず入力」という注意文もテンプレートに盛り込み、入力後はその注意文を削除してもらう仕組みにしました。
この設計は、Backlogを組織に浸透させるうえで、最も重要なポイントだったのではないかと考えています。

基本の課題テンプレート
必須項目をわかりやすく記載している

顧客訪問記録に関するテンプレート
項目に沿って記入すれば、必要な情報が網羅される
「暗黙知」から「形式知」へ。Backlogがもたらした“自走する組織”への変化
── Backlogの活用を始めて、部内にどのような変化がありましたか?
Backlogのおかげで、会議の進め方が劇的に変わりました。運用面では、Backlogのドキュメント機能を活用して、各自が報告したい内容を事前に議事録へ書き込み、あらかじめ読んだ上で会議に臨むというルールを徹底しました。
会議の場ではすでに全員が進捗や状況を理解している状態になるため、すぐに議論に入れるようになりました。これまでの「ただ報告をするだけの会議」から脱却できたと感じています。

ドキュメント機能には議事録のテンプレートを用意
事前に各自記載してから、会議に臨む
議事録で活用しているドキュメント機能は共同編集が可能なので、会議中に話しながらその場でどんどん内容を更新できます。その点も非常に便利ですね。
さらに、それぞれが議事録を書くタイミングで「これも課題だな」と思い出したことを、即時に課題として起票するようになりました。そうしてBacklog上で課題が周知されると、すぐにやり取りが開始し、会議の場を待たずに課題が解決するケースも増えてきました。目指していた「自走できる組織」に、少しずつ近づいている実感があります。

── 大河原さんがBacklogに感じている価値について、あらためて教えてください。
Backlogの価値は、組織の「暗黙知」を「形式知」に変えられる点にあると感じています。
Backlog上で組織課題解決に向けたやり取りを重ねる中で、タスクの進捗だけでなく、組織全体のナレッジが見える化されてきました。
これまでは個人でタスクを完結する傾向があり、業務の属人化につながっていました。Backlogを導入してからは、そうした仕事の進め方や意思決定のプロセスが記録としてどんどん蓄積され、組織の共通資産になりつつあります。
── タスク管理にとどまらず、Backlog上にある情報そのものがナレッジとして活かされているのですね。
また、組織運営では毎年発生する定型タスクも少なくありません。以前は「去年どうやって進めたのだろう」「あのときの資料はどこにあったのだろう」と探すのに時間と手間がかかっていました。
Backlogを使い始めてからは、毎年の定型業務が終わったタイミングで翌年分のタスクを課題として起票しています。こうすることで業務の無駄を省き、タスクの漏れを防いでいます。これも、ナレッジの蓄積によるメリットのひとつだと感じています。
悩みを一人で抱えず、同じ思いを持つ仲間と共にさらなるBacklog活用を
── 今後のBacklog活用における展望はありますか?
現在、管理部門内でのBacklog活用はさらに広がっています。オフィスのルール周知や新入社員のオンボーディング、さらには採用活動におけるタスク管理、営業活動における顧客管理など、活用場面は多岐にわたります。これらの業務もBacklog上に情報を溜めていくことで、組織の資産になっていくと期待しています。
今後は、Backlogに蓄積してきたナレッジの高度な活用にもチャレンジしたいです。AIを活用することで、ナレッジをもとに新たな気づきや業務改善のアイデアを生み出すデータベースとしても機能させていきたいと考えています。
── JBUGをきっかけに行動を起こされた大河原さん。これからJBUGへの参加を検討している方へ、ぜひメッセージをお願いします!
チームをより良くしたいと考えていても、過去の私のように、一人で悩みを抱え、「何から始めればよいのか分からない」と立ち止まっている方も多いのではないでしょうか。
JBUGで参加者の皆さんと話すだけで具体的なヒントが得られ、自分にもできることがあると思えるきっかけになるはずです。
組織課題は、ロジックだけで解決できるものではなく、社内の人たちと向き合いながら、泥臭いアプローチが必要になる領域だと思います。さらに、他社の取り組みは表立って発信されることが少なく、リアルな事例は書籍やインターネットだけではなかなか得られません。
JBUGのようなオフラインの場では、同じ思いを持つ人たちが集まり、集合知が生まれます。ぜひ一度足を運んでいただき、その熱量を感じてほしいです。
── 本日は貴重なお話をありがとうございました!
関連情報

JBUG(ジェイバグ)|Backlogユーザーコミュニティ
Backlogユーザーコミュニティ「JBUG(Japan Backlog User Group)」の公式サイト。ユーザー同士が実体験から得た…
jbuginfo.backlog.com
Backlog AIアシスタント | プロジェクトの「進む力」を最大化するチームの一員
膨大な課題やドキュメントをAIが瞬時に要約。プロジェクトを横断して進捗を可視化し、優先課題を特定します。進捗把握や情報探索の時間を削減し、迅…
backlog.com※掲載内容は取材当時のものです。