全員が一つのゴールを目指すチームへ。タスクの可視化と情報共有が、イベント成功のカギ

Backlog導入前の課題
・タスクがチーム間で共有されず、漏れが発生
・各チームにタスク管理を任せており、全体の進捗が把握できない
・誰が何をどのように行ったのか、過去の記録が残っていない
Backlog導入後の効果
・情報共有が徹底され、タスク漏れなくスムーズなイベント運営を実現
・各チームの動きや進捗状況を全員が把握し、フォローしあえる環境に
・タスクが情報として可視化され、今後の運営に役立つノウハウが蓄積
沖縄を拠点にアジア全域のスタートアップ支援を行うフォーシーズ株式会社。同社が企画・運営している「KOZAROCKS 2024」のイベント運営プロジェクトにおいて、Backlogを活用いただいています。
その取り組みは「Good Project Award 2024」にて優秀賞を受賞し、Backlog活用の成果に注目が集まりました。今回は、アライアンスコミュニティマネージャーを務める小川氏に、「KOZAROCKS 2024」運営の裏側を詳しく伺いました。
目次
沖縄を拠点に、スタートアップエコシステムに関わる国内外の人を支援
── 御社の事業について教えていただけますか?
私たちフォーシーズ株式会社は、沖縄を拠点として、スタートアップエコシステムづくりに取り組んでいます。
主な事業内容は、Koza Startup Arcade(以下、KSA)という、沖縄・コザの商店街を活用したスタートアップ支援拠点の運営です。このKSAは2016年に誕生し、起業家支援施設やシェアオフィス、シェアハウスなど、活動と交流の場を提供しながら、挑戦者を応援する取り組みを続けています。
2019年からはフォーシーズが運営主体となり、さまざまな事業を展開してきました。とくに2022年からは、商店街を巻き込んだ活動が本格的にスタートしています。
── 小川さんの担当されている業務についてもお聞かせください。
私自身は2023年末にフォーシーズに参加し、コミュニティマネージャーとしてシェアオフィスの入居企業管理をメインに担当しています。
最近では、ベンチャーキャピタルや、2024年度に初めて実施したアクセラレーションプログラムなどを通じて、東アジアの企業やプレーヤーとも関わる機会が増えてきました。スタートアップエコシステムに関わる皆さまとの接点を創り、つながりを生む役割を担っています。

フォーシーズ株式会社
アライアンスコミュニティマネージャー
小川 きぬ 氏
ガントチャートの使いやすさがポイント。Backlogですべてのタスクを管理
── 「KOZAROCKS」は、どのようなイベントなのでしょうか?
「KOZAROCKS(コザロックス)」は、スタートアップや投資家、事業会社のリーダーたちが集まる、地域発の都市型スタートアップカンファレンスイベントです。KSAがある沖縄・コザの商店街一帯を巻き込み、関係者が一斉に集まる場となっています。
沖縄のスタートアップエコシステムの盛り上がりを県外・海外の皆さまに伝えていくこと、そして、スタートアップにとって必要なネットワーキング形成の促進がイベントの目的です。
第1回はKSAのお披露目イベントとして2022年に開催し、2024年が第4回の開催となりました。次回は、2025年7月に開催を予定しています。
── イベント運営に、Backlogを導入されていると伺いました。
過去にはヌーラボ代表の橋本さんにイベントへ登壇いただいたご縁もあり、2024年からBacklogを導入しました。
フォーシーズ社内では、社員10名がすべてのタスクをBacklogで管理しています。私も入居者の管理、シェアオフィス周りのタスク管理などで活用していて、毎日の業務に欠かせないツールです。
以前はほかのタスク管理ツールを使っていたのですが、Backlogはとくにガントチャートが見やすく、イベント運営のように細かいタスクが多数発生する業務にも便利だと感じましたね。Backlogは社内のメンバーにもすぐになじみ、ツールの切り替えもスムーズに進みました。
準備期間は3か月間。タスクを可視化し、毎日の情報共有を徹底
── 「KOZAROCKS 2024」の運営体制について教えてください。
複数の企業・組織からなる50名ほどの運営チームを結成し、私ともう一人でPMを担当することになりました。「KOZAROCKS 2024」の運営自体は4月頃から動き始めたため、3か月程度しか準備期間がなかったんです。
── 非常に短い準備期間だったんですね!イベント準備を進める中で、何か課題はありましたか?
大きな課題だったのが、過去のイベント運営の履歴・ノウハウが何も残っていなかったことです。どのようなタスクが存在し、どのように進めればいいのかもわからない状態でした。
そのため、まずは前年の担当者にヒアリングをするところからスタートしました。詳しく話を聞くと、昨年度は開催直前になって誰も手をつけていないタスクが発見され、あわてて対応する場面もあったそうです。主な要因として、プロジェクトメンバー内で情報共有・進捗管理がうまくできていなかったことが挙げられます。
そこで今回は、Backlogを活用し、それぞれのプロジェクトメンバーの役割やタスク、そして全体の進捗状況を可視化したいと考えました。
── Backlogを使った具体的なプロジェクト管理方法について教えてください。
PMを中心として、セッション企画、スポンサー営業、ロジ・運営など、タスクを大きく11のチームに分けました。チーム単位で課題を立てることで、課題上で進捗を把握できるようにしたのです。運用方法は各チームリーダーに任せたため、課題の粒度はさまざまでしたが、まずはタスクをきちんと可視化し、履歴に残すことを目指しました。

ガントチャートを活用し、チームごとに進捗を確認
開催2か月前からは、毎日30分の定例ミーティングを実施しました。メンバー全員でガントチャートを見ながら、各チームの進捗を共有し、タスクの遅れや抜け漏れがないかをチェックします。私ともう一人のPMはバックログスイーパーとして、進捗状況を課題の詳細欄やコメントに反映していきました。
何か問題を見つけたら原因をヒアリングし、対策を検討。進め方を支援したり、必要な人員をアテンドしたり、問題解決のサポートを行ったのです。
チームワークマネジメントがもたらした、「一つのゴールに向かう」意識の改革
── Backlogを活用したことで、イベント運営にどのような変化がありましたか?
運営メンバーから「今までで一番、余裕を持って当日を迎えられた」と言ってもらえたことが強く印象に残っています。
参加者は昨年の520名から、2倍近い920名へと大幅に増加しました。それだけの規模へと拡大したにもかかわらず、タスク漏れが発生することなく円滑にプロジェクト運営ができたんです。
── 具体的に、どのような点が改善されたのでしょうか?
タスクを可視化したこと、履歴を残したことは、私たちにとって非常に大きな一歩でした。
これまでは各々の担当者に任せて準備を進めていたため、イベント運営に関わるタスクの履歴が残っておらず、どのようなタスクをどのように進めるのかが見えなかったんです。そのため、イベント直前になって「誰かがやっていると思った」というような、タスクの抜け漏れにつながっていたと思います。
── 毎日の定例ミーティングを実施したことも、プロジェクトメンバー内の情報共有に良い影響があったのではないでしょうか。
毎日定例ミーティングを行うのは、一見非効率に思われるかもしれません。しかし、Backlogを通じて進捗を共有することで、「プロジェクトメンバー全員が一つのゴールに向かう」という、これまでになかったチームワークが生まれました。
Backlogの活用によって一体感が生まれ、チームワークマネジメントが実現したのだと感じています。これは、フォーシーズやKOZAROCKSの運営メンバーにとって、まさに革命的な変化だったんです。
Backlogのタスク履歴で、来年のプロジェクト運営をさらに効率化
── 今後のBacklog活用について、何かお考えはありますか?
KOZAROCKS運営にとって、Backlogの活用による今回の変化は非常に大きいものでした。ただ、プロジェクト管理としては、まだまだ改善・発展の余地があると感じています。
「KOZAROCKS 2025」の運営にあたっては、2024年度のタスク履歴がすべてBacklog上に残っているため、それらをベースに準備をスタートできます。「去年、このタスクをどうやって進めていたっけ?」と迷ったときに、Backlogを参照できるので、これまでの活動をふりかえられるようになったことも価値の一つです。
Backlogに情報を蓄積することは、タスク管理を効率化するだけでなく、未来のチームにもメリットをもたらします。KOZAROCKSのように毎年開催するイベントの運営では、1年後にその効果をさらに実感できるはずです。

── 今後挑戦してみたいBacklogの使い方や、目指す成果などはありますか?
今後は、各チームのタスクを細かく課題として登録してもらったり、メンバー自身が課題起票したりするための工夫など、トライしてみたいことがたくさんあります。
ツールを活用して自分たちの活動記録を残していくことは面倒だ、と感じる人もいると思います。私自身、普段はオフィスに出社して口頭でやり取りする場面も多いので、意識しないとおろそかになってしまうかもしれません。
ですが、自分がやるべきことを書いて、期限を決めて、それまでにやり切るというプロセスは、どんな仕事にも必要なものです。プロジェクトメンバーには、Backlogの使い方だけでなく、「なぜやるのか」というメリットや価値まで伝えられるようにしたいと考えています。
「Backlog World 2024」でさまざまな活用方法のセッションを聞き、知見をたくさん得られたのも良かったですね。他社様の事例も参考にしながら、今後もBacklogを活用して、より良いプロジェクト管理を行っていきたいと思います。
―― 次のKOZAROCSを楽しみにしています。本日は貴重なお話をありがとうございました!
※掲載内容は取材当時のものです。