BacklogとTypetalkのAPIを活用するアットウェア社のユニークな取り組みをご紹介!
写真左から:北野弘治氏、武永恒一郎氏、木村紫帆氏、山下竜司氏、浅野祐希氏
2014年から Backlog と Typetalk を全社で導入しているアットウェア社。 Cacoo もプロジェクトごとに活用しており、ヌーラボの全サービスを社内・社外のあらゆる業務で活用しています。そんなアットウェア社が取り組む、ヌーラボのAPIの技術的な活用方法とサービスを連携した業務改善事例について取材してきました。
−アットウェア社の簡単な事業紹介をお願いします
スマイルエンジニア 木村紫帆氏:
弊社は、オープンソースをはじめとするJavaのサーバサイド技術を中核とした、システム構築を主な事業としています。 AWSなどのクラウドサービスを積極的に採用して、変化に強いシステムの開発に取り組んでいます。また、アジャイルプロセスを様々な開発プロジェクトに積極的に採用し、お客様とシステムやサービスを育てていくことを重視しています。お客様と技術者、技術者と技術者といった、人と技術のコラボレーションの推進を様々なツールや仕組みを用いて促しています。
−アットウェア社はヌーラボの全サービスをプロジェクトに採用しています。導入までの経緯と各サービスをどういった用途で利用されているかについて教えてください。
"福"社長 北野弘治氏(以下北野氏):
現在、BacklogとTypetalkを全社で導入し、Cacooも全社契約をしています。Backlogは2013年から導入試験を実施しており、全社での本格的な導入は2014年からでした。
Lead Software Engineer 浅野祐希氏(以下浅野氏):
Backlogはプロジェクト管理ツールとして活用しています。Typetalkは社内の情報共有のためのチャットツール、Cacooはお客様にプロジェクトの進め方をご説明する際の資料作成や、システムの方式と構成の作図といった開発者同士のディスッカション時にも活用しています。Backlogの課題の短縮URLをコピーしてTypetalkに貼り付けると、TypetalkからBacklogの課題へすぐにアクセスできます。Cacooの図はBacklogの課題やWikiに簡単に挿入することができます。わざわざ画像をエクスポートしなくても済むので、効率的に作業を進められます。各サービス同士相性がとても良いので、併用して活用することが多いです。
−Backlogをどのように活用していますか?
スペシャルエンジニア 武永恒一郎氏(以下武永氏):
全社員の日報・週報・月報をBacklogで管理しています。導入前は日報をメールで管理・共有していましたが、受信ボックスの中で埋もれてしまったり、チェックを後回しにして忘れてしまいがちでした。Backlogで運用するようになってからは改善されました。社内では「レポート」という専用のプロジェクトに一課題につき一日報という形式で運用しています。全社員分の日報がひとつのプロジェクトに集約されているので、まとめてチェックできるのが便利です。さらに、登録者で課題を絞り込めるので、誰が何をしているのか簡単に把握できるのも魅力ですね。
浅野氏:
他には、Backlogの日報のカスタムフィールドを使って、GoogeleAppsと連携することで、交通費の精算などを自動生成する使い方もあります。
−アットウェア社は、ヌーラボが公開するAPIライブラリを使って自社の業務改善に活用されています。どういった目的で、どういった機能を開発してきたのでしょうか。
武永氏:
Backlogにはスター機能というものがあります。誰かの課題に対して内容を褒めたい場合や、読んだことを伝えたい際に送る「イイネ」機能です。私は、日報を読んだことを伝えたい時にスターを活用しています。課題登録時に通知されるメールで内容を確認することが多いのですが、スターを付けるためには一度Backlogにアクセスしなければならず、ここをメールで完結させたいと思ったのです。それで作ったのが「Gmailで届いた日報にスターを付ける拡張機能」です。
Backlogの公式APIライブラリ「Backlog4J」で公開されているAPIを使いました。BacklogのAPIを使うのは初めてで、Chromeの拡張機能から着手するのではなく、ディベロッパーツールのコンソールにJavaScriptを直書きするところから始めましたが、半日足らずで完成しました。最初は、個人で使っていましたが、社内からも使いたいという声が上がってたのと、社内の技術コンペ「アットウェアアワード」に出展しようと思い、Chromeの拡張機能を作りました。
−アットウェアアワードとは何でしょうか?
北野氏:
Webサイト、スマートフォンアプリの制作を通して技術、デザイン、アイデアを競い合うコンテストです。マッシュアップアワードを参考にして、2012年から計6回開催してきました。開発者の技術力の向上と自社のナレッジを外部に向けてシェアするというコンセプトで運営しています。
Lead Programmer 山下竜司氏:
アットウェアアワードで生まれた作品は、社内ツールとして活用されることもあります。先ほどの武永の作品もそうですが、私は2004年のアワードで、社内Qiitaのような情報共有ツールを作りました。社内の情報共有ツールとしてヌーラボ製品を採用していますが、Typetalkは情報が流れてしまい、Backlogは仕事以外の情報を気軽に投稿できない点に課題を感じていたことがきっかけでした。気軽に投稿できる点が特徴で、イベントレポートや技術メモの共有、書籍の紹介など、多くの用途で使われています。現在合計508投稿あり、社内の情報共有ツールとして頻用されています。
−他にヌーラボのAPIを活用した事例はありますか?
北野氏:
一例として、ある社員が作ったTypetalkのBotを使ってエアコンの調整をしています。弊社のエアコンのオンオフは、施設によって管理されています。19時には自動的に消えてしまい、それ以降の利用はウェブ上から施設のフォームに申請する必要があります。申請は一つのアカウントでしか行えず、そのアカウントは全社で共有されていません。そこで、Nulab Developersで公開されているTypetalkのAPIを使って、Typetalkのプログラムを申請フォームと紐付けることで、誰でも簡単に申請できるように自動化しました。
「エアコン,一旦,延長」などの単語を含んだ発言をトピックに投稿すると、申請できます。お遊びで画像認識の技術も適用しており、所定のキーワードを埋め込んだ画像を貼り付ける方法でも、稼働時間を延長しています。他には、Typetalkのハートの形のイイネ機能があるのですが、ハートの数に応じて、延長時間を調整できるようにしています。
−最後に、ヌーラボのサービスに対して要望やメッセージをお願いします。
武永氏:
Backlogのスター機能は、単語ごとに指定してつけられるのも特徴ですよね。幾つか日報ツールを利用しましたが、だいたい「イイネ」というのは、投稿に対してしかつけられないので、Backlogで日報を書くことのメリットだと考えています。今後、言葉を指定できるAPIが公開されたら、言葉の範囲を指定してイイネを送る拡張機能も作ってみたいです。他にも、Gmailで既読したメールは自動的にスターが送れる機能もあったら良いなと思います。
浅野氏:
以前、Typetalkがローンチされた際に、ヌーラボ開発チームがヒアリングのために弊社を訪れてくれました。その時に、2段階認証を始めとする企業向け管理機能、スライド共有ツールの埋め込みやページ指定といった機能の実装、左サイドバーのリサイズUIなど、幾つか要望を出しました。Typetalkを使い始めた当初は機能が絞られている感触を受けましたが、コンセプトを崩さないように、私たちのフィードバックに柔軟に対応されていると感じます。基本的な使い方は掴めてきたので、次のステップとして応用した使い方にも積極的に挑戦したいと思います。
——ありがとうございました!
※掲載内容は取材当時のものです。