ベトナムのオフショア開発でBacklogを活用。精緻な工数・品質・コスト管理でサービス品質を向上
Backlog導入前の課題
・誰もが使いやすく、アジャイル開発に適したプロジェクト管理ツールの導入
Backlog導入後の効果
・精緻な工数管理と品質向上、業務効率化を実現
・取引先企業との円滑なコミュニケーションに貢献
ベトナムのハノイに本社を置き、オフショア開発サービスを提供するPiraGo Viet Nam(ピラゴーベトナム)株式会社(以下、PiraGo)。取引先企業の9割が日本企業である同社では、開発プロジェクトの管理をはじめとして、社内のさまざまな業務にBacklogを活用中です。
PiraGoの最高経営責任者(CEO)を務めるTạ Vũ Long氏に、Backlogと出会ったきっかけから具体的な活用方法、導入後に感じた効果やメリットまで詳しく伺いました。
目次
オフショア開発で注目されるベトナムの企業がBacklogを活用
―― 御社の事業概要について教えてください。
当社は、主に日本市場向けのオフショア開発やITコンサルティングを行う企業です。TypescriptやクラウドネイティブのAWSを使った先進技術やモダンアプリケーション開発技術を活用して、スマートフォンアプリやウェブシステムを開発しています。これにより、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)や課題解決に取り組んでいます。
本社はベトナムのハノイに置き、2018年の設立以来お客様のご要望に応じた品質の確保とコスト最適化を実現するソリューションの提供を心がけています。
近年力を入れているのが、自社サービスの開発・提供です。2023年5月に、ChatGPTを活用してチャットボットを作成できるサービス「PIGPT」をリリースしました。
2024年4月には、ベトナムソフトウェアITサービス協会(VINASA)が主催するアワード「SaoKhue2024」において、ITアウトソーシング部門で2年連続の受賞を果たしました。ITビジネスは、現在ベトナム国内で最も急拡大している産業です。その中で、PiraGoの実績が評価され、IT業界の発展に最も貢献したサービスとして認められたことを大変光栄に思っています。
―― 受賞おめでとうございます! 御社でのBacklogの利用状況も伺えますか?
当社では、開発に関わるメンバーが全体の80%以上を占めており、開発プロジェクトにおける活用が圧倒的に多いです。
Backlogは、開発部門だけでなく、人事部門での採用プロセス管理からバックオフィス部門まで、会社全体で活用しています。お客様(ゲストユーザー)も含めて、Backlogのユーザー数は130名にのぼります。
アジャイル開発と親和性の高い “柔軟性” と “使いやすさ” がBacklogの魅力
―― Backlog導入のきっかけは何だったのでしょうか?
当社の設立当初、担当していた開発プロジェクトでお客様先のBacklogスペースに招待され、利用したのがBacklogとの最初の出会いです。実際に使ってみてBacklogの良さを感じ、自社でもぜひ使いたいと考えました。
以前は他社のタスク管理ツールも使用していましたが、使いやすさやコミュニケーションの取りやすさが決め手となり、Backlogの導入に至りました。
―― ほかのツールと比較して、どのような点で使いやすさやコミュニケーションの取りやすさを感じましたか?
大きく3つあります。1つ目は、わかりやすく使い勝手の良いUI/UXです。課題を一つひとつ起票して各タスクの管理ができる上に、ガントチャート機能やボード機能が見やすく、プロジェクトを俯瞰的に確認できる点が便利だと感じました。
2つ目は、料金の手頃さです。ユーザー数無制限のため、ほかのサービスと比べてコスト面の負担が少ないこともBacklogを選んだ大きなポイントでしたね。
3つ目は、柔軟性の高さです。課題内では「子課題」を作成してより細かなタスク管理ができるほか、課題の進捗を表す「状態」や自由に入力項目を作成できる「カスタム属性」を自社に合わせてカスタマイズできる点も魅力的でした。私たちはアジャイル開発の手法を用いる場面が多いのですが、Backlogのカスタマイズ性は、アジャイル開発との親和性が非常に高いと感じています。
プロジェクト全体の工数管理と、開発品質の向上を実現
―― 開発部門における、Backlogの具体的な活用方法を教えてください。
それぞれの開発プロジェクトにおいて、開発工数とコストの管理にBacklogを活用しています。弊社は受託開発が多いため、工数が請求に直結します。そのため、より効率的な工数管理の実現に向け、Backlog APIを活用した独自ツール「DevLog」を自社開発しました。
エンジニアメンバーは、Backlogに起票した課題の中に、かかった作業時間を毎日記録しています。その後、Backlog APIを通じてすべての課題データをDevLogに同期し、別画面でプロジェクト全体の工数を確認できる仕組みを構築しました。これにより、メンバーはプロジェクトごとの稼働状況を一覧で確認できますし、プロジェクトマネージャーは全体の進捗や工数の管理が容易になりました。
―― ほかにも、導入後に感じた効果やメリットはありますか?
Backlogは、受託開発サービスにおける品質向上にも役立っています。品質管理の面で特に重宝しているのが課題の「カスタム属性」の機能です。
たとえば、開発工程において何らかの不具合が発生した場合は、あらかじめカスタム登録しておいたバグの種類や原因や発見したフェーズ、修正方法などを入力するようにしています。そのデータをもとにレポートを作成し、速やかな修正対応と原因分析・再発防止に努めています。
Backlog導入によるメリットはそれだけではありません。新しいプロジェクトに着手する前に、Backlogから過去の実績を参照することでプロジェクトの正確な見積もりや計画、アサインメントが可能になったことも大きな変化です。過去のデータを見ながら、開発者、テスター、PMなど各役割の必要人数に関して最適な判断ができるようになりました。
また、人事評価の際にもBacklogの情報を活用しています。各メンバーが対応した課題の履歴を振り返ることで、作業の難易度や規模などを考慮した、より公正で客観的な評価が可能となりました。
外部とのコミュニケーションはチャットツールとBacklogを併用
―― Backlog導入の決め手として「コミュニケーションの取りやすさ」も挙げていただきました。その点はいかがでしょう?
もちろん、良い影響が生まれています。プロジェクトに関するやり取りや情報を一箇所に集約できるようになったことで、今まで以上にお客様との円滑なコミュニケーションが実現しました。
お客様とのやり取りは、チャットツールとBacklogを併用しています。簡易な連絡はチャットツールで行いますが、開発に関する内容はBacklogの課題内でコメントを残すようにしています。課題に紐づいて会話履歴が残っていると、後から必要な情報を探しやすく、ナレッジの蓄積にもつながります。以前は、チャットツールの履歴を後から探すのに手間がかかっていたのですが、その問題が解消されました。
―― Backlogとチャットツールを併用する際に、工夫している点はありますか?
お客様へ急ぎの連絡を行う際は、Backlogの該当課題にコメントした上で、課題のURLをチャットで送るようにしています。チャットの通知からBacklog課題にアクセスすれば、お客様もスムーズに状況が確認できます。
業務の効率化から顧客満足度の向上まで。Backlogは事業を支えてくれるツール
―― 今後のBacklogの活用について、どのようにお考えですか?
開発プロジェクトを円滑に進めるためには、各メンバーの稼働状況やタスクの管理が不可欠です。今後も、Backlogを活用して効率的かつ網羅的に管理していきたいと考えています。
そのために、プロジェクトマネージャーや経営者が一つひとつのプロジェクトに参加していなくても、データを集約して複数のプロジェクトを俯瞰できるような仕組みを構築したいですね。また、工数の集計機能や、課題の担当者以外の人にも通知や共有ができるようなフォロワー機能が追加されれば、さらに使いやすくなるのではないかと感じています。
Backlogは、プロジェクトの進捗管理、コミュニケーション、品質管理など、私たちの事業をさまざまな面で支えてくれています。顧客満足度の向上は、Backlogなくしては実現できなかったでしょう。今後も当社の業務に欠かせないツールとして、Backlogを活用していきたいと思います。
——貴重なお話をありがとうございました!
※掲載内容は取材当時のものです。