BacklogとNulab Passが金融DXの一助に~ふくおかフィナンシャルグループDX戦略の秘訣とは~
Backlog導入前の課題
・OSSや他サービスを検討も、使いやすさやサポート体制に不安
・外部との情報共有におけるセキュリティ及び鑑査性に課題
Backlog導入後の効果
・情報共有の負荷が大幅に軽減、部署間のコミュニケーションもスムーズに
・監査性が向上し、セキュリティとガバナンスの強化を実現
地域金融機関としては国内で最大規模を誇る、株式会社ふくおかフィナンシャルグループ。同グループでは、既存銀行サービスに加え、日本初のデジタルバンクである「みんなの銀行」や、口座振替をWebで受付するサービス「こうふりネット」などのデジタルサービスを展開しています。その中核を担う同社のDX推進本部に所属されている田中映奈氏、田中康大氏にBacklogとNulab Pass導入の経緯や導入の効果など詳しくお話を伺いました。
目次
地銀のDX推進本部でBacklogを活用中
―― ふくおかフィナンシャルグループ(以下、FFG)の事業概要を教えていただけますか?
FFGは、福岡県、熊本県、長崎県を中心とした九州全域にネットワークを構築する広域展開型の地域金融グループです。デジタル技術の活用で、今までの銀行取引をより便利で効果的なものにする「既存ビジネスにおけるサービスの高度化」や、まったく新しい未来の銀行像をゼロベースで追及する「未来の銀行像の追及」といった2つのアプローチでDXの加速を図っています。
―― 御行は、DXへの取り組みが積極的な銀行グループとしても有名ですね。
DXが社会に浸透するコロナ禍前より全社的に取り組んでいることもあり、社員一人ひとりのDXリテラシーは高いと自負しています。我々が所属しているDX推進本部は、社長直轄の組織として全社横断的にDXを推進している部署です。社内外のさまざまな部署やチームと連携し、既存業務のDX化や新たなデジタルチャネルの構築を支援しています。この連携やプロジェクト遂行にBacklogを活用しています。
―― DX推進本部では、どのようにBacklogをご活用されているのでしょうか。
開発チームのタスク管理やWikiを利用した手順書などナレッジの蓄積を中心に、ファイルのアーカイブ管理や部署横断での情報共有など、多岐にわたりBacklogを運用しています。また、課題の自動起票など業務の自動化が気軽にできるAPI連携も大いに活用しています。
Backlogの導入の決め手は使いやすさとサポート体制
―― お二人がご入社された時点ですでにBacklog導入済みだった、とのことですが、導入の背景を教えていただけますか?
導入は4年ほど前と聞いています。当時は、タスク管理と部署を越えた情報連携を解決できるツールを模索していて、最初はOSS(オープンソースソフトウェア)を利用していました。ところが、OSSは開発負荷が高く、エンジニア以外のメンバーのユーザビリティやセキュリティの脆弱性への懸念、メーカー側のサポート体制が手薄であるなど、運用するにあたって課題があり、実績のあるSaaSへの転換を決めたようです。その中で、BacklogはIP制限が簡単にかけられるなどセキュリティ面でも安心があり、かつ、サポート体制も万全のため、安心して導入することができたと聞いています。
―― 誰もが使える“使いやすさ”と高いセキュリティ、万全なサポート体制が、導入の決め手になったわけですね。
はい。誰にでもすぐ使えるUIは、本当に素晴らしいですね。DX推進本部以外のBacklogユーザーも増えているのですが、特にレクチャーやマニュアル準備などはしていません。にもかかわらず、Backlogの使い方の問い合わせや、つまずく人はほとんどいない。特別な知識がなくてもすぐ使い始められるため、ユーザーの学習コストが低いのもBacklogの大きな魅力です。もちろん、サポートする側としてもタスクの確認や管理、情報共有が効率よく行えています。
部署間の敷居を下げる、Backlogの巻き込み力
―― Backlogの具体的な活用法を教えていただけますか?
スクラム開発チームでは特に「ボード」機能をよく利用しています。メンバーのタスク進捗や優先度がひと目でわかるので、とても便利ですね。状態のカスタマイズをすることで、進捗や優先度、バグの把握など幅広いタスクを可視化できますし、誰もが最新情報をわかりやすく把握・管理できるので重宝しています。他部署での活用も広まっていて、Backlogの利用ユーザー数は毎年50~100名規模で増えているんですよ。
―― すごい増加率ですね! その理由は何だと思われますか?
Backlogに情報が一元化され、プロジェクトに関わるメンバー全員が同じタスクや情報を取得可能になったことに加え、圧倒的な使いやすさだと考えています。ユーザー数に上限がないので、自由にメンバーが参加できる環境を用意できていることも大きいと思います。その結果、部署間の敷居が下がり、他部署を気軽に巻き込みやすい文化が醸成できたのだと実感しています。
―― Backlog導入による情報共有の効率化は、DXの加速に影響しましたか?
当行におけるDX推進への寄与度は非常に大きいですね。部署を横断したプロジェクトの進行管理に活用していますし、他部署においてもBacklogは自然と浸透しています。
実は導入前の課題の一つに、ファイル共有の煩雑さがありました。以前の環境では部署ごとにフォルダの閲覧制限をかけていたため、他部署にパスを送っても閲覧することができません。そこで、共有が必要な際はメールで資料を送るのですが、パスワードが5分後に届くなど、閲覧するまでに時間がかかってしまう。しかし現在は、Backlogのパスをチャットツールで伝えるだけで済むようになりました。
一部の機密情報を除いて、プロジェクトに関する情報共有はBacklogに集約することで、部署横断での情報・資料共有の負荷が格段に減っています。社内コミュニケーションもスムーズになりました。
Nulab Pass導入の目的は、セキュリティ強化と監査ログの取得
―― Nulab Pass導⼊のきっかけはどのようなことでしたか?
理由は2つあります。1つめは、外部ベンダーとの共同開発を始めるにあたり、さらにセキュリティを高める必要があったこと。Backlogに集約されている情報には、大切なデータが多く含まれています。DX推進本部や関係部署、外部ベンダーなど多くのメンバーが関わるプロジェクトで利用するには、セキュリティの強化が必須でした。
2つめは、監査ログの取得体制を万全に整えたかったことです。Nulab Pass導入前にも、監査目的でアクセスログを定期的に取得していたのですが、ユーザーの動きをきちんと追えないケース、つまり操作ログをすぐに追えないことが稀に発生していました。監査ログは、問題が発生した際の原因究明や解消に、非常に重要な手段です。また、権限のない機密情報へのアクセスなど、不正行為の抑止力にもなります。
Nulab Passの監査ログは、「だれが・いつ・どこから・何をしたのか」といった操作情報を即時ダウンロードできます。ダウンロードしたログは時系列で記録されており、過去にさかのぼって確認できますので非常に心強い。Nulab Passを導入することでBacklog内の課題をはじめ、ファイルやWikiなどにおけるアクティビティログを網羅することができますので、大変重宝しています。
全社的に活用を拡大させていきたい
――今後の展望をお聞かせください。
DX推進において重要な要素である、API活用をさらに強化していきたいと考えています。現在、Backlogの豊富なAPI連携を駆使して、インシデントを検知した場合に自動でBacklogに起票するなど、いくつかの機能を展開しています。API連携のノウハウがだいぶ蓄積されてきていますので、今後より活用を深めていき、現在はまだDX推進本部内での活用に留まっているため、全社的に活用を拡大させていきたいですね。
FFG全体でDXをさらに推し進め、お客さまと地域の未来を豊かにできるよう、BacklogとNulab Passを活用しながら、邁進していきたいと考えています。
——本日は貴重なお話をありがとうございました!
※掲載内容は取材当時のものです。