日本4都市でBacklog勉強会を“自主開催” 岡山の老舗企業「両備システムズ」が成功した業務管理の一元化とBacklogを浸透させる取り組みとは

両備システムズ(2019年)

Backlog導入前の課題

■ グループ会社8社、国内4都市に拠点があるため、情報の共有や展開がなかなか進まない
■ 業務プロセスがメール、エクセル、社内システムなど複数のツールにまたがるため、業務情報が拡散している
■ ツールが複数あるので情報の転記による二度手間が頻発。更新が漏れることも多く、情報の整合性がとれない
■ 入力データの信頼性が乏しいので、プロジェクト改善や品質改善に活かすことができない

Backlog導入後の効果

■ Backlog導入でグループ会社8社の業務情報の管理が標準化できた。社員の90%にアカウント付与
■ 「社内のデータベース」としてBacklogが機能し、複数のツールにまたがっていた情報を一つに集約
■ 情報の転記などの作業負担が減り、転記による二度手間がなくなった。更新漏れも減り、情報の整合性がとりやすくなった
■ Backlogを社内に浸透させるためにキャラバン隊を編成して国内4都市で勉強会を実施
■ データの分析・レポート機能を拡張する「BacklogPlus」で大規模導入時のセットアップ、運用監視機能もBacklogで対応

創業54年超えの岡山県の老舗システム開発会社「両備システムズ」では、グループ8社共通の業務管理にBacklogが利活用されています。

Backlogの導入で、全社課題だったメール、エクセル、社内システムなど複数のツールにまたがる複雑な業務プロセスを一本化し、情報管理の標準化に成功しました。

Backlogを全社浸透させるために、キャラバン隊を編成してBacklog勉強会を日本4都市で実施Backlogを効率化するツール「BacklogPlus」を自社で開発するなど、同社のBacklogを活用した業務改善の取り組みをご紹介します。

■ 今回お話をお伺いした方
福田 利行(ふくだ としゆき):技術開発センターシニアエキスパート(部長)。技術戦略・技術推進部門として全社を横断した新技術の導入推進やサポートを担当。
河内 一弘(かわち かずひろ):技術開発センターエキスパート(次長)。品質管理部門として、品質施策の推進や品質向上活動、品質向上のためのツール導入推進を担当。
牧内 菜緒(まきうち なお):社会保障事業部スペシャリスト(庶務担当)。弊社社会保障事業部の庶務事務(伝票作成等経理業務全般、勤怠管理等総務業務全般、部内備品管理等)を担当。

創業54年超え岡山県の老舗企業「両備システムズ」は1300名以上の業務管理にBacklogを活用

―両備システムズ様の事業概要について教えてください。

両備システムズは1965年に岡山県で創業したシステム開発会社です。行政、社会保障、医療分野の情報サービス、ソフトウェア開発、ITアウトソーシング(IDCサービス)を行っております。2020年1月にグループ会社6社合併を予定しており、製造業、金融業、流通業、運輸・交通業向けの情報サービスも事業内容となります。

―Backlogを組織内で利用している組織や事業部について教えてください。

両備システムズを含んだグループ会社8社でBacklogを導入しています。最も従業員数の多い両備システムズでも、すべての事業部門(6事業部)、管理部門、研究開発部門の業務管理の標準ツールとしてBacklogを使っています。現在1500名の社員がいますが、そのうちの90%にあたる1336名にBacklogのアカウントを付与しています。

Backlogは2017年7月に契約を開始しました。弊社技術開発センターの一部のメンバーによる評価期間を経て、2018年から本格導入をしました。技術開発センターは、社内向けのシステムなどの技術改善や品質向上を目的とした部署です。

両備システムズ 技術開発センター シニアエキスパート(部長)福田利行さん

両備システムズ 技術開発センター シニアエキスパート(部長)福田利行さん

グループ8社の課題だった「データの拡散」をBacklogで解決する

―Backlogを導入することになった背景を教えてください。

私たちは創業54年を迎え、国内では岡山と東京に本社を構えています。地方には複数の支社、支店、営業所を構えており、グループ会社は8社もあります。こうした中大規模になると、情報が拡散するため、業務のプロセス改善が難しくなります。

部門や拠点もそこそこ多くなると隅々まで情報が伝わりづらくなるのです。さらに、中大規模になるため、世の中に出回っている大手企業向けの事例や手法が通用しません。また、歴史もあるため、既に定着したやり方や文化を変えることが難しいのです。

こうした背景を踏まえて、社内でシステム開発をしたり、OSSの課題管理ツールや市販パッケージを試したりしたのですが、どれも各部署や現場に浸透せず、効果もいまいちでした。

ーBacklogの決め手は何でしたか?

BacklogはOSSの課題管理ツールと比較検討して導入を決めました。社内のクライアントワークでの利用実績もあったことも理由です。

一番の決め手は、セキュリティ面のサービスが充実していたり、開発者ではないビジネス職や事務職のメンバーでも抵抗なく使える操作性や見た目でした

プロジェクト管理ツールを導入するきっかけは全社的に起きていた「データの拡散」に対処するためでした。つまり、開発部などの部署だけでなく、事務やビジネス職のメンバーへの活用も想定していたので、誰もが抵抗なく使える操作性というのは非常に重要な要素でした。

両備システムズ 技術開発センター エキスパート(次長)河内一弘さん

両備システムズ 技術開発センター エキスパート(次長)河内一弘さん

ーBacklog導入前の課題だった「データの拡散」について教えてください。

これまでは、連絡手段がメール、プロジェクト管理がエクセル台帳、かかった工数の記録は社内システムと、記録する場所が異なっていました。

このため入力の負担が大きく、更新が漏れることも多く、情報の整合性がとれない問題が起きていました。入力データの信頼性が乏しいので、プロジェクト改善や品質改善に活かすことができないという、「データの拡散」による深刻な問題を抱えていました。

情報の転記などの二度手間を無くして『会議に費やす時間を30%削減』

ーBacklogを導入したことでデータの拡散による問題はどのように解決されましたか?

Backlogに情報を集約できたことで、全社的に起きていたメールの一次情報をエクエル台帳や社内システムへ転記する二度手間が大幅に改善できました。一例に、庶務担当者の業務改善が挙げられます。

弊社では、庶務担当が各部にいるのですが、担当者によって問い合わせの回答内容が異なる問題が起きていました。これは、社内のファイルサーバーに情報を転記したり、二度手間管理が発生していたことにより、過去の回答情報などが一箇所に集約されていなかったことが理由で起きていました。

Backlog導入後は、問い合わせをすべてBacklogの課題で管理しています。過去の案件や情報が一箇所に集約され、調べたいときにとても探しやすくなりました。また、課題ごとに絞って時系列で確認できるため「最新情報を把握しやすい」という点でも、以前に比べて便利さを感じています。

導入時に「庶務6人分の過去の情報を検索する時間72時間/年が、Backlogを導入したことで75%削減の18時間/年に短縮される」という工数削減目標を立てたので達成できるように日々Backlogを活用しています。

庶務チームの会議風景。Backlogの導入も現場発信で進められた

庶務チームの会議風景。Backlogの導入も現場発信で進められた

ー情報をBacklogに集約できたことで会議などでも変化はありましたか?

週1回のペースで進捗会議を行っているのですが、以前はエクセルに進捗状況を転記したものを画面に投影して進捗確認を行っていました。

現在はBacklogの課題一覧を画面に投影したり、Backlogから1週間分の課題だけを抜き出す、内製の週報ツールを活用するようになり、転記する工数が減り、進捗会議の時間も以前は1時間程度かかっていたものが、40分程度で終了するようになりました

両備システムズの会議ではBacklogを画面に投影してタスクの進捗を確認する

両備システムズの会議ではBacklogを画面に投影してタスクの進捗を確認する

Backlogを浸透させるために日本4都市の各拠点で勉強会を開催!

ー両備システムズでは、全社員の約90%がBacklogを利活用していますが、Backlogをどのように社内へ浸透させたのでしょうか?

実は、2018年にBacklogを全社導入したときは、なかなか現場まで利用が浸透しませんでした。このとき、大部屋で大勢に向けてトップダウンで説明会をするだけでは、ツールの紹介に留まり、各部署のメンバーが自分たちの業務への具体的な落とし込みイメージができないということがわかりました。

ーその発見を踏まえて、どのような行動をされていったのですか?

各部署のメンバーが自分たちの業務にBacklogを落とし込むイメージができれば、組織に必ず浸透すると確信していたので「まずは水飲み場まで連れて行く」ことを念頭に置いて現場への落とし込み方を考えました。

現場には業務効率化、品質向上、収支改善など、さまざまな関心事や課題があります。そうした現場の状況に寄り添って「何が変わるのかを伝える」ことを意識したアプローチ方法を取りました。そこで生まれたのが、各部門、各拠点に説明に伺う「Backlogキャラバン隊」です

Backlog教室は10名から20名前後と少人数で開催される

Backlog勉強会は10名から20名前後と少人数で開催される

ーキャラバン隊によるBacklog勉強会とは一体何でしょうか?

キャラバン隊は技術開発センターのメンバーによって編成され、1回あたり20名前後を対象にBacklogの勉強会を行いました。

人数を少なくして質問しやすいようにしたり、スライドにデモ動画を使用してわかりやすい説明を心掛けました。終了後には「ぜひ使いたいので詳しい話を聞かせてほしい」といった反応もあり、そういった場合は別途打ち合わせを実施し、現場の状況を詳しくヒアリングして導入までサポートを行いました。

また、標準状態のBacklog設定でいきなり現場まかせの運用にしてしまうと、機能を使いこなせなかったり、放置課題が増えてカオスになりがちです。このため、おすすめの種別やカスタム属性の設定ツールをBacklog APIを使って用意しました。

さらに、担当者や期限日など必ず入れるべき項目や、状態の変更タイミングについても説明資料を作成し、課題が放置されにくい運用方法の説明を続けています。

ーBacklogが組織に浸透していく過程で起きた変化について教えてください。

キャラバン隊によるBacklog勉強会はトップダウンではなく、現場から要望があれば、という形で進めていたのですが、次第と現場から「利用したい!」という声が上がってくるようになりました。

中でも、東京本社の営業担当のメンバーから「実際に使ってみてBacklogの利用価値が分かった。東京本社でもBacklog勉強会をしてほしい」と提案され、私たち岡山にいるメンバーが東京で勉強会を開催しました。これは大きな変化でした。勉強会には営業担当役員からベテラン~若手社員まで、幅広い役職、年齢の参加者が出席してグイグイ質問してきましたね。

Backlog教室の開催を各拠点のメンバーから依頼されるようになった

Backlog勉強会の開催を各拠点のメンバーから依頼されるようになった

他にも予想外の効果として、Backlogが社内掲示板のような目的で使われはじめ、技術的な情報交換やQ&Aなど、部署を超えた交流が行われる、社内コミュニティも出来上がりました

分析・レポートなどの機能を拡張した「BacklogPlus」を自社で開発

ーBackogを導入するときの現場の負担を減らすために「BacklogPlus」というアプリを自社で開発されたそうですね。

はい。新しい取り組みをはじめるとき、現場はその取り組みに慣れるのに時間がかかるので、一時的に負荷がかかります。この負荷を最小限にして、現場の負担を極力軽減するために、従来の作業をBacklogで極力代替できないか、と考えました。

弊社が求めるBacklogの利点には、わかりやすい画面、Gitの統合ができる、ユーザ増えても料金が固定という3点があります。しかし、分析・レポート機能、大規模導入時のセットアップ、運用監視機能が足りませんでした。そこで、これらの機能を備えた「BacklogPlus」というツールを自社で作りました。

ーどのような業務でBacklogPlusを活用しているのでしょうか?

社内には既存の経理システムや勤怠管理システムが存在しますし、お客様によってはエクセルで成果物を提出する必要もあります。

なので、Backlogに蓄積しているデータを既存システム、エクセルにも出力できる仕組みをBacklogPlusで作りました。仕組みは、Backlog APIを活用して、Backlogに書かれたデータから帳票など生成し、既存システムと連携させるという方法で考案しています。

具体的な成果物としては、「Backlogの課題やコメントに紐づけて工数を記録でき、かつ経理システムにデータ連携させるツール」があります。

他にも「Backlogから日報を出力するツール」「BacklogからWBSや議事録を生成するためのツール」や「Backlogの更新履歴からEVM(Earned Value Management)グラフを出力するツール」などもあります。まだ開発途中のものもありますが、徐々に品ぞろえを強化していきたいです。

Backlogから日報を出力するツールで個人の働き方を可視化している

Backlogから日報を出力するツールで個人の働き方を可視化している

Backlogの作業工数を出力するツールで個人の作業量や生産性を可視化している

Backlogの作業工数を出力するツールで個人の作業量や生産性を可視化している

Backlog APIやWebhookでプロジェクトのさらなる問題解決を目指す

ーBacklogを全社的に活用した効果について社内ではどのような声が上がっていますか?

両備システムズ全社で「Backlogを見に行けば、プロジェクトの現状がある程度見える」という状況が作れるようになりました。現場の方からも「プロジェクトの状況が見えやすくなった」とのコメントをもらっています。

両備システムズの社員の方々から上がってきたBacklogを使った感想

両備システムズの社員の方々から上がってきたBacklogを使った感想

ー今後Backlogを活用したい業務などはありますか?

Backlogに蓄積されたデータを業務改善に今以上に活用したいと考えています。現状は、データをため込むデータベース的な使い方に留まってしまっているので、Backlog APIやWebhookを活用して、Backlogの更新内容に関する様々なメトリクスを収集、分析することで、普段は見えづらいプロジェクトの問題点を抽出し、解決に役立てたいです。

日々の仕事を快適にするのはBacklog、日々の仕事を分析・改善するのはBacklogPlusと両方を備えたシステム構築を全社で取り組んでいきたいです。

 

記事で紹介されていない両備システムズのBacklogを活用した業務プロセス改善は
「Backlog World 2020」のスペシャルセッションでぜひお聞きください!

 

タスク管理、ファイル共有もできるプロジェクト管理ツールBacklog

※掲載内容は取材当時のものです。

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